札幌出張

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久しぶりに出張で札幌入り。どれほど寒いかと恐れおののいていたが、本当に運良く暖かい。得意先まわりでコートを着ていられない状況でもそれほど寒くなかった。

到着後、すぐに市内で営業とスープカレーを食べた。やはり本場は美味しい。その店の前で適当に写した写真なので構図もへったくれもないが、当たり前ながらけっこう雪が積もっているのが伝えたかったので悪しからず。

北海道の得意先の皆さんはみな温かく、特に冬場に内地から出張すると歓待してくださる。話をしてても北海道愛に満ちていて、こちらもほっこりとした気持ちになる。

夜は会食。とても美味しい食事とお酒で大満足。
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シューベルト弦楽五重奏曲 : スメタナ弦楽四重奏団/サドロ

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シューベルトの弦楽五重奏曲は作曲者が世を去った年に作曲されているので最晩年の曲ということになるが、その時シューベルトわずか31歳。30代になったばかりの青年の曲とは思えない深みのある曲だ。室内楽曲全体に疎いが、この曲は例外的に若い頃から大好きである。

いつものようにディスクユニオンの500円以下コーナーで中古LPを発見した。スメタナ弦楽四重奏団はもちろん知っていたがサドロというチェリストは知らなかった。ライナーノーツで同じチェコの演奏家と知る。プラハの音楽院で教授をしている(していた?)らしい。

この曲の場合、チェロ2人というのがやはり肝で、ここにスター演奏家を呼ぶタイプの演奏もあるが、四重奏+ソリストといった感じになるとあまり芳しくない。サドロ氏がどのくらいチェコでスター奏者なのか皆目検討つかないのだが、仕上がりはスメタナ五重奏団という感じで完璧なマッチングである。いつも一緒に演奏しているのではないか、というくらい違和感がない。

全体的に清潔感溢れる演奏だ。スッキリとしているが冷たくない。きびきびとして清々しい。第2楽章なんてかなり早めのテンポだが、とても美しい。総じて意味ありげに重たく弾いたりしないところが良い。

録音は少し軽めだが演奏スタイルに合っていると思う。とても良い演奏である。

ClearAudio Smart Matrix

昨年末にレコードプレーヤーを購入して以来、レコードとCDを聴く割合は9対1くらいで完全にアナログ派になってしまった。たまにCDを聴くと圧倒的なSN比に感動するのだが、こと音楽を聴くという点ではアナログほど身が入らない。自分でも不思議な現象だ。

最近では世界的にアナログ回帰が進んでいるらしく、ジャズやロックについてはレコードの新譜も結構ある。しかし、クラシックについてはデッカ等アナログレーベルの企画物以外、新譜はほとんどない。したがって年明け以降購入したLPはほぼすべて中古である。新しくても80年代の製品であり、すでに30年選手ということになる。レコードを買ってきたら、まず盤面の掃除が必須となる。

今まで、精製水に薬用エタノールを少量混ぜた液体を霧吹きに入れ、これを盤面に吹きかけてガーゼでごしごし磨いた後、別のガーゼでふき取っていた。原始的なやり方だがまあまあ効果がある。エタノールを用いることについては盤面への長期的な影響で否定的な意見がある一方、汚れの除去やかび防止には有効らしい。しかし、エタノールを使うことの問題は肌が荒れることだ。個人差があると思うが、私の場合、指が荒れて痒くなってしまった。

手で盤面を磨きながらずっと気になっていたのがレコードクリーニングマシーン。そういうものがあることは承知していて実は前から欲しかったのだが、なんとも価格が高い。レコードに興味があります程度ではとても手を出せない価格である。しかし、今やかなりの時間をレコードと過ごしているし、ノイズが減るだけでなく針にも優しいということなら買う意味がある。最近は、どの製品をどこで買うか、真剣に考えていた。

レコードクリーニングマシーンにはpro-jectの製品のように手動でレコードを回転させ薬液とブラシで盤面を掃除し後は自然乾燥するものと、細かい手法の違いはあるがレコードを薬液とブラシで盤面を掃除した後に汚れた液体と埃をまとめてバキュームで吸引するものがある。さらにはこうしたプロセスがすべて半自動化されているハンルのマシーンのような高級機もあるのだが、ハンルの製品は50万円以上するのではなから検討の対象外。一方、手動の製品については、手作業と実質的に変わらないと思い検討から外した。

残ったオプションで製品を探すとおそらく一番人気があるのがVPIのHW-16.5という製品(定価134,400円)。ついでNITTY GRITTYというメーカーのBasicモデル(84,000円)。それに今回購入したclearaudioのSmart Matrix(176,400円)。どれも基本的な発想は同じ。それぞれ借りて試してみるのが一番なのだろうが、相当面倒である。いろいろネットで情報収集していたら、まさにこの三機種を比較したレビューを発見した。

Record cleaning round-up

結論として最も評価が高いSmart Matrixに狙いを定めて海外での購入先を探していた。個人輸入しようとおもうほどレコードクリーニングマシーンという製品は内外価格差が大きい。それぞれの国内定価は上記のとおりだが、アメリカの店ならHW-16.5が大体700ドル程度、NITTY GRITTYが500ドルくらい。clearaudioはドイツのブランドなのでアメリカでも1500ドルくらいするようだが、ヨーロッパならもっと安いだろう。ネット上でも私と同様、かなりの方が個人輸入している様子。

なかなか良い店が見つからないでいたところ、運良く国内のショップでsmart matrixの型落ち新品を発見した。型落ちと言ってもリンク先に紹介されている製品そのものである。この製品は現在モデルチェンジして名前もsmart matrix professionalとなっている。現行品は小振りになった以外、機能的にどう違うのかは良くわからない。多少の違いはあるにせよ新品が定価の半額で手に入る機会はそうないので迷わず型落ちの製品を買うことにした。

昨日、家に品物が到着したのだが実物はかなり大きい。まあ、写真を見れば真ん中にあるターンテーブルのサイズから全体の大きさをイメージできるのだが、現物の存在感は想像を超えている。置き場所一つとっても大いに困るサイズである。現行品が小さくなったのは大正解だ。

説明書を読むまでもなく、操作は単純。ターンテーブルにレコードを載せたら、付属の洗浄液をつけて回転させ、ブラシでこする。この製品はテーブルを逆回転できるので正逆二回転くらいずつこすったらバキュームユニットで液と汚れを吸い取る。これだけである。全工程で片面1分程度。バキュームはびっくりするほど大音量で、まさに掃除機と同じ音がする。ダイソンに勝るとも劣らないノイズレベルである。説明書には、長時間作業する際には耳を保護するようにわざわざ注意書きがある(笑)。たしかに音楽を聴くための作業で耳を悪くしたら洒落にならない。

それにしても、これが定価176,400円の製品とは恐れ入る。要するに掃除機付きターンテーブルである。日本の家電メーカーが量産すればもっと静かでもっと強力な同等製品がきっと10,000円で作れる。それとも人知れずすごいノウハウが詰まっているのだろうか?

ちなみに、この製品は消耗品も極端に高い。マイクロファイバーブラシが3,000円、交換用のマイクロファイバーが2,000円。それぞれ実にちゃちな代物である。さらに500ml入りの専用洗浄液が6,000円弱、バキュームアームに至っては12,000円!もする。形状的に専用品が必須と思われるバキュームアーム以外は代替品を考えたくなる。「そんなに文句言うなら買うな。」という声が聞こえそうだが、せめてもの抵抗としてここに不満を書き残しておきたい。

肝心の効果について言うと、これがまた(悔しいくらい)はっきりとノイズがなくなり静かになる。価格は高いが効果も予想以上である。今までかなりの力でごしごしこすっても除去しきれなかった汚れまでバキュームが吸い取ってくれるようだ。バキューム直後はまだ少し湿っているのでしばらく自然乾燥することがお薦めのようだが、そのままプレーヤーにセットしてもまず大丈夫。ほとんどの盤で新品並みにノイズから解放される。針を落としてから演奏が始まるまでのスクラッチノイズが少なくなったのでボリュームがついつい上がりがちになる。考えようによってはこの製品以上に音質改善効果が明らかな製品もない。

しつこいようだが、せっかく良い製品なので、国内でももっと安く売られることを期待する。

R・シュトラウス「ドン・キホーテ」 : セル

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セル/クリーブランド管/フルニエによる60年の録音。セル/クリーブランドのR・シュトラウスというと精密な一方でこじんまりとした演奏を想像してしまうが、この演奏はスケールも十分大きく、各変奏曲の描き分けが鮮やかで、もちろんオーケストラも物凄く上手いというほとんど完璧な録音になっている。

独奏者のフルニエともどもあざとい演出は皆無なので、もう少し癖の強い演奏が好きな方もいると思う。R・シュトラウスだし「ドン・キホーテ」だけにもっと遊び心があっても良いと思うが、それはそれ、この演奏は理性と知性と技術の結晶といった感じ。この曲の一つのスタンダードと呼べる演奏だと思う。

60年の録音ということはもう50年以上前の録音になるが、この当時のCBS/ソニー系に多い、ヒスノイズが多くても気にせずぎりぎり高い録音レベルの録音なので、弱音部から良く聴き取れ、音に不満はない。歴史的名盤だと思う。

メンデルスゾーン交響曲第3番「スコットランド」 : カラヤン

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カラヤンはベルリンフィルと70年代にメンデルスゾーンの交響曲全集を残しているが、実演ではほとんどメンデルスゾーンを演奏しなかったらしい。おそらく契約で全集を録音することになっていたのだろう。特に好きな作曲家ではなかったのかもしれない。

このLPも例によって中古だが、ジャケットに一目惚れしていわゆる「ジャケ買い」した。写真はかなり青味がかってしまっているが、実際はむしろ薄い紫色の空だった。もしかしたら写真がオリジナルに近く、実物が日焼けしてしまっているのかも。

「スコットランド」交響曲は好きな曲なのでどんな演奏か楽しみに聴いてみた。特に好きな作曲家でなくても(多分だが。。)、ほとんど演奏したことがなくても、そこは最盛期のカラヤン/ベルリンフィルである。一度しか行ったことがないが、実際のスコットランドの風景を思い浮かべると少し洗練されすぎ、かつ、日の光が明るすぎる気がするものの、素晴らしい演奏であることには変わりない。

特に第三楽章から終楽章は流麗かつベルリンフィルの優秀な合奏能力が堪能できる。なかなか楽しめる演奏だった。

LHH-P700(4)

LHH-P700が昨日、修理から返ってきた。土曜日には修理を実施した工房から販売店に戻っていたらしいのだが大雪のせいでデリバリーがままならかったようだ。それでも月曜日中に届いたのだから立派なものだ。都心の雪は融雪剤と交通量の多さでほぼ消えたが、田舎はまだまだ相当雪が残っている。この状況で配達に当たったヤマトの担当者もさぞかし苦労されたことと思う。

修理内容を見ると、「フォノ入力基板パターン修理・ハンダ補修、ライン入力基板ハンダ補修、プリアウト基板ハンダ補修、プリ増幅部ハンダ補修、各コネクター補修」とある。とにかくハンダを相当打ち直したようだ。腕に自信があればDIYでもできるのかもしれないが、自分には無理。保証が効いて何よりだった。

早速、繋いで音を確認する。LHH-P700が修理の間、V-LA1のフォノ入力で聴いていた時には別に不満を感じたことはないのだが、繋ぎ替えてみるとやっぱりかなり音が違う。P700の方がストレートで音の鮮度が高い。元気の良い音である。肝心のノイズレベルだが、修理前とは格段にノイズレベルが下がった。とはいえ、MCポジションでボリュームを上げるとそれなりにノイズがある。音楽が始まってしまえば気にならないのだが、結局、トランス経由でMMポジションに入れて聴く方が聴きやすい。何度か聞き比べた上でトランスを併用することにした。

販売店の担当者から途中経過としてこの製品がノイズに弱いと聞いたのでケーブルの引き回し方をいろいろ試してみた。最近、RCAケーブルにエフェメラケーブルを使用しはじめたのだが、このケーブル、シールドが透けて見えるほど薄く、見るからに外来ノイズに弱そうである。プラグを挿したまま(他の機材と接続したまま)ケーブルを手で持ち上げて動かしてみると明らかにノイズレベルが変わる。特に電源コードと交差したり接触するとノイズが大きくなる。P700の電源コードは直出しで付け替えられないので、できる限りケーブルとの干渉がないように注意が必要だ。プリアウトはラックの下段に向かうのでどうしても電源コードと干渉する。念のため、プリアウトはシールドのしっかりした別のケーブルを使うことにした。セッティングに注意すれば特に問題はない。

久しぶりに聴いてみるとこの小さなアンプの音の支配力の強さに改めて驚く。リモコンがないのが不便だが、それ以外は実に満足度の高いプリアンプである。

ペトルーシュカ : アバド

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アバドのストラヴィンスキーは「春の祭典」「火の鳥」と来て次が意外な「プルチネルラ」。二年後にこの「ペトルーシュカ」が録音されている。この順番でLPは発売されているが、録音は「火の鳥」が72年、「春の祭典」が76年、「ペトルーシュカ」が80年なので3大バレエ曲はちょうど4年ごとに録音されたことになる。

「春の祭典」は大好きな曲で一時手当たりしだいいろいろな演奏を聴いた中でアバドの演奏も聴いた。実に鮮烈でスマートなハルサイで膨大な数の録音が入手できるこの曲の中でも絶対外せない一枚だと思う。ハルサイに感心しながらアバドの「ペトルーシュカ」は今日まで聴いたことがなかった。アバドコレクションをまとめて手放した方のLPだと思うが、「春の祭典」とともに購入した。400円。

聴いてみてちょっと驚いた。私が今まで聴いた「ペトルーシュカ」の中ではこの演奏が一番良い。

まず全体の構成が実にしっかりしている。もともとバレエ曲であるこれらの曲は一つのテーマの中でリズムが適当に伸縮するのは本来おかしいと思うのだが、オーケストラ曲として面白く聞ける演奏の中にはそういうものが意外と多い。アバドの演奏は表情豊かに変幻自在な音を聴かせながら基本のリズムは一貫している。そのおかげで聴いていて安定感がある。

次に感じるのはオーケストラ各パートの音がすこぶる鮮明に聴き取れることだ。他の演奏では聞いたことのない内声部が聴こえてきてとても新鮮だ。加えて最初から最後まで本当にキレが良い。まだ40代の演奏だからというのもあるかもしれないが、この当たりはもう天性の素質なんだと思う。

とにかくあっという間に曲が終わる。退屈な部分は皆無。アバドの意図を明確に記した録音も大変良い。とても良いレコードに出会えた。

ブルックナー交響曲第5番 : ケンペ

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コンサートに行こうにも降り積もった雪のせいで車が外に出せない。予約していたゴルフ場からは明日までコース自体クローズの連絡が来た。ということでおとなしく家にいるしかなくなった。

以前、ブルックナーの交響曲第5番の思い出について記事を書いた。私が若い頃、名曲名盤的な本で推薦されていた5番の演奏がケンペ/ミュンヘンフィルだった。以来、30年近く、その演奏を聴いたことはなく、ここまで来たらあと20年くらい聴くのを待とうかと思っていたのだが、先週木曜日にディスクユニオンで中古LPを発見。今まで中古CDを見たこともなかったので、ここで買わないともう入手できないかもしれないと思い、その場で購入した。2枚組みで300円。人気なさそうである。

30年間の思いを込めて聴いてみた。まず驚いたのが冒頭部分の遅さ。朝比奈はおろかチェリビダッケよりも遅い。主部に入ると一転して快速。メリハリの効いた演奏だ。テンポは変われど演奏そのものは非常にオーソドックス。これみよがしな演出はなくどちらかというと淡々と進む。フレーズを引き摺らず軽く弾むような歌わせ方なので古い演奏だがモダンに聴こえる。第二楽章は非常に美しい演奏だ。オーケストラの音色も良い。この曲の終楽章、最後の盛り上がりは何度聴いても鳥肌が立つが、ケンペの演奏もなかなか素晴らしい。派手なところはないが聴き終えて満足感の高い名演奏だ。75年の録音だが、アナログ最盛期の録音なのでクオリティに不満はない。

5番にお気に入りの演奏がまた一つ増えた。

大雪

朝には雨になると思っていたが、雪が降り続いていた。



今日は群響のコンサートに行く予定で実家に戻ったのだが、庭先はこの有様。60cmも積もっている。手作りに毛が生えたような車庫が雪に耐え切れず天井が目に見えて垂れ下がってきたので、朝からまさかの雪かき。雪国に住んでいた高校生の時以来の体験である。久しぶりの雪かきによる腰へのダメージは想像以上だった(笑)。

だんだん雨に変わると同時に天気予報によれば今後関東地方では大雨、雷、洪水、竜巻、冠水に注意が必要だと言う。なんという冬なんだろうか。

ペレアスとメリザンド : カラヤン

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シェーンベルクの音楽は1921年以降、12音技法で作曲されるので個人的には難解でよくわからなくなってしまうが、それよりずっと前に作曲された「ペレアスとメリザンド」は前作「浄夜」と並んで後期ロマン派の色濃い親しみやすい大曲だ。

この曲の演奏の中でも私が昔から好きなのがこのカラヤン盤。R・シュトラウスと同様、大オーケストラによる複雑な曲を演奏したら全盛期のカラヤン/ベルリンフィルはやっぱり並外れて上手だと思う。実に美しく練り上げられた弦楽器の響きが特に良い。

LPはこの曲一曲のみの収録だが、CDは「浄夜」との組み合わせなのでさらにお買い得。他方、最近のブーレーズ盤も「トリスタンとイゾルデ」前奏曲とのカップリングで、これまた魅力的。いつか聴いてみたい。

また雪

関東地方は今日、また雪。千歳から会議で上京した営業部員が羽田に降り立って予想外の雪景色に驚いていた。交通機関の乱れを懸念してどうしても調整のつかない案件を抱える社員以外は退社命令が出たので早く帰ることができた。夕方の段階で高速道路はチェーン規制と通行止めとなり、ほうぼうに影響が出たようだが、幸い電車に乱れはなかった。

最寄の駅に降り立ってみれば一面の雪景色。先日といい、ここまで本格的に雪が降ったのは生まれて初めての経験だ。一冬で二回の本格的な積雪も記憶にない。

出勤、通学を考えれば、前回も今回も週末というのが不幸中の幸いなのだが、一方でせっかくの休みに限ってこんな天気とも言える。明後日はゴルフの予定が入っているのだが、さすがに無理かなあ。

ガーシュウィン「ポーギーとベス」 : マゼール

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ガーシュウィンのオペラ「ポーギーとベス」の3幕全曲盤。75年の録音でこのオペラの世界初の全曲録音だった。72年にクリーブランド管の音楽監督になったマゼールが同オーケストラと残した数多くの演奏の中でも間違いなく歴史に残る一枚だと思う。

「ポーギーとベス」は黒人音楽やジャズの影響を色濃く受けているが、ライナーノーツでマゼール自身は「この曲はオペレッタでもジャズでもブルースでもなくれっきとしたオペラである。」から「他のオペラのマスターピースと同じレベルのケアと情熱」をもって演奏した旨述べている。演奏はその言葉のとおりこの曲に対する強い思い入れを感じるもので、管弦楽も歌も合唱も非常に立派である。

3幕で3時間という大作なので全曲を通して聴くのはなかなか大変なのだが、冒頭から組曲で聴きなれたメロディに引き続き有名な「サマータイム」が歌われるし、ガーシュイン特有の親しみやすい音楽の連続なので退屈せずに聴くことができる。

初演後まだ80年だが、時代背景、社会背景が現代とかなり異なる上、差別の色濃く残る時代の貧しい黒人達の生活を描写したオペラなので、セリフや歌詞を通して登場人物の心情に思いを馳せるのはなかなか難しい。それでも充実した歌と合唱を聴いているだけで聴き終わった時の満足感は高い。

録音はすこぶる良い。デッカらしい鮮烈な音だ。

モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第3番、第5番 : ズーカーマン

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モーツァルトのヴァイオリン協奏曲、それも3番と5番と言えば有名曲なので名演奏は枚挙に暇がない。と思うのだが、今までこの曲を真剣に聴いたことがなかった。

世評にはグリュミオー、オイストラフ、クレーメル、ムターなどが名高いようだし、よく承知しないのだが、最近では古楽器演奏でも良い演奏があるようだ。そんな中、ネット上ではほとんど評価されていないズーカーマンの弾き振り盤のレコードを聴いた。発掘LPの中にひっそりとこのレコードがあったので。

手持ちのLPにはまったくデータが載っていないので調べてみると82年の録音らしい。デジタル録音である。ズーカーマンがヴァイオリンと指揮でセント・ポール室内管弦楽団の演奏。ズーカーマンがこのオーケストラの指揮者を務めていた頃の演奏だろうか。

どんなものかなと思って針を落としてみたが、3番の冒頭部分を聴いただけでこのレコードは気に入った。ズーカーマンらしいちょっと線の太い暖かめのヴァイオリン独奏に、これまたおおらかなオーケストラの音が重なる。(聴いたことがないのであくまで想像だが)グリュミオーの美音もオイストラフのスケールもクレーメルの切れ味もないものの、リラックスしてモーツァルトの天才を聴くにはちょうど良い感じ。

5番は曲自体がさらに面白いし、ズーカーマンのソロものびのびとしていてとても良い。楽しい演奏だ。

マーラー交響曲第4番 : マゼール

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最近、フィルハーモニア管との新しいマーラーチクルスを始めたマゼールがウィーンフィルと完成させたマーラー全集は、どの曲の演奏を取ってもなかなか曲者揃いで曲の最初から最後まで安心して聴ける演奏が少ない。その中でこの4番は例外的存在。最初に聴いた時から、ウィーンフィルの優しい響きとちょっとゆっくりとしたテンポが相まって抗い難い魅力を感じた。

細かいところでいろいろ工夫を凝らした演奏だが、全体を通じた雰囲気はジャケット写真の通り。柔らかで暖かくて、非現実的で全部夢のようである。まさに天上の音楽だ。演奏は3楽章の最後まで時間をかけてゆっくりピークを築いていく。終楽章ではバトルの歌がまた夢の世界に誘う。可憐な歌が聴ける。

わかりやすい灰汁の強さを期待すると肩透かしにあうこと間違いなしの演奏。そこがまたマゼールの一筋縄ではいかないところだと思う。

最強音でもうるさくならない聴きやすい録音。演奏、録音、ジャケットが見事にシンクロしている。

マーラー交響曲第3番 : アバド

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結局、土日で2番、3番、5番とすべて聴いてしまった。ベルリンフィルとの再録やその後のルツェルンとの録音が出て以来、最初のマーラーチクルスの評価はかつてのように必ずしも高くないと思うが、久しぶりに一つ一つ聴いてみるといずれも非常にレベルの高い演奏であることがわかった。

3曲とも素晴らしい演奏だったが、個人的には最後に聴いたこの3番の演奏に最も感銘を受けた。特に終楽章は実に良い。じっくりとしたテンポでどの部分を切り取っても本当に美しい演奏だ。いくらでもスペクタキュラーに演奏できそうな曲だが、アバドはむしろ抑制的な表現で最後まで進む。そして最後にとても大きなフィナーレを造るのだが、この部分、最高である。あまりに良かったので終楽章だけ2回聴いてしまった。

HMVでのレビューを見るとフィナーレでティンパニが弱いことについて批判がある。確かに今まで聴いた演奏の中で最も小さな音かもしれないが、その代わりここでの金管の輝かしさ、オーケストラ全体のパワーはすさまじい。ここでティンパニを炸裂させて他の楽器を覆い隠さないところが若者らしくない若きアバドの良識なんだと思う。いずれにしてもそんな細部にこだわる必要もない名演だ。

5番と同じ80年の録音だが、こちらはデジタル録音。解像度が高くウィーンフィルの妙技がクリアに聴き取れる。

LHH-P700(3)

点検修理に出していたLHH-P700の途中経過についてショップから連絡が入った。

すでにフィリップスは修理に対応していないため、修理はショップが提携する神奈川県の某修理工房で行われているとのこと。

MCポジションのノイズはやはり仕様の範囲外のレベルだったそうでこの部分の修理に加え、入力セレクターの接点不良の修理と全体的にハンダ浮きがあったのでハンダのし直しという内容。保証期間だったので費用は発生しないが、修理費用は数万円コースになりそうだ。

ハムノイズの話をしたので工房でいろいろ試してくれたようだが、このアンプ、電源環境に敏感で、電源ケーブルやアナログケーブルの取り回し、プラグの素材によってもノイズが発生することが確認されたとのこと。あまり高級な金属のプラグは逆効果で、むしろ安いプラスティックのプラグが良いとおしえていただいた。

こういうところ、アンプの裸特性が良いことの裏返しでもあるのだが、機材をたくさん繋ぐ場合にはかなり悩ましい。

担当の方は非常に親切でとても助かった。先日のDA-7050Tと同じショップだが、こういう対応をしてくれるとまた購入しようという気になる。

マーラー交響曲第5番 : アバド

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朝からの雪がまだ降り続いている。この場所で日中休みなく雪が降り続いたことは過去記憶にない。誰にも触られていない庭の雪はすでに20センチ近く積もっている。このまま行けば明日の朝には雪だるまが作れそうだ。朽ちかけている我が家の物置は一晩大丈夫だろうか?

「復活」に続いてアバド/シカゴ響の5番を聴いた。80年の録音。末期のアナログ録音である。

「復活」の録音から4年後になるが、すでにマーラーの大家として自信に満ち溢れた演奏に感じる。決して急ぎすぎることのないテンポで表情豊かに演奏しているが、特にリズムと間の取り方が鮮やかで、メロディの歌わせ方も素晴らしい。シカゴ響の機能を最大限活かしつつ、決して外形的にならずに深い演奏を聞かせてくれる。

今まで第3楽章があまり好きでなかったのだが、この演奏で聴くと実に面白い。くるくると表情を変えながら一気に聴かせてくれる。4楽章アダージェットも素敵な演奏だ。

少しドライでデッドだが、結果として歯切れの良い録音となっている。

マーラー交響曲第2番「復活」 : アバド

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関東地方、今日は大雪である。大雪警報が出るのは13年ぶりという。まあ、大雪といっても雪国の人にとっては笑ってしまうような雪である。我が家の積雪実測5センチ。

今朝、目覚めた時にはすでに積もっていたが、今もまだ降り続いている。雪のおかげで休日出勤の予定がキャンセルとなった。考えてみれば久しぶりにゆっくりできる。雪に感謝。

アバドが亡くなったことと関係あるのかわからないが、昨日の帰りがけにディスクユニオンに寄ったらアバドのレコードが割とまとまって新入荷コーナーに並んでいた。いろいろと目移りしたのだが、結局、手持ちのCDと重ならないマーラーの旧録から2番、3番、5番を購入した。

アバド/シカゴ響の「復活」は1976年、アバド一度目のマーラー交響曲全集の最初に録音された演奏。アバドが43歳の時の録音だが、ライナーノーツによればさらに10年以上前の1965年にアバドはこの曲をウィーンフィルと演奏して絶賛され、ウィーンフィルも若干32歳のアバドに並々ならぬ才能を見出したとあるので、ずっと若い頃から得意にしていた曲なのだろう。

演奏はこの曲の模範的演奏と呼ぶのが相応しい実にしっかりしたもの。激しいところは激しく、静かなところは美しく、テンポをとってもメロディの歌わせ方をとってもおよそ不満に感じるところがない。それが不満だと言う人もいると思うが、とてもハイレベルな演奏だと思う。シカゴ響のパフォーマンスも完璧だし、LPで聴く限り録音もクオリティが高い。万人にお薦めできる素晴らしい演奏だ。

YAMAHA HA-1

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2000年代後半に製造されたDA-7050Tが壊れたにもかかわらず、懲りずに70年代終盤に製造された電気製品を買った。アナログ全盛期に製造されたYAMAHAのHA-1。フォノイコライザーの前段に使うMCヘッドアンプ。

YAMAHAのオーディオ製品特有の直線的なデザイン。電源スイッチレバーも入力選択のつまみも昔懐かしい。YAMAHAは最近ピュアオーディオ製品を積極的に販売していてデザインも先祖帰りしているが、ご先祖様の方がスタイリッシュだと思う。細長いデザインで小さいが塊感があって良い佇まいである。この時代のものだから直出しの電源コードは例えばオーブントースターの電源コードと変わらない細くて頼りないものだし、入出力の端子もごく普通。

KP1100にはMCカートリッジ、QL-A7にはMMカートリッジを付けていたが、オルトフォンのMCカートリッジの一部が生産完了に伴い特価になったのでMC30Wを購入し、KP1100に付けた。交換したAT-F7をQL-A7に装着してV-LA1で聴くためにはトランスかヘッドアンプが必要になる。すでにトランスは持っているのでヘッドアンプの音も聴いてみたいと思って探していたところ見つけたのがHA-1だ。同じ店にLuxmanのCX-1も並んでいて外観はこちらの方が綺麗だったが、入力インピーダンスを切り替えられるHA-1と比べ、CX-1は利得しか切り替えられないので前者を選んだ。

早速繋いでみる。トランスを入れるのと同様、ヘッドアンプを入れてアンプのフォノポジションを選択する場合、ノイズフロアは十分低い。現在修理中のLHH-P700にせよ自宅試聴したNagraのBPSにせよ我が家の環境では残留ノイズの大きさが気になったのだが、こうなると単体のMCフォノイコライザーは不要かもしれない。MM専用フォノイコライザーか、選択可能であればアンプにMM入力カードを足せば十分かも。

AT-F7の内部インピーダンスは12Ω、ヘッドアンプの推奨負荷抵抗は100Ω以上とされている。他方、HA-1の入力インピーダンスは10Ωと40Ωの切り替え式。どちらにしても完全なマッチングとは行かないので耳で確かめるしかない。まず10Ωで接続してみる。

非常にスッキリとした見通しの良い音だ。比較するとトランスの方が厚みが出るが(たぶんそのせいで)高音域がどこかスッキリ抜けきらない。加えてAT-F7+HA-1+V-LA1の音はけっこう美音系だ。解像感を少し緩めて聴き疲れのしない音が出てくる。

ついで40Ωで接続する。この場合、利得が大きく下がるのでV-LA1のヴォリュームをかなり上げないと同じ音量にならない。ロー出し、ハイ受けを基本とすればこちらの接続の方が良いと思うのだが現実はそうでもなく、聴感上10Ωの方が好ましいのでしばらくは10Ωで接続してみることにしよう。

DENKEN DA-7050T(2)

昨年10月に購入したDENKEN DA-7050Tだが、実は先月中旬故障したため購入店に修理に出していた。いつもと同じように音楽を聴こうと思って電源を入れたところ、パンという音とともに火花が飛んでAlarmライトが点灯し、電源は入るものの電源供給が不能になった。

DA-7050Tは使用中、けっこう熱くなる。上部は冷却のため全面にスリットが入っているのだが、故障した瞬間、そこから火花が飛び出たので結構驚いた。こうなるとクリーン電源供給とか言ってる場合ではない。火事にでもなったらそれこそ一大事である。早速、購入店に連絡し、メーカー修理となった。

もしかすると再起不能かとも思ったのだが、時間がかかったものの、先週末に修理から戻ってきた。明細によると電源スイッチ基盤の交換とある。どうやら心臓部が壊れたのではなく、その前段のスイッチ部分が壊れただけだったようだ。原因については内部に蓄積したほこりではないかと書かれている。スリットから中に入ったほこりのせいでショートしたということだろうか?傷一つなくきれいな製品だったのだが、外観にかかわらず古い製品は要注意だ。

基盤交換と合わせてメーカーで機能検査も行われ合格だったので、ひとまずしばらくは安心して使えそうだ。同じことを繰り返さないためにもこまめに部屋の掃除をしよう。

モーツァルト交響曲第40番、第41番「ジュピター」 : ブリュッヘン

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このブログにリンクさせていただいているakifuyu102さんのブログ「音楽いろいろ 鑑賞日記」でブリュッヘンの演奏が絶賛されていたので興味を持っていたところ、ディスクユニオンでこのCDを中古で発見し購入した。もう昨年末のことなのだが、折りしもレコードプレーヤーが届いた頃だったので、購入以来、ずっと聴く機会がなく、今日、ようやく聴いてみた。

40番の冒頭から、私が先入観として抱いていたつまらない古楽器のイメージとはまったく違う演奏であることがわかる。奏法と編成から透明感が高く清潔な印象を与えつつ、同時に実に熱い演奏だ。強弱もテンポも非常に表現の幅が大きく、指揮者の身振り手振りが浮かんでくるようだ。

ライナーノーツを読んで初めて知ったのだが、ブリュッヘンと18世紀オーケストラの録音は、彼らが年2回行うコンサートツアーの最後、オランダでの帰国コンサートのライブ録音のみらしい。なるほど、この演奏全体に漲る緊張感と高揚感も納得である。ライブ録音とはいえ演奏は磐石。最後に拍手がなければわからないほど背景も静かである。

40番の演奏はこのコンビとして最初の録音だ。85年に録音されている。当時は雨後の筍のように古楽器演奏が登場していた時期に当たるらしいが、その中でもこの演奏はきっと驚きをもって迎えられたに違いない。

41番は古楽器演奏に対するステレオタイプを笑うようなゆっくりしたテンポで始まる。これまたかなり濃い表情である。そして実にスケールの大きい演奏だ。演奏の迫力はモダンオーケストラを完全に超えている。壮大な演奏である上、リピートを省略していないので、「ジュピター」が通常にもまして大曲になったように感じる。これは軽い気持ちでちょっと聴くことの許されない演奏である。最後の最後まで一瞬の緩みもないまま大きなフィナーレを迎える。満場の拍手も納得の凄演だ。

あまりに凄い演奏すぎて聴き終えて疲れてしまった(笑)。

ストラヴィンスキー「春の祭典」 : ソヒエフ

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トゥールーズ・キャピトル管弦楽団の音楽監督を2008年から務めるソヒエフが2011年に録音したCD。CDは「火の鳥」組曲との組み合わせでおまけとして「春の祭典」のDVDがついている。ずいぶん前に輸入盤を購入したのだが、昨年の12月に国内盤が出たようだ。

ソヒエフは1977年生まれだからまだ30代である。録音の段階で34歳。非常に若い指揮者だが、音楽は粗野なところがなく、丁寧に展開する。若者らしく、早めのリズムを刻むが、外面的効果を狙わず、全体としてしっとりと落ち着いている。

フランスのオーケストラだからか録音のせいか響きが軽やかで、オーケストラの分厚い迫力には少々欠ける。この当たり評価が分かれそうだ。「火の鳥」組曲ともども佳演といった感じ。録音は良い。

ブラームス交響曲第2番 : ベーム

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先日、1番の記事を書いたベーム/ウィーンフィルの全集から今日は第2番を聴いた。第1番同様に実に気合の入ったウィーンフィルの弦が良い。力が漲った演奏だが、強奏時にも下品にならない金管もいいし、木管の響きは非常に綺麗だ。とても誠実な音楽の運び方に感じる。なんというか不器用な感じである。もう少しホールトーンが有った方が滑らかに響いてくれそうだが、きっとこれがベームの好みなんだろう。

それにしてもこの演奏、ウィーンフィルの音色が最高である。第2楽章なんて本当に普通の演奏だと思うのだが、響きの良さで聴き手を唸らせてしまう。最終楽章まで折り目正しい正統派の演奏だ。



NAGRA BPS

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ハイエンドメーカーの中でもNagraの製品はそのコンパクトなサイズとメカニカルな外観が特徴的だ。プリアンプやCDプレーヤーも実に小さい。アルミの外装は品があって安っぽいところが皆無。まあ、その価格を考えれば当たり前かもしれないが。基本的に100万円以上コースの製品しかない中でフォノイコライザーのBPSは定価が30万円弱。普通に考えればこれでも超高額製品であるが、新品でも何とか買えるかなと思える製品はこれしかない。

一度実機を聴いてみたいと思っていたところ、懇意にしているオーディオショップの好意で自宅試聴させてもらえることになった。経験上、自宅試聴は非常に危険なのだが、なかなかこういうチャンスもないので借りてみた。

この製品、特徴的なのが乾電池駆動である点。外部電源も接続可能だが、基本はスタンドアローンの9V乾電池駆動である。微弱な電力を扱うフォノイコライザーなのでAC電源から切り離されることにはメリットがあるのだろう。この製品以外にも例えばSutherlandのPhDやPh3Dは単一乾電池16本!で駆動するし、Trigonのようにバッテリー駆動用外部電源を用意するものは多い。

実機を手にすると本当にコンパクトだ。縦横ははがきとあまり変わらないサイズ。高さもないのでKP1100の真下に隠してしまうことすらできる。同じ価格帯のフォノイコライザーは典型的なオーディオコンポサイズのものが多いのでこんなに小さくて本当に大丈夫なのかと思ってしまう。逆に言えば、なぜ他のフォノイコはあんなに大きい必要があるのだろうか。

とにもかくにも音を聴いてみた。抵抗を入れ替えることで負荷インピーダンスが変更できるが、デフォルトの100Ω(これが最小負荷である。)で良いのでそのまま聴く。なお、MMにも対応しているが、蓋を開けてジャンパーピンを自分で差し替える必要があるので、頻繁に切り替えるのは非現実的。一度セッティングしたら基本的に設定変更しないことが前提の機械だ。

乾電池駆動なのでさぞSN比が高いだろうとおもったのだがMCポジションにするとそこそこノイズがある。もちろん修理中のLHH-P700とは比べるまでもなく小さなレベルであるが、どうやらフォノイコのMCポジションというのは多かれ少なかれノイジーなもののようだ。ちなみにこんな小さな筐体だがBPSはトランスを内臓していて、まずトランスで増幅した後さらに出力レベルを上げているということだ。

交響曲、室内楽曲、ジャズ、ロックと一通り聴いてみた。小型の精密機械みたいな外観だし電池駆動なのでどちらかというと繊細な線の細い音を想像していたのだが、予想は良い意味で裏切られた。意外と低音も豊かで元気が良い。元は業務用機器のメーカーだし、真空管アンプを得意とするだけあって、押し出しの良い音である。とはいえゴリゴリとした感じやねっとりした感じではなく、カラッとスッキリしている。音楽のジャンルを問わず楽しめる音だ。とても良い音だが、ネックはやっぱり価格か。これだけの金額となると選択肢はかなり広がるし、他にも聴いてみたい製品がたくさんあるので、今回の購入は思いとどまった。

メーカーによるとBPSの乾電池は100時間で交換が必要ということだ。毎日一時間レコードを聴いても9V乾電池一本で3ヶ月は持つ計算になるが、電池交換が面倒くさい場合、6-10VのAC/DC変換ケーブルさえあれば普通にコンセントからの電源でも駆動できる。入力端子もごく普通のものなのでPCオーディオ用途で販売されている強化電源が活用できる。実際、手元にあった9Vの強化電源を繋いだところ何の問題もなく使えた。

それにしても、この機械の佇まいはなんとも言えず魅力的だ。このくらいの性能、日本のメーカーがその気になれば技術的には容易いと思うので、こういう格好良い機械が日本からも出てきてほしい。

SM-SX10(14)

最近、このブログを訪ねてくれる人が多いなと思って検索ワードをチェックするとSM-SX10がプチブームのようだ。なぜ突然と思ったら現在、ヤフオクにSM-SX10が出品されている。なるほどそれで皆さん、ネットでいろいろ調べているうちにこのブログを見つけてくれるらしい。

現在の出品はフルノーマルのSM-SX10だがこの記事を書いている段階で最高入札額が10万円を超えている。いやはやすごい。最近では中古も出物が少ないのかな。あまり使わなくなってしまったが、大事にしよう。

SM-SX10について最後に書いた記事がアナログ端子につないだ時の残留ノイズの話だったが、結局、ショップに相談もせずそのまま使い続けている。ボリュームを12時以上に回さなければまったく気にならないし、そもそもiLinkで繋げば本当に静かだから。

ただ、フォノ入力がないので、LHH-P700が修理中の現在、レコードが聴けないのが残念。もっぱらSCD-DR1からSACDを直接受ける時にのみ使用している。

NmodeのX-PM10とかX-PW1は聴いたことがないのだが、察するにSM-SX10とかSM-SX100と同一線上の音がするのではないだろうか。1ビットだし設計者も同じなので。SMシリーズは経験上、故障が多い。(過去所有した100も200も10も故障した。)修理のことを考えると現行品の方がお薦めかもしれない。余計なお世話ではあるが。

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