アクティブスピーカーを聴いてみた。

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GENELECの8050Aというスタジオモニターを自宅で試聴した。写真はメーカーのウェブサイトから借りてきたものだが、この写真ではサイズがイメージできない。荷物が届いてみるとかなり大きい。ウーファーが20cm径で縦が40cm強、幅奥行とも20数cmある。コンパクトスタジオモニターというが、僕の部屋では(ESLほどではないものの)かなり存在感がある。純正のスタンドが家庭用の普通のスタンドよりかなり長身で座面45cmの椅子に座ってメーカー指定の高さにセットすると高さ140cmくらいになる。重さは10kg以上あるが、アクティブモニターなのでパワーアンプが内臓されていることを考えるとそれほど重いわけではない。民生用の高級パワーアンプは数十kgあるものもざらだから、むしろ軽いと言ってもいいくらい。

正三角形のセッティングが推奨で壁からの距離についても詳しく解説されている。なんとなく今まで壁からの距離は離せば離すほど良いと思っていたのだが、壁からの反射音の干渉を考慮してサブウーファーなしならば1.2m未満が推奨されており、サブウーファーがある場合には逆に1m以上離すように書かれている。CW250Aと組み合わせることにして椅子を背中が反対側に当たるギリギリまで引き、そこで正三角形にセットしてみた。

8050AはXLR接続なのだがプリアンプの出力がアンバランスなのでサウンドハウスでカナレのRCA‐XLR(オス)ケーブルを購入した。5mペアで3,600円だからホームユースのケーブルに比べるとずいぶん安い。ついでにベーリンガーのCX2310も買った。こちらは7,000円くらい。CW250Aの可変クロスオーバーは便利だがどこでカットしてもカーブがゆるいので一度チャンネルディバイダーを使ってみたかったのだ。プリアウトが一つしかないのでテープアウトで繋ぐ。最低域だけボリューム連動しないことになるが、まあ仕方ない。CX2310のサブウーファー出力は使用せず右チャンネルだけ50Hzで分割しLow側をCX250Aに繋ぐ。要するに50Hz以下だけアッドオンということになる。こちらはCX2310がXLR出力でCW250Aがアンバランスなので逆にXLR(メス)‐RCAケーブルを購入。こっちのケーブルはサウンドハウスのオリジナルで350円!。相当いい加減なセッティングだが物は試しと言うことで。

とりあえず音を出してみたのだが、うーん、困ったなあ。。。こんな適当なセッティングなのにすごく良い感じだ。まず驚くほど定位が良い。ちゃんと録音されたクラシックなら左右のスピーカーのずっと奥にステージが広がる。「スピーカーが消える」というのは今まで大なり小なり誇張された表現だと思っていたが、本当に消えた。CX2310も効果的でCW250A単体で使用するよりも自然な低音を追加できる。元来、モニタリング用のスピーカーなので解像度が高いことと引き換えに耳が痛くなるようなきつい音がするかと思ったが、まったくの杞憂だった。人それぞれ音の好みは千差万別だと思うが、このスピーカーは僕にはとてもナチュラルに聞こえる。エンクロージャーの中に収まっているパワーアンプは単体の高級パワーアンプに比べたら性能はぼちぼちなのだろうが、ユニットに合わせて専用設計されたバイアンプであるせいかパワフルだし不満はない。(正直に言うと、経験上、パワーアンプの違いはよくわからない。。)RCAとXLRを変換しているが、8050AもCX2310も取説でアンバランス接続を想定しており、実際、何ら問題なかった。要するに◎である。こういうスタジオ用機材を薦めているオーディオショップはあんまり見かけないが、販路がよほど明確に棲み分けされているのだろうか?
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マーラー交響曲第9番 : インバル

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去年の始めからしばらくアナログばっかり聞いていた時に痛感したのだが、マーラーやブルックナーの大曲をLPで聴くのはけっこう面倒くさい。LPの片面は長くて30分だし、フルオートのプレーヤーでない限り片面が終了したら間髪入れずにプレーヤーを止めて盤を裏返さなければいけない。たったそれだけのことだが、これが毎回となると意外と面倒である。面倒なだけでなく、立ち上がって盤をひっくり返す時に結構な割合で違う曲を聞きたくなったりする。だから、1枚で完結する曲でも表だけで聞くのをやめてしまったり、しまいには片面で終了する曲ばかり聞くようになった。交響曲でいえばハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンの初期のものを聞く頻度がかなり増え、あれだけ大好きだったマーラーやブルックナーの交響曲を聞く頻度は激減した。デジタル時代が訪れなかったらマーラーブームは今ほどではなかったのではないか?と思う。

ESLとPitRacerの導入以降、僕の音楽鑑賞はCDとLPがだいたい6対4くらいになっている。結果として最近はまたマーラーとブルックナーを聞く時間が増えた。どんな機器で聞くかで何を聞くかがこんなに違ってしまうのだから、マーラーやブルックナーのファンと言っても実にいい加減なものだ。音楽の世界がダウンロード音源とポータブルプレーヤーに席巻されるのも良く分かる。世の中の大多数の人々にとって利便性は聞く音楽と同じくらい大切なのだ。自分もその一部だが、最近ではアナログ回帰がある程度進んでいるらしい。だからといってアナログのシェアがデジタルを再び上回ることは絶対ないだろう。CDが登場した時にLPから人が離れた理由は歴然としている。スペースファクターもメンテナンス性も費用対効果もアナログが劣っていることは間違いない。

閑話休題。インバル/フランクフルト放送響のマーラー交響曲全集は、絶賛発売中の都響とのチクルスの影に隠れてしまった感があるが、僕は誠に遅ればせながら4番、5番と聞いてみて実に優れた演奏であると感じている。一番好きな9番については間違いなく聞いたことがあるはずなのだが、なぜか全く記憶に残っていなかった。そういえばずいぶん前におそらく初出の中古CDを見つけて買ったと思って収納ケースを探してみるとあったあった。87年に発売された2枚組のCD、定価6,000円とある。まだまだCDが十分高価だった時代の代物だ。

早速聞いてみたのだが、以前に聴いた時になぜ印象に残らなかったのかが不思議なほど良い演奏である。オーケストラはべらぼうに上手いし、造形は完璧。最初から最後までひんやりとした感じの音色も良い。基本的にマイク2本で収録された録音がまた実に優れていて、スピーカーの奥に音像が広がる。それでいて部分部分、強調されるべき楽器の音も鮮明。優秀なエンジニアの方の手によるものなのだろう。見事な出来だと思う。

終楽章を聞いて、個人的にこの演奏の記憶がない理由がわかった。以前の僕の趣味から言うと終楽章のテンポが速すぎて、きっと物足りなかったのだ。昔はじっくりとしたテンポで切々とした演奏が好きだった。そうした演奏が好みであることに変わりはないが、今日聴いてみると確かにテンポは速いものの、緊張感に満ちたこの演奏も決して悪くない。バルビローリの演奏が好きになったと同様に好みが変わってきたのだろうか。あるいは、当時聴いた時よりも機材のグレードが高い分、演奏の意図やその場の空気といったものがようやく理解できたのかもしれない。いずれにしても好演だと思う。

ホルスト「惑星」 : メータ

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メータ/LAPOの「惑星」は4、5年前にオーディオショップでスピーカーを試聴した際に聞いたことがある。確かそのCDはXRCDか何か特別な仕様だったと思う。結局、その時は試聴したスピーカーを購入したのだが、「天王星」を聴いた時にそれまで他の演奏では聞いたことのない金管の響きにちょっと驚いた記憶がある。それ以来この演奏には縁がなくCDを買ったこともなかったのだが、最近、ただでさえ安いEU盤が中古で販売されているのを発見して興味本位で買ってみた。

演奏は実に歯切れが良く表情豊か。フルオーケストラが咆哮する部分に関心を奪われがちだが、「金星」や「土星」といった静かな音楽の処理も見事。この頃のメータが飛ぶ鳥を落とす勢いだったことも納得である。総じて「惑星」の魅力が満喫できる素晴らしい演奏だと思う。

通常CDでもオーディオ的快感に浸れる優秀録音。特に中低域が充実している。比較すると高域の抜けや透明度はもう一つだが、聞いて楽しめることは間違いない。名盤。

チャイコフスキー交響曲第1番「冬の日の幻想」 : バーンスタイン

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バーンスタインのシンフォニー・エディションにもチャイコフスキーの交響曲全集が収録されていたのでまずは「冬の日の幻想」を聴いてみた。録音は70年でNYPとの全集では4番の次に遅い。バーンスタインにとってはおそらくこの曲が最後の録音で、4番はこれ以前に他にも録音があるのではないかと思う。

バーンスタインのチャイコフスキーと言うと晩年に録音された後期3大交響曲、特に「悲愴」の並外れて情感たっぷりの演奏が有名だが、この演奏もそこまでいかないとはいえ、遅めのテンポに思い入れたっぷりの表現がいかにもバーンスタインらしくて良い。この時代のバーンスタインの指揮に共通した細部の仕上げが少々粗削りな演奏ではあるが、アップテンポな盛り上げ方を聴いているとバーンスタインはやっぱりNYP時代が良いなあと改めて感じる。とはいえ、2楽章の終盤、スロービデオのようなテンポの落とし方はすでに晩年の表現を予感させるものがある。完成度は同時代のアメリカを代表するオーマンディのこの曲の演奏にははるかに及ばないが、面白い演奏なので聞いてみる価値はあると思う。

ブラームス交響曲第3番 : ベルグルンド

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新年早々、最近、仕事が忙しくてなかなか音楽を聴く時間が取れなかったのだが、今日は予想外に早く帰ることができた。年末に発注した一人掛けのソファやら修理から上がってきたPitRacerが届いたまま玄関に置きざりになっていたので開梱し、部屋を片づけてほっと一息。

久しぶりにベルグルンドのブラームス交響曲全集を取り出して3番を聞く。シリーズ全体通じてすっきり爽やかな演奏である。小編成オケで録音も良いのでオーケストラの隅々まで見通しが良い。テンポも快適で緩徐楽章でも重たくならず、それでいてクール過ぎない表現が心地良い。3番は2番に引き続き当たりの演奏だと思う。

PitRacerは電源部に問題があったようで、時たま挙動不審だったものが完璧に直ってきた。久しぶりに聞いたこともあるかもしれないが、それにしてもさらに音が良くなった気がする。何はともあれ良かった良かった。

ワーグナー「ニュルンベルグのマイスタージンガー」前奏曲 : クリュイタンス

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クリュイタンスがステレオ初期に残した代表的録音を網羅的にカバーした15枚組のボックスセットを購入した。15枚のうちの5枚は先日感想を記したベートーヴェンの交響曲全集なのでダブってしまうが、15枚組で3,500円なのでまあいいやという感じである。

曲目はベートーヴェンに加え、有名なラヴェルの管弦楽曲集、さらにドビュッシー、フォーレ、ベルリオーズ、フランク、ムソルグスキー、ボロディン、シューベルトにワーグナーと多岐にわたる。おまけにVPOと録音したオムニバス交響曲集までついている。 これで3,500円。。。本当に時代は変わった。元々EMIの録音だが、このCDボックスはVENIUSという聞きなれないレーベルからリリースされている。察するに50年間の著作権が切れたこうした録音をCD化することに特化したレーベルなのだろうか。

ボックスセットを開封して最初に聴いたのがワーグナーの序曲・前奏曲集とシューベルトの「未完成」が組み合わされた一枚。ワーグナーはパリ・オペラ座管弦楽団による演奏。(未完成はBPO)前回のベートーヴェンに続いてドイツ物ど真ん中の曲をどう演奏するか興味があって聴き始めたが、実に正統的な演奏だった。どちらかというと筋肉質で、フルトヴェングラーやクナツパーブッシュといったところを比べたら、おどろおどろしい感じはなく非常にすっきりとしたアプローチだが威厳があって立派。録音が古いことも手伝って出てくる音はどこか古臭いが、それも曲と合っている。ライナーノーツを読まなければパリ・オペラ座管弦楽団の演奏とは絶対思わなかった。

58年の録音なので多くは期待できないが、演奏を楽しむには十分な音質。名盤。

プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」 : プレヴィン

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プレヴィン/ロンドン響の演奏による「ロミオとジュリエット」全曲盤。プレヴィン指揮のバレエ曲ではチャイコフスキーの3大バレエ曲をまとめたボックスセットを持っているが、いずれも素晴らしい演奏だったので期待して購入。期待を裏切られることなくこの「ロミオとジュリエット」も非常に優れた演奏だった。

まずロンドン響が奏でる音楽が派手でないところがすごく良い。少しひんやりとした手触りの生地で作った仕立ての良い洋服みたい。有名なバルコニーのシーンでも感情過多なところはなくスマートな印象だが、よく聴くと表現はとてもきめ細かい。

73年の録音だが音は今でも十分に鮮明。ワーナー名義のEMIバレエ名曲シリーズの一つで値段も安い。

モーツァルト ピアノ協奏曲第20番、24番 : ハスキル

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福袋に入っていたLPのジャケットはカラー写真。ここに掲載した写真はHMVのサイトからお借りしたCDのジャケット写真でなぜかモノクロ。マルケヴィチとハスキルがスコアを見ながらディスカッションしているらしきところは一緒だが、実は構図もちょっと違う。

クララ・ハスキルというピアニストは高名だが、個人的には初めてその演奏を聴いた。この録音は亡くなる1か月前の収録なので最晩年の演奏ということになる。時にハスキル65歳、指揮者のマルケヴィチは48歳。(うーん、48歳にしては実に貫禄がある写真だ。)

モーツァルトのピアノ協奏曲は天才の作だけあってどれも名曲だと思うのだが、正直に言うと演奏を聴いてすごく感動したという経験に乏しい。高校時代に「アマデウス」で初めてそのメロディを耳にした20番は今までにたくさんの演奏を聞いているが映画音楽の印象が強すぎるせいか、あんまり聞いてて気持ちが入ったことがない。もう一つの短調曲である24番もこれといって記憶に残っていない。

モーツァルト弾きとして名高いハスキルだが、僕は他の演奏を聴いたことがないのでここで聴ける演奏が彼女のベストかどうかは定かでない。感想を一言で言えば甘さ控えめで誠実な演奏という印象である。ハードな演奏ではないが、時に厳しい表現だ。バックを務めるマルケヴィチ/コンセール・ラムルーの演奏がメリハリの強い、これまた厳しいものなので、おさらそう感じる。自分の中のイメージにあるモーツァルトの演奏とは少し毛色が違う。あえて言えばベートーヴェン的か。

聴き終えた時、この演奏はとても深く心に残った。とても良い演奏だと思う。

R・シュトラウス「ドン・キホーテ」 : プレヴィン

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プレヴィンとウィーンフィルはテラークにR・シュトラウスの主要管弦楽作品を録音している。「ドン・キホーテ」は90年の録音。カップリングは「ドン・ファン」。

このコンビの「アルプス交響曲」がリリースされた頃、レコード芸術の新譜評(だったと思う。)を読んだ記憶があり、たしかそこではウィーン・フィルの実力を出し切れてないようなことがコメントされていた。出展が記憶違いだったら申し訳ないが、実際に聴いてみるとどうしてそんな評価なのか僕にはわからない。

プレヴィンの表現は流麗で優しい。狂気一歩手前の切迫感や刺々しさといったものとは距離がある。重厚さや厚みにも欠けるかもしれないが、その代わりにほかの指揮者には真似できない抜群のリズム感を持っている。その結果、間の取り方やメロディの歌わせ方が素晴らしい。聴いてて実に心地良いのだ。この人の録音を聴けば聴くほどより一層好きになる。

先日カラヤン盤を記事にしたばかりだが、圧倒的なオーケストラの迫力を聴かせるカラヤン盤と比較するとプレヴィンの「ドン・キホーテ」はもっとずっと穏やかでのどかな景色を想像させる。ゆったりしたテンポの中でいろいろな楽器が浮かんでは消えながら物語が進んでいく。複雑なオーケストレーションが見事に処理されている。テラークに録音が残ったのは幸運だったと思う。独奏を除くと低弦部が少し軽く感じるが全体として非常に聴きごたえのある録音だ。名盤だと思う。

チャイコフスキー「偉大な芸術家の思い出のために」 : クレーメル

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チャイコフスキーの「偉大な芸術家の思い出のために」は僕が初めてCDを買った室内楽曲である。まずはタイトルに惹かれ、次に実際曲を聴いてすっかり好きになった。最初に買ったのはボザール・トリオの演奏だった。本当は名演の呼び声高かったアシュケナージ、パールマン、ハレルの演奏が欲しかったのだが、値段も高かったのだ。

アシュケナージの演奏はずいぶん後に聴いた。それ以来、この3人の演奏が一番かなと思っていたのだが、クレーメル/ディルヴァナウスカイテ/ブニアティシヴィリ(舌を噛みそうである。。)の演奏は個人的にはそれ以上に気に入った。

クレーメル以外は若手のトリオだが、演奏はクレーメル一人が目立つようなこともなく、チェロのディルヴァナウスカイテもなかなか闊達な演奏だし、ピアノのブニアティシヴィリは実にデリケートかつ切れ味の鋭い演奏を聴かせてくれる。加えてECMの録音がそれぞれの楽器を鮮明に捉えていてオーディオ的にも楽しめる。これは素晴らしい演奏だ。

R・シュトラウス「ドン・キホーテ」 : カラヤン

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カラヤンがBPOとEMIに録音したR・シュトラウスの管弦楽曲をまとめた3枚組のSACDボックスセット。いずれもシングルレイヤーの限定盤である。カラヤンのR・シュトラウス録音は何種類か存在するが「家庭交響曲」はこの録音しかない。「家庭交響曲」の演奏をSACDで聴きたいがためにこのボックスセットを買ったようなものだ。

せっかく買ったのだが、シングルレイヤーなのでSACDプレーヤーでしか聴けない。最近はずっとPitRacerを聴いててSACDは聞かなかったのだが、今朝、ちょっと動作に気になる点があったPitRacerを点検に出したので、これを機会に今日はたまっているSACDをSCD-DR1で聴くことにした。

最初に聴いたのが「ドン・キホーテ」だったのだが、カラヤン/ロストロポーヴィチ/BPOの演奏を最新リマスタリングされたSACDで聴くというのは何とも贅沢で「悦楽」といった感じである。

カラヤンの「ドン・キホーテ」には古いフルニエとの演奏もあり、節度があって品の良いそちらを推す人も多いと思うが、こっちの演奏は超大物揃いの一大娯楽作品という感じの仕上がりで聴いてて実に面白く楽しい。R・シュトラウスの豪華なオーケストレーションを堪能するのには最高の一枚だと思う。名盤。

ドヴォルザーク ピアノ協奏曲 : フランツ

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今年の福袋の中ではもっともマイナーな曲と思われるドヴォルザークのピアノ協奏曲を聴いてみた。

この曲を聴くのは2回目。最初に聴いたのはリヒテルの演奏だがまったく印象に残っていない。。。指揮者がクライバーでなければ購入することもなかっただろうが、この二人の競演にも関わらず特に感心することもなかった。別の曲を残してくれればと強く感じただけである。

このLPはバーンスタイン/NYPをバックにユストゥス・フランツというピアニストが演奏したもの。ユストゥス・フランツという名前は初めて聞いた。ネット検索するまで「ユストゥス」と読むことも知らなかったのだが、調べてみるとドイツ人でピアノのほか指揮もするし、ドイツではテレビタレントとして知られているらしい。クラシック音楽の普及のために多彩な活躍をしているあたり、バーンスタインとも共通している。となるとバーンスタインとの共演にこの曲を録音に選んだのも啓発の一環だったのだろうか?

とにかく聴いてみる。第1楽章が始まってすぐの旋律にはなんとなく聞き覚えがあったのだが、それ以降はまるで覚えていない。聴いていくと実に地味である。ただ、ドヴォルザークだけにメロディは親しみやすく、聴いてて苦痛なところはまったくない。バーンスタインの伴奏はメリハリがはっきりしていて面白いし、フランツのピアノもクリーンな音色で良い。抒情的な第2楽章はさらに親しみやすく、一転してリズミカルでダイナミックな終楽章はオケとピアノの対話がより一層面白い。

75年の録音なのでそれほど古いものではないのだが、音の抜けは今一つ。音の広がりも少なくて第1楽章冒頭を聞いて「もしかしたらモノラル?」と思ったくらい。とはいえ、数少ないこの曲の録音として貴重な一枚だと思う。

ハイドン交響曲第100番「軍隊」第104番「ロンドン」 : C・デイヴィス

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コリン・デイヴィスは70年代の終わりにアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団とハイドンの主要な交響曲の録音を行っている。今回、「福袋」の中に入っていたのはその中の「軍隊」と「ロンドン」で、帯に書かれているようにロンドン・セット中最初にリリースされたLPである。誇らしげに「最新録音!!」と記されているが、録音されたのは77年、LPの製造が79年のようなので36年前の商品なのだが、よっぽど保管状態が良かったらしくジャケット裏にもシミ一つない。

演奏は一言でいえば、とっても普通である。というとつまらない演奏と思われてしまうかもしれないが、そんなことはない。一つ一つの楽章、一つ一つのメロディをおろそかにせずとても丁寧に演奏されている。ただ、味付けはあっさりで、いくらでも表情を濃くできそうな部分でもサラッとしている。例えば「軍隊」の第2楽章なんて、実に落ち着いている。全体としてジャケット写真そのままの牧歌的な演奏。こんなハイドンも良い。

チャイコフスキー交響曲第1番「冬の日の幻想」 : ロジェストヴェンスキー

福袋に入っていたチャイコフスキー交響曲全集のうち、「冬の日の幻想」だけは以前、単品を中古で購入していたため、2枚所有することになった。今日はこの全集を聴いてみることにしたのだが、どの曲を最初に聴くかしばし迷ったあげく、結局、また「冬の日の幻想」から聴きだした。以前記事を書いたものとまったく同じ演奏、録音である。したがってすでに何度も聴いたことがある。あるのだが、聴きだしてけっこう驚いた。同じ演奏なのに違う音がする。

もしかしてこれは輸入盤だったかと思い、ライナーノーツを開いてみると日本語。そりゃそうだ。ジャケットにもビクターのクレジットがある。となると、2枚とも国内プレスである。もともと持っていた盤の帯には交響曲全集第1弾とあり、ジャケット裏のクレジットから推察すると74年に製造されている。他方、今回入手した全集のライナーノーツには76年とあるので全集の方が後から販売されている。その2年間にマスターが変更になったのだろうか?

LPの製造過程はよくわからないが、より古いプレスの方がオリジナルに近いのではないかと思う。しかし、この2枚を比較すると全集に収められている録音の方がオーケストラのバランスも好ましいし、例えば2楽章後半のホルンの音なんてより生々しい。面白いものだ。なるほどオリジナルプレスや同演奏のプレスバージョン違いにこだわられる方の気持ちが初めて理解できたような気がする。

バッハ トッカータ他 : アルゲリッチ

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アルゲリッチがバッハを弾いていたことを「福袋」に入っていたこのレコードで初めて知った。79年の録音なのでアルゲリッチが38歳の時の演奏である。

このLPは国内盤だったのでジャケット裏には黒田恭一さんによる解説が記されていた。バッハ時代には存在しなかった現代ピアノでその鍵盤音楽を弾くことは特に若手のピアニストにとって覚悟が必要であろうことが書かれている。演奏はしかし、黒田さんも指摘するとおり、「まったく美しく、自然に無理なくピアノ的」である。

アルゲリッチの演奏がいつもそうであるように抜群のリズム感としなやかさをもって弾かれている。その音色は凛としていると同時にどこか悲しそうだ。グールドとはまた違う素晴らしいバッハの演奏だと思う。

レコード福袋 2015

お正月といえば福袋。僕の同僚の台湾人もけっこう買物していたが、今日のニュースでは100万円単位で福袋を大量購入する中国人観光客の映像が出ていた。

残念ながら彼らとはだいぶ勢いが違うが、今年も買いました、ハイファイ堂のレコード福袋。去年に比べると福袋の種類が増えたようでクラシックのラインナップにもいくつか選択肢があったのだが、その中で僕はLPクラシック福袋(レギュラー)というものを購入してみた。5,000円也。

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袋は去年と同じようだ。この袋が段ボールに梱包されて到着した。

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ジャーン。これが今年の福袋の中身。

左上からレパード/イギリス室内楽団の管弦楽組曲、スークトリオの「大公」、カラヤン/BPOのブルックナー9番、中段がロジェストヴェンスキー/モスクワ放送響のチャイコフスキー交響曲全集、ケルテス/LSOの「新世界」、デイヴィス/コンセルトヘボウの「軍隊」「ロンドン」、アルゲリッチのバッハ、下段がブーレーズ/NPOの「ダフニス」、ドヴォルザークのピアノ協奏曲、ハスキルのモーツァルト ピアノ協奏曲20番、24番、ポリーニのベートーヴェン ピアノソナタ30番、31番という11種類。

かなりマニアックな曲が含まれていた昨年のものに比べるとずいぶんメジャーな曲が多い。そのせいか、今年は「ダフニス」とチャイコフスキーの1番が手持ちと重なった。でも、それ以外はカラヤンのブルックナーをCDで持っているだけで重複もなく、一枚当たりなら300円強なので、今年は手放しでお買い得なセットだったと思う。

さてさてどれから聴こうか、とても楽しみである。

ブラームス クラリネット五重奏曲 : 東京カルテット

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東京クァルテットにクラリネットのジョン・マナシーを加えたブラームスのクラリネット五重奏曲は2011年の録音。

以前、シューベルトの弦楽五重奏曲を聴いた時もそう感じたが、東京クァルテットの演奏はとても上品で、はかない旋律を慈しむように優しく奏でる。クラリネットのマナシーは写真ではまだ若い奏者に見えるが、四重奏に合わせてか、声高に主張することなく落ち着いた演奏を聴かせてくれる。

組み合わせのピアノ五重奏曲ともども静かにじっくりと聴くのにふさわしい素敵な演奏だ。一つ一つの楽器を強調しない自然な録音も好印象。

R・シュトラウス「ツァラトゥストラかく語りき」 : スタインバーグ

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以前、このCDに収められている史上最速と思われる「惑星」について記事を書いた。その時も触れたかもしれないが、併録されている「ツァラトゥストラ」もなかなか良い演奏だ。

短い音楽監督時代の71年に録音されている。もともとRCAの意向がなければミュンシュの後任最有力候補だっただけあって、このCDに聞くスタインバーグとボストン響の相性はバッチリだと思う。

演奏はとてもスタイリッシュ。贅肉や脂肪の少ない筋肉質なR・シュトラウスだ。オーケストラの響きも必要以上に厚くならず、見通しが良い。僕は金管、木管の響きが特に気に入った。シルヴァースタインのヴァイオリン・ソロも魅力的。

業務用スタジオモニター

東京に出かけたついでにオーディオショップを覗いてみると見慣れた民生用のスピーカー達と並んでGENELEC社の業務用スタジオモニターの中古が売られていた。ヤマハやディナウディオのスピーカーのように民生用はパッシブ、プロ用はアクティブで別のラインナップをそろえているメーカーのアクティブスピーカーにはずっと興味があったのだが、これまで実際に聴く機会がなかった。

アンプを搭載していることを考えると、プロ用のアクティブスタジオモニターの値付けはだいぶ安い。素人的には、プロが仕事に使うくらいだからクオリティは十分高いだろうと思う。であれば、家庭でもこうしたスタジオモニターを導入してみたいと思うのだが、実際に導入している人はあまり多くなさそうである。何か問題があるのだろうかと漠然と思っていたのだが、目の前に実際の製品があったので、さっそく聴かせてもらうことにした。

スピーカーは純正のスタンドに載っていたので、その場にあったアキュフェーズのプリアンプからXLRケーブルで繋いでもらって何枚かCDを聴かせてもらった。モニタースピーカーなので乾いた素っ気ない音がするのかと思いきや、癖のない実に良い音がする。さすがはミキシングに使う機材だけあって定位も良い。ピアノの独奏、ボーカル、オーケストラと一通り聴いてみたが、得意不得意もなくいずれも淡々とこなしてくれる。なるほど特性がフラットなせいかどの音域にも強調感が少ない。このあたり好みが別れるかもしれないが、モニターという言葉からもっと分析的な音を予想していた僕にとっては良い意味で予想を裏切る音だった。

ニアフィールドモニターとしてはそこそこのサイズだったが、価格はスタンド付きで20万円強だった。もちろん中古だからこの価格なのだが、パワーアンプを別途買うことを考えれば安い。しかし、プロ用はアクティブなのに、いまだに民生用スピーカーは何故パッシブが主流なんだろうか?いや、考えてみれば最近流行りのパソコン用スピーカーなんてほとんどアクティブなのだから、民生用全般がパッシブということでもないか。もしかしたらプリメインアンプの使用が前提だからなのかな?

いずれにしても、万一、ESLが壊れてしまったら次はアクティブモニターの導入を検討してみようと思う。

初詣

台湾の同僚が冬休みを利用して日本に遊びに来た。聞けば蔵王でスキー合宿をする予定で総勢30人だそうだ。台湾からコーチが3人も同行するという。景気の良い話である。円安の上に20年以上物価がほとんど変わらない日本はいつの間にか先進国の中ではかなり割安な国になった。正月なのでフライトは高かったようだが、宿泊費も食費も彼らにはそれほどの痛手はなさそうだ。

蔵王への移動前に数日間東京に宿泊しているということだったので、昨日、彼らと遊びに行った。新宿界隈で合流し、まずはランチと思って新宿駅付近に行ったのだが、恐ろしいほどの人出である。(オーディオとカメラとゴルフ以外)買物にまったく興味がないので初売りというものには縁がなかったのだが、安くて良いものを求める人々のパワーは凄まじい。どのショッピングビルも人・人・人。すでに1時半を回っていたのにランチはどこも長蛇の列。いやあ、まいった。しかもそうしたビルに入っていないレストランは営業していない。ようやくランチにありついたのは2時過ぎだった。

ランチの後、せっかく日本で正月を過ごしているので明治神宮に初詣に連れて行った。自身、明治神宮に初詣に行くのは大学時代以来である。2日の午後3時過ぎならそろそろ空いているだろうと思っていたのだが、まったく甘かった。本殿に向かう参道一杯人で溢れている。台湾人達はというと揃ってiPhoneでビデオ撮影している。何を撮っているのかと聞くと「人が溢れているのは中国だけではない。」という事実を友人達に見せるということだった。なるほど。まあ、なんであれ、楽しんでくれれば連れて行った甲斐があった。30分以上並んだだろうか。ようやく順番が来てお祈りすることができた。2015年は良い年になりますように。

夜は「焼き鳥が食べたい」派と「刺身が食べたい」派がいたので両方揃う居酒屋に行った。正月早々、どんな人が居酒屋にいるのだろうと思ったが、店内にはほかにもアジア人グループがいて賑わっていた。こうしてみると彼らのもたらす経済効果は想像以上のようだ。加えて、彼らがたくさんやってきて日本のことを好きになるのは良いことだと思う。

ちなみに彼らがお土産を買うのにも付き合ったのだが、目当ての一つは「マツキヨ」だった。全然知らなかったが、(少なくとも新宿の)「マツキヨ」は免税店なのだ。山ほど洗顔料や健康食品を購入していたが、やはり日本製が人気なのだろうか?

West Side Story : アンドレ・プレヴィン

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アンドレ・プレヴィンというと僕の中では完全にクラシックの指揮者なのだが、彼はキャリア初期には天才ジャズピアニストだったし、途中ではハリウッドの音楽家だったこともある。いずれも成功を収めているのだから、多才な人だ。

「WEST SIDE STORY」は59年の録音。プレヴィンのピアノは非常に音色が美しい。曲目が曲目だけにジャズなのかなんなのか定義が難しいが、この演奏を聴いていると後年彼が録音した例えばラフマニノフの交響曲との親和性を感じる。

リラックスして聴くのにピッタリ。おいしいコーヒーと一緒にどうぞ。

R・シュトラウス「英雄の生涯」 : 小澤

今朝、Yahooニュースを見ていたら、「マサイ族 報復でライオン殺す」という記事が目に留まった。お正月早々、血生臭くて恐縮だが、家畜のロバを殺された報復にライオン6頭を殺したという記事である。絶滅危惧種であるライオンを殺したことで現地の政府は訴追を検討しているようだ。

ロバを殺したことの報復として殺されたとライオンが理解するのかどうかわからないが、マサイ族とライオンの関係は対等というか、少なくとも「人間がライオンを保護する。」という一見自然保護のように見えて実は人間が自然界で上に立つ存在であるということを前提とした考え方とは一線を画している。ライオンが減った理由を承知しないが、直感的にマサイ族の責任であるとは思えない。緊張関係を維持しつつ共存共栄してきた歴史を別の文明が破壊したのではないかなあと思う。その結果、絶滅危惧種になったライオンを殺した罪をマサイ族が負うというのもどうなのかなあ。

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閑話休題。ライオンの話で小澤さんを思い出したわけではない。年末からずっと聴いている「小澤征爾の芸術」。どれを聴いても充実の演奏で楽しんでいる。

昨日の夜聴いたのは「ツァラトゥストラ」と「英雄の生涯」の組み合わせ。80年代初頭にボストン響と録音されたもの。この頃になると小澤/ボストン響の関係は完全に安定していたと思うし、小澤さんの指揮も70年代に比べてずっと落ち着いている。

いずれの曲も派手に演奏しようとすればいくらでも派手にできそうだし、演出過剰とも思える演奏が多い中、しっとりと丁寧な演奏である。一回聞いたら忘れないような強烈な個性を聞かせる演奏ではない。しかし、両方とも細部にまで神経が通った実にまっとうな演奏だと思う。録音も良い。

明けましておめでとうございます。

謹賀新年。明けましておめでとうございます。

今年も頑張って早起きし、昨年に引き続き茨城県の海岸まで初日の出を拝みに行ってきた。
去年は奇跡的な快晴で素晴らしい日の出を見ることができたのだが、今年は海岸に到着してみると、

IMG_0668 (2)
ご覧のとおり波高く、水平線には厚い雲がかかっていた。

日の出の時刻は6時48分なのだが、7時過ぎまで雲に隠れて太陽は見えず。でも、せっかくここまで来たのでその場で粘っていると、

IMG_0674 (2)
雲の切れ間から少しだけ御来光が!

さらに5分後、
IMG_0678 (2)
ようやくお出ましになりました!う~ん、明るい。

気温0度、北風が強く、体感温度はさらに低かった。それでも昨年同様、サーファー達は元気に海に入ってました。

今年も本ブログをよろしくお願いいたします。



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