シベリウス交響曲第2番 : カラヤン

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カラヤンが70年代から80年代初頭にかけてBPOと残したシベリウスの管弦楽曲が4枚組のボックスにまとめられている。リマスタリングされて2,000円しない価格で買える。2番のLPが2,800円で売られていた頃、学生だった僕はどうしても新品が買えなかった。今回は見つけた瞬間、購入ボタンを押した。

カラヤンのシベリウスはもっと古い演奏もあるが、こちらの新しい録音は比較するとずっと豪華絢爛な出来栄え。シベリウスの交響曲に水墨画や禅のイメージを持たれる方はお気に召さないかもしれない。2番もけっこう個性的な演奏である。

僕はカラヤンのシベリウスは新しい録音の方が総じて好み。こんなにダイナミックで重量感のあるシベリウスは他にない。弦楽器は分厚く、実に美しく仕上げられている。金管は重厚で力強い。BPOの演奏がまた素晴らしく、最強音の上にさらに最強音を重ねられるような底力をそこここで見せてくれる。名盤だと思う。
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シベリウス ヴァイオリン協奏曲 : チョン・キョンファ

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チョン・キョンファのデッカ録音を集めたBox Setを購入した。以前、同じ内容のBox Setが韓国から発売されて大いに興味を持ったのだが、それなりの価格だったので買いあぐねているうちに売り切れてしまった。今回購入したのは通常のCDサイズのボックスで大幅に値段が下がったEU盤。ただし韓国盤のような豪華なブックレットはついていない。

チャイコフスキーとカップリングされたシベリウスのヴァイオリン協奏曲はチョン・キョンファのデビュー盤ということだ。ご覧のようにジャケット写真にはまだ少女の面影が残っている。70年、22歳の時の録音。バックはプレヴィン/LSOが務めている。

僕はずっとチョン・キョンファのヴァイオリンはカミソリのような切れ味だという印象を持っていて、それはこの演奏を聞いても変わらなかった。落ち着いてよく聞いてみればふくよかな音色も随所に聞けるし、優しい表情も垣間見えるが、結局、心に残るのは圧倒的に力があって伸びやかな高音の響きである。プレヴィンの伴奏も見事。名盤。

Leggiero (3)

Leggieroが到着した時、実はORBEが修理中だった。以前も記事にしたが、僕のORBEは並行輸入。本国仕様なので230Vが指定の電圧。なので昇圧トランスを途中に入れて使っていたのだが、どういう具合か時々回転が合わなくなる。電源との兼ね合いなのだがとても不便。並行輸入品を代理店に出すわけにもいかず、とあるオーディオショップで電源を改造してもらうことにした。

しばらく電源部だけ入院していたのだが、これが昨日、修理から上がってきた。電源改造だけでもどんなものか楽しみだったのだが、これでようやくLeggieroと組み合わせることができる。早速、ORBE+SME SeriesIV+ShelterにLeggieroを繋いでみた。まずは最近、繰り返し愛聴しているPrinceをかけてみたのだが、これがもうびっくり。DDX-1000+Rigid Floatにいろいろカートリッジを組み合わせて聴いていた時もすごく良いと感じていたのだが、しばらく聞いていなかったORBEと比較してしまうと圧倒的に分が悪い。

聞いてすぐに気づくのは低音の厚さの違い。ORBE+Series IVからははるかに厚みのある低音が再生される。厚いだけでなく音階も実にクリアーに聞き取れる。フローティングによって微細な振動から解放される上にアームに直接カートリッジを取り付けることから来る剛性の高さが効いているのだろう。低音が厚くても中高音がマスクされることもなく、抜けの良さと中低音の厚みが見事に両立している。

カートリッジが拾ってくる音が正確になればなるほどLeggieroの音の良さも凄みを増すようだ。今まで使ってみたフォノイコライザーではどれを使ってもここまでターンテーブルとアームの性能差をはっきり示したものはなかった。背景は一層静かになり、ダイナミックレンジは一層広がった。カートリッジやリード線の交換では埋められない確固たる差がある。ちなみにModel7000とLeggieroの相性もすごく良いと思う。

ORBE+Rigid Float+昇圧トランス+テクノクラフトオーディオデザインのフォノイコライザーという組み合わせで聴くと、これまたDDX-1000で聞いている時よりもずっと広がりのある音が出てくる。DDX-1000がダイレクトドライブだからダメというより基本的にリジッドなプレーヤーの場合、設置の仕方を相当つめる必要があるのだと思う。

今日はC・デイヴィス指揮のハイドンのLPを聴いた。このLPについては以前、このブログで紹介したことがある。
ハイドン交響曲第100番「軍隊」第104番「ロンドン」 : C・デイヴィス
このLP、ハイファイ堂の値札には「高音質盤」とあるのだが、前回聞いた時にはなんだかモヤモヤしてそんなに高音質とは思わなかった。今、ORBEとLeggieroの組み合わせで聴くとなるほどオーケストラホールの響きが豊かに収録された好録音であることがわかる。演奏の印象も一段上がった。

手元にあるLPをもう一度全部聞き直そうと思わせてくれるフォノイコだ。

ベートーヴェン ピアノトリオ「大公」 : スーク・トリオ

スークトリオ大公

お正月の福袋に入っていたレコードの中で最も頻繁に聴いているのはロジェヴェンスキーのチャイコフスキー全集、その次がこのスーク・トリオによる「大公」トリオである。

LPの帯には「レコード派のあなたに、デンオン最後のアナログ・ディスク」と書かれている。オリジナルの録音は75年だが、プレスは93年。CDが完全に普及してレコードがまさに風前の灯だった頃に発売されたLPである。ちなみにこのシリーズのほかのラインアップが裏側に記載されており、インバルのマーラー5番やブロムシュテットの「英雄の生涯」も並んでいる。両方とも欲しいなあ。

スーク・トリオの「大公」は村上春樹の「海辺のカフカ」の中で取り上げられていて、そこでは登場人物の一人がこの演奏のことを「美しくバランスがとれていて、緑の草むらをわたる風のような匂いがする」と評している。およそ凡人には発想できないような表現である。正直言うとそう言われても実際匂いは連想できないのだが、美しくバランスが取れている演奏であることは間違いない。透明で温かい演奏だ。三人がこの曲を慈しむように演奏しているさまが鮮明に録音されている。

この録音はチェコのルチャニーという町にある教会で録音されている。ライナーノーツによればここはスメタナ四重奏団の別荘が近くにあるらしい。草創期のPCM録音だが実に良い音だ。伸びやかでホールトーンも自然。演奏と録音の方向性がぴったり合っていると思う。こういう録音をLPで聴くと「デジタル録音だから・・・」とか「アナログ・ディスクだから・・・」とかいう議論はほとほと意味がないと思う。方法論はともかく、良いものは良いのだ。

Leggiero (2)

FidelixのLeggieroが到着した日に興奮状態で感想を記したのが先週のこと。今日でちょうど一週間になる。限られた時間ではあるが、ほぼ毎日レコードを聴いている。PitRacer導入後はCDを聞く比率がぐんと上がったのだが、Leggiero到着後はまたレコードを聴く時間がぐんと増えた。CD、LP、PCと音源も違えば再生機器も異なる3つのチャネルをその時の気分で選んでいるが、Leggiero導入後はレコードを聴くのがすごく楽しくなった。

最近、ようやくアームやカートリッジの組み合わせが落ち着いてきたところだったのだが、新しいフォノイコライザーの登場で再びいろんな組み合わせを試している。今のところ、1GΩの入力インピーダンスでしか試していないが、自分の好みで言えばこのフォノイコライザーにはSPU系よりもZYXやAT50aniv、OC9/IIIといったカートリッジの方がしっくりくる。同じオルトフォンでもMC30Wはとても良かった。この中ではAT50anivのみ空芯だが、短時間の比較では必ずしも圧倒的に合うとは感じなかった。もちろんアーム、シェル、リード線との組み合わせの相性もあるだろう。ちなみに僕がLeggieroに合わせているのはRigid Floatである。今日、聴いているのはおそらくDL-103をスケルトンにしてカーボンボディに改造した武蔵野譜音の「黄金虫」というカートリッジ。これをオヤイデのカーボンシェルに取り付けて聴いているが、透明感があると同時に中低音には厚みがあって非常に良い。とにかく何で聴いても今までと違う発見があるので、気を付けないとまたカートリッジの泥沼に落ちてしまいそうなフォノイコライザーである。

iFi Audio nano iDSD

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PCオーディオ用のDACをどうしようかと悩んでいたところ、iFi-Audioのnano iDSDの中古が出ているのを発見。小さい筐体なのにほぼありとあらゆるファイルを受け付ける利便性に惹かれてDACはこれに決定。翌日には現物が到着した。ほぼ使用感がない。きっといろいろなDACを試している方が買ってすぐ手放したのだろう。

小さいのは知っていたが、現物は本当にコンパクト。ただ、筐体はしっかりしていて重さもサイズの割にはそこそこある。バッテリー駆動でもあるのも好印象。PCから吉田苑さんの電源線を省いたUSBケーブルをBusPower-Pro経由でnano iDSDに繋いだところ、すぐに通信が始まったのでこのまま聞けるかと思ったのだがWindowsマシンなのでそうは行かなかった。ドライバーのダウンロードが必要となる。

nano iDSDにはちゃんとしたアナログボリュームがついていて、これを最大位置にするとラインレベルの出力になる。僕は純粋にDACとしてしか使う予定がないのでボリュームは最大にしてRCAケーブルでプリアンプに接続した。もうこれで準備完了。これでPCMなら384kHzまで、DSDやDXDフォーマットも聞けるのだから凄い。

BugHead Emperorをプレーヤーにしてとりあえずいろいろな曲を聴いてみたが、結論から言うと僕にはこれ以上のクオリティのDACは不要と思える出来である。とにかく384kHzまで受け付けてくれるのでファイルの種類にかかわらず聞けるし、アップサンプリングしたりして遊ぶこともできる。ESS9018みたいな最先端のDAC素子を使っているわけではないし、同じiFi-Audioの上級機種に比べればどこか劣っているのだろうが、ではどこか不満ですかと聞かれればなんの不満もない。

どんな音かと言うと、姿形から想像するよりも中低域が厚くて温かい音がする。BugHeadの影響もあるに違いないが、アナログソースのように聴き疲れのしない音である。これならのんびりリラックスして音楽が聴けそうだ。

Art Official Age : Prince

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実に久々にプリンスの新譜を購入した。"Art Official Age"は昨年発売された2枚組のアルバム。"1999"の頃からプリンスの音楽はずっと好きだが、CDを買ったのは大学生の頃が最後、LPを買うのはこれが初めてだ。プリンスにとって実にこれが34枚目のアルバムらしい。もう何歳になったのか知らないが、いまだに第一線で活躍しているのはなんだか嬉しい。

このアルバム、もちろんCDでも出ているのだが、僕は迷わずLPを購入した。価格はLPがCDの倍もする。30数年の雌伏の期間を経て今や高級品である。アナログ回帰と言ってもマーケットが限られているので仕方ない。LPで発売してくれただけでも御の字だ。

何しろプリンスのアルバムを手にするのが久しぶりなので、最近のプリンスがどんな曲を作っているのか皆目見当がつかなかったのだが、このアルバムを聞く限り、プリンスはまったく変わらずプリンスだった。最初から最後までつまらない曲はゼロ、まったく飽きさせない。1枚目のB面なんてDDX-1000に装着されたアーム3本で次々に3回連続で聞いてしまった。素晴らしい!

FIDELIX LEGGIERO

私的アナログブームは一段落したが、依然として通常稼働中のアームが4本もある。とはいえ、だんだん良く聞く組み合わせが限られてきたので最終的にはプレーヤー1台、アーム2本くらいで落ち着きそうである。問題はそれを受けるフォノイコライザー。以前、ブログで書いたとおり、自宅試聴可能なフォノイコライザーをいろいろ試した上でテクノクラフトオーディオデザインのModel44aを導入したほか、合研ラボのフォノイコが2台。実はいろいろ借りて試聴してもこの安価なフォノイコを圧倒的に蹴散らすものがなかったのがここまでフォノイコを決めかねていた理由。

そんな中、試聴もせずネット上の情報だけでどうしても試してみたい製品を発見。それがこれである。
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FidelixのLeggiero (レジェーロ)という製品。Fidelixはかなり歴史のあるオーディオメーカーだが、僕がこの会社の名前を知ったのはCapriceというDACが初めて。DACの製品情報を見て同社のウエブサイトを見るようになったが、ここの技術情報はとてもためになる記事が多い。電源やノイズの話もすごく参考になった。それにしても、ここといいテクノクラフトオーディオデザインといい、信頼できそうなメーカーはみな3Pプラグ否定派だなあ。

同社のウエブで新たにフォノイコライザーが発売されたことを知り、ここの製品ならと今回は直感だけで購入してしまった。製品が届いたのが今日の午前中なのでまだ通電してから数時間しか経っていないのだが、ファーストインプレッションは実に素晴らしい。

LeggieroにはMMとMCの入力が用意されているが、切り替えはリアパネルに埋め込むように設置されているトグルスイッチで行う。取説には頻繁に切り替えを想定しないのであえて使いづらくしてあると書かれている。つまり実質的に入力1系統なのだ。

でも、僕はMC専用で使おうと思っていたので全然問題ない。だって、MC入力こそがLeggieroのLeggieroたるところであり、特別なところなのだ。何が特別って、このイコライザー、MCの入力インピーダンスが1GΩなのである。1GΩって1000MΩである。普通のMCフォノイコライザーの入力インピーダンスは数十Ωから数百Ωなので、まさに桁違いの数字。アナログ初心者ながら常識的ではない設定に一気に心が動いたというのが本当のところである。(ちなみに入力インピーダンスは330Ωにも設定可能。)

これが電気的にどういう意味があるのかは仔細承知しない。製作者曰く鉄芯カートリッジが空芯カートリッジのように変わるということである。空芯カートリッジはAT50anivしか持っていない。このカートリッジは解像度が高い一方、少し線が細いという印象。そういう音なのかな?と思いながら音を出してみた。

最初に聴いたのはジュリアードの弾くスメタナの「わが生涯より」。このLPはコンスタントに聴いているので比較用に良いと思っての選曲である。カートリッジはオルトフォンのMC30W、アームはRigid Floatでワクワクしながら聴きだしたのだが、最初の一音から圧倒された。

LeggieroはSN比が高いのが売りだが、アンプに繋いでみると思った以上に残留ノイズが聞こえる。僕のアンプはノイズレベルが高いので特に驚かなかったのだが、針を落とすとまず針音が聞こえ、マスターに起因するヒスノイズが続く。と思ったら、まさに突然といった感じで、(ノイズがあるにもかかわらず)無音の中を弦楽器の音が切り裂いた。

実際の感じは文章では形容できない。生々しいとも言えるし、とてつもなくスピードが速いとも言えるが、それだけではない。このフォノイコライザーは今まで僕が聞いてきたフォノイコライザーとは何かが根本的に違う。しばらく聴いてから、またこの続きを書こうと思う。

ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」 : ジュリーニ

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おとといに引き続き「ジュリーニ・イン・アメリカ」から「英雄」を聞く。この演奏がLAPOの音楽監督に就任して最初の録音ということだ。

第1楽章冒頭から徹頭徹尾、ものすごく遅いテンポで進む。テンポは遅いが緩い感じはない。一つ一つのフレージングがすごく丁寧で表情も濃い。楽器も奏法もまるっきり違うのだが、僕はこの演奏を聞いていてブリュッヘンの「ジュピター」を思い出した。LAPOはきっと新しい音楽監督の指揮に必死に応えようとしていたことだろう。指揮者とオーケストラのぴったり合った素晴らしい演奏である。

ジュリーニはこの後、スカラ座とウィーン・フィルとも「英雄」を録音している。いずれも聞いたことがないが、HMVでレビューを読むと同じように悠揚としたテンポの演奏のようだ。これだけの有名曲で独自の解釈を貫いたところがさすがだと思う。

ベーリンガー CX2310 SUPER-X PRO

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ベーリンガーの製品はこのブログを始めたばかりの頃にDEQ2496というイコライザーを使ったことがある。この製品はネット上でそこそこの評価だが、僕にはうまく使いこなせなかったようで、ほどなく売却してしまった。価格が何10倍もするアキュフェーズの製品の代わりを期待したこと自体が虫が良すぎたが、その時の経験でそれ以来、なんとなくベーリンガーの製品を敬遠していたのも事実。

今回、それでもCX2310を購入したのは簡単な話で、こんな安価なチャンネルディバイダーは他に見当たらなかったから。ステレオ2ch、2.1ch、あるいはモノラル3chのディバイダーが7000円で買えるのだ。ベーリンガー製品はすべて中国製のようだが、確かに日米欧で製造していたら、この内容の製品をこの価格で販売するのは無理だろう。

僕がこの製品を買った目的はCW250Aの可変式ローパスフィルターの代わりにチャンネルディバイダーが使いたかったから。だから、CX2310はサブウーファーにしか繋いでいない。メインスピーカーの帯域分割はせず、CW250Aの前段にCX2310を繋いでいる。こうすればメインスピーカーの接点を増やすこともないし、サブウーファーの受け持ち音域はずっと急峻なカーブでカットできる。多少SNが不利になってもごくごく低音域なので問題ないだろう。

プリ出力が一つしかないのでしばらくテープ出力からCX2310に繋いでいたのだが、やはり不便なので新たにRCA分岐アダプターを導入した。接点が増えることによる弊害を若干心配したが、僕の耳ではこのアダプターによる音質劣化はまったく聞き取れない。それよりチャンデバ導入によるメリットの方がはるかに大きく、音かぶりなく必要な低音だけ補ってくれる効果は予想以上。CX2310にはXLR入出力しかないが、ごく普通に販売されているRCA‐XLRケーブルで繋いでも何ら問題ない。(1番と3番がショートされている必要がある。)これは良い買物だった。

ムソルグスキー「展覧会の絵」 : ボド

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セルジュ・ボドという指揮者のことはこのCDを購入するまで知らなかった。1927年生まれで今年88歳。このCDはタワーレコードの限定盤で、解説によればパリ管唯一の「展覧会の絵」のスタジオ録音ということだ。

冒頭のプロムナードから少し影が差した夕日のようなトランペットの響きが雰囲気抜群。各曲を丁寧に描き分けたボドの指揮も良いし、最強音でも刺々しさがなく柔らかいパリ管の演奏も良い。聴き手を驚かせたり圧倒したりするような演奏ではないが、バランスの取れた佳演だと思う。69年の録音だがリマスタリングされていて音は十分良い。

ドビュッシー「海」 : ジュリーニ

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ジュリーニ・イン・アメリカというボックス・セットの第1弾、ロサンジェルス・フィルとの演奏をまとめた6枚組CDの最後に収められているのはフランス物。ドビュッシーの「海」にラヴェルの「マ・メール・ロワ」「スペイン狂詩曲」がカップリングされている。

ジュリーニとフランス物という組み合わせをちょっと意外と思ったのだが、「海」も「マ・メール・ロワ」も複数回録音しているようだし勝手な思い込みだった。

「海」には新古典主義的なすっきりかっちりした演奏も合うと思うのだが、この演奏はジュリーニらしくシンフォニックで味付けが濃い。味付けが濃いと言うと語弊があるかもしれない。うまく表現できないが、フランクの交響曲二短調と同じような味付けを感じる。昼か夜かと言えば夜、夏か冬かと言えば夏の「海」だ。この人の演奏にはいつも不思議な魅力が溢れている。

シューマン交響曲第1番「春」 : スクロヴァチェフスキ

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スクロヴァチェフスキがザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルというやたら長い名称のオーケストラを振ったシューマンの交響曲全集から第1番「春」を聴いた。

第1楽章冒頭序奏が終わって主題に入るところからテンポが急激に上がる。歯切れの良いフレージングで快速のまま楽章後半まで来て最後はまたグーッとテンポを落とす。ブルックナーでも頻発するテンポの急変はこの指揮者の特徴のようだ。

第2楽章は予想どおりかなりテンポが遅い。テンポは遅いのだがフレージングはメリハリが効いていて味付けは濃いめ。
この当たり好みは分かれそうである。スウィトナーやサヴァリッシュの自然体とは正反対。

どちらかと言うと普通の第3楽章を経て終楽章に入る。ここでもスクロヴァチェフスキの解釈はかなり大胆でテンポは自由自在に伸び縮みする感じ。やりたい放題に近いが、何より驚くのはこの録音の段階で83歳ということ。活き活きとした演奏に圧倒される。驚異的な瞬発力である。怪演。

Bug Head Emperor

昨日の続きでPCオーディオの話。

以前、ちょっとだけPCオーディオを齧った時に使っていたプレーヤーソフトはfoobar2000だった。DSD再生が市民権を得つつある今でもfoobar2000はスタンダードの位置づけのようだ。有償ソフトではJRiver Media Centerという名前もあちこちで見かける。こうした王道ソフトと並んで最近見かけるのがBug Head Emperorというソフト。

個人で開発されたソフトみたいで無償。ネットで検索すればすぐにサイトが見つかる。使い方が少しややこしそうだったがダウンロードフリーなので早速ダウンロードしてみた。ASIOが必要なので窓の杜でasio4allを別途ダウンロードする。DragonFlyがASIO対応かどうか自信がなかったのだが、とりあえずどんどん展開してみるとどうやら音は出そうである。

Bug Head Emperorはいろいろなパラメーターが変更できるのだが、独自のネーミングが多くそれぞれが何を意味しているのか正直良く分からない。製作者の方のコメントやネット上のレビュー記事でBlackとかBananaという言葉が使われているのをみてとりあえずBlackを選択。DragonFlyは96Hzが上限なので2倍サンプリングですでにHDDに保管されている音楽を再生してみた。クラシックではなくジャネット・ジャクソンとかマドンナといったポップスを聴いてみる。

今までPC上のプレーヤーの違いで本質的な音の差が出るとはあまり思っていなかったのだが、このソフトから出てくる音には正直驚いた。これならCDやLPとは違う系統の音として十二分に楽しめる。特に低音の充実はすさまじく、ジャネットを聴くにはサブウーファーのスイッチを切る必要があった。大げさでなく部屋のあちこちが揺れてしまうのだ。

僕の現状の環境は普通のWindows8マシンにDragonFly直差し、そこからベルデンのミニプラグ‐RCAケーブルでプリアンプに繋いでいるだけ。バスパワーの電源対策も何もしていない。それでこの音であれば真剣にいろいろ対策すればずいぶん立派な音になりそうだ。こういう傾向の音が好きな人ばかりではないと思うので万人向けではないかもしれないが、HDDにファイルを貯めているのであれば、このソフトは一度試して損はないと思う。

百花繚乱

akifuyu102さんに教えていただいたナクソス・ミュージック・ライブラリーの会員にはまだなっていないのだが、とりあえず試聴だけでもと思ってPC本体のスピーカーで聞いてみた。うーん、これではあまりに貧弱な音すぎて音楽を楽しめない。

何度かにわたる機材の整理で単体のDACはみな処分してしまった。Perfectwaveを取っておけばよかったのだが後の祭り。そう言えばと思って引き出しをごそごそと探してみると数年前に買ったAudioquestのDragonFlyが残っていた。早速、USBポートに差してミニプラグ‐RCA変換ケーブルで繋いでみる。とりあえずメディアプレイヤーで聞いてみるとPCのスピーカーよりもはるかにまともな音がする。なるほど、BGM的に聴くならこれでも十分良さそうである。が、当たり前とはいえ、CDやLPで聴くのと比較すると見劣りすることは否めない。だからといって本格的なDACを買うのもなあ。

そう思ってちょっと調べてたら、知らないうちにUSB・DACの種類ってものすごく増えている。数千円から数十万円までまさに百花繚乱。BIT数、サンプリング周波数、DSD対応等々バリエーションがたくさんあって一体どれを選べばいいのか良く分からない。PCオーディオはできるだけ気軽に楽しみたいと思うのに、こうやって調べだすと音が良くなりそうな仕掛けがたくさんあっていつの間にか複雑怪奇なシステムを模索してしまう。一方でCDもLPもたくさんあるのに本当にPCで音楽聴くのだろうかと考えると結構疑問だったり。こうして結局、結論の出ないまま、また今度検討しようとなってしまう。

マーケティングの本で「選択肢が多すぎると顧客は商品を購入しない」というセオリーを読んだことがあるが、僕にとってPCオーディオはまさにそのとおりの状況である。

ブラームス交響曲第1番 : ヴァント

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ヴァントのブラームス交響曲全集は80年代と90年代の二種類あるようだが、最近、僕が入手したのは古い方の全集。

ヴァントは晩年になってものすごく評価が上がったが、この全集が録音された頃、ちょうどクラシックを真剣に聴き始めたばかりの僕はしばらく名前も知らなかった。北ドイツ放送響というのもずいぶん田舎のオーケストラと感じていた。その頃、この全集は日本でどう評価されていたのだろう?

なんとなくのイメージでヴァントに一番合いそうな第一番から聴いてみる。ティンパニに支えられた導入部は相当速いテンポだが長くは続かずその後はごく普通のテンポに戻る。非常に地味な演奏である。ベームやザンデルリンクも派手な演出は皆無だが、オーケストラの、特に弦楽器の力の漲り方が凄い。それに比べてヴァントの演奏は気負いがなくずっと自然。その傾向はその後の楽章でも変わらず、終楽章もどちらかと言えば淡々と滋味溢れたブラームス特有の音楽が流れ出してくる。これが本当のブラームスだと言われれば、「なるほど、そうですか。」と思わなくもない。

このCDは96kHz/24BITでリマスタリングされている。特にそれを誇示するようなアレンジもされていないようで自然な鳴り方。演奏にマッチした録音だと思う。
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