マーラー交響曲第4番 : ライナー

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ライナーによるマーラーはこの4番と「大地の歌」のみのようだ。1958年の録音。録音は他の例に漏れずすこぶる鮮明。最新デジタル録音のようなダイナミックレンジとSN感はないが、録音レベルが高く聴きやすい。

演奏は筋肉質という表現が一番合う。テンポはかなり速め。古典派の交響曲の延長線上の解釈・表現だ。リズムが良く、オーケストラの機能も素晴らしい。低弦の動きなど実に痛快。

マーラーの交響曲だからといって、特にテンポを揺らしたり強弱に大きなメリハリとつけたりといった小細工は一切ない。58年の段階でこんなにある意味モダンなマーラーの演奏が行われていたとは。

基本的にインテンポで男性的な演奏だが、ニュアンスや表現の幅に不足しているわけではない。第三楽章は十分に陰影に富んで美しい。実に良い演奏ではないか。

終楽章、デラ・カーサのソプラノもなかなか力強く、骨太なライナーの演奏に合っている。

4番は頻繁に聴くこともなく、これは良いと思った演奏もあまりないのだが、この演奏はなかなか楽しめた。

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シューマン交響曲第一番「春」第三番「ライン」 : スウィトナー

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以前、スウィトナーによるシューマンの交響曲第2番、第4番について、録音が残響過多と書いたが、今日、その時に比べてかなり大きな音量で再度聴いてみたところ、エコーは多いものの、オーケストラの細かい動きが聞き取れないようなことはなく、かなり印象が違った。夜遅く音量を絞って聴いていたのが良くなかったようだ。

昨日、もう一枚の1番、3番を聴いたのだが、こちらも非常に良い演奏である。「春」は珍しい第一稿による演奏。冒頭のファンファーレの音程から違うが、これはこれで面白い。何よりスウィトナーの演奏が良い。第一稿はその後の改定稿(通常演奏される版)に比べて地味な印象だが、むしろ、シュターツカペレ・ドレスデンの音にぴったりである。

「春」も良いが、「ライン」は輪をかけて良い。僕が初めて聴いた「ライン」はスウィトナーの演奏だったが、このCDで聴く「ライン」はその時の感動を呼び起こすものだった。冒頭から生命力があふれ出るような快活、雄弁な演奏だ。テンポもメロディの歌わせ方も最高。シューマンのオーケストレーションの問題なんて微塵も感じない。絶対のお薦め盤だ。

マーラー交響曲第9番 : アバド

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アバドのマーラー交響曲全集は新旧あり、交響曲第9番は最初がウィーンフィル、2度目がこのベルリンフィルとの演奏。1999年のライブ。ジャケット写真は分売のものだが、今回聴いたのは41枚組みの「アバド・シンフォニーエディション」に収録されているもの。

マーラーの交響曲の中でもとびきりの人気曲である第9番については、ネット上でも多くの人たちが自分なりのベストについて語っているが、この曲ほどベスト盤の顔ぶれが人によってさまざまな曲はないのではないかと思う。

個人的な印象ではバーンスタイン、カラヤンを挙げる人が比較的多いか。マゼールを挙げる人もいるし、古いところではワルター/ウィーンフィルに始まって、バルビローリ、クレンペラー、ジュリーニを挙げる人もいるし、いやテンシュテットだ、ノイマンだと枚挙に暇がない。そもそも一体、何枚のアルバムが世に出たのだろうか?大手の販売店経由で手に入るものに限っても相当の枚数だと思う。

僕も高校生の時に初めてこの曲を聴いてからずいぶんたくさんの演奏を聴いたが、以前にも書いたとおり、これこそという一枚を選ぶのは非常に難しい。なんというか曲の懐が深いので本当にいろいろな表現が可能で、同じ曲とはいえ同じ土俵で勝敗をつけられない感じなのだ。

このアバド/ベルリンフィルの演奏はその中でも(私的に)五指に入る本当に素晴らしい演奏だ。

第一楽章からライブならではの緊張感、高揚感がすごい。アバドの場合、そうした高揚感がオーケストラから自発的に立ち上ってくる感じが最高だ。ルツェルンのライブ映像を見るとアバドの指揮はドライブ感が凄い。(こう言葉で書いても意味不明かもしれない。)きっとこのベルリンのライブでも細かい指示より、オーケストラを音楽に乗せていくことに集中した指揮ぶりだったのではないか。第一楽章の終盤でホルンと低弦による掛け合いがあるが、この演奏ではまるでジャズのような即興性が感じられる。そうした中でもまったくミスをしないベルリンフィルのアンサンブルも見事だ。

第二楽章、第三楽章も実に生き生きとした演奏である。この中間楽章は両端に比べて鬼門に感じることが多いのだが、この演奏ではあっという間に時間が経つ。カラヤン盤はこの中間楽章が実に緻密に計算された完璧な演奏となっているが、アバドの演奏はずっと自然体。荒々しいところも魅力的だ。

終楽章も素晴らしい。言葉では形容しがたい。最後の一音が消えてからかなりの沈黙の後、ふとわれに返ったように会場ノイズが聞こえ始め、さらに少し遅れてようやく拍手が始まる。実際の演奏を聴いた感動はどれだけのものだったろうか。

それにしてもベルリンフィルの録音したこの曲の演奏はどれも素晴らしいものばかりだ。バルビローリ、カラヤン、バーンスタイン、アバド、ラトル。指揮者によって演奏スタイルはぜんぜん違うが、そのいずれもが名演というのも凄い。



ベートーヴェン交響曲第7番 : ライナー

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1955年の録音。びっくりするほど鮮明な録音だ。フルトヴェングラーが亡くなったのが54年。あと1~2年長生きしていれば、こんな鮮明なフルトヴェングラーの演奏が残ったかもしれないと考えると惜しい。

ライナーの演奏はもちろんフルトヴェングラーのそれとはまったく違う。フルトヴェングラーを柔とすれば剛、陰とすれば陽。ライナーに鍛えられたシカゴ響のアンサンブルがまた見事だ。

この曲の名演の一つとして記憶されるべき演奏だと思う。

ブラームス ピアノ協奏曲第1番 : ルービンシュタイン/ライナー

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フリッツ・ライナーがシカゴ響とRCAに録音したアルバムコレクションが自宅に届いた。まだ酷暑の頃に予約したものだ。CD63枚組のボックスセット。立派な化粧箱にオリジナルデザインの紙ジャケットでCDが収納されている。これまた立派な分厚いライナーノーツが付属する。

最初の二枚がリヒャルトシュトラウス、それに続く三枚目のCDがこのブラームスだった。1954年の録音。日付を見間違ったかと思うほど良好なステレオ録音。草創期のステレオだが、出来の悪いデジタル録音よりよっぽど鮮度が高い。面白いのが、ライナーノーツによるとこれだけ立派なステレオ録音なのに、ステレオフォーマットでLPが発売されたのは初出から20年以上経った77年だそうだ。

54年の段階で70歳近いが、その後20年現役だったルービンシュタインなので、老いとは無縁の矍鑠とした演奏だ。ライナーの伴奏もいつもどおりリズミカルで切れ味鋭い。いつ聴いても、何を聴いてもルービンシュタインの演奏スタイルは格好良いなあ。

PHILIPS LHH P700

レコードプレーヤーを買うかどうかすら結論は出ていないのに、PHILIPSのLHH P700を中古で発見し、その場で購入してしまった。。。

LHH P700は1995年に発売されたプリアンプ。その後、marantz proを経てSOUL NOTEを運営する鈴木さんのデザインである。

MM/MC対応のフォノイコライザーのほかにRCA入力が2つ、バランス入力が1つ。出力はダイレクトが1つ、バランスが1つ、RCAは正相と逆相が一つずつついている。正面から見ると縦横13cm強のほぼ正方形、奥行が35cmという小さな筐体だが、入出力は至れりつくせりだ。これ一つでいろんなことができる。

プレーヤーを購入したら、LHH P700をダイレクト出力でアンプに繋ぐことで、まずはフォノイコライザーとして利用しようと思う。

将来的には正相と逆相のRCA出力を使ってアンプとのBTL接続も試してみたい。アンプ側がBTL対応してなくてもRCA入力のあるアンプが2台あれば良いので、選択肢は無限に広がるし、4チャンネルアンプをBTLで2チャンネルとして使用するのも良いかもしれない。

マーラー交響曲第9番 : マゼール

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先日、購入したマゼールによるマーラー交響曲全集を少しずつ聴いている。2番、6番に次いで聴いたのが9番。9番は僕が一番好きな曲なので、マゼールによる演奏も過去に聴いたことがある。その時は期待に比してあまり感動がなくほとんど印象に残らなかった。むしろたいしたことがないという否定的な印象が残ったといってもいい。

その時と聴く装置も変わったし、自分自身も歳を取ったのでなるべく先入観を捨てて聴いてみた。

第一楽章、以前聴いたときにはそう思わなかったが、かなりの力演だ。マゼールの演奏を醒めたとか無機的とか人工的と評する人が多いが、そういう印象は受けなかった。最初の盛り上がりからウィーンフィルも熱演である。楽章の終わりまで緩みの無い優れた演奏。

第二楽章、テンポが遅すぎると感じる演奏が多い中、意外に快速なテンポで始まるものの楽章が進むにつれだんだん減速する印象。この楽章のウィーンフィルの音色はやはり良い。本来、田舎のオーケストラ風に演奏されるべき楽章だが、田舎というには鄙びた音でも品が良すぎる。

第三楽章、フレーズとフレーズの切れ目がはっきりしているので、一つ一つの音を置いて並べていくような印象を受ける。録音バランスのせいなのか、この楽章だけオーケストラが小さくなったみたいに感じる。こういうのを室内楽的というのか、何というのか?演奏は見通しがよく、主メロディに付随して木管、金管、いろいろな打楽器がさまざまな形の装飾を施しているのが良く聴こえる。最後は一気にテンポを上げて断ち切るように終わる。

終楽章、テンポは速めだ。ウィーンフィルが演奏していることの意味が最もあるのがこの楽章だと思う。もったいぶったところがなく音楽は前の楽章と正反対に淀みなく淡々と流れていく。風の強い日、雲が空を流れていくような感じだ。速めに始まるだけでなく、楽章の真ん中くらいまでどんどんテンポが上がっていくように感じる。途中でテンポが一旦落ち着いた後、二度目のピークが訪れるが、弦楽器によるクライマックスの後の金管によるコラールは個人的には少し速すぎて落ち着かない。この部分だけ古い交響曲みたいだ。

2番、6番と同様、評価が難しい演奏だと思った。個人的にはベスト盤ではないが、きっとまた聴きたくなるだろうとも思う。

シベリウス交響曲第5番 : バーンスタイン

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バーンスタイン/ウィーンフィルによるライブ、1987年録音。

北欧系指揮者によるシベリウスの清廉透明な演奏とは一線を画す濃密な演奏。好き嫌いは分かれると思うが、バーンスタイン晩年にウィーンフィルと録音されたシベリウス演奏はすべて名演だ。

第7番との組み合わせだが、同じコンビによるチャイコフスキーの「悲愴」同様、他の演奏に比べぐっと自由なテンポで彼の感じたままにシベリウスを演奏している印象だ。

そうした解釈を可能にする奥深い曲だと思う。



ブラームス ピアノ協奏曲第2番 : リヒテル/ラインスドルフ

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1960年録音。リヒテルには後年マゼールと組んだ同曲の演奏もある(未聴)。

ネット上の情報によると、この録音はリヒテル自身が「失敗」と振り返っているらしい。具体的にどの当たりが気に入らなかったのかわからないのだが、そのことを知らずに聞いた素直な感想は素晴らしいの一言である。

リヒテルの演奏はまさに鋼のように切れ味鋭い。時として少し急ぎすぎではと感じる部分もあるが、全体を通じて緊張感に満ち溢れた演奏だ。

伴奏はラインスドルフ/シカゴ響。ラインスドルフという指揮者の名前は承知しつつ、今まで興味がなかった。この曲でもリヒテルのピアノにしか関心なかったのだが、聴いてみて良い意味でびっくり。伴奏という範疇を超えてメリハリのはっきりとした演奏だ。オーケストラとピアノが火花を散らしている。あるいはこれがリヒテルにとって「失敗」だったのかもしれない。

手持ちのCDには録音年代のクレジットが見当たらず、ひょっとしてモノラルかと思いつつ再生したのだが、オーケストラの録音レベルとスケール感がやや小さいものの非常に良好なステレオ録音。調べてみると上記のとおり60年の録音だが、もっとずっと新しい録音と言われても違和感ない。

併録されたベートーヴェンの「熱情」は文句なしの演奏だ。

ALCS

今日はゴルフの日本オープン最終日、プロ野球のパ・リーグプレーオフ第6戦とテレビ観戦を楽しみにしていたスポーツイベントが雨で中止になってしまってちょっとがっかりだったのだが、MLBのALCSのテレビ中継をタイミング良く見ることができた。

1点差で負けていた7回、大事なところで田沢投手が登板しピンチを切り抜けると、その裏、満塁ホームランで逆転。9回に上原投手が登板したところからNHK・BSで観戦。

ALCSでの上原投手はここまで失点ゼロ、与えたヒットも4本だけという素晴らしい成績だし、今日は得点差も3点あったのでまず大丈夫と思って見ていたが、マウンド上で映された表情は緊張感一杯だった。レンジャース時代には地区シリーズで3戦連続ホームランを浴びた苦い経験もあるし、地区シリーズでも一度打たれている。どれだけの重圧だったろうか。

しびれる状況でも上原投手は見事な投球。3アウト中、2つは三振。最後のバッターも得意のスプリッターで空振りさせてゲームセット。マウンドから駆け下りて捕手と抱き合った後は味方にもみくちゃにされていた。ALCSのMVPも獲得。すごい!同じ日本人として本当に誇りに思います。ワールドシリーズでも大活躍してほしい。

もう一つ、日本時間の今夜はPGA開幕第二戦の最終日。昨シーズン(といっても最近終わったばかりだが…。)、シードが取れず最終予選に回ってレギュラーシーズンに滑り込んだ石川遼選手が5位タイという好位置につけている。トップとは7打差もあるが、三日間毎日4アンダー平均で安定しているし、久しぶりにみんなをアッと言わせるようなスコアで回って優勝してほしい。

米国のハイレベルな環境で苦戦を強いられてきたが、きっと血のにじむような努力を続けているはず。努力が実を結んで結果が出ることを祈りたい。頑張れ、遼君。

LED ZEPPELIN : LED ZEPPELIN

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今日は朝から雨。気温もかなり下がってきた。家でのんびり日和である。しかも、今日は朝から家人が外出したので音量を気にせずに音楽が聴ける。マーラーの交響曲を気兼ねなく大音量で聴こうかとも思ったのだが、買ったまま聴いていないこのCDを発見。たまには趣向を変えてと思って聴いてみた。

69年リリースのLED ZEPEELINファーストアルバム。初めて聴いたのはもう80年代に入ってからだったが、ロック少年ではなかった僕も痺れた。

手元にあるのは94年にリマスターされた輸入盤。SHM-CD化されたり、さらなるリマスタリングの計画もあるらしいが、正直、そんなことはどうでも良い気がする。久しぶりに聴いてまた鳥肌が立つほどの感動だ。う~ん、かっこいい。まさにDazed and Confusedだ。

このアルバムに始まってLED ZEPPELINが音楽界全体に与えた影響はものすごく大きいと思う。アルバムを聴いててなんども70年代以降のテレビドラマや映画を見た時に聞いた音楽との近似性を感じた。「太陽にほえろ」とか「Gメン75」とか。確認したわけではないがフラッシュバックする。

それはともかくとして、大音量で聞くZEPPELINはやっぱり最高だ。真空管アンプとブルージーなドラムやベースの音のマッチングも良い。

聴き終わって、携帯にメールが届いているのに気がついた。開けてみるとヤマト運輸からの不在通知。在宅していたのだがまったく気づかなかったらしい。運転手さん、面倒かけてしまってごめんなさい。



レコードプレーヤー

V-LA1の導入以来、レコードプレーヤーが欲しくてたまらないのだが、困ったことに、その気になってちょっと調べてみるとどんなプレーヤーを購入したらいいのか見当がつかない。

我が家に最初のステレオがやってきたのは中学1年生の時だったと思う。家族みんなで石丸電気に見に行って購入したのはOnkyoのシステムコンポだった。システムコンポといっても、80年代後半以降一般的になったコンパクトなシステムコンポではなく、応接間にどんと鎮座するタイプの大きなステレオセットだった。

70年代~80年代の一般的な家庭では応接間といっても6畳間か8畳間くらいだったと思う。考えてみれば、そこに置くにはずいぶん大きなものだった。きっと、「大きいことは良いこと」だったのだろう。

せっかくだから当時のカタログ写真でもないかと思ってネット検索したのだが見つからなかった。今や製品名すら忘れてしまったが、チューナー、カセットデッキ、プレーヤー、アンプ、スピーカーにラックがセットされたピカピカの「ステレオ」が我が家にやってきたのは大事件だった。このときセットに入っていたプレーヤーはもちろんレコードプレーヤーである。

大学生になって東京で一人暮らしを始めた時、今度は小さなシステムコンポを買った。これもOnkyoだったような気がする。このシスコンにはテクニクスのSL10のような形をした小さなレコードプレーヤーがついていた。

僕が今までに所有したことのあるレコードプレーヤーはこの二台のみだ。

二台とももちろんオート。ボタンを押せばプラッターが回転し、アームが自動で動く。最初のプレーヤーは終わっても自動でアームは上がらなかった。二台目は全自動だ。カートリッジはMM型。MC型の存在は知っていたが当時の自分には買えるようなものではなかった。SHUREのカートリッジだったと思うが定かでない。自社コンポ用にOnkyo製というものが存在していたかどうかわからないが、あるいは日本製だったかもしれない。

CDプレーヤーが登場したのは1982年だが、僕が初めてCDプレーヤーを手に入れたのは1986年か87年だ。しばらくは所有CDが少なく、レコードプレーヤーとCDプレーヤーが共存していたのだが、中古のCDが増えるごとにLPを聴く機会は減った。

自分の感覚ではCDとアナログのコストパフォーマンスは比較にならなかった。中古同士で比較してもCDはかなり割高だったが、ノイズのないCDはLPに比べて遥かに高音質と感じたし、長時間再生できて便利だった。CDについて音が硬いとかデジタル臭いとかいう指摘があるが、正直、そんなことを感じたことはない。低価格帯のオーディオではデジタル対アナログはデジタルの圧勝だと思う。

長々と書いてきたが、要するにフルオートプレーヤー+MMカートリッジの経験しかないので、今、マニュアルプレーヤーを購入するのはなかなかハードルが高いと思う一方、過去の経験から、CD/SACD再生と互角のレベルでアナログ再生を行うためにはそこそこのレベルの機材が必要だろうと思うので、一体どの程度のものを手に入れるべきなのか大いに悩むのだ。

新品か中古かという点も大きな悩みだ。最近はアナログ人気復活なのか、今でも結構な数の新品が手に入るが、完全に趣味の製品となっているので価格が総じて高い。いや、すごく安いものもあるので二極分化が進んでいると言ったほうが正確か。エントリークラスの製品が必ずしも良くないわけではないと思うが、久しぶりに買う以上、100%満足したいと思うし…。

中古に目を向けると70年代~80年代に一世を風靡したプレーヤーが結構な数、流通している。新品の中堅どころを買うつもりなら、国産プレーヤーの往年の高級機が楽に買えそうだ。が、高級機といっても30年以上前の製品である。メンテナンスされていない製品を買うのはちょっと怖い。ショップによってはメンテナンスを施して保証をつけているところもあるが、その場合、価格のメリットはかなり少なくなる。ヤマハのGTシリーズやマイクロ精機の製品等僕でも名前を知っているような製品を一度は所有してみたいとも思うが…。

母親によると、捨てたと思ってたLPの一部が物置の奥深くに眠っているらしい。早速、捜索してみようと思ったのだが、まだ実行していない。最後の引越し分だけが残っているとしても最低150枚はあるはずだが、これが見つかったらますますプレーヤーが欲しくなるだろうしなあ。

どうしようかなあ。

V-LA1(2)

先日購入したV-LA1、最初はジャズ中心に使用してクラシック、ロックはSM-SX10と使い分けていたのだが、例によってアンプの使い分けは難しい。というか、単純にスピーカーの切り替えが面倒くさく、今やV-LA1がすっかりメインシステムに昇格してしまった。

V-LA1にはPS AudioのPWT、PWDを組み合わせて聴いているが、楽器の音が生々しいジャズだけでなく、大編成のクラシックをかけても結構いける。ほぼ100%3極管接続で聴いているのでせいぜい10数ワットの出力だが僕の聞き方ではこれ以上の出力は要らない。

ステージの広さや高さ、奥行に加え、レンジについても単純比較するとSM-SX10の方がより高性能だと思うのだが、V-LA1の音は聴いててなんともホッとするような暖かさが心地よい。真空管アンプということでハムノイズやその他の残留ノイズはどんなものかと思っていたのだが、ボリューム10時の位置で聞いている限りほとんど気にならないレベル。スピーカーのまん前に行って耳を澄ませばノイズは確実にあるが、実用上の問題はゼロだ。

発熱はもちろんある。付属のボンネットカバーを使っていないのでなおさらかもしれないが、ずっと聴いていると8畳間をじんわりと暖めてくれる。

このアンプを購入しての最大の問題は、ずっと気にしつつ忘れようとしていたアナログプレーヤーがものすごく欲しくなってきたことだ(笑)。できれば自分がオーディオに興味を持ち始めた頃の古いプレーヤーに同じくらい古いスピーカーを合わせて聴いてみたい。

ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番 : 堀米/シモノフ

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ロイヤルフィルの演奏によるThe Great Classical Masterworksの中の一枚。30枚組みで2,090円(HMV)、一枚70円である。そのあまりの安さに惹かれて第一弾、第二弾ともに購入したのだが、あわせて60枚もあるのでなかなか全部は聴けない。しばらくインテリアと化していたのだが、まだまったく聴いてなかった第二弾の曲目を眺めていたところ発見したのがこの演奏。

大好きなブルッフの協奏曲を日本人ヴァイオリニストが弾いているとなると聴かないわけにはいかない。早速、取り出して聴いてみたのだが、ゆっくりとしたテンポで情感豊かに演奏していてすこぶる良い演奏だった。このシリーズ全体に共通するのだが録音もとても良い。

劇的な協奏曲だが技巧や音圧で圧倒するような演奏ではない。隅々にまで気を配った丁寧な演奏だ。派手なところはなく大向こうを唸らせるような考え抜かれた演奏だと思う。

モーツァルト後期交響曲集 : ベーム

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ベームがベルリン・フィルと演奏したモーツァルトの後期交響曲集。最晩年のベームのようなテンポの緩みは皆無で6曲どの曲をとってもどの楽章をとっても沸き立つようなリズムとメロディが素晴らしい。ベルリン・フィルも完璧なアンサンブル。フル・オーケストラによる堂々とした演奏だが重苦しさはなく、実に良い演奏だ。

デッカ、EMI、グラモフォンとカラヤン、ベーム、BPO、VPO間の相互の契約関係でVPOではなくBPOとモーツァルトの交響曲集を録音することになったようだが、溌剌とした中にもがっちりとした構造美を感じるこの演奏を聴くと結果的にはBPOで良かったのではないかと思う。

6曲すべて名曲だと思うが、個人的にはやっぱり「ジュピター」が一番好き。で、「ジュピター」のベストはずっとこの演奏だ。

シューベルト弦楽五重奏曲 : 東京カルテット

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今年の6月に解散した東京カルテットのハルモニアムンディへの最後の録音となった3枚の中の一枚。

室内楽はあまり聴かないので曲も多くは知らないが、シューベルトの弦楽五重奏曲は若い頃からずっと好きな曲の一つだ。最初から最後までどこまでも美しい旋律だ。快活なメロディにもそこはかとない悲しみが纏綿としていて心を打つ。

東京カルテットの演奏はこの名曲の魅力をあますところなく伝えている。もっと激しく情熱的な演奏は他にもあるが、いかにも成熟して落ち着いた演奏だ。公式サイトにある解散までの道のりを踏まえるとこの曲を録音したのは日本人メンバーがカルテットから引退することを決めるよりも前になるが、惜別の演奏としシューベルトの遺作であるこの曲は最適だったと思う。

ブルックナー交響曲第9番 : ブロムシュテット

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ブロムシュテット/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団は最近、ライブ録音によるブルックナーの交響曲全集をSACDで完成させているが、この演奏はそれより10年くらい前に録音されたもの。ブロムシュテットのブルックナーといえばまずはDENONによる4番、7番が名高いが、それらに続き散発で録音されたものの一つがこの9番の演奏のようだ。タワーレコード限定での復活。タワーレコード/ブロムシュテットの組み合わせで再発されたマーラーの復活がとても良かったので、この演奏も迷わず購入した。

実は新盤の9番も手元にあるのでいつか両方の演奏を比較しながら聴いてみようと思うが、ひとまず旧盤のほうを聴いてみた感想。

一言で言うと実に良い。さらっと流れていくような演奏でありながらこの曲の持つ美しさと激しさをきちんと表現している。ゲヴァントハウス管弦楽団というと非常に渋い音色のイメージがあるが、デッカの録音も相まってか、くっきりすっきりした響きだ。とはいえ冷たい響きではなくどちらかというと暖かな音色と感じた。セッション録音で演奏も万全。繰り返し聴くに耐える名演だと思う。

マーラー交響曲第6番 : マゼール

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マゼール/ウィーンフィルによるマーラー交響曲全集の二枚目の録音。ショルティの6番のような強烈なリズムで始まるわけではないが、開始から意外と俊敏で硬派な演奏だ。第二主題ではテンポを落とすが聴き手をびっくりさせるような表現ではない。相変わらずマゼールに何かビッグサプライズを求めてしまうのだが、ちょい聴きでのけぞるような作為はなく第一楽章全体、がっちりとした構成である。その中でもオーケストラ全体に埋もれがちな木管の副旋律がスポットライトを浴びたりと細かい創意を感じる。

この録音では第二楽章にスケルツオを配置している。2003年以降、第二楽章はアンダンテとされているようだが、個人的には初めて聴いた時がスケルツオ→アンダンテだったせいか、こちらの方がしっくりくる。この楽章は楽譜にある音一つ一つをルーペで拡大したようなイメージの演奏。なかなか良い。ウィーンフィルの音色も心地よい。

第三楽章アンダンテは予想に反し速めのテンポだ。(演奏時間は16分なので標準だが、もっと遅いテンポを予想していた。)ここでもウィーンフィルの音色は効果的だ。特に弦楽器がほのかにともる希望の光のような音色と木管やホルンのどことなく寂しげな音色が相まって表現上のあざとい工夫無しに不安や悲しみを感じさせる。

第4楽章は劇的な演奏。テンポも音量もかなり動く。オーケストラは一杯一杯といった感じでマゼールのリクエストに応じている。終結部の最後の一撃は来ることがわかっていても心臓に悪い。

全体として評価が難しい演奏だ。第二楽章、第三楽章は非常に良い。第一楽章、第四楽章も悪くない。が、この曲のベストではなさそうだ。6番が好きでいろいろな演奏を聴いたことある人向けか。




ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 : クレーメル/アーノンクール

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クレーメルとアーノンクールというちょっと変わり者同士の競演。片やピアソラを筆頭にクラシックの範疇にとどまらない活動を行うヴァイオリニストと古楽復興の立役者という二人がベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏するとなるとどんなものになるか聴く前からワクワクする。

で、そのワクワクがちょっとした驚きに変わるのが第一楽章のカデンツァ。もう有名な話だが、この演奏では、ピアノ協奏曲に編曲された際のピアノ用カデンツァが使用されているのだ。しかもそのピアノ譜をヴァイオリンで弾くのではなく結構な部分をピアノが弾いているので、内容を知らずに初めて聴くとびっくりする。僕は、録音ミスか何かで突然、ピアノ協奏曲が始まったかと思った。この部分だけのために呼ばれているピアニストもなかなか大変だ。

カデンツァはちょっと飛び道具的な感じがするが、それ以外の演奏は至極真っ当。クレーメルの演奏はいつもの例に漏れず、実に繊細。そして知的な感じだ。アーノンクールの伴奏も堂々としたもの。オケはヨーロッパ室内管弦楽団だが、特に小規模な編成という感じではなく、演奏法もこれみよがしに古楽器的なものではない。前衛的な趣はなく、デリケートに美しいハーモニーを奏でている。







ブルックナー交響曲第6番 : ドホナーニ

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80年代終わりから90年代前半までにドホナーニ/クリーブランド管によって録音されたブルックナーの交響曲第3番から第9番までのCDがまとめて再発売された。タワーレコード新宿店15周年記念ということで、新宿店の客に聞いたアンケートの回答上位5タイトルが選ばれたとのこと。ずいぶんマニアックなタイトルが選ばれたと思ったが、よく読んでみるとそもそもあらかじめタワーレコードが選んだ10タイトルのうち上位5タイトルということだった。あいかわらずタワーレコード限定タイトルの選定は渋い。

発売された時期にこの演奏がどれほど話題になったかまったく承知していない。ドホナーニ/クリーブランド管がブルックナーの主要交響曲を録音していたと知ったのは廃盤になってすでにかなりの時間が経過した後だった。ネット上の評価を見る限り自分の好みに合いそうだと思っていたのだが、中古もまったく見かけなかったので今回の再発売はうれしい限り。7枚組み4,800円という最近では決して安くない価格であったが、キャンペーン時にもらったクーポンが残っていたので迷わず購入した。

最初の一曲として第6番を聴いてみた。ドホナーニはショルティの指名でフランクフルトでのポストを得たくらいだから、その演奏スタイルはどことなくショルティを髣髴とさせる。他方、ヴァントとも知り合いだったらしい。となるとこの6番は(自分にとって)悪くなさそうだ。

演奏は予想に違わず贅肉の少ない均整のとれたアプローチ。ショルティ盤のように他を圧倒するような迫力はないが、実にすっきりとこの曲の魅力を伝えている。クリーブランド管も当然のことながら上手い。弦楽器も良いが、金管が落ち着いた音色ながら非常に力強い。

録音はホールトーンが少なめでどちらかというとデッドな音だ。ブルックナーというと教会で録音というケースが結構あるが、残響も多ければいいというものではない。曲によっても違うが、まるで風呂で聞いているような残響過多の録音はこの曲には合わない。その点、この録音は過不足ない出来。

他の曲を聴くのが楽しみだ。

Lyric V-LA1

2005年から2010年の5年間、秋葉原(厳密には湯島)にレフィーネ&アネーロという石丸電気のハイエンドオーディオショップがあった。ここはダイナミックオーディオやオーディオユニオンに比べると一つの階のフロア面積が圧倒的に大きく、その中にステレオサウンドでしか見たことのない高級オーディオがたくさん並べてあった。

平日の昼間に訪れたせいか店内にはほとんど客の姿がなく、店員さんたちも余裕があったのか明らかにハイエンドオーディオを買えそうにない僕のリクエストに応えていろいろなシステムを試聴させてくれた。お目当てはディナウディオのサファイアだったがセッティングがイマイチで良くわからなかったので、アヴァンギャルドやらクオードの静電スピーカーやら興味本位で聴いていたのだが、その中で良い音だなあと思った組み合わせが一つあった。スピーカーが何であったかについてはまったく記憶がない(笑)のだが、そのスピーカーをドライブしていたのはブラックモデルのOCTAVE V80だった。見た目もハンサムな真空管アンプである。真空管アンプを聴いたのはその時が初めてだった。というか、後にも先にもこの時一度きりだ。

以来、真空管アンプにはずっと興味を持っていたのだが、なかなか自分で所有するに至らなかった。V80はもちろん、その下のV40SEでもかなり高額だし、デジタルアンプのコストパフォーマンスを考えると真空管アンプのメリットは限りなく少ない。それにスピーカー、CDプレーヤーと比較するとアンプの違いは意外と小さい。アンプを何台も持っていても結局は一台しか使わないし、そこで真空管アンプをメインにする気もなかった。

というようなわけでずっと縁がないままかと思っていたのだが、この間の週末、LyricのV-LA1が我が家に届いた。比較的小ぶりな真空管アンプだ。発売元のLyricはNmodeブランドで1ビットアンプを販売している。もともとシャープの1ビットアンプを開発した方が退職後に設立した会社だ。つまりSM-SX10の開発者でもある。

DUSSUN R30i一台で聴いていたところに春頃SM-SX10の中古を追加したのだが、夏の暑さもあって結局、涼しいデジタルアンプしか聴かなくなった。今回、ほぼ不要と化してしまったDUSSUNを下取りに出し、V-LA1を購入した次第。

箱から取り出してみるとトランスが重いので意外なほど重量感がある。一昔前のアンプやキットものと比較してバイアス調整が自分で簡単に出来たり、ボリュームや入力切替に加え、UL接続と3極接続がリモコンで切り替えられたりと最新型だけに非常に便利。電源を投入してしばらくウオームアップを待ち、とりあえずイメージ的に合うジャズを聴いてみる。

真空管アンプと聴いてイメージするファットでかまぼこ型の音ではない。思いのほかさっぱりとしてスムースな音だ。OCTAVEのアンプもしっかりとした現代的ワイドレンジな音だったが、このV-LA1も典型的な真空管サウンドではないのかもしれない。とはいえ、SM-SX10との比較においてはV-LA1の方が低域はたっぷりとしている。全体に少し艶があって暑い国の空気のように適度な湿度感がある。こちらの方が、ハイエンドオーディオを見ることも聴くことも叶わなかった頃にイメージしていたハイエンドオーディオの音がする。

ジャズに引き続き、クラシックやロックも聴いてみた。クラシックも悪くない。透き通るような見通しの良さはSM-SX10だが、楽器の音色や、ここでもやはり空気の湿度感がなんともいえず魅力的だ。

このアンプは真空管の交換もできるのだが、まずは標準の真空管でじっくり聴き込んでみようと思う。


シューベルト「ザ・グレイト」 : ジュリーニ

カルロ・マリア・ジュリーニとショルティはお互いがお互いを尊敬する指揮者同士だったらしい。ビッグネーム同士が相手を認めることはなかなか難しいと思うが、この二人の友好関係のおかげでシカゴ響は世界的な才能二人に恵まれて世界最高のオーケストラの一つに成長する。

ジュリーニが音楽監督ショルティの下、シカゴ響の首席客演指揮者だったのは73年までだが、その後もシカゴ響との関係は良好だったようだ。もともと録音数の多い指揮者ではないが、シカゴ響とのコンビでマーラーの9番を筆頭に良い演奏を残している。シューベルトの「ザ・グレイト」もその中の一つ。

この交響曲、はじめて知った頃には第9番あるいは第9番(第7番)と表記されていたと記憶するが、現在は第8番ないしは第8番(第9番)となっているようだ。非常に紛らわしい。自分の中では8番は「未完成」なので第9番の方が違和感がないし、最後の交響曲はやはり第9番の方がなんとなくしっくり来る。

ジュリーニらしい、堂々とした大きな構えで良く歌う素敵な演奏。ショルティが指揮するのとまた違ったシカゴ響の響きが楽しめる。オーケストラホールでの録音だが、デッカではなくグラモフォンなので弦楽器の音色をはじめとして雰囲気が違う。このCDはジュリーニ/シカゴ響がグラモフォンに収めた演奏をまとめたBoxセットの一枚だが、もう少し前の録音を含むEMIのセットもあるのでそのうち購入して聞いてみたい。同じ指揮者、同じオーケストラでもまた違った響きが楽しめそうだ。

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ショルティもこの曲を録音していて、そちらも非常に充実した演奏なのだが、面白いことにそこではシカゴではなくウィーンフィルを起用している。契約上のタイミングなのか、シューベルトはやはりウィーンフィルでと思ったのか理由はわからないが、シカゴ響とも録音してくれればジュリーニの演奏と聴き比べが出来たのにと思う。

ホルスト「惑星」 : オーマンディ

オーマンディ/フィラデルフィア管はLP時代にそれこそありとあらゆる曲を録音しているイメージだが、オーケストラのショーピースとしてこれ以上ない「惑星」を録音したのは一度きり。それが75年録音のこの演奏。

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この曲でもオーマンディ/フィラデルフィアの演奏は素晴らしい。曲の面白さ、楽しさを過不足なく描き出して見事。オーマンディ76歳の録音だが、音楽は本当に若々しい。きびきびしたテンポでオーケストラの名人芸を引き出している。

オーマンディの演奏はリズミカルで歯切れが良く、加えて、フィラデルフィア管の音色がとても明るいので、音楽が軽く受け止められることが多いのが残念だ。古典から現代物までなんでもハイレベルにこなす素晴らしい指揮者だと思う。

このCDは「192kHz最新リマスタリング/ルビジウム・クロックジェネレーター使用最新カッティング」というものすごそうなリマスタリングを施された国内盤だが、音はたいしたことない。オーケストラの音が薄く、弦は硬く、最強音時は金管が突き刺さるようで耳に痛い。本格的なデジタル/CD時代の前に引退してしまったせいか、オーマンディのCDは録音の良いものが少なくてこれまた残念である。

ブルックナー交響曲第9番 : ズヴェーデン

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「ロマンティック」から始まったズヴェーデン/オランダ放送フィルのブルックナー録音第3弾がこの9番。「ロマンティック」は他と一線画す弦楽器メインの演奏がとても良かった。中古ショップで発見し、購入。

「ロマンティック」に比べるとごくノーマルな演奏。開始からしばらくしての主題提示や第一楽章フィナーレ直前では金管がきちんと主役になっていてサプライズはない。第二楽章もオーソドックスだ。と、書くと否定的に聞こえるが、ホールトーンたっぷりの優秀録音で良い演奏が聴ける。こちらの期待が少し過剰気味。

この演奏の聴き所は第三楽章。もともと弦楽器優勢な楽章だが、期待に違わずたっぷり歌わせて聴かせてくれる。非常に美しい音だし、弦楽メインの箇所だけでなく、金管がメインを務めるパートで支え役の弦楽器の音階が非常にクリアに聴き取れる。この当たり「ロマンティック」にも共通して新鮮な印象だ。とても美しい演奏だが、例えばカラヤンの演奏のように磨きぬかれた美音がものがなしく聞こえるようなところはない。聞き終えてすっきりする健康的な演奏である。

DENKEN DA-7050T

光城精工製DENKEN DA-7050Tの中古を発見。実に久しぶりにクリーン電源を導入した。

光城精工は青森県の会社。オーディオ用電源ではちょっとした有名企業。ここの製品はずっと前に一番小型のDA-7020iを所有していたことがある。容量も200VAと小さかったが、CDプレーヤーやDACといった上流機器を繋ぐには十分以上。マンションでの使用では全体に音の背景が静かになって好印象だった。

実はこのDA-7050T、以前、購入を検討したことがある。この製品が販売されていたのは2007年までなのだが、メーカーの担当者の方が直にコンタクトしてきて、購入を勧められたのだ。いろいろなオーディオ機器を購入してきたが、メーカーの担当の方が直接連絡してくることはそれ以前もそれ以後も一度もない。

しつこく薦めるわけではなくこの機器の系統の製品がもう最後になること、製造者としては自信があることを淡々とお話されていた。お金の問題もさることながら、それ以上繋ぐ機器がなかったので見送ったが、それ以来、このメーカーには良い印象がある。

今年に入ってから一度、現行製品のAray6 MkIIを借りてみたのだが、正直言って驚くほどの変化は感じなかった…。しかも高い。定価は30万円近いのだ。

ということで見送っていたのだが、今回、DA7050Tを見つけて速攻で購入してしまった。7年越しの購入だ。早速繋いでみる。今回はCDPに加えてデジタルアンプの電源にも使用してみよう。十分通電してからまたインプレをアップしようと思う。

ベルリオーズ幻想交響曲 : デュトワ

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これまた5枚2,000円コーナーで発見。「イタリアのハロルド」他と二枚組の輸入盤。デュトワ/モントリオール響は80年代一世を風靡し、かなりの演奏をリリースした。個人的にもいろいろ聴いたのだが、90年代にチャイコフスキーの「1812年」を聴いたところ、最後の大砲の代わりにシンセサイザーが使われていて幻滅。それ以来、まったくCDを買わない時期が続いていた。

最近、このブログにもコメントしてくださっているakifuyu102さんのサイトでデュトワの惑星が取り上げられており(勝手に引用してますがご容赦ください。)、久々にちょっと気になっていたところ、このCDを発見したので早速購入して聴いたみた。

聴いてみるとこれは名演奏。幻想交響曲の演奏でミュンシュのスタイルが好きな方にはちょっと物足りないと思うが、洗練された流麗な演奏だ。だからといっておとなしいばかりの演奏ではなく、後半の二楽章はオーケストラの迫力も十分ある。が、感情に流されるような演奏ではなく、どんなに音が大きくなっても美しさを失わない。

最強音でも響きが濁ったりせず、とても見通しのよい演奏である。この点、デッカの録音も優秀。少し乾いた明るい音色なので、おどろおどろしいところはなく、テーマから考えると少し健康的に過ぎるかもしれないが、聴き終えて満足感の高い演奏だ。

名盤が数多い幻想交響曲だが、もっと有名になってもおかしくない演奏だと思った。
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