さよなら2014年

今年もあと2時間くらい。思い返せば2014年は実にいろいろなことがあった一年だった。

仕事では、海外出張の多い一年だった。3月のヴェトナム出張を皮切りに8か国、計10回。きつかったが初めて訪れた国が多かったし、終わってみれば思い出深い。趣味についていえば、なんといってもアナログの復活。熱を上げすぎてずいぶん散財してしまったなあ。反省反省。

このブログにもずいぶんたくさんの方が訪れてくれるようになった。遊びに来てくれた皆さま、ありがとうございました。

来年が今年以上に素晴らしい年になりますように。

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サン・サーンス交響曲第3番「オルガン付き」 : デュトワ

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今日も朝から青空一杯、とても良い天気だった。大掃除というほどのことはないが、大晦日なので窓拭きをした。一年間、ほとんど気にしたこともなかっただけにかなりの汚れ具合。。拭いた後は見違えるほど綺麗になった。うーん、気持良い。

窓拭き終了後、最初に聴いたCDがサン・サーンスの「オルガン付き」。デュトワ/モントリオール響の演奏でピアノ協奏曲第2番との組み合わせ。

「オルガン付き」はやはりなるべく録音が良くて壮麗な演奏で聴きたい。このCDはその点文句なし。デュトワの下、全盛期のモントリオール響がしなやかに上品な響きを聴かせてくれる。オルガンの音もとても良い。素敵な演奏である。

打ち納め

身内がインフルエンザを発症し、自分も昨日の晩はやたら寒気がしたので真剣に心配したのだが、目が覚めてみると特に問題なし。ということで、昨日と打って変わって穏やかで暖かだった今日は今年最後のゴルフに行ってきた。

そう言えば、昨年は大晦日までゴルフをしたことを思い出した。大晦日なのにゴルフ場の混雑ぶりに驚いたのだが、晦日の今日もゴルフ場は大賑わいであった。スタートホールで震えるのは嫌だったので遅い時間を選んだが、結果、スタートホールからティグランドでずいぶん待つことになってしまった。上がってきた時には日没寸前。

スコアは相変わらず進歩なし。これだけゴルフが好きでこれほど上達しないのも珍しいと自分では思うのだが、楽しければ良しとしていることが上達の妨げになっているのだろうか。

でも、一年間、大きな病気もケガもなく無事に終えられそうなことに感謝しなくては。来年も楽しくゴルフができますように。

ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付き」 : クリュイタンス

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今年の年末はどの「合唱」を聴こうかと迷った末、取りだしたのはクリュイタンス/BPOのベートーヴェン交響曲全集。このボックスセット、5枚組CDで1,400円という破格のベートーヴェン全集だが、ステレオ初期の録音にも関わらずびっくりするほど音が良いし、演奏も素晴らしい。

僕はクリュイタンスと聞くとラヴェルの管弦楽曲集がすぐに頭に浮かぶ。パリ管になる前のパリ音楽院管弦楽団と録音した管弦楽曲集は高校時代から数えきれないほど聴いた。ミュンシュ、マルティノン、ブーレーズ、デュトワといった指揮者のラヴェルもそれぞれ良いが、結局、最後に戻るのはクリュイタンスの演奏だ。この人のベートーヴェン交響曲全集はベルリン・フィルにとって初めての全集だということは知識として知っていたが、この組み合わせで「合唱」を聴くのは実は今日が初めて。ラヴェルの印象が強すぎて、「英雄」や「合唱」のイメージが沸かなかったのだ。

聴いてみてすぐにまたまた勝手な思い込みを反省。格調高く硬派なベートーヴェンである。年代を考えると録音は文句なしに良く、BPOの音色はどこか鄙びた感じで歴史を感じさせる。カラヤン時代とは違う、フルトヴェングラーの録音で聞こえるBPOの音がする。フルトヴェングラーがステレオ録音していたらこんな音がしたかもしれない。

演奏は緊張感の高い第1楽章、ティンパニの響きが印象的な第2楽章、弦楽器が美しい第3楽章と来て、最終楽章を迎える。さすがに合唱まで入る最終楽章では最新録音のようには行かず、ダイナミクスが厳しい部分もあるが、全体の造形が見事な演奏が聴ける。加速して終わる最後の部分も聴きごたえがある。歴史的な名盤だと思う。

マーラー交響曲第5番 : 小澤

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バルトークに続いてマーラーの5番を聴いてみた。

小澤征爾のマーラーは若き日のボストン響との演奏が素晴らしく良く、そのイメージで全集のほかの曲も聴いたことがあるが、芳しい記憶はない。とはいえ、今までじっくり聴いたこともない。この5番は90年の録音。

冒頭から非常にデリケートな印象の演奏。70年代の演奏から比べると小澤征爾の指揮はずいぶんスローペースになっているが、大家が晩年に老いてテンポが遅くなるのとはかなり趣が違う。細部が実に丁寧に扱われていて一つ一つのフレーズにじっくり時間をかけている感じだ。特に弦楽器の表情が豊か。弱音部にその印象が強い。

対位法の処理と内声部の取扱いに非常にこだわっているせいか、ほかの演奏ではあまり気づかない楽器の音が良く聞こえる。録音がもっと鮮明だったらなお面白かっただろうが、これ以上ディテールが聞こえてくると全体の流れがよくわからなくなってしまいそうだ。

繊細の極みのアダージェットを終えると爽やかな終楽章を迎えるが、ここでもフーガの扱いがとても面白い。最後は盛大に終わるが終わるや否や大きな拍手が鳴り響く。ライブ録音だったことが驚きの正確な演奏である。

ユダヤ系の濃い表現とは明確に一線を画した名演奏だと思った。

バルトーク「中国の不思議な役人」 : 小澤

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「小澤征爾の芸術」は16枚組のボックスセット。今の価格は4,330円。これも実にお買い得なセットである。フィリップスとグラモフォンに残された録音から選ばれているが、ボストン響就任直前の演奏からサイトウ・キネン・オーケストラを演奏したものまで録音年代は四半世紀に及び、オケは5つ、選曲も多岐に渡っていて全編なかなか面白い。

一枚目のCDはバルトーク。オケコンと「中国の不思議な役人」が収められている。オケはボストン響、94年の録音。オケコンはライブ録音で拍手入り。終結部が初演バージョンとのことで聞きなれたバージョンに比べるとかなり唐突に終わる。

「中国の不思議な役人」はセッション録音。組曲よりも圧倒的に良い全曲版である。小澤の指揮はどちらかというとあっさりで端正というイメージがあるが、この演奏はそれが勝手な思い込みであったことを教えてくれる。快速に演奏されることが多いこの曲だが、基本のテンポはゆっくり、リズムも粘っこく、表現は終始濃い。それでいて細かいところまでオーケストラのテクスチュアが透けて見えるようだ。暴力的な迫力はないが、これはこれで良い演奏だと思った。

ベートーヴェン交響曲第5番 : カラヤン

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カラヤン/BPOは映像も入れると5回もベートーヴェン交響曲全集を録音しているが、この5番は62年、最初の全集の一枚として録音されたもの。このLPはVINYLE PASSIONレーベルで販売されているもので、リマスタリングされているようだ。

62年と言えばもはや50年以上前の録音になるが、昨日録音されたものですと言ってもまったく違和感のないスピード感溢れる演奏だ。若い頃と言ってもカラヤンはこの時点ですでに54歳になるが、もっとずっと若々しく感じる。30代で大オーケストラを自信たっぷりに指揮するマゼールも凄いと思ったが、50代でまるで20代の青年指揮者のような瑞々しい演奏を聞かせるカラヤンも凄い。この頃のドイツにおけるベートーヴェン演奏のスタンダードから見たら実に画期的な演奏スタイルだったのではなかろうか。

完成度の高さからカラヤンは70年代が一番かと思っていたが、60年代の演奏も素晴らしい。

チャイコフスキー「くるみ割り人形」(抜粋) : オーマンディ

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「くるみ割り人形」は物語の設定がクリスマスイブの夜ということもあって、欧米では(日本でも?)クリスマスシーズンの定番。この時期、日本で言えば「第9」のようにあちこちでバレエやコンサートが行われる。

この曲の原作はホフマンによる「くるみ割り人形とねずみの王様」という童話。原作を全部読んだことはないのだが、あらすじを読むと単に幻想的なだけでなく、なんとなく不気味で空恐ろしい感じの話だ。童話や昔話というのは子供達に対するしつけや教育の要素を含むせいか、古今東西、冷静に考えてみると残酷で厳しい話が多い。くるみ割り人形のメタファーが意味するものが何なのかはよくわからないが、いずれにしてもファンタジックな音楽から連想するよりも複雑な話のようである。

オーマンディ/フィラデルフィア管によるチャイコフスキーのボックスセットには3大バレエの抜粋盤が含まれている。録音は70年代、RCA時代のものだが、これらの演奏に全曲盤が存在するのかどうかは定かでない。できれば全曲盤が良いのだが、交響曲、協奏曲全部に加えて3大バレエの抜粋も付いて12枚組が3,000円しない金額で買えるのだから文句は言えない。LP時代には廉価盤2枚組でこの金額だった。

演奏はいつものとおり、素晴らしいの一言に尽きる。ちょうど良いテンポ、ちょうど良いダイナミクス、オーケストラは完璧、音響も完璧。この名人芸が立派すぎてつまらないという人もいるようだが、それをオーマンディ/フィラデルフィア管のせいにするのは間違っていると思う。この演奏に不満がある方は作曲者であるチャイコフスキーに文句を言ってください(笑)。

ESL63 proのセッティング

ESLを購入して3か月。まだ3か月しか経っていないと考えるとちょっと驚き。毎日のように向き合っているのでもうずいぶん長い付き合いのような気がする。前にも書いたが、僕の部屋にこのスピーカーはかなり大きい。先日、久しぶりに遊びに来た妹夫婦は「衝立」と呼んでいたが、確かにそんな感じだ。隣の部屋に続く扉側にスピーカーを置いているので出入りにも少々邪魔である。おまけに左右のスピーカーの間には、右側のスピーカーに寄せてCW250Aが置いてあり、都合三本の電源ケーブルが6口の電源タップから延びているのでまさに足の踏み場がない。ESLで検索すると素敵な応接間に余裕をもってセッティングされた写真が並んでいる。うらやましい限りである。

僕の部屋はごくごく普通の長方形で天井も標準の2.4mしかないので壁に平行にセッティングすると盛大に定在波が発生してしまう。だいたいスピーカーから試聴位置までが1m強しかないので、そもそも平行セッティングは無理がある。ということで、導入当初から多少の内振りにしていた。

ESLの前に所有していた通常のダイナミック型のスピーカーとは鳴り方が全然違うので、まずはこのスピーカーに馴れるため、導入後、しばらくはセッティングを変更せずにじっと聴いていたが、だいたいどんな曲がどんな風に鳴るか感覚が掴めてからはソファの位置を前に出したり後ろに下げたり、スピーカーと壁の距離を開けたり詰めたり、左右のスピーカーの間隔を変えてみたりといろいろ試してみた。

ムラタのツィーターとサブウーファーも併用しているので、これも外したりまた付けたり。ツィーターを置く位置を内寄りにしたり外寄りにしたり、細かく前後位置を変えたりと神経質に実験してみた。スーパーツィーターが再生するような高音域は波長が短いのでそれこそミリ単位で調整が必要という記事をけっこう目にするのだが、僕の駄耳には残念ながらミリ単位では違いがわからないようだ。ただツィーターの位置を中央からオフセットしたり、ESL本体と違う向きにした時にはステレオイメージの点で違和感を感じたのでESLと同じ向きで中央にセットしている。

サブウーファーの方はいまだに迷いがあって電源を入れたり落としたり、時には完全に外したりしている。オーケストラ物を聴く時にはやっぱりある方がバランスが良いのだが、多少低音が足りなくてもサブウーファーなしの方がすっきりと透明感があって良いと思う時もある。曲によってかなり印象が違うので、本当は録音ソースによってこまめに調整しなおす方が良いのだろう。真剣にやるならソースごとに設定を記録すべきだろうが、そこまでいくと面倒くさい。音楽を聴くことが二の次になってしまいそうなのでそこまではしないことに決めた。

最後まで悩んだのがESLの内振りの角度なのだが、最終的にはかなり内振りにした。ソファに座っている時の膝の位置よりも少し前で交差するくらいの内振りなので、頭の位置では完全にクロスしているが、この振り方の時が一番スピーカーの存在を気にせずに済む。左右のスピーカーの真ん中にきちんと奥行を持って空間が広がる。こんなにクロスにしてなぜきちんとステレオイメージができるのか理屈がわからないのだが、結果は明らかに良い。こうすることでスピーカーの背面は部屋のコーナーを向くが、結果的には最も距離を稼げるのでそれも悪くないようだ。

チャイコフスキー交響曲第一番「冬の日の幻想」 : ハイティンク

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今日からSOHO。完全な冬休みではないが、出社する必要もない。ということで、自宅でのんびり。ハイティンクのチャイコフスキー交響曲全集から「冬の日の幻想」を聴いてみた。

いやあ、これも良い演奏だ。オーケストラのコントロールは完璧、テンポも良いし、歌わせるところ、アップテンポで進むところのメリハリも控えめながらきちんとしている。コンセルトヘボウのちょっと暗めの音色がチャイコフスキーには良く合う。

ハイティンク、良いなあ。

ESL63ProとEvanui μ

導入初期に故障続きだったESL63は最近、大きな問題もなく順調に稼働している。厳密に言うと電源投入後一時間くらい、二台のうち左側スピーカーに使用してる個体が不定期にノイズを発することがあるのだが、その後はまったく静かになる。このノイズは前にも書いた「薄い紙を破いた時のような音」なのだが、原因不明、正体不明である。最初は振動膜が破れているに違いないと思っていたのだが、ノイズが一日中まったく出ない時もあり、もしかしたらこれも電源由来の問題か?とも思う。いずれにしても実用上は問題ないのだから良しとしよう。

しばらくの間、ESLを押しのけて主役に座っていたEvanui μだが、今はベンチを温めている状態。キレの良い中高音は素晴らしいのだが、やはり曲によって低音不足が否めない。フォステクスのサブウーファー併用で聴いていたのだが、スピードの問題よりも音色が合わないのがだんだん気になってきてしまった。

高音から低音まで揃ったESLのスピードとμの中高音の切れ味、それに無指向性ならではの空間表現を併せ持つようなスピーカーがあったら理想だなあ、と思っているうちにふと気づいた。ESLにμを追加したらいいんじゃない?

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ということでやってみました「ESL μ」。ESLが三角形の帽子を被っているみたいだ。

並列に繋いだだけなのでスペック上、かなりの音域が重なることになる。これでμが普通のスピーカーだったら二つのスピーカーが干渉しあって話にならないだろうが、μは放射状に音を出すので何とかなるかもしれない。と思って、とにかく音を出してみた。

このところまったく使っていなかったので最初μは非常に奥ゆかしく鳴っていたのだが、だんだん調子が出てきた。それに連れて中高音がどんどん鮮やかになってくる。正直、思った以上に悪くない。背が高くなった上に天井に向けて音が出ている効果か全体的に音像がかなり上に移動する。

しかし、というか、当たり前というか、しばらく聞いているとだんだん粗も気になってきた。まず、特に一部の音域で定位がぼける。それに、例えばピアノの高音部でタッチが不鮮明になる。上下左右のステージ感は増したが、奥行がなくなってしまった。音としては面白いもののステレオイメージの点では問題ありだ。

帽子の位置をあれこれ移動させてみたのだが、本質的な解決にはならず結局元に戻した。複数のスピーカーを同時に鳴らして全体をまとめるのは大変だという勉強になった。

ストラヴィンスキー「春の祭典」 : ジンマン

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ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管弦楽団による「春の祭典」の新譜は1913年の初稿と1967年の最終改定稿による二つの演奏に加えてジンマン自身による両者の解説を収めたもの。昨年行われたコンサートを丸ごとCD化したという。ジンマンとストラヴィンスキーという組み合わせからしてピンとこないが、「春の祭典」を初演したモントゥーがジンマンの師匠なので、思い入れはあるに違いない。スイスの博物館に収蔵されている初稿のスコアを読み込むジンマンの写真がライナーノーツに載っている。「春の祭典」を演奏するにしても他とは違う何かを求めるところが僕的にはいかにもジンマンらしいと思った。

僕はHMVで輸入盤を買ったのだが、レビュー記事を読んで初稿と改定稿はかなり異なるという印象を受けた。が、実際に聴いてみると率直に言ってあんまり違わない(笑)。二つの演奏は間違いなく違うのだが、実はスコアが違うということは事前に知らなければ僕にはわからなかっただろうと思う。改定稿の演奏の後に収められたオーケストラによる演奏付きのジンマンの解説で聴くと確かにかなりの差がある。しかし、この二つのスコア間にある差異と実際の演奏時における指揮者ごとの表現の違いを比べると後者の違いの方が大きい気がする。

肝心の演奏は二つとも正確無比。ライブなのに演奏にはミス一つない。しかし、演奏から「熱いもの」は全然伝わってこない。音は鮮明に捉えられている。打楽器も鮮烈に鳴っている。でもいくつかのこの曲の名演で聴けるような迫力だったり高揚感だったりというものとは無縁。でもきっとこれがジンマンの狙いに違いない。無駄な表情はつけないのだろう。加えてジンマンの他の録音でもあったが、録音レベルが低いのでボリュームを上げて聞く必要がある。

バッハ ブランデンブルク協奏曲 : ボールト

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サー・エードリアン・ボールトがロンドンの3つのオーケストラを指揮した演奏を収録した「バッハからワグナーまで」というネーミングのボックスセット。新品も11枚組で2,500円しないという破格の値段で販売されているが、その半値以下で中古が出ていたので購入してみた。ネーミングどおり11枚組はバッハで始まるが、なぜか終わりはワグナーではなくブラームスの交響曲全集となっている。もしかして録音順かと思ったがそうでもなく、さてはオケごとかと言うとさにあらず。どうでもいいが気になるなと思ってライナーノーツを眺めていてふと気づいたが、どうやらこれは作曲者の生年順のようだ。

なんとなくすっきりしたので早速「ブランデンブルク協奏曲」を聴いてみた。オケはロンドン・フィルだが、今となっては珍しいおそらくフルサイズオーケストラでの演奏。一曲目が始まってすぐに気に入った。まさに「典雅」という言葉がピッタリの演奏である。こうして聴くとバッハも大きなオーケストラの方が僕は好きだなあ。小編成の古楽器による演奏のキビキビとした感じも悪くはないが、この演奏みたいに柔らかくて温かいオーケストラの響きにどっぷり浸かっている方が好みだ。70年代前半の録音だが、デッカと違ってナチュラルなEMIの録音が演奏に非常に良くマッチしている。ホールの奥行を感じさせながらそれぞれの楽器の音も鮮明。まだ1枚しか聞いていないが、このボックスセットはお薦めだと思う。

テクノクラフトオーディオデザイン Model 44a (3)

Model 44aが到着してから約10日間が経過した。その間、出張があったのでまだあまり聴けていないのだが、最初にセッティングして以来、電源は投入したままなので暖機は十分だろう。さっそく朝からLPをかけてみた。セル/クリーブランド管の「ドン・キホーテ」を聴いてみる。

セッティング直後、最初に聴いた「冬の日の幻想」でも感じたのだが、このフォノイコライザーの最大の特徴は空間表現だと思う。上下左右の広がりが大きく、他のイコライザーを通して聴くよりも少し大きめのホールで聴いているような感覚だ。我が家では特に高さ方向が秀逸でほかの組み合わせで聴くときよりもスピーカーを何十センチか持ち上げて聞いているように感じる。ホールトーンも豊かに聞こえる。

これはフォノイコそのものの特徴なのかケーブルの力なのかについては貸していただいているケーブルを返却する時に判明するが、この組み合わせで聴く音楽の訴求力は大したものだ。ケーブルを交換するのを面倒くさがっているくせに今日は久しぶりにカートリッジをMC30wからSPUに交換して聴いてみたが、これまたとっても良かった。満足満足。

マーラー交響曲第5番 : インバル

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いまやわが国ではマーラーの大家となった感のあるインバルだが、フランクフルト響と全集を収録した頃は同時期に初稿によるブルックナー交響曲全集を録音していたこともあって、僕にとっては少し変わり者の指揮者という印象しかなかった。前にも書いたが、初めて聴いた彼の演奏が初稿による「ロマンティック」で、この不幸な体験以降、20年くらいはインバルを一切聞かなかった。最近になってようやく何枚かCDを聞き始めたが、特にショスタコーヴィチの演奏(ウィーン響)にはとても感銘を受けた。こうなると俄然、彼のマーラーに興味が沸き始め、見つけたのがこのCD。中古で発見したのは、マルチマイクの録音からメインのマイク2本のみの音を収録した「ワンポイント・エディション」だ。

もともと「デンオン」ブランドで最初に発売された頃からこのシリーズは録音が優秀であると知られているが、メインマイクのみの録音は各楽器のブレンド具合が自然でとてもいい感じである。強調したい部分で強調したい楽器がくっきりと浮き出てくるマルチマイク録音も決して嫌いではないが、プレイヤーからスピーカーまでだんだんと機材が揃ってくるに連れ、変なリマスタリングをしない録音の方が聴きやすくなってきた。このCDを聴いているとマイクは2本で十分だと思う。

演奏はどうかと言うと、簡単に言ってしまえば素晴らしく良い。いや、これは実に良い。何が良いか具体的に言えと言われると困る(笑)のだが、バーンスタインの演奏から胃もたれする灰汁を本当に適量だけ濾したような感じ。かな?エルサレム出身のこの人はもちろんバリバリのユダヤ人だが、その演奏はストレートに感情を露にするのではなく常に知的なコントロールが効いている。でも表情は濃い。マーラーへの共感はビンビン伝わってくる。透明な録音とオケの暗い音色が相まって得も言われぬ演奏を生み出している。これは名盤。

帰国

一週間弱の出張を終えて今日帰国した。出国とは逆に30度の世界から8度の東京に帰ってきたが、出張中に滞在したホテルの会議室は東南アジア特有の冷房効きすぎ状態で薄いセーターを着ていたくらいなのでそれほどの寒さは感じなかった。

今回は全日空で移動したのだが、機内ビデオのラインアップに辻井伸行さんを特集したものがあった。70分くらいのドキュメンタリーだったのだが、これが実に感動的で涙が出てしまった。本人に加えてお母さん、マネージャーさん、ピアノの先生と彼を支える人達のコメントがふんだんに盛り込まれていたが、なんというか、彼の音楽が献身的に彼を支える人達を幸せにしている様子が伝わってきた。彼のピアノを聴くものすべてが彼の成し遂げていることに圧倒されるが、いつものことながら本人は実に飄々としている。

ピアノの先生もヴァン・クライバーン・コンクールの審査員も彼のピアノを激賞していたが、二人とも彼の技術ではなく、作曲家と対話できる音楽性を評価していた。これからどんどん成熟してますます凄いピアニストになることだろう。本当に素晴らしいことだ。

今年最後の出張

今日からシンガポール。今年最後の海外出張だ。気温一桁の東京から7時間、チャンギー空港に着くといつものとおりモアッとした空気。気温30度、片手に抱えたコートがあまりにも場違いである。

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久しぶりに日中のフライトに乗ったら離陸後しばらくして窓越しに富士山がきれいに見えた。富士山を見ると何か良いことがありそうな気がする。とりあえず出張がつつがなく終わりますように。

ベートーヴェン交響曲第5番 : ブーレーズ

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カラヤン、バーンスタイン、ハイティンク、ショルティといった往年のレコードレーベルのスターはみな守備範囲広くいろんなジャンルの曲を録音している。そういう観点で言うとセルが亡くなり、バーンスタインが離れた後のCBSソニーはクラシックのスタンダートと言うべき曲を録音させる指揮者に悩んだのではなかろうか。すでにオーマンディは最盛期を過ぎていたし、バーンスタインの後を継いだブーレーズとマゼールはどちらかというと曲者である。ブーレーズ/ニューフィルハーモニア管のベートーヴェン第5のCDを見つけてなんとなくそう思った。もちろんバイロイトに出ているくらいだから、ブーレーズは近現代曲以外もその気になれば振れたに違いないが、ベートーヴェンはまったくイメージが沸かない。少なくとも僕はこの録音以外、彼のベートーヴェンを見たことがない。

どんなものかなと思って聴いてみた。第5の冒頭、「タタタターン」という感じかと思ったら見事な「ジャ、ジャ、ジャ、ジャ~ン」だった。それもものすごくゆっくりである。そこから始まって第一楽章は非常に遅め。オケが緊張感を失わず、内声部が良く聞こえる緻密な演奏なので飽きることなく聴けるが、これは「幻想」の第4楽章並みに確信犯的遅さだ。第2楽章は割と普通だが、第3楽章は再びかなりゆっくりなテンポの上反復部を省略しない。第4楽章も遅め。あちこちで通常聞こえない楽器が聞こえてくる。

聞き終えてウェブ検索してみるとこの演奏は結構有名なようだ。賛否両論ながら個性的演奏として記憶されている方が多いらしい。奇抜なテンポと繰り返しのおかげで全4楽章の演奏タイムがほぼ同じであり、結果として演奏時間はこの曲のものとして最長レベル。でも、売れなかったようだ。きっと、CBSソニーは困ったことだろう。

リスト ピアノソナタ ロ短調 : ホロヴィッツ

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ホロヴィッツがソニーとRCAに残した録音をオリジナルの紙ジャケットに収めた70枚組のCDボックスが発売されている。ホロヴィッツ没後20年記念で2009年に限定発売されたが、一時期市場から姿を消していたような気がする。気づいた時には売り切れで残念に思っていたのだが、最近、HMVを見たら普通に売られていた。同じものか勘違いか確信がないが、これだけまとまったCDボックスセットは他にはないので思い切って購入した。

早速取りだして聞いたのがリストのピアノソナタ。この曲を初めて聴いたのがこのアルバムだった。それまで知っていた他のピアノソナタとあまりにも違う自由なスタイルと圧倒的な迫力に大きな衝撃を受けた。以来、いろいろな名手の録音を聴いてみたが、僕の中では今でもこの演奏がNo.1。他にはアルゲリッチの演奏に感動したが、それでもホロヴィッツには及ばない。久しぶりに聴いても、一粒一粒堅い芯を感じる独特の打鍵や卓越したリズム感、大きなスケール感等々素晴らしさは変わりない。カップリングのフォーレを含め、歴史的な名盤だ。

テクノクラフトオーディオデザイン Model 44a (2)

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長い間迷っていたフォノイコライザーとして、前に記事を書いたテクノクラフトオーディオデザインのModl44aを購入した。同社の製品はカスタマイズに対応していただけるので筐体のカラーを黄色、同社のロゴは対照色である紫色にしてもらった。想像していた黄色はもっとポップなものだったが、アルマイト仕上げで出来上がった色は金色に近い。これはこれでなかなか。何よりも自分だけのオリジナルというのは気持ちが良いものだ。

発注したのはしばらく前だが、受注生産なので受け取るまでに少し時間がかかる。せっかくだったので誕生日に発送していただけるようお願いしたところ、きちんと当日届いてお手紙にも「お誕生日おめでとうございます。」と書いてくれた。前にも書いたが、同社の代表はとても感じの良い方だ。

前回の視聴でも同社のRCAケーブルを同梱していただいたが、ケーブル長が我が家の環境に合わず使用できなかった。なんと今回も視聴用ケーブルが同梱されていたので、今度はそれで繋いでみた。なんといってもまっさらな新品なので、到着後すぐには聞かずずっと電源を入れたままにしておいた。

今日の関東地方はすっきりと晴れたとても良い天気の一日だった。朝一からゴルフに行ったのだが、スタート時点こそ寒かったものの日中は汗ばむほどの陽気だった。十二分に身体を動かして帰宅したのが夕方。それからいよいよLPを聴き始めた。最初に聞いたのはロジェストヴェンスキーの「冬の日の幻想」。カートリッジはオルトフォンのMC30W、トーンアームはRigid Float、途中オーディオテクニカのAT-5000を介して接続している。ケーブルはテクノクラフトさんにお借りしているもの。

以前、視聴した時にも好印象だったので購入したのだが、あらためて聴いてみると記憶よりも一層音が良い。と言っても積極的に味付けをするフォノイコライザーではないので、音色を変えるのではなく、なんというか音離れが良い。ESL63はもともと空間表現が得意だが、今日はいつもより音が自由自在に空間を漂っているような気がする。オーディオ好きならここでケーブルを交換して効果を確認しなくてはならないのだろうが、面倒くさい。。しばらくはこの組み合わせをじっくり聴いてみることにしよう。

モーツァルト交響曲第38番、第39番 : マゼール

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タワーレコード限定盤でマゼール/ベルリン放送響によるモーツァルトの後期交響曲4曲が2枚組に収められている。今年の春にリリースされたものだが、38番と39番は初CD化とのこと。

同時期に同じ組み合わせで録音されたブランデンブルク協奏曲の演奏同様、マゼールのキレのいい指揮が堪能できる。バッハもモーツァルトもマゼールにとってお馴染みの曲ではない。モーツァルトの録音は他にないのではなかろうか?

まだマゼール36歳の頃なのだが、さすがその段階で30年弱の指揮者歴を持っているだけあって、なんというか自信満々、これが俺のモーツァルトだというような確信に満ちた演奏。マゼールがことのほか好きなのでバイアスがかかっているかもしれないが、これはなかなかの演奏だと思う。

66年の録音だが、音は鮮明。良好なリマスタリングだ。

チャイコフスキー交響曲第4番 : ハイティンク

今日はずいぶん久しぶりにゴルフに行った。近場が取れず群馬の山の中まで行ったこともあり、ものすごく寒かった。どうせ寒いだろうと思ってスタート時間を遅めにしたのも良くなかった。最初から最後までホールごとに待つはめになり、最後のホールは日没寸前、照明に照らされながらのプレーになってしまった。それにしても混んでいる。景気が良いのか悪いのかよくわからない世の中だ。

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今年の初めにフィリップスにハイティンクが残した交響曲の演奏を集めたシンフォニー・エディションを購入したまま、長い間聴かずにいた。年初からアナログに夢中でCDそのものを聞かなくなっていたので存在すら忘れかけていた。最近はまたCDを聞き始めたのでちょっと手にしてみたのだが、これが実に良い。

チャイコフスキーの4番の名演と言うと、僕の中ではやっぱりムラヴィンスキー。音が良くないが、むしろそのせいもあってか金管の咆哮がこの演奏以上に壮絶なものはない。鬼気迫る切迫感が堪らない凄演である。この演奏を前にすると他の演奏はどうしても霞んでしまう。5番や6番にはムラヴィンスキーとは違うスタイルで良い演奏がたくさんあるが4番は断トツでムラヴィンスキーだ。

ハイティンクのイメージからして立派な演奏だろうとは思ったが、折り目正しい淡々とした演奏を想像していた。それでも4番を聴いてみたのはカップリングに1812年序曲が入っていたから。こちらが最後のトラックだったので最初は4番を飛ばして1812年を聞いてみたところ予想以上に素晴らしい演奏だった。派手な大砲も合唱もない正統派の演奏だが、とても説得力がある。

これは思った以上に良いと思って最初のトラックに戻って4番を聴いてみたところ、こちらは僕の勝手なイメージと違ってなかなか熱い好演奏だった。熱いといっても、テンポはじっくり、見事な造形で危ういところはなくその辺はオーソドックスなのだが、ここぞという時の金管と弦の張り詰めた音が実に良い。ロシア風暴力的演奏でもなくアメリカ風物量主義でもない最高のバランスのチャイコフスキーが聴ける。録音も見事。名盤。

師走

今日の天気予報は晴れ。予報通り朝起きた時にはとってもきれいな青空だったのだが、さっきからみるみる雲が出てきたと思ったら、雪がちらつき始めた。積もるような本格的な雪ではないが、いよいよ冬本番だ。

どういうわけか今年は例年に比べて仕事もプライベートも忙しく、9月以降はまともに休む時間もない。時間の許す限り音楽を聴いてはいるものの、あんまり落ち着いて聴く状態にない。結果としてこのブログの更新頻度もずいぶん落ちてしまった。11月の記事更新は9回。ブログを始めた月を除けば最低記録。。。まあ、無理に更新する必然性はどこにもないのだが、更新頻度と心の余裕は正比例している感じだ。

今月はもう少し好きな音楽がゆっくり聴けるといいなあ。

ブルックナー交響曲第6番 : カラヤン

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交響曲第3番に続き6番の中古LPを見つけた。HMVの解説によればカラヤンはこの曲を実演で取り上げたことがないそうだ。全集を完成させるためだけにスコアを読み込み、練習を積んで録音したものと思われる。カラヤンの場合、そんな曲が何曲もあると思うが、解説を読まない限り、こうした背景を想像することはできないだろう。実に堂に入った立派な演奏である。

第一楽章のテンポ設定、序奏から主題が提示される部分だけですっかり魅入ってしまう。分厚いオーケストラの響き、技術的な完成度、ティンパニの迫力、どれを取っても不満はない。弦楽器が美しいアダージョは文句なし。スケルツォとフィナーレはBPOのパワー全開でこれまた曲の魅力を最大限に伝えてくれる。名盤。

アナログ時代、最後に当たる79年の録音。ホールエコーを一杯に含みながら高い音の抜けも良く、録音面も万全。やはりブルックナーは可能であれば良い音で聞きたい。
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ばけぺん

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