ニールセン交響曲第4番「不滅」 : バーンスタイン

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今年最後のクラシック記事はバーンスタイン/NYPの「不滅」。これまた個人的にはとても懐かしい一枚。そんな名前の交響曲があるのか!と石丸電気のレコード売り場で発見して以来、ずっと気になっていたところ、1982~83年頃にカラヤン/BPOの演奏が「デジタル録音」で登場し、たしかFMレコパルの新譜レビューで絶賛されていた。

田舎の高校生的には「カラヤン/BPOが録音するほどの名曲なのか!」ということでいよいよ欲しい気持ちが高まり、まったく曲を知らないまま購入したのがバーンスタインの録音。本当はカラヤン盤がすごく欲しかったのだが、お金の問題でバーンスタイン盤を買った。新譜のカラヤン盤は2,800円、対するバーンスタイン盤は79年のバーンスタイン/NYP来日記念で廉価盤が出て1,800円だった。(ちなみにジャケット写真はレギュラー盤のもの。廉価盤のジャケットは来日記念シリーズ共通の別デザインなのだが、画像が手に入らなかった。)

結果的には最初に買ったのがカラヤン盤だったらこの曲をそんなに好きにならなかったかもしれない。バーンスタインの演奏は実にエネルギッシュで明快なもの。ジャケット裏に簡単な楽曲解説があって、これがまたわかりやすい。(主題もシンプルでわかりやすいし。)なるほどなるほどと聴いて第3部から裏面になるが、そこからはもう緊迫した音楽がどんどん盛り上がっていく。第4部に入るとティンパニ2組が大暴れ。いやあ、これは凄い。まさに「不滅だ!」と大感動した。今、聴いてもシンプルに面白い演奏である。

後々聞いたカラヤン盤はバーンスタインに比べるとずっとスッキリしていておとなしい。他にもブロムシュテット等に名演があるが、僕にとって「不滅」と言えばバーンスタインである。

このLP、昔、聞いていた時にはレコードの最内周部ということもあり第4部の後半で盛大に音が歪んだ。今のシステムならどうかと期待して聞いたが、やはり盛大に歪んだ…。どうやら、そういう仕様のようだ。ちなみにCDではその部分がきれいに処理されていて最後まで歪まない。
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打ち納め

大晦日にゴルフに行くのもどうかと思いつつ、せっかくの休みなのでゴルフに行って来た。

大晦日にゴルフ場に行ったのは初めてだが、朝7時にゴルフ場に到着したら目を疑うほどの車の数。広めの駐車場がすでにかなり埋まっているではないか。ゴルフの好きな人が大勢いることに何となく安心した。

スタッフの数が少ないせいか今日は完全セルフデーだった。車からのバッグの積み下ろしもカートへの積み込みも自分でする。というか、これで十分だ。毎日セルフデーでも良いのに。

山の入り口にあるゴルフ場なので朝7時の気温はマイナス2度だったが風もなく絶好のゴルフ日和だった。1番ホールから幸先良くパーでスタートし、6番まで3オーバー。これは自己ベストが出るかと思った途端、バンカーからホームラン2回で8を叩き痛恨のダブルパー。その後、自分の気持ちを盛り上げることができずずるずると後退してしまった。終わってみればいつもと変わらぬ90台。なかなか上手くなりませんね。

でも最後の最後のロングホールでバーディだったのがせめてもの救い。苦手意識一杯だったショートパットもパターを変えてからは苦でなくなったし、来年こそはコンスタントに80台で回れるよう頑張ろう。

日中の気温14度。なんと暖かい大晦日だろう。

レコードとCDの聞き比べて思ったこと

プレーヤー購入以来、LPべったりで手元にあるレコードを端から聴いている。20年ぶりに聞くLPに興奮気味なのだが、それを差し引いてもすでに繰り返し書いているように古いレコードの音が良いのに驚いている。ノスタルジーもあるだろうが、それだけでは説明つかないくらいの音の良さだ。

物置から見つけたLPの中に同じ演奏をCDで持っているものがあったので聞き比べをしてみた。

マーラー交響曲第9番 : バーンスタイン/NYP

1965年に録音されたバーンスタイン最初の9番。手持ちのLPは75年プレスで9番と10番(アダージョ)が組み合わせになっている。ジャケット写真の画像を引っ張ってこようと思ったのだがネット上で発見できず。国内盤だ。

対するCDの方はNYPとの全集12枚組の中の1枚。
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この全集では、6番と9番が3枚組になった68年発売のオリジナルLPのジャケットデザインの紙ジャケに2枚のCDが入っている。

このようにオリジナルのLPは6番と9番の組み合わせだったのだが、おそらく75年録音の10番が登場した時に9番と組み直してリマスタリングしたものが手持ちのLPだと思われる。片やCDはすべてDSDリマスタリングされた音源である。

各楽章、冒頭から5分くらいをLPとCDで交互に聞いてみた。なおCDの方は二系統で聞いており、その前と後でLPを聞いたので一つの楽章につき都合4回聴いている。

アナログ機材 Victor QL-A7, AT-F7, LHH-P700(フォノイコ兼プリアンプとして使用)
デジタル機材 ①SONY SCD-DR1, Chord DAC64Mk2, LHH-P700(プリアンプとして使用)
         ②PS Audio PerfectWave PWT/PWD, LHH-P700(同上)

LPからCDに切り替えるた瞬間、ダイナミックレンジが広がりSN比が良くなる。ステレオイメージも広がる。一方、デジタルの方は特に弦の音がパサパサしている。特に①の組み合わせにそれが顕著。ホールトーンもエコーも減るようだ。②に切り替えると音にもう少し潤いと艶が出るが、リズムの切れは逆に交代する。もう一度LPに戻ると音の艶とエコー成分がさらに増える。左右の広がりは減るが前後、特に奥行は増す。

同じ音源でもかなり音が違う。のだが、直接比較しているので音が違っていることが確認できただけで、一つ一つの機器で聴いている限り、それぞれの音に大きな不満は感じないだろう。ただ、聞こえてくる演奏の印象が異なりそうだ。

この音源について言えば、デジタルの①で聴いたら音色が少し陰気で瑞々しさが足りないと思うかもしれない。他方、②で聴いている限り、そうした印象は受けないだろう。しかし、バーンスタインの9番はやっぱり再録の方がいいなとは感じるかもしれない。LPで聴く場合、誰の指揮によるいつの録音かということはほとんど気にならなくなり、名曲の熱演を聴いたという印象が強く残る。良い面もあるが一つ一つの楽器が奏でている音の正確な再生という点ではやはりCDに劣っているのかもしれない。結局、どこか曖昧で適当なところがアナログの限界であり良いところなのかな。

プレーヤーを見ると、回転しているレコードが少し波打っているみたいで、それにつられてアームがゆらゆら揺れている。ダイレクトモーターは作用反作用の法則に則って常にプレーヤー本体を逆回転させる力を生み出しているだろうし、そんなところからもこのシステムがオーディオ的にとても不安定なものであることは間違いない。人智を尽くしてこうした不安定を解消しようとしたのがデジタル技術だったのだろうが、結果を聴いてみると音楽を楽しむという点ではまだまだ功罪相半ばと言った感じだ。

とはいえ、どっちが良いと決めなくてはいけない問題でもない。こうした不完全を打破するために努力を惜しまなかった人たちのおかげで今や昔とは比べ物にならないほどたくさんの音源が手に入るようになった。これからもそうした努力は続けられるだろう。自分の好みで自分なりの音楽の聴き方ができる時代にただただ感謝である。



ベートーヴェン交響曲第4番 : クライバー

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盤面掃除終了したLPの中でまず聴いてみたのがこのLP。

カール・ベーム追悼コンサートでのライブ録音。数少ないクライバーの正規録音の一枚であり、かつ、その他の正規録音と同様にこの曲の決定盤として超有名な演奏だ。

このLPが発売されるまで、ベートーヴェンの交響曲の中でもマイナーな存在である4番の交響曲をまともに聴いたことがなかったが、カルロス・クライバーのこの演奏を聴いて目が覚めた。言葉では形容しがたいが、リズムの切れ、緩急自在のフレージング、まるでオーケストラが生き物になったような生命感。すべてが素晴らしい。

82年の録音で84年のプレスだが、86年の来日記念で新譜なのになんと1,000円で発売されたため、僕にも手が届いた。とはいえ、両面使って4番1曲だけのLPを買うかどうかけっこう迷った記憶がある。結果的にLP、CD、SACDと3種類手に入れることになった。

この演奏を聴くと、クライバーの来日公演を聴けなかったことがつくづく残念だ。

チャイコフスキー「くるみ割り人形」組曲 : ドラティ

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念願のプレーヤーが手に入ったので、今日、実家の物置を捜索してきた。実家はもともと祖父母の住んでいた場所に家を新築したのだが、件の物置は祖父の手作りで祖父母が生前から使用していたものだ。まあ、とにかく古い。木造、トタン屋根。いまだに風雨がしのげているのが不思議なくらいの代物だ。レコードがあったとしても聴ける状態なのか正直かなり不安。

使っていない食器やら古いアルバムやらが乱雑に収納された物置の一番奥にレコードを発見。しかし、ダンボールに入っているかと思ったのだが、意外なことに大き目の紙袋二個に入っている。どうやら社会人生活初期に東京で一人暮らしをしていた頃の荷物ではない。とにかく袋を持ち出して中身をチェックしたところ、出てきたのはレコード約50枚。150枚はくだらないと思っていたのでちょっと残念。

でも、袋から取り出してみると、ああ、なんと懐かしい。中学生から高校生にかけて小遣いを貯めては購入したレコードばかりが入っている。僕が大学に進学して東京に引っ越す際、実家に残したLPがそのまま残っていたのだ。

ぼろ物置でも風雨はしのげていると思ったが、どうやら風の方は100%しのげていないようだ。かなりの砂埃でLPの外袋が汚れている。外袋には当時、レコードを購入した店のクレジットが印刷してあってそれはそれで思い出深いのだが、ここまで劣化しているとあきらめるしかない。ただ、外袋のおかげでLPジャケットはあちこちシミがあるものの、虫に食われてしまった2枚を除いてなんとか無事だった。問題は中身。

すべてのLPを外袋から取り出し、ジャケットを固く絞ったタオルで拭きつつ、とにかくまず一枚聴いてみようと思って手にしたLPがドラティ/アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団による「くるみ割り人形」組曲第1番と第2番。1975年の録音で、ジャケット裏で確認するとこのLPは1980年のプレスのようだ。オーディオチェック用に演奏のタイミングとオーディオ的チェックポイントが解説されている。

LPを取り出してみる。静電気で吸い寄せられた細かい埃で覆われているが、一見、盤面に大きな問題はなさそうに見える。早速、聞いてみたのだが、うーん、やっぱりスクラッチノイズが盛大に出る。まあ、おそらく25年以上放置されていたのだから仕方ないか。レコードクリーナーで拭いてみたがあまり効果がない。それならと思って、音溝に沿って固く絞ったタオルで拭いてみる。本来、精製水を使うべきだが手元にないので水道水で代用。経験上、レコード盤は見た目以上に強いことを知っているが、それに加えてダメもとでもあるので、割と大胆に磨いてみた。結果、まだノイズは残っているもののかなりの改善。何より幸いなことに目視ではカビが見当たらない。通常よりはるかに風通しの良い吹きさらしの環境が功を奏したか。この調子ならばエタノールと精製水の混合液で拭けば十分鑑賞できそうだ。

ドラティは若い頃からバレエ音楽のスペシャリストと呼ばれていたが、このくるみ割り人形組曲もバランスの良い端正な演奏だ。奇を衒ったところがなく、王道を行く解釈。高校一年生の冬に購入した僕にとって初めての「くるみ割り人形」のレコードだったが、この演奏のおかげですっかりこの曲が気に入り、その後、大学卒業までクリスマスの頃になると「くるみ割り人形」の同曲異演を買い続けた。ドラティは地味な指揮者だが、レベルの高い演奏をする人だと思う。この演奏も例外ではない。

ロッシーニ序曲集 : ガンバ

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6枚組デッカサウンズに含まれていた1枚。指揮者のピエリノ・ガンバという人の名前は初めて聞いた。ネットで調べてみるとマゼールと同じく8歳で指揮者としてデビューした天才らしい。1936年生まれなので今年で77歳ということになる。ご健在で今はニューヨークで生活しているそうだ。このLPの録音が1957年なので20歳そこそこでのメジャーレーベルデビュー盤である。

57年録音だが、録音は素晴らしく良い。もちろんステレオ録音で、実に鮮明。デッカの音として選ばれた6枚のLPに収録されているのも納得である。管、弦、打楽器どれも良いのだが、小気味良く炸裂する打楽器を抑えてこのLPの中での白眉はウィリアムテル序曲の冒頭の弦楽器。チェロが朗々と歌うのが気持ちよい。

ガンバ青年の指揮も実に堂に入ったものだ。リズムが歯切れ良く、メロディの歌わせ方も上手い。何より、一つの曲の中での曲想の変化をとても上手く描き出していると思う。

現在はピエロ・ガンバと名乗っているそうだが、ほとんどのオールドクラシック・ファンからも忘れられているのではないだろうか。神童が大成するのはやはり難しいことなんだろうな。

マーラー交響曲第5番 : ショルティ

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久しぶりに感動。

ショルティ/シカゴ響のコンビでのマーラー初録音。1970年の録音。高校時代から数え切れないほど聴いた演奏だが、今日はLPで聴いた。実に20年ぶりである。

大いに悩んだプレーヤーだったが、とにかくまずは試しと中古を購入した。ビクターのQL-A7というプレーヤーだ。1978年に発売されているから、35年前の製品ということになる。もちろんメンテナンス済み完動品を購入したものの、どんな音で鳴るか不安だった。今日、そのプレーヤーが届いたのだが、ラックにぽんと置いてウエイトの調整をしただけでとりあえず聴いてみたところ、これが実に良いのだ。おまけで付けてくれたMM型カートリッジで聴いているにもかかわらず。

LPの方は、昨日、神保町のディスクユニオンで購入した中古盤。Made in Germanyとあるものの製造所住所はWestern Germanyとなっているので実際のプレスが何年ごろかはわからない。マーラーの交響曲の中では小さい方の5番だが、LPは2枚組み。3楽章までは片面に1楽章ずつの収録。そのたびにレコードを裏返すのもなつかしい作業である。

なんとも暖かい音がする。描写の線が太い感じ。しかし、驚いたのは上下左右への音場の広がりが予想をはるかに上回っていること。特に高さは下手するとCDよりも良く出ている。周辺機器のクオリティが段違いであるとはいえ、記憶の中のLPのイメージを一新するような高音質だ。

聞いている途中で隣室にいた母親が扉を開けて声をかけてきた。曰く「こっちの方が良い音だ。漏れて聞こえる音楽も耳に心地良い。」大げさに聞こえるかも知れないが、実際、それくらい良い音なのだ。

肝心の演奏の話が最後になった。相変わらずショルティらしい筋肉質な演奏なので聴き手の好みで評価は大きく分かれると思うが、僕は、各楽章の性格を実に見事に描き分けた大傑作だと思う。ショルティのマーラーの中でも特筆すべき演奏だ。


マーラー交響曲第8番 : ギーレン

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ミヒャエル・ギーレン/フランクフルト市立劇場オペラ管弦楽団が1981年にフランクフルト・アルテ・オーパーの杮落としとして行った演奏のライブ録音。30年以上前の録音だが、日本初発売とのこと。

8番は個人的にマーラーの全交響曲の中で「大地の歌」と並んで苦手の曲。そもそも交響曲というフォーマットを大幅に逸脱していると思うし、声楽が曲の中心にあるので言葉が理解できないのはやはり厳しい。8番はなんといっても巨大なスケールのオーケストラ曲なので、音楽的というか半ばオーディオ的には楽しめるのだが、ほとんどの場合、第1部を聞いて終わりである。マーラーファンなのでかなりの種類の演奏を聴いたが、この曲は演奏も録音もショルティで決まりだった。

このCD、ギーレンのマーラーに興味があったのと一枚に収録され、かつ、お求め安い価格につられて購入したのだが、予想以上に素晴らしい演奏だった。どこが良いのか?というとなかなか表現が難しい。聞いてすぐ気づくのはものすごくテンポが速いこと。72分台はクーベリックを上回る最速ペースらしい。特に第1部は(比較的聴く回数が多いので)かなり速く感じる。ただ、速いからといってさほど呼吸が浅いようには感じない。サラッとしているが、これはこれでありだと思う。

この演奏が良かったのはむしろ第2部の方。第2部の方はそれこそ歌劇のような曲なので、繰り返しになるが言葉がわからないのが本当に痛いのだが、それでもこの演奏を聴いていると言語の壁を越えて言葉が訴えかけてくる。そんなに劇的な表現ではないのに。ギーレンの表現はどちらかといえば第1部と同様、あっさりサラッとしているのだが、耳に心地良い。ちなみに今日、初めて感じたのだが、第2部の一部は「ラ・ボエーム」にそっくりだ。

81年のアナログ録音なので最新のデジタル録音のような透明感はない。歌入り超大編成オケによるライブ録音なのでステージ感も厳しい部分があるが、しかし、聴きづらかったり聞こえなかったりということもない。ただし、正規CDには珍しく途中10箇所くらいスクラッチノイズのようなノイズが入る。おそらく個体差や我が家のシステムの問題ではなく、マスタリング時に入り込んだものと思う。まあ、レコードを聴いていると考えれば何でもない。

デッカ・サウンド アナログ・イヤーズ

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2ヶ月以上のお取り寄せだったが、今日、6枚組みのBox Setが到着した。HMVのまとめ買いでも10,000円を超える高額商品である。といっても1枚1,700円くらいだから30年前なら廉価版レコードか。

しかし、である。そう、まだレコードプレーヤーがない。。。ということで聴くのはしばらくお預け。正月休みにゆっくり聴けたらいいなと思っている。

ちなみに収録曲は、以下のとおり。まったく聴いたこともない曲もあるので、それを聴くのも楽しみ。

Disc1
・ラヴェル:歌劇『子供と魔法』全曲
 スイス・ロマンド管弦楽団
 エルネスト・アンセルメ(指揮)

Disc2
・ロッシーニ:序曲集
 ロンドン交響楽団
 ピエロ・ガンバ(指揮)

Disc3
1. ブルッフ:スコットランド幻想曲 op.46
2. ヒンデミット:ヴァイオリン協奏曲 (1939)
 ダヴィド・オイストラフ(ヴァイオリン)
 ロンドン交響楽団
 ヤッシャ・ホーレンシュタイン(指揮)

Disc4
シベリウス:
・交響曲第1番ホ短調 op.39
・カレリア組曲 op.11
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ロリン・マゼール(指揮)

Disc5
コダーイ:
1. 『ハーリ・ヤーノシュ』組曲
2. ガランタ舞曲
3. ハンガリー民謡『孔雀は飛んだ』による変奏曲
 ロンドン交響楽団
 イシュトヴァン・ケルテス(指揮)

Disc6
・ストラヴィンスキー:バレエ音楽『春の祭典』
 シカゴ交響楽団
 サー・ゲオルク・ショルティ(指揮)

チャイコフスキー管弦楽曲集 : ストコフスキー

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今日は今上天皇の誕生日。傘寿を迎えてますますお元気なご様子で何よりだ。宮内庁が映像を提供したようで、朝、TVでは今まで見たことないような天皇陛下の日常の様子を見ることができた。20年落ちくらいのインテグラをご自分で運転されたりして庶民的な普段の陛下の姿だったり、新嘗祭での非日常的な姿だったり、感慨深かった。いつまでも長生きされることをお祈りします。

さて、年齢を感じさせないといえばこのストコフスキー。実に91歳と92歳の時に録音されたチャイコフスキー管弦楽曲集である。1枚目がロンドンフィルと録音したイタリア奇想曲、エフゲニー・オネーギン、くるみ割り人形。2枚目はロンドン響との録音でフランチェスカ・ダ・リミニと弦楽セレナーデが収録されている。

いかにストコフスキーといえどもこのくらいの年齢の録音となるとどうなんだろう?と思いつつ聴いたのだが、いや、恐れ入りました。データを知らずに聴いたら絶対、90歳台の指揮とは思わない。なんと溌剌とした音楽。

1枚目のCDは丸ごとすべて名演奏。イタリア奇想曲は曲中、キャラクターに応じて演奏も変幻自在。きびきびとしたテンポが聴いていて爽快だ。くるみ割り人形では一つ一つの曲に思い入れたっぷり。ゆっくりなところはとびきりゆっくり、早いところはびっくりするほど早く。茶目っ気たっぷりの好演である。2枚目のCDでは弦楽セレナーデがよかった。この曲、ストコフスキーのことだからどれだけ濃い演奏だろうかと思ったのだが、ストレートでカラッとした表現だ。品の良い上質な生地で作ったシャツみたいな心地良さ。気負いも力みもない素敵な演奏だ。

マーラー交響曲第2番「復活」 : マゼール

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マーラーの交響曲第3番に続いてマゼール/フィルハーモニア管の「復活」を聴いてみた。

まずこのCD、ライブ録音というのだが、聴衆の気配がまったくない。弦楽器が左右に広がらず真ん中に定位するので我が家で聞くとステージが縦長みたいな感じがするが一つ一つの音はとても鮮明である。

遅めのテンポで劇的な場面を何度も作り上げ、ここぞというときはマゼール得意の「ゆっくりダメ押し」的な表現が出てくるので、全体として相当濃い演出だと思うのだが、全体を通じて感じるのは春の日差しのような、あるいは天国的なイメージの演奏だ。まるで第4番を聴いているみたいだ。

第一楽章からそういう気がした(相当劇的な演奏であるにもかかわらず。)が、とりわけ第二楽章、第三楽章はとても暖かい空気に包まれている。マーラーの標題によれば過去の回想である第二楽章はともかく第三楽章では夢から覚めるはずだが、夢見心地のまま第三楽章が終わるような印象。

後半の二楽章はダイナミックに音楽が展開する。相変わらずそこここで癖のある表現が垣間見られるが、バンダが入った後はむしろ抑制的な表現で最後の最後を迎える。クライマックスは合唱、オーケストラとも熱演。拍手はカットされているが、この演奏をライブで聴いたら感動するだろう。

ウィーンフィルとの演奏とどちらを採るか、悩むところ。マゼールの解釈はどちらも好き嫌いあるだろうし、甲乙つけがたい。ライブならではの高揚感を感じるこちらが僅差で上だろうか。

ブルックナー交響曲第5番 : ズヴェーデン

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ズヴェーデン/オランダ放送フィルのブルックナー交響曲全集第4弾。

先に出た4番、9番とも50才台前半の指揮者とは思えない落ち着いた演奏だった。5番の開始も非常にゆっくりとしたテンポで始まるのでその印象は途中まで変わらなかったのだが、中間部でけっこうなアッチェレランドがかかる。ちょうどフルトヴェングラーやドホナーニがテンポを上げるのと同じところだ。楽譜に指示があるのだろうか。ただ、この演奏の場合、そこよりも第一楽章の終結部に驚く。弦のピッチカート以降、聴いたことのないようなテンポで最後まで進む。ちょっと意外なほどのテンポの変化である。

第二楽章は弦楽器の扱いに長けたズヴェーデンの得意とするところだろう。終始美しいヴァイオリンに低弦部や木管、それに控えめな金管の音がブレンドされてとても素敵な演奏である。

第三楽章は若々しく爽やかな好演。オランダ放送フィルというのも上手なオーケストラだ。

第四楽章は途中、金管のコラールが厳かに登場するまではゆったりとしたテンポなのだが、それ以降は第一楽章同様、予想以上にテンポがあがる。いつも通り弦楽器群は頑張っているものの、これまで聴いたズヴェーデンの演奏と比較し、特に後半は金管とティンパニの活躍が目立つ。最後は大きなコーダを築くがここでもアッチェレランドがかかり駆け足で演奏を終わるイメージ。なかなか個性的な演奏である。

このシリーズの他の録音と同様、録音はすこぶる良い。

ルスランとリュドミラ序曲 : ムラヴィンスキー

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以前ショスタコーヴィチの交響曲第6番を取り上げたムラヴィンスキーのモスクワライブ。2枚組みのSACDの1枚目が71年、2枚目が65年のライブ録音であり、後者の1曲目を飾るのが「ルスランとリュドミュラ序曲」である。

コンサートのアンコール曲として、あるいは、オーケストラのショーピースとしてよく取り上げられる有名な小品だが、ムラヴィンスキー/レニングラードの演奏はもう凄いの一言。参りました。

猛烈に速いテンポだが、どの楽器もすべてのフレーズを完璧にきちんと最後の音まで演奏している。当たり前のようだが、特に速いパッセージではテンポについていけず楽譜の指示どおり弾けずにごまかしてしまうような演奏になりがち。同じロシアの演奏で同じようにテンポの速いゲルギエフ/マリインスキーの演奏がYouTubeで観れるが、どこかぎこちない瞬間がある。チェロの歌い方もムラヴィンスキー/レニングラードに比べるとずいぶん浅い。とにかく圧巻の演奏だ。

加えてこの録音、ムラヴィンスキーの演奏記録としては奇跡的に鮮明な録音である。「ソ連としては」というレベルではなく、この年代の録音ではかなり上質な録音だ。(たとえば同時代のCBS録音よりはるかに良い。)このクオリティでムラヴィンスキーのすべての演奏が残っていたらどんなに良かっただろうか。。。

ブラームス交響曲第1番 : カラヤン

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引き続きカラヤン70'sに収録されている演奏からブラームスの交響曲第1番を聴いてみた。カラヤンはこの曲をたくさん録音している。59年のウィーンフィル、60年代から80年代までの3回の全集、ライブ音源もいくつか手に入るようだ。それぞれ長短あるようでカラヤンが好きな方にとっては特にお気に入りの演奏というものがあるのだと思うが、実は僕はカラヤンのブラームスをしっかり聴いたのはこれが初めて。なのでこの一枚がカラヤンの演奏の中で良いものなのかそうでもないのかよくわからない。78年のスタジオ録音、BPOとの2回目の全集の一枚。

聴いて思ったのだが、今までどうやらちゃんと聴きもしないでカラヤンのブラームスを軽く考えていたようだ。集中力に富んだダイナミックな名演だと思った。起承転結ではないが、冒頭から最後まで各楽章のキャラクターを踏まえたとっても聞かせ上手な演奏だ。この曲は有名だし他にもたくさん良い演奏がある。だからいろいろな演奏を聴くべきだと思うが、しかし、もしこのカラヤンの一枚しかなかったとしてもそれはそれで満足できそうである。

フルトヴェングラー、ベーム、ヨッフム、ヴァントといったドイツ音楽の巨匠達のブラームスは本物でカラヤンは偽物といった評論に惑わされていたかも知れない。やっぱり自分で聴いて自分が気に入るかきちんと確認しないといけないと再確認。

シューマン交響曲第1番「春」 : カラヤン

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カラヤン/BPOの70年代の録音をまとめた82枚組のBox Setの中の一枚。このカラヤン70'sはEU製だが、韓国製の別バージョンもありそちらは88枚組。EU盤の方はオリジナルリリースの曲目が適宜組み合わせられている。韓国盤はオリジナルに忠実なせいか実売価格がはるかに高い。(EU盤が17,000円程度に対し韓国盤は30,000円程度。)

僕がクラシック音楽を聴き始めた頃、手にするカラヤン/BPOの演奏の多くは70年代の録音だった。CD時代に入ってカラヤンはデジタル録音で多くの曲を再録音しているが、ほとんどの場合、70年代の演奏の方が良いと感じる。

Box Setが届いてから時間が経っているが、今日、初めて開封した。なんといっても82枚もあるとどれから聞くか迷ったが、カラヤンの演奏をあまりじっくり聴いたことのない交響曲から聞こうと思って最初に手にしたのがこのCD。セットの中では6枚目。1番と4番のカップリングである。

実に素晴らしい演奏だ。70年代のカラヤンの演奏は颯爽とスマートだが、同時にデリカシーに満ちているし、オーケストラのバランスも素晴らしい。木管の美しさも特筆物。晩年はさすがのカラヤンもちょっと鈍重な感じがしたが、この頃の指揮は溌剌としたリズム感も良いし、フレージングも精彩に富んでいて本当に文句のつけようがない。

70年代初頭にカラヤンがグラモフォンと契約した際にメンデルスゾーンとシューマンの交響曲全集が契約に含まれていたそうだが、それまでカラヤンが公で演奏したことがあるのはシューマンの4番だけだという。つまりここで聴く1番は全集録音のために新たにレパートリーにしたということである。それにしては恐るべき完成度だ。思い入れのある曲や十八番の曲以外でも完璧な再現ができるところがこの指揮者の卓越した才能なんだろう。

カラヤンの演奏は疵一つなく磨き上げられているせいか、あるいはレパートリー以外も録音するせいか、表面的と良く言われるのだが、この演奏を聴いているとまったくお門違いだと感じる。なお、もともとのレパートリーである4番の方ももちろん名演である。

録音はオリジナルのアナログマスターからDGお得意のオリジナルイメージビットマスタリングされている。70年代最初期だが十分に鮮明な録音。

ブルックナー交響曲第3番 : ショルティ

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ショルティ/シカゴ響によるブルックナー交響曲全集の中でも最終盤に録音された演奏。92年の録音。この後は3年後に0番と1番が録音されている。察するにこの2曲は全集完成のためにショルティが改めて楽譜を勉強して録音したのではないか。

演奏はショルティ/シカゴと聴いて想像するとおり。シカゴ響は弦楽器ももちろん素晴らしいのだが、トゥッティでの主役は常にそれを音圧で圧倒する金管楽器群である。金管奏者同士の競演もすさまじい。どの奏者も一歩も引かずといった印象だ。長く伸ばす部分を直線的に吹ききるのもいつもどおり。

しかし、どんなに力一杯の演奏でも金管が下品になったり旋律が破綻しないのがシカゴ響のすごいところだ。どうしても金管の影に隠れがちだが、全奏から金管が抜けた時にふいに露になる弦楽器の音色にはうっとりする。

この演奏、ふんだんにワグナーの旋律の引用がある第1稿でも、それがほとんどすべて削除された最もメジャーな第3稿でもなく、マイナーな第2稿を使用している。いろいろと違いはあるが、何よりスケルツオの最後にコーダが付随している点が大きく異なる。第3稿の演奏に慣れているとあれっとなるが、この部分、僕は気に入っている。盛大でなかなか良いではないか。

終楽章の開始はどなたかがブログに書かれていたが、確かにSF映画のオープニングみたいだ。「スタートレック」でも始まりそうである。いつものとおりカラッと乾いたデッカの録音も相まって、ブルックナーの荘厳さも神聖さも知らんと言わんばかりの明るいブルックナーだ。好みは分かれるだろうが、純粋に音楽の表現としてここまで突き詰めてくれれば文句なし。聴き終えてスカッとする名演だと思う。

武満徹 弦楽のためのレクイエム : 若杉

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日本を代表する作曲家である武満徹の代表的作品を収めたCD。有名なノヴェンバー・ステップスも収録されている。作曲者立会いの下で録音されている。

弦楽のためのレクイエムは1957年に作曲されている。この曲を聴くのは初めて。現代音楽とはいえ、かなり親しみやすい音楽だった。作曲者自身がライナーノーツを寄せているが「はじまりもおわりもさだかではない。人間とこの世界をつらぬいている音の河の流れの或る部分を、偶然にとりだしたもの」と書かれている。なるほどそのとおりの印象。10分弱の小品だが、印象深い作品だ。

若杉弘/都響の演奏はとても丁寧で繊細。オーケストラの響きを余すところなく取り込んだ録音も素晴らしい。

おめでとう!宮里優作選手。

今まで何度最終日最終組に期待して残念な結果に終わったことか。

無責任に応援しているだけの僕でもがっかりなんだから、本人はどれだけ悔しくて苦しかっただろう。「優作の妹」だった藍ちゃんが大活躍、学生時代の評価は格下だった聖志選手も先にあっさり優勝し、アマチュア時代の天才は本当に長い間きつい時間を過ごしてきたと思う。

午前中、ネットでリーダーにいることを確認しつつ、スコアを崩しかけていたのでちょっと不安だった。結果を見ずにテレビ中継を見る勇気がなくて中継開始の3時には打ちっぱなしにいた。3時半頃に速報で待ちに待った優勝を知って打ちっぱなしから帰宅後ビデオをゆっくり鑑賞。優勝を決めた18番の第三打なんて結果を知らなかったら見れなかったよ。

とにかく優勝おめでとう!その前のアプローチを失敗した時に観客から飛んだ力強い声援があなたのプロ選手としての格を物語っていると思います。回りの誰もが優勝を望む選手はそうはたくさんいない。

ようやく生みの苦しみの一勝目。他を圧倒するショットを見るにつけ、これからでもそれこそ何十勝も出来そうだ。これからの大活躍を期待しています。

シェーンベルク「浄夜」 : タルミ

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いつごろからだろうか?ニューイヤーコンサートを指揮してからだろうか?とにかくジョルジュ・プレートルの録音が最近脚光を浴びている。昔はカラスと共演したオペラの録音だけが有名で、しかも「カラスは最高だが、指揮はイマイチ」くらいの評価だったのに、晩年に入ってから急に再評価が進んでいるようだ。

注目していたところ、今年になってタワーレコードから再発された85年録音の「幻想交響曲」の中古を発見したので購入した。期待して聞いたのだが、「幻想交響曲」は普通に良い演奏だった。予想したよりコントロールの効いた秀演であったが、名盤目白押しの「幻想交響曲」だけにびっくりするほどではなかった。

このCDにはフィルアップとしてヨアフ・タルミ指揮イスラエル室内管弦楽団の演奏によるシェーンベルクの「浄夜」が収められている。作曲者も指揮者もオーケストラも収録場所も何もかも違うこの二曲がなぜ組み合わせになったのか謎である。ライナーノーツにもなんら記述がない。フルオーケストラと室内管弦楽団の違いもあるが録音レベルも合っていない。不思議な気がしたが「浄夜」も好きな曲なので引き続き聴いてみた。

で、結論から言うとこっちの「浄夜」の演奏はめちゃめちゃ良い。弦の艶が妖しくダイナミクスに富んだ非常に濃厚な演奏だ。この曲はフルオーケストラだとひんやりと冷たいブーレーズや分厚い響きで圧倒的なカラヤンの名演があるし、室内管弦楽団だったらオルフェウス室内管弦楽団も良いし、ブーレーズには弦楽六重奏盤もあってそっちも良かったが、それらに勝るとも劣らない名演奏だと思った。

ネットで調べてみるとこの演奏は録音1年後の87年にチャイコフスキーの曲と組み合わせでCD化された後廃盤になったままのようだ。タワーレコードのサイトには「幻想」発売時には未収録だったこの演奏と組み合わせたとだけ記述がある。あえてこの演奏を選んだ担当者には思いがあったと思うのだが、それ以上のコメントはない。

とにかく、なんの期待もせずこれだけの演奏が聴けたので大満足だ。

ハイドン交響曲第94番「驚愕」 : ミンコフスキ

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この「驚愕」を含むハイドン交響曲集がレコードアカデミー大賞を受賞するまでマルク・ミンコフスキという指揮者を知らなかった。フランス生まれのファゴット奏者にして若干20歳でグルノーブル・ルーヴル宮音楽隊を創設したとのこと。才気溢れる人なのだろう。

ハイドンの交響曲が聴きたくなって、いつも立ち寄るディスクユニオン神保町店で物色していたところ、輸入盤中古を発見し購入した。

ハイドンの交響曲は100曲以上もあるのだが、これまでにきちんと聴いたことのある曲はごくわずか。認識できるのは「驚愕」「時計」「軍隊」「太鼓連打」といった名前付き交響曲のみ。自称、クラシック愛好家としては少し恥ずかしい。

「驚愕」はその名前にある第二楽章がとりわけ有名だが、僕はこの曲の第一楽章がとても好きだ。序章の後、主題が出てくるが、軽快でエネルギーに満ちたこの主題が大好きである。

若い頃聴いたバーンスタインの旧録がこの部分、とても良かった。バーンスタインのハイドンってあまりピンと来ないかも知れないが、良い演奏である。というより、ハイドンさんの音楽はとても懐が深く、誰の演奏でも結構良いのだ。このあたりモーツァルトやベートーヴェンとはちょっと違うと思う。

さて、ミンコフスキの演奏だが、古楽器の演奏家達が演奏する喜びを全開にしているハイドンだ。僕は正直言って小編成オーケストラも古楽器もあまり好きでないのだが、ここで聴く演奏は能動的かつ機動的であり説得力が強い。久しぶりにとても良い「驚愕」の演奏を聴いて満足である。

「驚愕」すべきところに驚愕のない第二楽章は初めての体験だったのでたしかにびっくりした。ハイドンが自分で演奏した頃にも実演ではこうした演出があったのだろうか?

ラフマニノフ交響曲第2番 : プレヴィン

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ラフマニノフといえばピアノ協奏曲第2番のイメージだが僕が一番好きなのは交響曲の方の第2番。考えてみれば交響曲もピアノ協奏曲も第2番が一番有名というのも面白い。

アンドレ・プレヴィンはこの曲を得意にしていてロンドン響との演奏もある。このテラーク盤は1985年にロイヤル・フィルと録音したもの。

以前、パレーの演奏についてコメントをしたことがあるが、比較するとなんともロマンティックな演奏だ。全体として非常にゆるやかなテンポで演奏されていてフォルテも穏やかにコントロールされている。緊張感がないわけではないのだが、実に優しくメロディが奏でられる。上品な映画のバックグラウンドミュージックを聴いているみたいだ。決して悪い意味ではない。この曲はあんまり劇的に盛り上げたりしないで淡々とはかないメロディを聴かせてくれる方が良いのだ。

4楽章合計で60分以上の大作だが寒い曇りの日の昼下がりにしんみり聴くには最適の演奏である。

ブルックナー交響曲第9番 : アーノンクール

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断片的に残された4楽章の演奏とアーノンクール自身による解説で進められたワークショップの録音と3楽章までの演奏がセットになった2枚組みのハイブリッドSACD。

ワークショップの方は、実はまだ聴いたことがない…。が、後に出たラトルの補筆版演奏を聴いた時にはかなりの違和感を感じた。ブルックナーが書いたものをベースにしているのにブルックナーのように聞こえない。

通常の3楽章までの演奏に関して言えば、アーノンクールのブルックナーの中では圧倒的に名演だと思う。アーノンクールの指揮と限定せず、9番の演奏としても名盤の一つではないだろうか。繊細な弱音で奏でられる弦楽器の美しい響きと強奏時でも下品にならない金管、ふくよかな木管がたっぷりめのホールトーンの中で溶け合って実に良い感じだ。テンポは時に思いがけないほど快速になるが、軽い印象を与えず演奏全体に適度な緊張感をもたらしている。

ちなみにこの演奏、以前、サラウンドシステムを揃えていた頃にSACDサラウンドで聴くた時には全身が音に囲まれる感じで非常に良かったのだが、現在の環境ではステレオでしか聴けないのが残念。(ステレオでも音が悪いわけではないが。)

シベリウス交響曲第2番 : セル

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セルにはコンセルトヘボウと録音したシベリウスもあるが、こちらは70年万博に合わせて来日した際、東京でのコンサートを録音したもの。同時に来日していたカラヤン/BPOよりもセル/クリーブランド管の演奏の方が凄かったという話を聞いたことがあるが、さもありなんと思わせる素晴らしい演奏である。

コンサートが行われた東京文化会館は音響がデッドなことで知られているが、この録音もホールの残響が少なく、結果としてクリーブランド管の音色がとてもクリアに聴こえる。

始まりから最後まで贅肉の落ちたスリムな造形だが、ライブ録音であるせいか演奏はとてもホットだ。ライナーノーツにセルが音楽に大切なものは1にリズム、2にリズム、3にリズム、4が正確なアーティキュレーション、5にバランスと言ったと書かれているが、まさにそのとおりの演奏。わずか2ヵ月後に骨髄腫で亡くなった指揮者の演奏とは思えない。音楽は生気に溢れ、希望に満ちている。圧倒的な名演だ。

直接音が多目の録音でヒスノイズも多いが、かまぼこ型の録音バランスで温かく聴きやすい音で録音されている。歴史的な演奏がこういう形で残されたことに感謝。

レコードプレーヤーの試聴

名古屋に本店のあるハイファイ堂というオーディオショップが東京駅の大丸に支店を出した。デパートにオーディオ専門店が店を出すのはこのご時世非常に珍しいことではないか?正式なオープンは今日かららしいのだが、金曜日からプレオープンしていたようだ。昨日は休日出勤だったのだが、タイミングよく東京駅を通過したのでちょっと立ち寄ってみた。

ハイファイ堂というお店はネットでずいぶん前から知っていて名古屋の大須にあるお店は一度覗いたことがある。ここは新品もあるもののほぼ中古専門といって良いショップで特に年代物のオーディオの品揃えが豊富だ。お店で手を入れて2年保証で販売しているものも多い。もちろん、今回の僕のお目当てはレコードプレーヤー。80年代前後の国産中級プレーヤーをきれいに手直しして保証をつけた製品が4~5万円くらいで売られている。

オークションで手に入れたり、ハードオフみたいなところで掘り出し物を手に入れるよりははるかに高いが、現行品の新品よりは安い。前者はちゃんと動くか心配だし、後者に比べると全盛期の製品であるだけに当時の定価と今の定価が同じもので比較すれば古いものの方が物量が投資されていそうだ。なかなかよく考えられた値付けである。

お店は時計や宝石といった趣味のものと同じフロアにあり、大丸店は特にアナログに力を入れているようだ。小さい構えで数はないが、試聴可能な機器のセットいずれもプレーヤーはアナログだった。

ちょっと奥まった半個室の中でマランツの真空管アンプとタンノイのスピーカーといういかにもな組み合わせでトリオのKP-880Dというプレーヤーを聴かせていただいた。お値段49,800円。ダストカバー、シェル、カートリッジが新品で、2年保証が付いている。曲はアルヒーフレーベルのバッハ。

ほんの少しの時間しか居られなかったので断言はできないのだが、少なくともこの組み合わせで聴く限り、思ったような音ではなかった…。とは言うもののお店の人も仰っていたが、カートリッジ、フォノイコ、アンプ、スピーカーの組み合わせで音はぜんぜん変わるだろう。何より久しぶりに目の前で回転するプレーヤーを見るのは何かホッとするような瞬間だった。

お店には他にもJBLの4344やヤマハのNS1000M、アンプも古めのマッキン、山水、マークレヴィンソンなどが並んでいる。70年代~80年代にオーディオに憧れていつかは自分もと思っていた世代をターゲットにしているのだろう。僕が試聴している間にも同じ年代のご夫婦がNS1000MとパイオニアのPL50Lの組み合わせで楽しそうに音楽を聴いていた。

これからレコードを楽しむならやっぱりこうした憧れの機材でのんびり聴くのが正解かなあ。と思いながらお店を後にしました。
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