ドビュッシー管弦楽曲集 : オーマンディ

オーマンディ/フィラデルフィア管によるドビュッシー管弦楽曲集。「海」「牧神の午後への前奏曲」「夜想曲」という3大有名曲のカップリング。CBSの原盤、日本のソニーによる定価1,500円の廉価盤LPなのだが、LPの製作年はおろか録音データすら記述がない。CBS/SONYの場合、最近のCDでも同じようなことがあるがせめて録音年月日くらいは書いておいてもらいたいものだ。ネット上の情報を元に推測すると録音が73年頃、このLPは80年代に入ってからのものらしい。

オーマンディ/フィラデルフィアのフランス物というのはあまりピンと来ない。まあ、ラヴェルはまだイメージが沸くがドビュッシーはかなりミスマッチな気がする。当時、このレコードを買ったのはおそらくドビュッシーの名曲集の中で最も安かったからだと思う。

このLPの存在は完全に忘れていたのだが聴いてみると全然悪くない。「海」も「牧神」も雲ひとつない快晴といった演奏で少し眩しすぎるところはあるが、フィラデルフィア管の名人芸が堪能できる見事な演奏だし、「夜想曲」も明るい満月の夜っぽいものの格調高い立派な演奏である。あらためてオーマンディのオールラウンダーぶりに感心する。

このLPはオリジナルのアナログ録音をデジタルリマスタリングして製作されたようだ。音は悪くないが、デジタルリマスタリングしていないオリジナル録音のLPが入手できたらぜひとも聴いてみたい。おそらくそちらの方が音が良いのではないかと思う。
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ベートーヴェン交響曲第1番、第4番 : バーンスタイン

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いつものディスクユニオンでバーンスタイン/ウィーンフィルのベートーヴェン交響曲全集を購入。立派な紙ジャケットだが内側にシミがあり、LP8枚組み800円だった。盤面に問題ないし、この値段なら買うでしょ。

77年から79年までの録音だが、この年代では珍しい(と思う。)ライブ録音。アナログ最盛期の録音だけに音は良い。ニューヨーク時代のバーンスタインにベートーヴェンのイメージはあまりないが、ヨーロッパでの活躍が増えて以降はベートーヴェンやブラームスの演奏にも風格が漂う。この全集は特に評価が高く、確か日本でもアカデミー賞を取ったはず。

度重なる値下げで安くなってからCDでもこの全集を買おうかと思ったことがあるが、結局買わず仕舞い。実際、聴いたことがあるのは1番以外の奇数番号のみだった。

全集の一枚目の曲目は1番と4番。両方とも今日、初めて聴く。

1番も4番もウィーンフィルの重厚な音色を十二分に引き出した立派な演奏である。(曲想はともかく)1番は、ハイドン、モーツァルトから連なる曲というより、ブラームス、ブルックナーに続いていく交響曲の王道の始発点という感じの演奏だ。もちろん、例えばムラヴィンスキーのそれのような厳しさはなくゆったりふくよかな演奏である。でも悪くない。個人的には(スリム化しすぎて針金みたいな)出来の悪い古楽器演奏よりもずっと好きだ。

4番もクライバーやムラヴィンスキーのような天才的な切れ味の演奏とは違ってリラックスした演奏である。モダンオーケストラの力を最大限生かして伝統的な演奏が聴ける。安心して身を任せられる名演である。

TIME OUT : THE DAVE BRUBECK QUARTET

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週末から今日まで出張で久しぶりに帰宅。まだ水曜日なのに疲労困憊という感じだ。すぐ寝ようかとも思ったのだが、せめて一曲くらい何か聴こうと思って取り出したアルバムがDave BrubeckのTIME OUT。有名なTake Fiveの入ったアルバムだ。先週、中古のLPを購入したのだが、この曲は最初に聴いたときからCDだったのでレコードを聴くのは初めてである。

レコードプレーヤーを購入する際、聴く音楽としてイメージしていたのはクラシックではなくジャズだった。買ってすぐ聴いたLPがマーラーで、それがあまりに良かったのでそれ以来ずっとクラシックばかり聴いていたが、最初の曲Blue Rondo A La Turkが鳴った瞬間、イメージは間違ってなかったと思った。レコードで聴くジャズは良い。

このアルバム、ジャズが世の中に出てから長い間、メロディはさまざま有れどリズムはすべて4拍子しかなかったところに9拍子や5拍子という変拍子ばかりの曲という画期的なアルバムなのだが、知らずに聴けばそんなことを微塵も感じさせない素敵で洒落た曲ばかりで構成されている。しかも59年録音なのに音も鮮やか。不朽の名作、超お薦め盤だ。

ヤナーチェク「シンフォニエッタ」 : ノイマン

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村上春樹の「1Q84」で繰り返し登場するヤナーチェクの「シンフォニエッタ」。「タラス・ブーリバ」ともども曲名は数十年認識していたがちゃんと聞いたことがなかった。ノイマン/チェコフィルの中古CDを神保町のディスクユニオンで発見し、購入。

小説冒頭で出てくる第一楽章を聴いてなるほどと思う。ちょっと不思議なメロディとリズムが心地良い。同じ民族系作曲家といってもスメタナやドヴォルザークに比べるとずいぶん現代的だ。とはいえ、この曲が作曲されたのは作曲家晩年の1925年なので当たり前か。聴き進めていくとストラヴィンスキーのペトルーシュカを思わせるような雰囲気もある。

この曲を小説の舞台装置の一つに選ぶというイマジネーションに感服。曲が先か、ストーリーが先か質問してみたい。

マーラー交響曲第6番 : アバド

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クラウディオ・アバドが亡くなった。享年80歳だからアバドもいつの間にかお爺ちゃんだったのだが、映像で見る近年の指揮姿は実に優雅で格好良かった。

アバド/シカゴ響の6番は79年の録音。アバドが46歳の頃の録音で、私にとって初めてのアバドのレコードだった。その頃の私のゴールデンスタンダードはショルティだったので、最初にこの演奏を聴いたときは「生ぬるい」という感想だった(笑)。雑誌ではみなこの演奏を絶賛していて、LPの解説もそうだが、アバドの演奏によって古い演奏スタイルは完全に過去のものになったという論調が多かったと思う。仮にワルターやバーンスタインが古い演奏スタイルだとすれば、遡ること9年前のショルティの録音の方がよっぽど古い演奏スタイルを否定していると思うのだが。

とにかく初対面はそんな印象で余り良くないし、この曲に限らずベルリンフィルとの再録、あるいはさらにその後の演奏の方が質は高いと思うのだが、アバドが亡くなった今、このレコードは私的に忘れることのできない一枚である。

LPでこの演奏を聴くのは実に久しぶり。おそらく30年ぶりくらいに聴いて思ったのは、アバドの指揮がとても「若い」ことだ。積極的にオーケストラをドライブしている。演奏に粗野なところは皆無で弱音はとてもデリケートなのだが、この難曲を知性と力でねじ伏せてやろうという気持ちが伝わってくる演奏である。晩年のアバドの指揮からは力みや作為がなくなったにもかかわらず音楽からは自発的な熱意が伝わってくるようになったが、ここではまだ若いアバドが自ら仕掛けている。こういう演奏も悪くない。永久保存盤だ。

ベートーヴェン交響曲第7番 : カラヤン

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1978年ベルリンフィル本拠地でのライブ録音。ライブのカラヤンは凄い!とは聞いていたものの、2004年に発売された同音源のCDは廃盤になって久しく、今まで聴くことができなかった。うれしいことに昨年末に再発売となり、めでたく購入。オリジナルはカナダ盤だったようだがこのCDは版元からライセンスを受けて日本でプレスされているので逆輸入盤ということになる。

ベートーヴェンの7番と春の祭典という面白い組み合わせのCDだ。カラヤンのスタジオ録音盤「春の祭典」は完全否定する人も多い。そういう意味ではカラヤンにしては珍しい録音だが、新旧とも私は非常に優れた演奏だと思っている。ライブ盤にもとても興味があるのだが、美味しいものは最後に取っておくタイプなのでまずは7番を聴いてみた。

なるほどセッション録音とはかなり違うカラヤンの演奏が聞ける。まずテンポがぜんぜん違う。セッション録音でも総じてスマートなテンポのカラヤンだが、速くても優雅なそれらと違って演奏に勢いがある。前へ前へという推進力がすごい。クレッシェンドのたびにほんの僅かだが加速する。

細部よりも大きな流れを重視した演奏だが、レガートを多用して流れるようにメロディが奏でられるところはやはりカラヤンである。そしてどんな急流でも濁流でも絶対破綻しないベルリンフィルの技術は圧巻。こういう演奏なので全曲中の白眉は終楽章。最初から全開で最後まで突き進む感じ。弦楽器が次々にバトンを渡しながらオーケストラ全体がうねるようにクライマックスに突入してそのままの勢いでフィナーレを迎える。終わった途端にブラボーも納得の演奏だ。

HMVのレビューでも皆さんべた褒めの演奏で、私も素晴らしい演奏だと思ったが、セッション録音とこのライブ録音とどっちを取るかと言われると微妙な感じ。これは一期一会でその場で聴いた人には最高の演奏だったろうし、私も初めて聴いたので新鮮な喜びを感じたが、繰り返し何度も聴くかなあ?

それにしても感じるのはカラヤンのプロ意識の高さ。ライブを聴きにきた聴衆には最高にスリリングな演奏を聞かせながら、繰り返し聞かれる録音としてはこうした凄演すらOKを出さずにひたすら音を磨いたセッション録音をたくさん残したのだから。すごい指揮者である。

録音はまずますというレベルだが、十分に演奏の見事さを伝えてくれる。

ベルリオーズ「幻想交響曲」 : ブーレーズ

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ブーレーズの幻想交響曲にはずっと新しいクリーブランド管との録音もあるがまだ聴いたことがない。こちらはロンドン交響楽団との演奏で67年の録音。幻想交響曲と対になるレリオがパッケージになっている。

まず聴いたのは物置から救出したLP盤。オリジナルではなくソニーが企画した家庭向けクラシック名曲選の中の一枚。おそらくこのシリーズをまとめて売却した人がいて、中古レコード屋に並んでいたのを買ったものだ。

この演奏、実に面白い。第1楽章から第3楽章まではごく普通の演奏なのだが、4楽章と5楽章が異様にテンポが遅いのだ。この部分だけ拡大写真を見ているような演奏である。

楽譜がないのでベルリオーズの指定したテンポがわからないが、少なくとも第4楽章のテンポは他の演奏では聴いたことのない遅さ。テンポが遅いのに演奏はかなり荒々しい。すべての楽器がかなりの音圧で演奏するのに一向に熱くならない。面白い解釈だと思う。終楽章も熱狂という感じではない。

実は、このLPを購入した記憶すらなかったのでまさかレコードが残っていると思わず、最近タワーレコードの企画で復活したこの曲と「レリオ」が対になったCDを購入している。これは比較するしかない。と思い、早速、4楽章を聞き比べてみた。

まず、LPで聴いてからCDを聴く。実に背景が静か。やはりSN比が高いのは良いことだ。定位も分離も特に問題ない。ステージも左右に大きく広がる。が、なんとなく元気がない。ような気がする。よく言えば上品だが、さっきLPで聴いた時の方がはるかに迫力があったような…。

もう一度LPに戻すと、やはり気のせいではなく、聴こえてくる音楽がかなり異なる。まず、弦も管もLPの方が瞬発力がある。メリハリがあるといっても良い。それに鮮度が高い。これはマスタリング時の調整によるものだろうか?それとも大元のマスターテープが劣化しているのか?あるいはLPの方がダイナミックレンジが狭くていわゆるドンシャリの味付けなのか?いずれにしてもどちらが迫力ある音楽を聞かせるかと言うと、LPだ。

次に同じCDを今度はSCD-DR1の内蔵DACからアナログで出力して聴いてみる。前から思っていた通り、SCD-DR1の方がPWT/PWDよりも少し音楽に荒々しさが加わって勢いがある。悪くない。そうか、SCD-DR1の音はアナログの肌合いに近いのか。

ここでもう一度PWT/PWDに戻す。今度は少し音量を上げてみる。あくまで感覚値だが、楽章冒頭のティンパニの音で音量を合わせる。それでもやっぱり違う。音場はずっと奥に展開し、ステージも広いのだが、広がったステージを音が埋めきれない感じがする。それに、雑味をすっかり取り去った結果、音楽の元気もなくなってしまった感じだ。

4楽章しか聴き比べていないが、この曲のこの演奏に関して言えば、LP→SCD-DR1→→→PWT/PWDという結果だった。が、もし私の部屋がきちんとしたオーディオルームでアンプの力一杯無制限に音量を上げられたら印象はずいぶん違ったかもしれない。というのも、PWT/PWDからは出るべき音がすべて出ていると思うのだが、上から下までフラット過ぎて、この時間に聴ける範囲の音量では線が細い。他方、耳に心地良い帯域に迫力が出る音量まで上げると近所迷惑になってしまいそうだ。

もう一周、比較しようとも思ったのだが、肝心の音楽を聴く時間がなくなってしまうので止めました。

ベートーヴェン交響曲第7番 : クーベリック

クーベリックのベートーヴェンというと9曲すべて違うオーケストラを振った全集が有名だ。CDはしばらく廃盤だったと思うが現在、タワーレコードの限定盤として購入可能。

全集で7番はウィーンフィルが演奏しているが、「福袋」に入っていたLPは全集の録音がスタートするより前の1970年に手兵であるバイエルン放送響とのコンビで録音されたもの。ジャケットを見ても発売年のヒントが何もないが、おそらく全集が発売されるよりも前の発売だろうから70年代前半か。

バイエルン放送響との7番は初めて聴いた。切れ味が良く、リズムもテンポも適当。大変良い演奏だ。オーケストラも非常に上手い。CBSの録音とはまた違って少し乾いた音色もシックで良い。

70年の録音だが、録音が良いのにも驚いた。低音が少し軽いが、楽器間の分離が良く明るく爽やかな録音である。

タワーレコード版には付録としてこの演奏も含まれている。全集を購入してみようかという気にさせる演奏だった。

LHH-P700(2)

去年の10月末に購入以来、順調に稼動していたLHH-P700なのだが、最近、MCポジションにすると残留ノイズがかなり大きい。最近と書いたが、最近劣化したのかそれとももともとこういう仕様なのか、実はあんまり自信がない。

購入時にはフォノイコライザーとして使おうと思っていたのだが、レコードプレーヤー購入前にプリアンプとして使用したところ結果が良かったので、それ以来、ずっとボリュームを通して使用していた。ボリュームを絞っているとノイズも小さいので気づかなかったのだ。ふと、純粋にフォノイコライザーとしてDirect出力すると音が違うかと思って繋ぎなおしたところ(その場合、フル出力になる。)、ウーファーからブーンという音がしてノイズに気づいた。

冬になってから我が家の電源環境は一層良くないようでノイズハーベスターはほとんど常時点灯状態だし、V-LA1からはハムノイズが聞こえる。こちらは電源に伴うノイズ(ジーっという50Hzの高い音)でボリュームの大小とは関係ない。LHH-P700の方は明らかにボリュームに連動してノイズレベルが変わるのでおそらく電源からくる問題ではないと思う。

MMポジションではほぼノイズがない。MCとMMではSN比が違うのでMCの方がノイズが大きめなのは理解できるが、かなりの差がある。夜、回りが静かだとリスニングポジションでもちょっと気になる程度の音がする。最近はMCトランスを間に入れてMMポジションで聴くことが多いので実際の使用上、問題ないのだが、このまま放っておくとそのうちMMポジションでもノイズが発生しそうで不安である。

考えてみればこの製品も20年落ちの中古だし、購入店に連絡してチェックだけでもしてもらおう。

ブルックナー交響曲第3番 : 朝比奈

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神保町のディスクユニオンで朝比奈隆の1回目のブルックナー交響曲全集のCD(ジャン・ジャン原盤)を見つけて購入した。今でもタワーレコードで限定的に再販されているが17枚組みで4万円近くするので手が出せずにいたのだが、箱もまずまずきれいな中古が6,000円で買えた。

朝比奈隆のブルックナーは、神格化する人もいれば所詮日本人による二流の演奏と断罪する人もいて評価が分かれているが、私はこの人の演奏、特にブルックナーの演奏には特別なものを感じることが多い。

ジャン・ジャンによる全集は昭和50年代前半に録音されているので指揮者はもうすぐ70歳という頃の演奏だが、老いは微塵も感じられない。90歳過ぎて亡くなるまで生涯現役だったのだから当然と言えば当然か。この録音はブルックナーファンだった「ジャン・ジャン」のオーナーが朝比奈隆の演奏に惚れ込んで私財をはたいて実現したとして有名だが、そのおかげでこんな立派な全集が後世に残されたのだからありがたいことだ。後年再録音したものの方が完成度が高く録音も良い曲もあろうが、だからといって60歳代の演奏が残っているのと残っていないのでは大違いだ。

3番に関して朝比奈隆の演奏を聴くのはこれが初めて。5番の開始のイメージがあったので何となくゆっくり目の開始を想像していたが意外と快速に曲が始まる。いつもそうなのだが、この人の演奏のどこが素晴らしいのかを一つ一つ説明するのは難しい。オーケストラも万全とは到底言いがたい。特に管楽器はあちこちでふらふらする。が、第二楽章の深々とした味わいや最後の盛大な盛り上がりを聴いているうちに細かいことが気にならなくなる。良い演奏だ。

CD以上にLPを入手するのは難しいと思うが、いつかレコードでも聴いてみたい。

KENWOOD KP1100

12月27日にVictor QL-A7が届いて20年以上ぶりのレコード鑑賞を始めたばかりなのに、二台目のプレーヤーを買ってしまった。週末、何気なく、といってもカートリッジの出物でもないかという下心は若干あったが、入った近所のハードオフに鎮座していたのはKENWOODのKP1100。すでにCD時代に入っていた1985年に満を持して投入されたレコードプレーヤー。一部のハイエンドプレーヤーを除けば国産プレーヤーとしては上位に属する完成度の高いプレーヤーだ(と理解している。)。

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(写真は「オーディオ回顧録」さん掲載のものです。)

置き場所の確保、QL-A7との棲み分け、周囲の非難等漠とした不安が横切ったものの、傷一つない綺麗な個体を目の前にしてほぼ躊躇なく購入した…。

いそいそと持ち帰り、オーディオラックの最上段に置いてあったV-LA1を最下段に移動し、早速KP1100を設置。QL-A7に付けていたAT-F7をKP1100に付け替えてとりあえず聞いてみる。二つのターンテーブルを同時に所有したことがなかったので、同じカートリッジでどのくらい音が変わるのかイメージが沸かなかったのだが、音が出てすぐにあまりに音が違うことにちょっとびっくり。KP1100の方が格段にかっちりとしたクリスピーな音である。靄が晴れてすっきりと見通しが良い。うーん、これは面白い。SCD-DR1とPWT/PWDの音もそれなりに違うが、アナログ同士比較した場合の音の差は遥かに大きい。ブラインドテストをして違いがわからない人はいないだろうと思うくらい明白に違う。

QL-A7の方にオルトフォンの2M Redを付けるとAT-F7で聴くよりさらにウォームなリラックスした音になるので、今はちょっと真剣に音楽を聴くときはKP1100、のんびり聴きたい時はQL-A7と分けて聴いている。どっちで聴いても至福のひと時、幸せ気分で一杯だ。

ハイドン交響曲第93番、第94番 : ヨッフム

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(ジャケット写真は「Fan Fan」さんのブログからお借りしました。)

「福袋」公約のBox Setはヨッフム/ロンドンフィルによるハイドンのロンドンセット。71年~73年にかけてセッション録音されている。93番から104番まで6枚組のセット。(写真のものほど美品ではなかったが、)しっかりした造りのハードジャケットにレコードが収められており、中のライナーノーツも立派なもの。前の所有者の方は大切に保管されていたようで、レコードにほとんど傷がない上、ライナーノーツの中にこのセットを含むグラモフォン交響曲大全集のカタログまで入っていた。

カタログによるとこの交響曲大全集は「ポリドール株式会社創立20周年、ポリドールインターナショナル創立75周年」記念で企画されたようだ。曲目としてはヨッフムのハイドンセット以外にベートーヴェン(ベーム)、シューマン(カラヤン)、ブルックナー(ヨッフム)、シューベルト(ベーム)、ブラームス(アバド)、シベリウス(カム、カラヤン)、マーラー(クーベリック)、モーツァルト(ベーム)、メンデルスゾーン(カラヤン)、ドヴォルザーク(クーベリック)、チャイコフスキー(マイケルティルソントーマス、アバド、アツモン、ムラヴィンスキー)の各交響曲全集が含まれている。全12巻93枚組157,000円という壮大な企画物である。Wikipediaによると日本ポリドール株式会社の創立は1953年、このLPの発売は74年なのでおそらくオリジナルプレスだろう。

昭和49年の段階でブルックナー、マーラーの全集はどのくらいニーズがあったのだろうか。こういう経緯で販売されたとは露知らず、つい先日、神保町のディスクユニオンで同じ体裁のジャケットに入ったクーベリックの全集LPを見かけたのだが、躊躇しているうちに売れてしまった。買っておけば良かった…。

ラインナップを見るとブラームスの全集がアバドの指揮なのはちょっと意外。それにチャイコフスキーのみ、ずいぶん雑多な組み合わせだが、4番~6番のムラヴィンスキーだけが先に決まったということだろうか。ついでにちょっと調べてみると74年は第一次オイルショックの影響で狂乱物価の時代。一年間で消費者物価指数が23%も上がったらしいが、それでも大卒初任給は67,800円ということなので、157,000円というのは相当高い。現在なら50万円くらいということか。それぞれ分売されているが、ハイドンセットだけでも10,000円。現在価値なら30,000円、一枚あたり5000円である。手元のセットが大切に保管されてきたのもそう考えると納得。それに最近の新譜LPが5000円くらいするのに閉口していたのだが、価値で比較したら昔に戻っただけとも言えそうだ。いずれにしても大全集をフルセット揃えた人はどのくらいいたのだろう?

すっかり話が横道にそれてしまった。ロンドンセットの入り口である93番と94番を聴いたのだが、一言で感想を言ってしまうと「すごく立派な演奏」である。正しい演奏と言っても良い。ハイドンの楽しさを十分に伝えつつ、格式を感じる、格調高い演奏なのだ。ミンコフスキーの演奏は才気に溢れていて素晴らしいと思ったが、このヨッフムの演奏は20世紀以降の演奏史の正常進化という感じで大きな構えで深々と音楽を聴かせてくれる。「驚愕」のびっくりは定番のびっくりだし、オーソドックスの極みだが、水戸黄門の印籠のようにわかっているけど拍手喝さい的な良い演奏である。交響曲大全集の一部を担うのに相応しい名演だ。

チャイコフスキーピアノ協奏曲第1番 : リヒテル/カラヤン

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「福袋」LPから今日聴いたのはチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。これもまた超有名なリヒテル/カラヤンの共演盤。私がクラシックを聴き始めた頃には定番中の定番で「カラヤンとリヒテルが火花を散らす」とか「がっぷり四つの組み合わせ」とか言われていた。

この演奏を聴くのは実に久しぶり。というかこの曲をじっくり聴くのも久しぶりだった。以前はホロヴィッツ/トスカニーニとかアルゲリッチ/コンドラシンみたいな技術の極限のような演奏が好みで、リヒテル/カラヤン盤は鈍重と感じていたのだが、今回聴いてみてリヒテルの強靭かつ繊細なピアノにもバックのカラヤンにも感心しきり。やっぱりこの二人が揃うと凄いなという感じ。

今まで気にも留めていなかったが、オーケストラがウィーン響というのも考えてみれば貴重だ。カラヤンは40~50年代にかけてウィーン響と頻繁にコンサートを開いていたようだが、ステレオの正規録音は非常に少ないのではなかろうか。この録音は62年なのでDGから出ている「カラヤン60's」にも収録されているが、82枚のうちベルリンフィル以外の録音はこの一枚のみ。リヒテルとの契約上の問題でもあったのだろうか、ちょっと不思議である。

古い録音だが演奏の凄みを伝えるには十分な音質だ。ピアノのエッジが少し丸く音も少し滲むが、それがむしろ良い雰囲気だ。この当たりCD化でどうなっているか聞き比べてみたいレコードだった。

ベートーヴェン交響曲第5番 : クライバー

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引き続き「福袋」からクライバー/ウィーンフィルの「運命」を聴いた。超有名曲の超有名盤だが久しぶりに聴いてみるとやはり凄い演奏だ。74年の録音でクライバーによる初めての交響曲録音。福袋に入っていたLPは75年の製造だが、黒田恭一さんの解説を読んでもまだまだクライバーの演奏が一般的になる前のことだとわかる。もう40年も前の演奏になるが、今に至るまでこの演奏より瑞々しく、活力に富んだ「運命」は聴いたことがない。

最初の「ジャジャジャジャーン」から絶妙のリズム感だ。基本のテンポは速めなのに呼吸が浅いところがまったくない。一つ一つのフレーズをきちんと演奏しているのにこのテンポ、このリズムで進められるのが凄いと思う。セッション録音なのにライブ演奏のような躍動感も良い。ウィーンフィルも素晴らしい。とにかく凄いとしか言いようがない。

ジャケット写真はCDのものなので5番と7番の組み合わせになっているが、LPは同一デザインのジャケットで5番のみの収録。これも国内盤で帯がついていたのだが曲名の横に「クライバー、このしたたかな男」と書いてある(笑)。誰がどういう意図でこんなコピーを考えたのだろうか?

ブラームス交響曲第1番 : ザンデルリンク

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福袋に入っていたレコードを少しずつ聴いている中でびっくりするくらい良い演奏だったのが、このブラームス交響曲第1番。ザンデルリンク指揮ドレスデン国立管弦楽団による演奏で71年の録音。LPは75年製作の国内盤。帯がついていてそこには「ドレースデン国立管弦楽団」と表記されている。昔は長く伸ばして発音していたのか。

冒頭から非常に力強い演奏だ。テンポはゆっくりだが音楽の流れはスムーズで弛緩したところは一切ない。落ち着いたオーケストラの音色がブラームスにとても合う。この演奏、ホールトーンをほどよく含んだ録音も素晴らしく、オーケストラの一体感や厚みを伝えながら高音から低音まで音階がよく聴き取れる。低弦が速い動きをするところなど聴いてて気持ち良い。

全体を通じて堂々としたインテンポで演奏は進むが、第4楽章の展開部から終結部にかけて音楽はどんどん熱を孕んできてしばしばアッチェレランドがかかる。その辺の押し引きがまた実に堂に入っている。

これは文句なしに名演だ。

高校サッカー

高校サッカーの決勝戦が今日の2時から行われるが、決勝の対戦が富山と石川の代表だと知って正直驚いた。北陸の代表がそんなに強いとは…。私は高校時代を北陸で過ごしたのだが、その当時の記憶からすると隔世の感がある。一昔前のサッカー先進県といえばなんと言っても静岡、私が生まれた埼玉もそこそこ強かった。いつの間に北陸がこんなに強くなったのだろうか。

学校の授業でしかサッカー経験がないのでよくわかってないが、北陸の学校といえば通常、冬の間中、雪でグラウンドがほぼ使えない。もちろん、ここまで勝ち上がってくる高校であれば室内の練習環境も整っているのだろうが、それにしても練習一つとっても結構なハンデがあるのではないか。

どっちが勝っても初優勝。どっちが勝っても北陸に優勝旗がやってくる。良い試合になることを期待してます。

マーラー交響曲第9番 : レヴァイン

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レヴァイン/フィラデルフィア管による79年の録音。レヴァインは近年ミュンヘンフィルとこの曲を再録しているが未聴。マーラーの9番、数あれど、私にとってこのレヴァイン/フィラデルフィア管の演奏はアバドの演奏と並びトップ3に入るもの。

79年というとまだレヴァイン30代の指揮だが、冒頭からとてもゆっくりとしたテンポで音楽を進めていく。とにかくこの演奏ではフィラデルフィア管の弦が美しい。その後、オペラ指揮者として大成するだけのことはあって、オーソドックスながらこの曲の多彩なドラマを的確に描いてくれる。部分的に凄く気になる演奏は多々あるが、最初から最後まで大きな不満を感じないで聴ききることができる数少ない演奏の一つである。

バーンスタインのような凄まじいエモーションはないが、70年代の終わりにまだ若手のレヴァインがこれだけの名演を残したことは快挙だと思う。

この演奏を初めて聴いたのはもうCD時代だったのでLPは今回初めて聴いたが、弦楽器の美しさがより一層強調されて好ましい印象だった。少し古い録音になったが音はLPでもCDでも十分鮮明である。

ブラームス交響曲第1番 : ベーム

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ベーム/ウィーンフィルによるブラームス交響曲全集。75年にベームは初来日し、空前のブームを巻き起こしたらしい。私はその頃、まだ小学生だったのでまったく知らないのだが。この全集はその直後にセッション録音され、同年中には国内でも発売されている。はっきりと明記はされていないのだが、その当時のものと思われるLPを神保町のディスクユニオンで見つけて購入した。4枚組みで1,080円だった。

先日のマズアほどではないが、ベーム/ウィーンフィルの演奏にはあまり感心したことがなかった。ベーム/ベルリンフィルの演奏は例えばモーツァルトなど颯爽としていて勢いがあるところが好きなのだが、その後のウィーンフィルとの再録はテンポもリズムも緩んでいて良いとは思わない。このブラームスの第1番の演奏も相当前に確かFM放送で聴いたことがあるのだが、冒頭のティンパニのリズムを聴いた途端、これはダメだと思った記憶がある。

「じゃあ、買うなよ」ということなのだが、ブラームスの全集の在庫はこれだけだったし、2番以降は聴いたことがなかったので買ってみた。せっかくだからと思って第1番から聴いたのだが、聴いてびっくり。冒頭のティンパニと弦による導入部から実に緊張感に溢れた音楽ではないか。私が以前聞いたのは本当にこの演奏だろうか?と思うような素晴らしい演奏である。

確かにテンポは遅い。しかし緩んだ感じはない。それどころかどの部分をとってもオーケストラは力一杯の演奏だ。特に弦楽器の張り出し方が素晴らしい。一人一人が一切の妥協なく最大の力を持って弓を弦にこすり付けている感じ。解釈に小細工が一切ないのも良い。見た目ではなく素材と腕で勝負しましたという感じだ。カラヤンとまったく反対で絶対レガートしない結果、確かによく言われるようにごつごつした演奏だが、訴える力は強い。

良い演奏です。

チャイコフスキー交響曲第1番「冬の日の幻想」 : スヴェトラーノフ

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昨日、今日と関東地方も寒い日が続いている。最高気温は9度なのでそれほど寒くなさそうだが風が冷たい。都心はビル風のせいでなおさら肌寒く感じる。

こういう日は「冬の日の幻想」を聴こう。4番以降の交響曲のようなドラマティックな展開ではないが、全編チャーミングなメロディに満ちた佳曲だ。

演奏はスヴェトラーノフ/ソビエト国立交響楽団による67年の録音。65年から音楽監督になったスヴェトラーノフ39歳の時の録音なので、若々しく勢いのある演奏が聴ける。オーケストラはここぞというところでさすがの馬力を見せてくれるが、一方で実に繊細で美しい音色も聞かせてくれる。特に弦楽器は厚みがあるのに透明感もあって良い感じだ。とにかく技術的にはすごく上手い。一糸乱れぬ演奏である。

メロディア原盤でいろいろなレコード会社にライセンシングしたようだ。ジャケット写真ではメロディアロゴの隣にビクターのロゴが見える。これは借りてきた写真で、私の手持ちのLPはエンジェル(キャピトル)プレス。別ジャケットデザインでドイツ製作盤もある。いずれにしてもこの演奏の録音は非常に良好。最強奏時に少し高域が苦しそうだが、十分、鮮明な録音である。

先日聞いたムラヴィンスキーといい、60年代後半~70年代のメロディアの録音は捨てたものではない。なぜ、ショスタコーヴィチの録音にロクなものがないのか不思議だ。

レコード福袋

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お正月といえば福袋。最近は有名デパートの1000万円福袋とか家電量販店の家電福袋とか洋服以外にもいろんな福袋がある。過去何度かゴルフウエア福袋を購入したことがあるのだが、今年は見送り、代わりにハイファイ堂のレコード福袋を購入してみた。恒例の企画らしいのだが、ネットサーフィン中に発見したのがもう4日だったのでジャズの福袋は売り切れ。残っていたクラシック福袋を買った。5000円。

お一人様各ジャンル1セット限り!!15セットご用意致しました。クラシックレコード福袋!重量盤又は高音質盤と輸入盤とBOXが必ず入っております。店頭価格で1万円以上のセットになります。

という説明があるが中身は不明。まあ、LPなら所有盤と重なることもないだろう。

で、今日、帰宅したところ、届いておりました。宅急便なので段ボール箱で到着。箱を開けると写真どおりの袋に入っている。早速、取り出してみました。入っていたのは以下のLP。

ベートーヴェン交響曲第7番 : クーベリック/バイエルン放送響
チャイコフスキーピアノ協奏曲第1番 : リヒテル/カラヤン
ブラームス交響曲第1番 : ザンデルリンク
響の四季 打楽器で綴る日本の十二ヶ月 : 岡田知之打楽器合奏団
ショパン名演集 : パハマン
モーツァルト弦楽五重奏曲第3番、第4番 : スメタナ四重奏団+スーク
The Very Best of Loretta Lynn and Conway Twitty
バッハ・オルガンリサイタル : リヒター
チェロ名曲集 : ゲリンガス
モーツァルトミサ曲K192,K259 : ケーゲル
バッハ平均律クラヴィーア第2巻 : グールド
ニューイヤーコンサート1973/74 : ボスコフスキー
ハイドン・ロンドンセット : ヨッフム

所有盤ともしかしたら重なるかなあと思ったが、セーフ。といっても私の趣向から言えば、最初の3曲と弦楽五重奏、それにバッハ、ハイドン以外は重なる可能性なし。一番危なかったのはヨッフムのハイドン。先日、ミンコフスキーのCDが並んでいなければ隣にあったヨッフムのロンドンセット(CD)を買うところだった。

それにしても全体として思った以上にマニアックな選曲(選盤)である。

ちなみに各LPの外袋に正価が貼ってあり、それを足した合計金額は16,100円。他の福袋同様、一部在庫処分的な臭いはするものの、まあ、良しとしよう。説明どおり、高音質盤(ニューイヤーコンサート)、輸入盤(多数)、Box(ハイドン)はきちんと入っている。

でも一番の収穫は自分では絶対買わない曲がたくさん入っていたこと。歌物もピアノ以外の器楽曲も宗教曲も進んで買うことはまずないので、これをきっかけにクラシックの世界を広げていこう。




ブルックナー交響曲第3番 : マズア

クルト・マズアという指揮者は私がニューヨーク駐在していた頃のNYPの音楽監督だったので何度かエイヴリーフィッシャーホールで実演を聴いたことがあるのだが、立派は立派だけどなんとも地味でつまらない演奏という印象しかない。NYP自体のクオリティもバーンスタイン、セル、ブーレーズまでがピークでメータ、マズアと急降下してしまった感があった。

心証が悪いのでこの人のCDもほとんど聴いたことがない。収集癖といっても過言ではないほどマーラーの9番の演奏を集めているのでマズアのCDも購入したのだが、個人的にはやっぱりパッとしなかった。

それ以来、実に久々に購入したのがこのLP。LPでブルックナーの3番で中古で300円でなければ購入しなかったであろう。逆に言えば、LPでブルックナーの3番で中古で300円だったら誰の指揮でも買ったとも思う。独オイロディスク原盤のイタリアRCAプレス。イタリア語の解説で皆目内容がわからないがジャケットには原典版と書いてある。

期待せずに聴いてみたが、予想に反してこの演奏はかなり良い。ただ、残念なことにホールの問題か録音の問題か金管全般、特にホルンの抜けが悪い。あるいはオーケストラの配置が理由なんだろうか?真相はわからないが、結果としてどうも本来一番盛り上がる部分が常にモヤモヤした感じなのだ。不思議なのは、ではいつも録音が曇っているかというとそうでもないというとことなのだが、いずれにしても良い録音とは言いがたい。

しかし、なんとも味のある演奏だ。終始落ち着いたテンポで大人の演奏を聞かせてくれる。ゲヴァントハウスの渋い音色が演奏スタイルにぴったりでまた素晴らしい。

食わず嫌いはいけないことだと再確認させてくれる演奏だった。

シューマン交響曲第1番「春」 : クーベリック

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昨日のブルックナーに続いて今日はシューマンの交響曲を聴いてみる。まずは第1番「春」から。冒頭のファンファーレから輝かしい明るい音色。弦楽器はツヤツヤの美音、そして木管がとても素敵な響きである。全体的に軽快なテンポだが、ここぞという時には絶妙のタメで盛り上げる。

中間楽章はサラッと軽やか。フレーズを引き摺らずリズムが弾む。

第4楽章は比較的ゆっくりめのリズム。相変わらず弾んでいる。対向配置されたヴァイオリンの掛け合いと中央に集められた低弦によるコントラストがとても面白い。この演奏、各楽器のバランスが良いので強音時にもうるさく感じない。結果としてどんどんボリュームを上げてしまう。終盤、ホルンと木管の絡み具合いがとても良い。

録音は各楽器の分離が良くとてもシャープ。やや細身でオーケストラの厚さよりも分解能重視という感じである。

ブルックナー交響曲第3番 : クーベリック

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クーベリックがバイエルン放送響とCBSソニーに録音した交響曲集の中の一枚。モーツァルトの後期交響曲集、シューマンの交響曲全集、ブルックナーの3番、4番が入って7枚組みで2,090円(HMV)。絶対のお買い得Box。すべての演奏がお薦めだが、昨日の飯守泰次郎さんの演奏に続いてクーベリックの3番を聴いてみた。

とっても良い演奏である。そしてとっても上手なオーケストラだ。東京シティフィルの後に聞いたので特にそう感じるのかも知れないが、ブルックナーの演奏では弦楽器の厚みはやっぱりあった方が良い。分厚い弦楽器の下支えがあって初めて管楽器も輝くものだと再確認。

テンポもよく、間の取り方も上手い。クーベリックはマーラーもベートーヴェンも良いし、ここに収録された演奏もどれも名演。個人的に外れなしの指揮者である。

ブルックナー交響曲第3番 : 飯守

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飯守泰次郎/東京シティフィルによるブルックナー交響曲第3番は2001年東京文化会館でのライブ録音。このコンビによるブルックナーの6番がなかなかの演奏だったので昨年末に中古で購入。ブルックナーの交響曲を演奏するにはオーケストラが小振り(なのではないだろうか?)。相対的に弦楽器の音が薄い。ただ、そのせいもあってか大変見通しの良い演奏である。

全曲通して指揮者の自信を感じる安定感抜群の演奏。飯守泰次郎という指揮者はすごい実力の持ち主だと思う。これみよがしなところはないが充実したブルックナーだ。朝比奈隆の演奏のような凄みには欠けるがプロフェッショナルという意味ではこちらの演奏の方がクオリティが高いと思った。

それにしても久しぶりにCDを聴いたが、あらためてLPとCDは別のメディアだと感じた。まず、再確認したのはCDって便利ということだ。2楽章が終わっても裏返さなくて良いし(笑)。しばらく時間を置いて聞いてみるとCDの静寂と解像感は圧倒的である。これってアナログ時代の技術者の理想が実現されているはずなのだが、その結果として演奏のライブ感に乏しい。だって、どんなに聴衆が静かでも実際にオーケストラをホールで聴いていてここまで背景音が静かなコンサートなんてない。極めて非現実的な静寂である。とはいえ、LPに情報としてそうしたホールの雰囲気すべてが詰まっているわけでもないのだが、常に微妙に聞こえている暗騒音が擬似ライブ会場のような雰囲気を醸し出すのだろうか。。。ただ、面白いのはLPに収録された演奏は圧倒的にスタジオ録音が多く、最近のCDは圧倒的にライブ録音という事実だ。どっちもどっちで本来の雰囲気は伝えられていないのか、私のオーディオの限界か。

まあ、そんなことを考えながら聴いてしまったのだが、とにかくこの演奏は一聴の価値がある。

マーラー交響曲第1番「巨人」 : 小澤

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小澤征爾が40歳代前半の77年にボストン響と録音したマーラーの「巨人」は、後に全集を完成させる彼の一連のマーラー録音の中で飛びぬけて素晴らしい演奏だと思う。このLPを聴いて以来、小澤征爾のマーラーはそのほとんどを聴いたが、残念ながらその後、この演奏を超える演奏には巡り合えていない。

写真はCDのジャケットだが、小澤/ボストン響の「巨人」(旧録)というと「花の章」付きの演奏が有名だ。「花の章」はこの録音の7年後に初リリースされており、その後は「花の章」を追加してLPもCDも販売されている。私の持っているLPはブラームスの交響曲第1番と組み合わせの2枚組み廉価盤だが、「花の章」リリース前のもので通常の4楽章での演奏である。

冒頭の弦楽器から非常に清潔で透明感溢れる音色が聞ける。清々しい朝の音楽だ。管楽器の響きも美しい。ホールトーンを取り込んだ録音も良い。いやあ実に良い音楽である。クライマックスは喜びに満ち溢れて終わる。

第2楽章以降もみずみずしさに満ち溢れた演奏だ。若い音楽監督とともにボストン響がしなやかに流れるような音楽を紡ぎ出す。若々しい音楽だが、落ち着いたテンポで奇を衒ったようなところはどこにもない。だからといって後年のマーラーみたいに安全運転過ぎて面白くない(と感じてしまう)演奏とは違う。

併録されているブラームスの交響曲第1番も秀演だ。こちらはサイトウ・キネン・オーケストラとの演奏も評判が良いのでいつか聞き比べてみたい。

アナログの楽しさ

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(画像は「オーディオ回顧録」さんからお借りしました。)

ビクターのQL-A7が到着して以来、僕のオーディオはアナログ一色だ。レコードを聴くのがこんなに楽しいとは。昔、アナログを満喫していて今はデジタルになっている方はもちろん、僕みたいにアナログをかじっただけ、あるいはまったく触ったこともない人にもプレーヤーを買ってレコードを聴いてみることを自信を持ってお薦めしたい。最初は高級なカートリッジなんていらない。ある程度しっかりしたプレーヤーを固い土台に置くことができれば、CDで聴く音とは一味違う強くて温かい音が聞こえるはずだ。

僕が今、使っているカートリッジはオーディオテクニカのAT-F7というモデル。実売20,000円を切るMCカートリッジとしては最廉価クラスのものだ。アナログ上級者の方には笑われるかも知れないが、これでも十二分に高音質。それどころか実売半額のオルトフォン2M RedというMMカートリッジで聴いてもぜんぜんOKだ。デジタルの世界と比較してアナログの世界は悪い音→良い音という変化だけでなく、音色や音の目指す方向が違うことによる音自体の変化の度合いがとても大きい。この二つのカートリッジの音を比較して半額の後者の方が好みの音だと言う人がいても不思議でもなんでもない。解像力やSN比を極めるのではなく、もっと個性を楽しめるところがアナログの長所だと思う。

この音の変化が激しいというところがオーディオ好きにはまたたまらない。CDやSACDでもDACやクロック、それにケーブルやインシュレーターで音は確かに変わるが、アナログの音の変化に比べると変化量はわずかだ。瞬間的にスイッチを切り替えるような比較でもしないと変化がわからないことも多々ある。他方、カートリッジを替えたり、もっと微妙な針圧の調整でもアナログは音が変わる。あんまりころころ音が変わるので神経質に突き詰めようとするとノイローゼになりかねない。リラックスしていい加減に音を楽しむのがアナログの楽しみ方だと思う。これって音楽という漢字そのものではないか。

目下の悩みは欲しいものがありすぎること。何でもすぐ欲しくなってしまうのは昔から変わらないのだが、レコード関係のアクセサリーというのは今でも無数にあってしかも数百円から数千円で手に入るものが結構たくさんある。アナログ最盛期には相当裾野の広い産業だっただろうと思う。古いセミオートプレーヤーなので幸か不幸かプレーヤーに備えついたケーブル類やトーンアームの交換はできないのだが、すでに47研究所の豚皮ターンテーブルシート、オーディオテクニカのスタビライザー、オヤイデのカートリッジシェル、二つのカートリッジ、水準器、デジタル針圧系に加えクリーニンググッズを数々買ってしまった。

休みが明けたら頑張って仕事しなくちゃだ。

バルトーク「中国の不思議な役人」 : ブーレーズ

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これまたタイトルに惹かれて高校時代に購入したLP。英名はThe Miraculous Mandarinで邦題が「中国の不思議な役人」。このLPには割と丁寧な解説がついていてバレエの展開に合わせて音楽の説明があるのだが、ストーリーは???といった感じ。台本自体が不思議なものだ。実際にTVでバレエを見たのは15年後くらい。バレエも見ごたえがあったが、先にストーリーを知らないとバレエを見ても???という感じだ(笑)。

音楽はバルトークらしさ全開でとても面白い。バーバリズムと民族音楽の融合みたいな感じでオーディオ的にも楽しめる。ブーレーズが71年にNYPの音楽監督に就任直後の演奏であり、ブーレーズもNYPも気合十分の演奏だ。カップリングの「舞踏組曲」も名演。

このLP、クアドロフォニックという4チャンネルサラウンドで収録(記録)されている。今のところ、どうやってサラウンド再生するのかわからないのだが、おそらくカートリッジや針もそれ用のものがあるのだろう。いつか入手してオリジナルのサラウンド録音を再生してみたいものだ。ちなみにソニーのクアドロフォニック録音はステレオ再生にもなんら支障はない。

ブラームス ピアノ協奏曲第2番 : アシュケナージ

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アシュケナージがハイティンク/ウィーンフィルと82年に録音した演奏。アシュケナージにとって15年ぶりのこの曲の再録だがまだ45歳の時の録音である。にしては、良い意味でずいぶん成熟した感じの演奏である。

冒頭から悠揚迫らぬテンポで実にスケールの大きな演奏を展開している。ハイティンク/ウィーンフィルのバックがまた素晴らしい。アシュケナージのピアノは磨きぬかれた音色でじっくりとメロディを歌わせていく。ハイティンクとウィーンフィルも磨きぬかれた、しかし決して派手ではない音色で美しい演奏を聴かせてくれる。

時にピアノとオーケストラが一歩も譲らず対決するような演奏もある(それはそれで魅力的だが)が、この演奏ではアシュケナージもハイティンクも決して過剰な自己主張をせず、それぞれが溶け合い、一体化してメロディを紡ぎ出していく。もともと大曲であるこの曲をピアノ協奏曲ではなくピアノ付き交響曲として表現したような演奏だ。

デジタル初期の録音だが、音はとても良い。名盤だと思う。

あけましておめでとうございます。

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あけましておめでとうございます。
2014年が皆様にとって良い年でありますように。

今朝はちょっと頑張って茨城県の鹿島灘まで初日の出を拝みに行ってきた。途中、当初目指していた海浜公園の駐車場が満車で駐車できないというトラブルはあったものの、その近くの海岸で無事、日の出を迎えることができた。

良い天気でほぼ無風という絶好のコンディションの中、今まで見た中では最も完璧な形で太陽が昇るところを目撃。写真ではデジカメの望遠端が不足で肝心のお日様がずいぶん小さくなってしまったが、大洋に日が昇るさまはまさに壮観だった。

写真の右側に豆粒のように写っているのはサーファー達。この時期にしては暖かかったとはいえ、日が昇るずっと前から海に入っていた彼らにはなんとも頭が下がる。

この後、鹿島神宮に初詣して帰宅。なんとなく気分の良い元旦だ。
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