バッハ ブランデンブルク協奏曲 : クレンペラー

クレンペラーブランデンブルク

クレンペラー/フィルハーモニア管によるブランデンブルク協奏曲は「Vinyl Passion Classic」レーベルのLP。以前も一度買い物をしたことがあるが、この「Vinyl Passion」レーベル、ネットで検索してもこのレーベルで発売されているアルバムの情報以外、確たる情報が何も出てこない。かろうじてわかるのはこのレーベルがオランダの会社であることくらい。ジャケットに大々的に「DMM Cutting」とあるが、肝心のマスターがなんであるかは謎である。オリジナルマスターテープはEMIないしはワーナーが保有しているだろうから、それを使っていればどこかにその旨記述があるだろう。となると、市販されたCDがマスター代わりであろうか?

デジタル録音時代になって以来、オリジナルマスターにも超高音域は存在しないはず。それをアナログ化してもないものはないので、よく言われる「レコードにはCDにはない超高音域成分が云々」と言う話はどうなのだろう?LPのカッティングはアナログ領域で行われるのでDACが介在するし、RIAAカーブでイコライジングするので、こうした作業を経由してデジタルマスターと微妙に違う音源になるのかもしれないが、デジタル録音が普通になって以降のアナログレコードと言うのはメディアとして中途半端なのは否めない気がする。ましてや市販されたCDをマスター音源にしてLPを作ることに金儲け以外の意味はあるのだろうか?

なんて疑問を持ちつつもクレンペラーのバッハが聴いてみたくてついつい買ってしまったLPなのだが、聴き始めて出てくる音は本当に不思議なことにまさにレコードの音なのである(笑)。録音年代の割にヒスノイズがぜんぜん聞こえないのでアナログマスターではなく、やはりノイズ処理されたデジタル音源だと思うのだが、もしかしてデジタル領域でそれらしくイコライジングしているのだろうか、それともターンテーブルに乗せて針で音を拾ってフォノイコを通して聴けばこういう音になっちゃうんだろうか。CDはどう聞こえるのか、検証したくなってきた。

演奏は素朴で響きが懐かしい。フルオーケストラのブランデンブルク協奏曲は良いな。クレンペラーらしく、アクセクせずに落ち着いたテンポで進むところも好ましい。とても良い演奏である。
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ストラヴィンスキー「春の祭典」 : ドラティ

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個人的に思い入れの強い一枚であるドラティ/デトロイト響の「春の祭典」。このレコード、まだ新譜だった高校生時代に長い間小遣いをためて買ったことがある。そのレコードのジャケットも残っている。なのに中身がなぜかデイヴィス/コンセルトヘボウの「春の祭典」(笑)。きっとデイヴィス盤にドラティの演奏が入っていると思うのだが、そちらは見つからない。

月曜日に行ったディスクユニオンで見つけたのがこのアルバム。1990年、「London Final LP series」と銘打った企画の中の一枚。一応、オリジナルのライナーノーツのコピーも入っているが、ジャケット裏面の解説はこの企画の話一辺倒である。消えゆくレコードを愛する担当者の熱い思いをひしひしと感じる。

その話の中でLPの収録時間が語られているが、それによるとLP片面の本来の収録時間は18分だそうだ。両面いっぱいで36分。その後、収録レベルの小さいところの溝幅を圧縮することでもっと長い時間を片面に収めるようになり、だんだん長時間録音が増えたらしい。そういう意味では「春の祭典」一曲ならばオリジナルの規格に余裕で収まる。

久しぶりに聴いたが、やはりこの「春の祭典」は稀代の名演である。整然と完璧にこの曲を演奏している。鳴るべきところで鳴るべき楽器がきちんと鳴る。当たり前のようだが、この録音以前にそれができた演奏はほとんどないと思う。アタックにあいまいなところがない。だから聴いてて気持ち良い。録音も優秀で、最高音から最低音まで、最弱音から最強音まで混濁もなくすっきりとした音が聴ける。昔持っていたレコードと聞き比べられないのが残念だが、Finalの思いが籠もったカッティングも効いているに違いない。

Sketches of Spain : マイルス・デイヴィス

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忘れた頃にやってくるディアゴスティーニ。今日も二枚のアルバムが届いた。これが16枚目、17枚目である。今回届いたのはマイルス・デイヴィスの「Sketches of Spain」。このアルバムはたぶん10年前くらいにCDで買って、演奏が素晴らしいだけでなく録音が凄く鮮明なので、以来、お気に入りの一枚である。LPを聴くのは初めて。

ライナーノーツを読むとギル・エヴァンスの完璧主義にマイルスは時に悩まされたようだが、ギル・エヴァンスの編曲は「アランフェス協奏曲」以外も異国情緒に溢れてすごく良い雰囲気を醸し出している。その伴奏の上に即興でソロを吹くと言うのも大変なことだと思うが、マイルスのトランペットもめちゃめちゃ良い。個人的には「アランフェス」以上に「Will O' the Wisp」「SAETA」「SOLEA」が好み。

CDの音も良かったが、LPはそれ以上に鮮烈な音がする。ダイレクト感が強く音が前に出てくる。ディアゴスティーニのシリーズの中でもリマスタリングとカッティングがうまくいった一枚ではなかろうか。

ラヴェル管弦楽曲集 : マルティノン

マルティノンラヴェル

ドビュッシー、ラヴェルの管弦楽曲集とも定評があるにも関わらずこれまでマルティノンの演奏を聴くことはほとんどなかった。ラヴェルと言うとなんといっても筆頭はクリュイタンス。新しい録音ならデュトワ、その間のステレオ録音では個人的にブーレーズが定番で、あえてマルティノンを聴こうと思わなかったのである。

このLP5枚セットはちょっと前に「レコード社」で買ったもの。管弦楽曲に加えチッコリーニと組んだ二曲のピアノ協奏曲が収録されている。最近、同社で買うLPの常なのだが、盤面は綺麗なのに針を落とすとかなりパチパチとうるさい。なので、一枚ずつ、聴く前にかなり入念に洗浄が必要である。そんな感じで一枚洗って聴き、また別の日に一枚洗って聴きの繰り返しで全部聴くのに相当時間がかかってしまった(笑)。

一枚目のボレロや二枚目のダフニスとクロエを聴きながら感じたのだが、先に名を挙げた三人の指揮者に比べてこの人の演奏がなんと言うか一番人間臭い。クリュイタンスとブーレーズ/デュトワの演奏はオケの質感の違いからウォームかクールかという印象こそ異なれども、いずれも非常に精緻でラヴェルの機械のような精密さを感じさせるが、マルティノン/パリ管の演奏はテンポも動くしここ一番という時にもっと熱を感じる。と言っても感情的で我を忘れたような熱さではないのだが。うまく表現できないが、ひんやりした見た目なのに触ったら意外と熱い感じ(意味不明)である。

そんな演奏だけにどの曲も終盤の盛り上がりはなかなか感動的。録音年代の割には強音時に音が濁りがちで特に内周部はちょっと厳しいが、まあ、演奏を楽しむのに問題はない。良い演奏だ。

アイヴズ交響曲第4番 : 小澤

小澤アイヴズ

さっき札幌出張から帰宅したのだが、いやはやこの季節にまさか横殴りの吹雪に遭遇するとは思わなかった。しかも今日は昨日の天気がうそのような暖かな陽気。東京を出る時と同様、コートをスーツケースに仕舞い込んで帰ってきた。こちらでは長い間頑張っていた桜もさすがに散っているが、札幌では5月頃とのこと。日本も広いなぁ。

帰ってきたのは夕飯時だったが、一昨日昨日と北海道の美味しい海産物を食べ過ぎて胃もたれ気味である。ほんの軽めに食事をした後、ゆっくり風呂に浸かった。国内だからホテルでも湯船はあるが、やっぱり家の風呂とは違う。気持ち良かった。

このところ集中して聴いているアイヴズの交響曲だが、今日は小澤/ボストン響の演奏する4番を聴いた。もともとはこのLPが気になって買ったアイヴズだが、たまたま同時に1番と2番を買って、さらにはそっちを最初に聴いたのは幸運であったと思う。この曲をいきなり聴いたら「なんじゃ、こりゃ。」となってしばらくはお蔵入りしたことだろう。

1番~3番までの歌謡曲的親しみやすさはこの曲ではかなり後退している。と言って十二音音楽みたいな難解なものではなく、ただ、特に偶数楽章でいろいろごちゃごちゃと同時進行するメロディとリズムが初期の交響曲に比べて複雑怪奇なのだ。それに比べると奇数楽章はシンプルで、特に第三楽章なんて神々しくも美しい音楽である。この同時進行的多面性がアイヴズの本質だとすれば、この曲はそれまでの交響曲に比べて圧倒的にアイヴズ的であり、「ついに本性を現したな、この化け物め。」という感じである(笑)。聴いたことのない人にはなんのこっちゃであろう。ぜひ聴いてほしい。

小澤さんのアイヴズはほかにあるのかどうか知らないが、この演奏はずいぶん昔からこの曲の録音において、それなりの地位を築いているものではなかろうか。通常、複数の指揮者が必要な第二楽章も一人で振っているらしいが、いったいどうやって同時進行する複数のリズムを振り分けているのだろうか?神業である。

プロコフィエフ交響曲第5番 : カラヤン

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昨日の午後、雨が降り出してからまた気温が下がってきたようで今日は肌寒い一日だった。今日の夜は会食があったのだが、明日寒くなるという天気予報に油断してコートを持たなかったおかげですっかり冷えてしまった。そもそも昨日の雨で風邪気味なのかもしれない。今週は明日から北海道なので気をつけなくては。

カラヤン/BPOのプロコフィエフ交響曲第5番は68年の録音。カラヤンのプロコフィエフはとても録音が少なくて、この曲も再録音はないようである。実演したことがない曲すらニーズがあれば録音するカラヤンのことだから、これ以上の録音は不要と判断したのだろう。たしかに良い演奏であり、多少マルチくさいものの好録音である。

こういう演奏を聴くとやはりカラヤンは60年代後半から70年代が一番バランスが取れていたと感じる。シャープで緩みがないし、それでいて柔らかい表現も抜群に上手い。デジタル録音時代以降、特にウィーンフィルと組んだ演奏は時々鈍重な感じがしてしまうが、ここにはそんな気配すらない。最初から最後まで過不足のない演奏で、そこが不満だと不合理な批判をする気持ちが理解できる(笑)。一つのスタンダードと言う演奏だと思った。

ALFIE : ソニー・ロリンズ

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今年の冬はそんなに寒いとは感じなかったのだが、桜の開花はここ数年の中ではずいぶん遅かった気がする。咲くのが遅いだけでなく暖かったり寒かったりの繰り返しで長持ちしているような。。あくまで感覚的には、だが。おかげで関東地方では入学式や入社式といった門出に実にふさわしい景色が楽しめた。

昨日、家の近くの公園を通りかかったら遠目にも桜並木が綺麗だったので、ちょっと車を止めて歩いてみた。近づいてみるとまさに満開である。犬と散歩する人、家族連れ、多くの人たちがみな静かに桜を見上げながら歩いていた。ちょっと幸せな気分になった。

今日は珍しく接待ゴルフに行ってきた。接待と言ってもこちらが先方のクライアントなのだが、先に向こうが接待してくれたのでそれに対するお返しということらしい。向こうが接待してくれた時に僕は一緒にいなかったので今一つ趣旨不明だったのだが、まあゴルフができるのであれば願ったりかなったり。と言うことで行ったのだが、残念なことに朝から小雨。お昼を食べる頃から雨脚が強くなり、午後には本降りになってしまった。気温もだんだん下がってきてついに13番でギブアップ。ゴルフをラウンド途中で止めるのは十数年来なかったが、接待目的なのに難行苦行では意味がない。風呂に入った後、ラウンジで歓談してお開きとなった。

夕方帰宅するとディアゴスティーニが届いていた。二枚のうちの一枚がソニー・ロリンズの「アルフィー」。ソニー・ロリンズと言えばサキコロしか知らない僕はもちろん初めて聴くアルバムである。このアルバム、同名の映画のために作られた音楽ということであるが、ソニー・ロリンズが映画音楽を作っていたなんて知らなかった。

どんなものかと聴いてみると、最初のアルフィーのテーマからしてピンクパンサーみたいで非常に親しみやすく、これは一枚まるっと楽しめるアルバムである。なるほどこれは人気があるのもよくわかる。

アイヴズ交響曲第3番 : ハンソン

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前回「レコード社」に行った時には見かけなかったアイヴズの交響曲第3番のレコードを発見。火曜日の夕方、東京駅の近くで用事を済ましたその足で近くにある「ハイファイ堂」に寄った。ちょっと前までは大丸の中にあったので電車の待ち時間にふらっと立ち寄ることもできたのだが、国際フォーラムのそばに移転してからはなかなか行けなくなってしまった。

店内は相変わらず、オーディオ人気華やかな頃の、ちょっと古めの中古製品で溢れていた。僕がお邪魔した時はLP12をソースにダイヤトーンの放送局用スピーカーでヴァイオリン曲を再生していて、なかなか良い音であった。ひとしきり店内を見まわしたのち、レコードの並ぶ棚を物色したところ、このレコードを発見した。オランダ盤。

ハワード・ハンソン/イーストマン・ロチェスター管弦楽団というクレジットを見た時には指揮者もオーケストラも聞いたことないなと思ったのだが、調べてみるとハンソンは有名な作曲家兼指揮者、オケはコダック社の創立者であるイーストマンがハンソンを見初めて招いた音楽学校の生徒とロチェスター・フィルの選抜部隊ということで、由緒正しいコンビの演奏であった。

曲はアイヴズの交響曲の中で最小編成のものということで、演奏時間も短い。もともと教会音楽として書いた曲が下敷きになっているので、讃美歌の旋律があちこち引用されており、結果として初めて聴くのにいつかどこかで聴いたような印象を受ける。それに小編成の割には荘厳な雰囲気である。難解なところはないが、調整が微妙なせいか、少し現代音楽の薫りがする。それでいて全体的にはとても牧歌的。この曲の副題は「キャンプ・ミーティング」というそうだが、なるほど森の中でキャンプファイアを囲んで会話しているような曲想である。

この曲はマーラーが注目してヨーロッパで演奏するために楽譜を持ち帰ったらしい。マーラーが死んでしまったので結局実現しなかったということだが、もし実現していたらその後のアイヴズの人生も違ったものになっただろうか。

ショスタコーヴィチ交響曲第15番 : M.ショスタコーヴィチ

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ショスタコーヴィチの最後の交響曲の初演を行ったのは作曲者の息子であるマキシム・ショスタコーヴィチ。1971年1月の初演直後に初演と同じ組み合わせで録音されたのがこの録音である。

まだ若かったマキシム・ショスタコーヴィチが初演を任されたのは息子だからに違いないが、マキシムはソ連の指揮者コンクールで優勝した実力者である。なのに父親が偉大過ぎて親の七光り指揮者と誤解されがちで気の毒である。

ショスタコーヴィチの後期交響曲を一生懸命聴くようになったのが最近なので15番の演奏もたくさん聴いたわけではないが、僕はこの演奏、大変気に入った。外連味のない真面目な表現で淡々と抒情的かつ不思議なこの曲の魅力を引き出している。自分が何かを主張するのではなく、曲そのものに語らせるような演奏である。

68年のソ連録音ながら音は良い。ダイナミックレンジは狭いが演奏を楽しむのには十二分のクオリティである。

アイヴズ交響曲第2番 : メータ

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昨日に引き続きメータ/ロサンゼルス・フィルのアイヴズを聴く。今日は交響曲第2番。1951年にバーンスタインが初演するまで半世紀も放置されていたというのが信じられないほど親しみやすく聴いていて面白い曲である。

アイヴズの曲はいろんな有名曲の旋律を借りてきてはあちこちに散りばめるというスタイルらしい。この曲を聴きながらどこかで聴いたような曲だと何度も感じたが、そりゃそうである。聴き終ってからライナーノーツを読んで合点がいった。

今日はたまたまショスタコーヴィチの交響曲第15番も聴いたのだが、こちらも堂々とロッシーニの「ウィリアム・テル」が引用されている。どっちの曲も全体としてオリジナリティいっぱいなので盗作でもなんでもないが、では、どこまで引用が許されるのかというとあいまいな感じ。

イェールで音楽を修了したアイヴズは作曲で生計を立てることに見切りをつけ、友人と保険会社を立ち上げて大成功したという。生前、曲がほとんど演奏されなかったのは徐々に不協和音を多用する作風に変わったことが理由らしいが、まだ初期の作品であるせいか、1番も2番もそれが理由とはとても思えない。

それはそれとして、第2番は第1番とはまた違った魅力に満ちた曲であった。この曲もまたあえて言えばドヴォルザークを彷彿とさせる。終楽章はあちこちで「草競馬」やら「新世界より」やら聞こえてくる中、景気よく終わるのだが、最後の最後が調子外れの不協和音というシュールな終わり方。いやあ、アイヴズ、面白いじゃないか。
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