ベートーヴェン交響曲第9番「合唱付き」: ショルティ

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年末と言えばやっぱり「第九」。と言いつつ、最近はコンサートにもめっきり行っていないし、テレビもすっかり見なくなってしまった。今年もN響の第九ってあるのかなと調べてみたら、「ああ、そうか、パーヴォ・ヤルヴィが首席指揮者になったから今年は「パーヴォの第九」を放送するんだ。そりゃ、さすがに録画しなくちゃ。」というのが二時間前くらいのことである。

実際観てみないとわからないが、なんとなく快速進行しそうなヤルヴィの「第九」。まあ、それはそれで面白そうだ。でも、どっちかと言うと古臭いベートーヴェンが好きな僕はせっかく思い立ったので久しぶりにショルティの「第九」を聴いてみた。

ショルティのベートーヴェンと聞いて脊髄反射的に硬直した力任せの演奏を思い浮かべる人が多いようだ。以前、「英雄」について記事にしたが、正直、まったくそんなタイプの演奏ではない。もちろん、線が細いとか詩的な表現ではないが、少なくとも力でねじ伏せるようなスタイルの演奏には聞こえない。インテンポではあるが単調でもない。そう聞こえるとすれば、硬直しているのは聞き手の方だと思う。

とはいえ、この演奏を聴くのも久しぶり。細部がどんな演奏だったかすっかり忘却の彼方にあったのだが、第一楽章が始まってすぐに演奏の求心力の大きさにぐいっと引き込まれてそのまま最後まで満喫してしまった。中庸なインテンポで最初から最後まで貫徹する堂々たる演奏である。シカゴ響の演奏はもちろん万全だし、独唱も合唱も文句なし。フィナーレもフルトヴェングラー的興奮とは無縁だが、聴きごたえ満点。良い演奏だ。
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N44-7 JICO互換針

ShureのM44-7を手に入れてからJazzやFusionを聴く時にはこのカートリッジを使うことが多い。線の太いわかりやすい音で鳴ってくれて満足度が高い。

このカートリッジに限らず、現在、Shureが販売するカートリッジと交換針はすべてメキシコ製である。「メキシコ製」というと何やら品質に対するネガティブな先入観を感じてしまう、実際、先入観に違わず、どうやら品質管理がおおらかなようで、製品には当たりはずれがあるようだ。例えば手元にあるM44-GとM44-7を比較すると二つのカートリッジの間にはトラッキング能力に結構な違いがある。軽針圧のM44-Gの方がトラッカビリティは高いと思いきや、比較するとM44-7の方が歪みなく細かい音まで拾ってくれる。

そういうM44-7ですらカートリッジを仔細に観察するとカンチレバーが少々捻じれていたりするし、針がカンチレバーの中央に完全に垂直に付いているかというと心許ない感じだ。そういうところもすべて含めてオリジナルは音造りしている可能性は否定できないが、僕はやっぱりカンチレバーはまっすぐが良いし、針も真ん中に付いていてほしい。

そう思ってJICO製の互換針を試してみることにした。JICO製品については、以前、V15 TypeIVの互換針を試したことがある。この時はオリジナルとスペックも違うSAS針を購入したのだが、オリジナルとの音の差は僅少だった。いや、格好つけずに言えばよくわからなかった(笑)。ただ、JICO製品にはちゃんと品質責任者の確認印が押されたペーパーがついてくるし、Made in Japanの安心感は確実にある。

JICOのラインアップを見るとM44-7の交換針であるN44-7についてはそうしたハイスペック互換針はなく、純正同様の丸針があるのみ。価格は純正品よりわずかに安い。代引きで購入したところ翌日には品物が届いた。安価な製品であるが、これにもSAS針と同様に検品済みの証明書がついていた。

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左側がJICO製。右側が純正の針である。ご覧のとおり良い悪いの前に形からしてかなり違う。JICO製針はスタイラスカバーがなく左右シンメトリーでないが、これは昔のN44-7の形状らしい。マクロレンズが手元になく、コンデジで撮影したのでピントがしょぼい。しかも真上から撮れていないので互換針のカンチレバーの方が捻じれているように見えるが実際は逆である。

早速、針を交換して聞いてみた。トラッカビリティのテストとして「Time Out」を聴いてみると互換針の方が明確に細かいところまで再生する。その点は間違いなく互換針の方が良いが、ここまで違うとはたしてオリジナルと同等と言えるかなぁ。とはいえ、価格を考えれば文句なしである。しばらくこっちで聴いてみようと思う。

バルトーク「中国の不思議な役人」組曲 : 小澤

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これもまた非常にジャケット写真が印象的なアルバム。ちなみにこの写真は別のサイトから借りてきたCDのジャケットだが、下にある「The Best 1200」という部分を除けばLPと同一である。

小澤征爾さんはバルトークを若い頃にシカゴ響と録音しているし、その後もボストン響、ベルリンフィル、サイトウ・キネン・オーケストラといろいろな組み合わせで録音しているのできっと得意としているのだろう。

小澤征爾さんの「中国の不思議な役人」については以前、サイトウ・キネン・オーケストラとの演奏について記事にした。そちらの演奏も細部にこだわった緻密な良い演奏だったが、75年録音のこちらの演奏はリズム感に優れたキレの良さが印象的。特に最終盤に差し掛かったところ、打楽器をベースに弦の早いパッセージが続くあたりは暴力的なメロディが正確なリズムを伴って非常に迫力がある。冷静な演奏がむしろ一層恐怖感を伝える。こういうところ、小澤さんの指揮は本当に素晴らしいと思う。

これみよがしな演奏効果を狙っていない録音だが低音成分はかなり多い。光カートリッジで再生すると大太鼓が入る部分では遠目にもStageのリボンの動きが見える。スピーカーを壊しそうな気がして別のカートリッジに替えたくらいだ。

Shure M44-7

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TD124にはノイズの問題があって装着できなかったShureのM44-7だが、せっかく買ったのに出番がないのはもったいないのでラックスマンのPD444に装着した。今までPD444のアームには2本ともMCカートリッジを付けていたが、イケダのアームをSAECに取り替えてそっち側をMM専用にすることとした。

PD444にはフォノケーブルのセレクターが付いていて使用するアームを本体で切り替えることができるのだが、RCAプラグの間隔が狭いのと増幅前のフォノケーブルをセレクターに繋ぐのが不安で僕はこれを使用せず、フォノケーブルはそれぞれのアームから直接フォノイコに繋いでいる。SAEC側のケーブルをフォノイコに繋いでM44-7を付けるとなんとこっちもTD124と同様のノイズが入る。イケダのアームにMMカートリッジを付けてもノイズは皆無だったのだが。。この違いはアームの造り方によるものなのだろうか。

アームをイケダに戻すかしばし迷ったが、その前に(アームからのアースに加えて)PD444のセレクターに付いているグラウンド端子からフォノイコにアースを落としてみることにした。すると見事にノイズは消滅。正直、原理は完全に理解していないが、結果良ければすべて良しとしよう。(ちなみにこの試行錯誤をする前にShureの場合ライトグラウンド(緑)のピンに付いている金属プレートを外してみたのだが、むしろノイズはひどくなった。)

とにもかくにもようやくM44-7である。M44-Gと並んでDJ御用達のカートリッジだが、このカートリッジが登場したのはスクラッチの存在しない時代なのでもともとはれっきとした音楽鑑賞用ステレオカートリッジである。とはいえ、このカートリッジを音楽鑑賞用に使用している人の数は少数だろう。それも日本に集中しているのではなかろうか。英語でM44-7を検索してもDJ関連以外ほとんどヒットしないし、音楽鑑賞用にはもっと安くて良いカートリッジがあるので薦めないと明記するサイトもある。

ところがM44-Gもそうだったが、このカートリッジ聴いてみると実に良い音がするのだ。まず出力が通常のカートリッジに比べてかなり大きいので音が強い。よく言われるように低音は太い。高音はShureらしく華やかである。周波数特性みたいなもので比較したら大したことないだろうが、そんなこと関係ないって感じ。上から下まですっきり伸びきった高性能MCカートリッジとはそもそも勝負している土俵が違う。M44-Gも同傾向だがM44-7の方がより一層表情が濃い。

僕がアナログを初めてから約2年経つが、その間にもアナログ関連製品の価格、特にカートリッジの価格はどんどん高くなってしまっている。オーディオテクニカが発売した最新のMMカートリッジの定価なんて10万円近い。個人的にはそんな高いMMカートリッジいらない。それに比べてM44-7はカモメマークのオリジナルにこだわらなければ実売価格7~8,000円くらいで手に入る。世界中のDJのおかげでまだしばらく製造販売は続くだろうし、交換針も互換針も含めて豊富。一生分の交換針買っておこうかと思うくらいである。

ヨドバシカメラ

郊外に住んでいると大型電器店の最右翼はヤマダ電機とかケーズデンキになるが、僕は社会人になってから家電品はほぼ必ずヨドバシカメラで買っている。理由は他愛もない。ヨドバシカメラがおそらく最初にポイントカードを作ったからである。1990年なのでちょうど僕が社会人になった頃と重なる。それ以来、マニアックなカメラ機材やオーディオ機器を除くとほとんどヨドバシで買う。我ながら一途で感心する。ヨドバシカメラさん、もっと僕を大事にしても損はないと思うよ(笑)。

いつも以上にそれがどうしたという話で申し訳ないが、なぜこんな話をするかと言うと、最近、家電品以外もヨドバシで買うようになってみて感じるのは、ここの物流システムは本当に凄いということだ。

ヨドバシカメラは家電量販店のランキングでは5位でヤマダ電機やエディオンには叶わない。同じカメラ量販店であるビックカメラよりも下である。が、ヨドバシカメラが本当にすごいのはネットショッピングだ。ヨドバシの実店舗は大都市にしかない。僕も以前、都心に住んでいた時は店舗も利用したが郊外に越した今はネットしか利用しない。で、そのサイトが実に良く練られていて使いやすいのである。相当早くからインフラに投資していたに違いない。繰り返し利用するようになるとプロセスが簡略化され過ぎて思わず不要なものまで買ってしまいそうだ。その点は要注意である。

さらにすごいのは在庫を含めた物流力である。この夏エアコンが故障したが、この時も迷わずヨドバシで購入した。なぜかといえばこういう大型家電品もヨドバシなら必ず在庫があるからである。こういう工事が必要なものこそ地元と言いたいところだが、残念ながら今や地元の電気屋さんに大型製品の在庫はない。運よくあったとしても複数の製品を比較して選ぶことなんて到底無理である。ヨドバシなら在庫の有無だけでなく、次の日に届くようにするために残された時間まで表示される。登録された住所と在庫のある地点から逆算していると思うが、僕はこれが欲しいと思った時に在庫がなくて待つのが嫌な性格なのでとても助かる。ポイントを考慮に入れてもヨドバシカメラがネット最安値ということはあまりないが、それよりもタイムイズマネーだ。それに加えてヨドバシはどんなに安い商品でも送料無料である。電池1個でも送料無料、翌日到着。考えられない。

ということでこれまでも電気製品はヨドバシカメラで買っていたのだが、最近になって食品と飲料もヨドバシから購入できることに気づいた。最初に試してみたのはコーヒー。僕はコーヒーが好きで家でも良く飲むのだが、コーヒーは鮮度が大切なので一度にあまりたくさんは買えない。結果として頻繁に買いに行かざるを得ないが出張がちなこともあってよく忘れてしまう。できれば豆から挽いて淹れたいのだが、焙煎した豆を売っている店は家の近くにない。という状況下、ヨドバシならオーダーしてから豆を焙煎して届けてくれることがわかった。試してみるとオーダー後、翌々日には届く。一回分はだいたい2週間分で量も丁度良い。あと2日分くらいになったらワンクリックで豆が届く。思い立ったら夜中だろうが移動中だろうがいつでもどこでもオーダーできる。ああ、なんて便利なんだろう。次はお米。日本中のコシヒカリを比較して気分に合わせてオーダーでき、自宅の玄関まで無料で配送。ユーザーとしては素晴らしい限りだが、小売の世界は厳しいとちょっと思う。

昨日の夜オーダーした栃木産コシヒカリが今日の夕方、はるばる大阪から我が家に届いたのにあらためて感心。決してヨドバシカメラの回し者ではありませんので念のため。

トーレンス TD-124

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先日、アナログシステムはいったん完成宣言したのだが、今度はトーレンスのTD124を導入してしまった。思えば同じトーレンスのTD321を導入したのがアナログにのめり込んだ大きな転機だったが、その頃から手頃な個体があればいつか手に入れてみたいと思っていたのがこのTD-124。しかし、このプレーヤーが発売されたのは自分が生まれる前のこと。生まれた頃にはすでにディスコンになっていたという古い機種なので程度の良い個体で安いものはなかなか無い。それが先日、たまにチェックしていた某ショップのサイトでSME3009S2付きの個体を発見。価格も比較的安い。ショップによれば機能的に問題はなく1年間保証も付くという。ならばということで買ってしまった(笑)。

送金してから一週間後にプレーヤーが届いた。早速、箱から出してみる。自分が入手したのは124の中でも古い方の機種でシリアルは1万番台。モノラルとステレオの切り替わりの時代の製品なのでどちらかと言うとモノラル音源を聴く方が適しているようだ。インナープラッターは鉄製でかなり重い。自分が聴くのはほとんどステレオ音源なので本当はMark2の方が良かったが望み通りの中古が出てくることなんて滅多にない。特徴的な深緑色の鉄製プラッターはMCカートリッジだと磁力の影響を受けるという話だったので有名サイトで薦められているM44-7を付けることにした。

数あるトーンアームの中でもSME、特に3009S2とその後のImprovedは僕の中ではThe Tonearmという位置づけ。ずっと欲しかったが、人気があるし価格も上がってしまっているので今まで入手できなかった。TD124に加えてこのアームが手に入ったのはとても嬉しい。実物は写真で見る以上に見目麗しい。しかし、触ってみると思っていたよりも遥かに華奢で繊細だった。特徴的なウェイトは前後のバランスを取るメインウェイトと針圧をかけるライダーウェイトの組み合わせになっているのだが、前後のバランスもライダーウェイトとメインウェイトの間隔調整(ラテラルバランス調整)もヘックスレンチで行わければならない。事前に仕組みは知っていたが実際調整してみるとこれは複雑。だいたいこのくらいかなというところまでは簡単だが、そこからピントをぴったり合わせるのが実に難しい。このアームを使われている方々はここのあたりどうやって上手に調整しているのだろうか。

四苦八苦してM44-7を取り付けたのだが、音を出してみると問題発生。ボリュームを上げると容赦なく「ビー」という音がする。音から判断するに電源からノイズを拾っているっぽい。アームからのアースはすでにターンテーブルのグラウンドとフォノイコに落ちていたので、追加してターンテーブルからフォノイコまでアースを落としたり、両方外したりいろいろ試してみたのだが完全には無くならなかった。かなりボリュームを上げない限り実害はないレベルまでは行ったがどうも精神的に良くない。ということで、あっさりMMカートリッジは諦めて、TD124にはネイキッドのSPUを付けることにした。

トランスを間に入れてみるとノイズは綺麗に無くなったので、SPUでバランス取りの四苦八苦を繰り返す。エラスティックカップリングラバーが劣化しているのか仕様か判然としないが、ライダーウェイトは自重で少々捻じれて止まる。その時のライダーウェイトの高さはメインウェイトと並行が正しいのかカートリッジと同じ高さが良いのか不明である。詳しい方ぜひ教えてください。

アイドラードライブを使うのは初めてだがターンテーブル本体は思った以上に静か。立ち上がりも速いしストロボマークもきちんと止まる。写真では気づかなかったのだがメインスイッチのつまみに回転微調整のためのボリュームがついている仕掛けにはちょっと感動した。モーターが調子良いのにはホッとしたものの、回転中、横から見るとレコードが波打っている。観察するとレコードの問題ではなくアウタープラッターがうねっている。アウタープラッターを外して代わりに金属系のターンテーブルシートを載せて回転させてみるとまったくうねらないので、どうやらアウタープラッターが微妙に歪んでいるようだ。ならばと思って試しにその状態でレコードを聴いてみたが、見事に音楽がつまらなくなる。アウタープラッター込みで音が造られているのだから当然だが、その差は予想よりも遥かに大きい。

まだ聴き始めたばかりなので音を語るには早過ぎるが、TD124+SME3009S2+SPUの組み合わせはジャンルを問わず音楽を楽しく聴かせてくれる。響きが豊かで弱音時でも音が揺れない。何より聴いていて心地良い。なるほど良いターンテーブルだと思った。

コダーイ「ハーリ・ヤーノシュ」組曲 : ケルテス

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ケルテス/ロンドン響の演奏するコダーイの「ハーリ・ヤーノシュ」組曲ほかを収めたLPは6枚組のDECCA SOUNDアルバムの中の1枚。このアルバムを買ったのはすでに2年前になるが、ようやく4枚目を聴いた(笑)。CDほどではないがふだん聴くアルバムはごく一部のものに集中してしまうので買ったのに聴いてないアルバムが増える一方だ。今所有しているCDとLPを全部聴くまで新しいものは一切買わないことにすればかなり貯金できると思うのだが。。初回限定プレスという言葉に弱いし、中古も一期一会と思うとキリがない。

「ハーリ・ヤーノシュ」組曲は以前ドラティの演奏を取り上げた。その時も良い曲、良い演奏だなあと思ったが、ケルテス/ロンドン響の演奏もこれまた非常に良い。64年の録音ということなのでケルテスはまだ30代。きっとすでに若き大スター指揮者だったのだろう。大オーケストラとともにキレの良い素晴らしい演奏を展開している。アルバムの最後に収められているのは「ハーリ・ヤーノシュ」から歌曲が2つ。歌曲を聞くと「ハーリ・ヤーノシュ」全曲版のイメージが少し沸く。ちなみにHMVのサイトでは孔雀変奏曲が収録されていると書かれているが間違いである。(CDは孔雀変奏曲と組み合わせなので混同したのだろう。)ドラティ同様、ケルテスもコダーイに師事したことがあるらしい。そう考えるとコダーイの影響力って凄いなあ。

Sound System : ハービー・ハンコック

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いつも行く中古レコード店のハービー・ハンコックコーナーにあったレコードから今後は「Sound System」を買ってみた。ジャケット写真からしてオーソドックスなジャズとは思わなかったがいつ頃の作品かは不明のままとりあえず購入。帰宅してから調べてみると「Future Shock」の次にリリースされたアルバムだった。84年のリリース。

一曲目の「Hard Rock」を聴くと「Rock It」の続編といった感じ。悪く言えば二番煎じっぽいが曲自体はキャッチーで十分楽しめる。個人的に一番気に入ったのはA面最後に収められた「Karabali」。名前のとおりアフリカっぽさ一杯のノリの良い曲だ。B面を聴くと一曲目の「Junku」はロサンジェルスオリンピックの陸上競技のテーマ曲だった。なるほどあの頃のアルバムなんだ。そうわかった瞬間、他の曲もすべてどこかで聞いたことがあるような気がしてきた。現金なものである。

ウィキペディアによれば「Karabali」はハービーが「Head Hunters」をリリースする前に製作した3枚の「Mwandishi」アルバム時代に先祖返りした作品らしい。となれば、次はそのアルバムを聴いてみようと思う。

ストラヴィンスキー「春の祭典」 : メータ

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メータの「春の祭典」と言えば30代前半に録音したロスアンジェルスフィルとの演奏がずっと有名でNYPとの再録はすっかり影が薄い。メータの場合、この曲に限らずLAPOとの録音は名盤でくNYPとの録音は凡演という評価が多い。

僕の場合、クラシックを聴き始めた頃にはメータはNYPの音楽監督だったので、この曲を含め最初にNYPとの演奏を聴いて、だいぶ経ってからLAPOとの旧録を聴くというケースがほとんどである。だから、比較するとNYPとの演奏の方にずっと親しみが沸く。

個人的バイアスも多分にあると思うが、この演奏なんて大変優れた演奏だと思う。確かに30代前半の若さや怖いもの知らずの勢いは薄れているかもしれないが、演奏全体の完成度はNYP時代の方が高いと思うし、DECCAのキラキラした録音よりもCBSの落ち着いた録音の方が良い。久しぶりにLPを入手してみて以前よりも一層そう感じた。歳を取ったかなあ。

この「春の祭典」は78年録音なのでNYPの音楽監督になったばかりの頃の録音。メータ40代中頃の録音になるが、ジャケット写真を見ると実に精悍な表情である。当時、ニューヨークフィルの定期では特にご婦人の人気がすごかったと聞いたことがあるが、なるほどエキゾチックで納得。

肝心の演奏について一言だけ書くと盤石で余裕の表情。60年代のメータの演奏は「いっちょ驚かしたるか」というものでだからこそ大きな話題になったと思うが、NYPとの演奏からはそういう変な気合は一切感じない。この変化はメータが成熟しただけではなく、新旧録音の間の10年で「春の祭典」が現代音楽から普通のクラシック曲になったことの証だと思う。

Featuring Norah : ノラ・ジョーンズ

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ノラ・ジョーンズは2002年のデビュー盤である「Come Away with Me」の出来があまりにも素晴らしく、今のところそれ以上に完成度の高いアルバムはリリースできていないと思う。このアルバムはノラ・ジョーンズが他のミュージシャン達に招待された共演作をまとめたもので2010年にリリースされている。

「Come Away with Me」はSACDのマルチチャンネル再生に興味津々だった頃にSACDバージョンを買い、その後、CDバージョンも買い足した。本当はそのLPバージョンが欲しいのだが、今や廃盤状態でプレミアが付いてしまっている。こういう歌手のアルバムこそレコードで聴きたいと思って一番簡単に手に入るこのアルバムを購入してみた。

もともと一枚のアルバムを製作する目的で収録されたものではないコンピレーションアルバムなので、一つ一つの曲や共演者のスタイルは相当まちまちだが、にもかかわらず全曲を通じて、日だまりの中に影を感じるような(僕の持つ)ノラ・ジョーンズの印象が非常に色濃い。ノラ・ジョーンズを招待した共演者の頭の中に確固たる彼女のイメージが確立しているということだろうか。それともどんな曲を歌っても彼女の歌の支配力が強いことの証左だろうか。いずれにしてもそのおかげ最後まで落ち着いて聴いていることができる。今日みたいな穏やかな冬の日に聴くにはとても良いアルバムである。
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