ポーギーとベス : マイルス・デイヴィス

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ORBE/Series III/V15 typeIVで何を聴くかと言うと、例えばこういう音楽がぴったりだ。

マイルス・デイヴィスの「ポーギーとベス」。原曲は言わずと知れたガーシュインのオペラ。そこから12曲の音楽が抜き出され、編曲を手がけたギル・エヴァンスが作曲した1曲と合わせ全部で13トラック収められている。オペラでは歌手によって歌われるメロディをマイルスがトランペットとフリューゲルホルンを駆使して演奏し、バックはギル・エヴァンスが指揮するジャズバンドが支えている。

マイルス・デイヴィスの演奏は素晴らしいし、原曲のブルーなイメージを損なわないエヴァンスの編曲も良い。バックの人達もきっと錚々たるメンバーなのだろう。ジャズバンド的な演奏はあまり好きではないのだが、これだけ完成度が高いとそんなことは関係なくなってしまう。

しかし、この演奏、マイルスのソロは自由度が高そうだが、バックはエヴァンスの楽譜を忠実に演奏している感じ。ジャズと言うと即興のイメージだが、どこからどこまでがジャズと認識されるものなんだろうか。
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アナログシステムの整理

物欲と好奇心の赴くままアナログ機材を買い足してきたが、音楽を聴く時間は限られている。すると当然のことながらほとんど使わない機材が増えてしまう。でもどれもこれも愛着があって手放せない。結果として部屋の中が機材だらけになってきた。

自分で言うのもなんだが、僕はかなりのきれい好きだ。映画に出てくるような素敵な部屋には住めないまでもせめて片付いた部屋で寛ぎたい。プレーヤー5台をなんとかうまく並べて整頓したかったが、これに加えてトランスやらフォノイコやら、しかもそれらを繋ぐケーブルに電源ケーブルも必要だし。。ということで、オーディオラックの最上段にプレーヤー2台だけ残し、後は仕舞うことにした。

問題はどれを残すかだが、ここ数か月の稼働状況からあっけなくTD124とORBEに決定した。アナログの深淵に導いてくれたTD321、色々なアームで遊べるPD444、それにTT-3専用の特注DDプレーヤーの3台はしばらくお休みである。

TD124とSME3009S2、それに光カートリッジを組み合わせて以来、所有のMCカートリッジはまったく聴かなくなった。SPUもシェルターもzyxもそれぞれ良い音だがこのところはあまり聴きたいと思わない。したがって他のプレーヤーの出番はないのである。

他方、V15TypeIVを初めとするいくつかのMMカートリッジは今でもふと聴いてみたくなることがある。光カートリッジとはまた違った楽しみを感じることができる。なので、ORBEをMM専用にした。そうなるとアームもSeriesIVよりSeriesIIIの方が合う。興味本位でORBEを画像検索してみたのだが、出てくるアームはMichellの純正かSMEならなぜかSeriesVばっかりでSeriesIIIの写真は見当たらなかった。実際組み合わせるとこんな感じである。

Michell Engineering ORBE SE SME
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プラッターが分厚いのでアームがものすごくか細く見える(笑)が、配色はSeriesIVより合う。購入当初からORBEにはSeriesIVしか付けたことがなかったのでどんなものか興味津々。実際に音を出してみるとやっぱりSeriesIIIとV15シリーズの相性は抜群である。

TD124はプレーヤーが積極的に音を造るイメージがあるが、ORBEはどこまでもSN比が良く静かなプレーヤーである。こういうプレーヤーにSeriesIVを付けて高性能なMCカートリッジを聴くと確かに良い音なのだが面白みに欠ける。そのことがTD124を聴いて良く分かった。でもSeriesIIIとV15シリーズに代えるとはるかに楽しい音楽が鳴る。究極的な性能はSeriesIVにMCカートリッジの組合せが勝るに違いないが、出てくる音がつまらないのであれば、それにどういう意味があるだろうか。

僕のことなのでしばらくしたらまたあれこれいじり始めるに違いないが、しばらくはこの2台にCDを加えたシステムで行ってみようと思う。部屋も片付いてすっきりである。

シューマン交響曲第1番「春」 : ジンマン

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ジンマン/チューリッヒ・トーンハレの50枚組ボックスセットに収められているシューマンの交響曲全集から第1番「春」を聴いた。

まだ「春」を聴いただけだが、このシューマンの演奏は凄く良い。何が良いって、まず実に鮮やかなテンポである。そしてオーケストラの節々まで素晴らしく歯切れが良い。ノンヴィヴラートの弦楽器はメリハリが心地良いし、木管楽器の音色も良い。そこに意図的に音を割った金管楽器とこれまた歯切れの良い打楽器が音楽に程良いアクセントを付けている。

よく言われるシューマンのオーケストレーションの問題なんてまったく感じない。濁りなく澄んだ音がホールトーンとブレンドされて耳に心地良い。これは名盤だ。

ESOTERIC P-70

エソテリックからP-70が販売されたのは2001年の12月。1999年にSACDが規格化された後に発売され、結果としてエソテリック最後のCDトランスポートとなった。P-70 Version UpはオリジナルのP-70から主としてクロック対応部分のアップグレードを行ったもので、改造後は176.4kHzまでのワードシンクに対応することができた。だいぶ前にも記事にしたことがあるのだが、僕はP-70とD-70の組合せを自宅試聴させてもらったことがある。何よりもまず、それまで一度もお付き合いのない店なのになんと親切なんだと感動した。身分証明すら求められた記憶がない。

その時、僕は二つの機械から出てきた音にびっくりした。なんて鮮やかな目の覚めるような音がするのだろう。2004年か2005年のことだが、当時、僕のオーディオはホームシアターメインだったからCDはユニバーサルプレーヤーで聴いていた。決して安いプレーヤーではなく、それこそ清水の舞台から飛び降りるくらいの気持ちで買ったのに、あまりに歴然とした差があって愕然としたのを覚えている。でも、現役バリバリのP-70とD-70の組合せは定価で140万円。多少値引きがあっても手も足も出ない。一週間、聴きたいだけCDを聴いて返却した。

それ以来、何度かエソテリックのデジタルプレーヤーを検討したが、結果的にはそのたびに違う製品を購入してきた。でも心のどこかでいつかは買いたいと思い続けていたような気がする。最近になってTL-1Xが故障するに至り、今度こそ手に入れることにした。CDトランスポートにするかSACDプレーヤーにするか少し迷ったが、最終的にはP-70にした。SACDをほとんど持っていないし、CDを聴くのであれば専用トランスポートの方が良い。何よりP-70には憧れがあった。

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マスタークロックジェネレーターを持っていないし、特に導入する気もないのでこだわりはなかったのだが、たまたまショップに出てきたのがVersion Upだった。外装に傷もなく付属品も完備、保証もついているとはいえ、生産終了から間もなく10年経つにも関わらず値落ちが少ないのには驚く。その後着々と新製品が続くSACDプレーヤーに比べてだんだんタマ数も少ないのかもしれない。(ちなみに今回、久しぶりにエソテリック製品の中古を色々物色したが、中古で買って一番お買い得なのはUX-1、UX-3だと思う。いかにも手抜きのない造りで、しかも同じプラットフォームであるSACDの兄弟機より遥かに安い。)

お店にはD-70も並んでいた。PCM1704を並列使用したこのDACにも興味はあったのだが、TL-1Xの時からモノラル使用しているCapriceがあるのでそのまま使うことにした。P-70は本体で176.4kHzまでアップサンプリングし、Dual AESで転送することができる。CapriceにはXLR入力がないのでP-70のXLR出力をカナレのインピーダンス変換器でBNCに変換し、BNCデジタルケーブルの下流側をさらにRCAに変換してCapriceに入力した。こんなやり方でちゃんと音が出るかなと多少不安だったが、Capriceの電源を入れてみると普通にロックする。44.1kHzや88.2kHzで出力する場合は2つの出力から同じステレオ信号が送られるが、この場合もCaprice側で左右が指定できるので問題ない。これならリアルタイムに切り替えて一番好みのサンプリングで聴ける。

自宅に届いたばかりで感想を書くほど聴けていないが、TL-1Xと比較するとやはり音数は多い。加えて低音の力と歯切れの良さは増した。D-70との組合せは時に耳が痛いくらい鮮烈だった記憶があるが、今、聴いてみるとDACが違うせいか刺々しい感じはない。もちろんDAC以外の機材も違うし、部屋も違う。だいたい記憶も曖昧であるから定かではない。

買ったままきちんと聴いていないCDが増えてしまったので、まずは色々と聴いてみよう。

ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」 : マゼール/アイヴァン・デイヴィス

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大好きなマゼールの指揮する「ラプソディ・イン・ブルー」だからということもあるが、それ以上にこのジャケットずっと欲しかったんだよなぁという気持ちで買ったアルバム。ある程度以上の年齢でクラシックがそこそこ好きならばきっと一度は目にしたことがあるでしょう。そのくらい印象的なジャケット写真。実際、手にするとサイズもちょうど良い。久しぶりにジャケットをフレームに入れて壁に飾りたくなった。

しげしげとジャケットを眺めてふと帯に目をやるとそこにはこう書かれている。

「錯綜する現代!ガーシュインの時代(1920年代)はOnly Yesterdayだ」

う~ん、錯綜しているのはむしろコピーの方である(笑)。まったく意味がわからない。

このアルバムに限らず、国内盤の帯に書かれているキャッチコピーは笑ってしまうものが多い。新譜レコードが山ほど発売されていた時期だから営業サイドも必死だったのだろう。とにかくインパクトのある文章を一生懸命ひねり出した感じである。まさか40年後にネタにされるとは夢にも思わなかっただろうなあ。

ところで演奏であるが、マゼールの軽快な指揮の下、クリーブランド管弦楽団が実に鮮やかな演奏を聴かせてくれる。デイヴィスのピアノもなかなか洒落てて良い。ジャケットの良いアルバムに外れなしである。

10年ぶりの優勝

琴奨菊関が見事に初優勝を飾った。しばらく日本出身力士は優勝してないと思ってはいたがなんと10年ぶりだと言う。「えっ!10年ぶりなの。」NHKを見ながら思わず声を出してしまった。そんなに勝ってなかったのか。

優勝を決めた一番の後、さらにアナウンサーが「栃東関以来」と言った。「えっ!栃東!」って、しつこいがそれまたかなりの驚きである。そうか、そんなに勝ってなかったのか。

優勝を決めた一番は見事な勝ちっぷりだったが、何よりも一番印象深かったのはテレビに映し出された関取のお父さんの姿。感動的だった。支度部屋で豊ノ島と握手したのも良かったな。おめでとうございます。

バッハ ヴァイオリン協奏曲 : バーンスタイン/スターン

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バッハのヴァイオリン協奏曲は清廉で高貴なイメージであるが、それをバーンスタインとスターンというバタ臭い(失礼)二人が演奏したアルバム。なんとなくイメージが合ってないところが面白そうだったので購入。

ヴァイオリン協奏曲第1番、第2番とヴァイオリンとオーボエのための協奏曲が収録されているが、ライナーノーツを読んでみるとバーンスタインとスターンが共演しているのは後の2曲で、第1番はスターンの弾き振りである。オケも違って1番はLSO、他の2曲はNPOとなっている。ちなみにNPOの方はバーンスタインがハープシコードを弾きながら振っている。コロンビア/CBSの常で録音データがジャケットに明記されていないが、たぶん60年代の録音。このLPはステレオだがモノラル盤もあるようだ。

スターンの弾き振りの第1番は多少ドラマチック過ぎるきらいはあるものの、じっくりとしたテンポで表情豊かな総じて立派な演奏である。弾き振りと言ってもLSOのメンバーにとってみればこの曲の伴奏を付けるくらいお茶の子さいさいだろう。独奏者にしっかり付き添っている。

バーンスタインとの第2番もなかなか良い演奏だと思ったが、それ以上に第1番に比べるとハープシコードの音がかなり目立つ(笑)。ヴァイオリンとハープシコードのための協奏曲という感じがしなくもない。でも、初めて聴いたヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ともども、期待にたがわず聴いて楽しいLPであった。

ブルックナー交響曲第9番 : ムラヴィンスキー

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ムラヴィンスキーによるブルックナーの録音は少ない。あってもモノラル録音ばかりでステレオ録音が残ったのはこの9番だけだったと思う。現役時代のほとんどをソ連時代に過ごしたムラヴィンスキーはしかし徹頭徹尾反ソビエト主義だったと言う。レニングラード・フィルの団員が海外公演中に亡命したように、ムラヴィンスキー自身、亡命するチャンスはあっただろうに最後までソ連に残りレニングラード・フィルとだけ演奏・録音した。練習の鬼で録音嫌いというところも含めてこの人の物事に対する姿勢は厳格で頑固である。そして残された音楽もまたその通りである気がする。

とにかく9番がステレオ録音で残ったのは幸甚であった。僕の手元にあるのは82年プレスのビクター盤。81年には来日公演が予定されていたのでそれに合わせて発売されるはずだったかもしれない。この演奏は最近になってデジタル・リマスタリングされCD化されている。比較してレコードの音は悪いという評価も目にしたが実際聴いてみるとまったく問題ない。強音時も濁ることがないしダイナミックレンジも合格点。片面に1楽章ずつというカッティングが功を奏しているかもしれない。聴衆のノイズは聞こえるが気になるほどではない。

演奏はムラヴィンスキーの凄味がひしひしと伝わるもの。他の指揮者と比べてどこかが特に違うということはないのだが、第一楽章の冒頭からフィナーレに至るまでの音楽の持って行き方やリズムの刻み方、それにオケ全体のバランス等々、すべてが緊張感を高めていて圧倒される。金管の咆哮がまた凄い。普通、ここまで鳴らすとめちゃめちゃになりそうなものだが、そうならない。素晴らしい演奏だと思う。

SME S2

タイトルはSME 3009 S2の間違いではなく、3009シリーズと対で販売されたヘッドシェルの話。

憧れの3009 S2アームを入手して以来、光カートリッジを付けて幸せなレコード生活を送っている。ヘッドシェルはなるべく重量が少ないものが良いと思ってずっとzyxを使っていた。これはR100-2を買った時にキャンペーンでセットになっていたシェルなのだが、単品で買ったらアッと驚く高級品である。形の割に軽いのは左右に穴が開いているおかげ。しかもこの穴が卵の殻にならって衝撃を分散するようデザインされているという。もちろん音にも良い影響を与えているに違いない。

とは言ってもやっぱり純正の組合せが欲しいなあと思ってオークションとかも見ていたのだが、SMEのシェルって人気があって結構高い。Rシリーズと対になるS2-Rは現行品なので新品が買えるが2万円以上するし、前のモデルに比べると重たくてあんまり買い替える意味がない。

気長に待つかと思っていた矢先、これまでも何度か取引して信頼するショップにS2が並んでいるのを発見!速攻で購入。で、早速取り付け。
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さすが純正。やっぱりこっちの方がぴったり来る。

zyxと比べるとシェルとリード線合わせて3gくらい重量が軽くなった。そのくらいで音が変わるわけないと思いきやそうでもないのがアナログの恐ろしいところ。でも、その変化がシェルの違いに由来するかというとそこは皆目わからない。シェル交換に伴ってオーバーハングを再調整したし、リード線も変わった。それに、3g軽いとメインウェイトの位置がエラスティックカップリングラバーにかなり近づく。すべての相乗効果で良い方向に変化した。まあ、プラセボもあるだろうが結果良ければすべて良しとしよう。

チャイコフスキー交響曲第4番 : スヴェトラーノフ

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スヴェトラーノフ/ソヴィエト国立交響楽団の「冬の日の幻想」がとても良い演奏だったので、他のチャイコフスキーの交響曲も聴きたいと思っていたところ発見したのが第4番。ソヴィエト時代の60年代終わりに録音された全集の一部である。

原盤はメロディアで、買ったLPはUSSR製の輸入盤。ソ連製のLPとなると録音も盤質も非常に心配である。演奏の前に音があまりにショボかったらどうしようかと思ったのだが、結果から言えばそこまでひどくはなかった。60年代後半の西側録音の平均的なクオリティに比べると特にダイナミックレンジの点で見劣りするが、演奏を楽しむには十分なクオリティ。

スヴェトラーノフの指揮はリスナーの期待を裏切らず、大胆で実に面白い。第一楽章はゆっくりとしたファンファーレで始まりテンポも控えめだが終盤にかけてだんだんスピードが上がってかなりの速度になってからフィナーレはまたがくんとブレーキをかけて終わる。表情はとても濃くてまったく飽きさせない。第二楽章は一転して徹頭徹尾無表情を貫く。第三楽章は物凄く速い。ピッチカートの特訓みたい(笑)。終楽章もそのままの勢いでグングン突き進んでいく。第一楽章のファンファーレが戻ってくる頂点付近で一旦テンポをグッと落とすが、最後はフルトヴェングラー並の加速でフィナーレを迎える。いやあ、これは凄いわ。

このコンビには90年代の日本ライブの録音もあって、こちらの4番の終楽章も同じようなスピードらしい。メロディア盤は最後の部分の音がつぶれ気味で残念なので、次は是非このライブ録音を聴いてみたいと思った。

ドヴォルザーク弦楽四重奏曲「アメリカ」 : ブダペスト弦楽四重奏団

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今日は比較的良い天気の一日だったが、午後になってかなり冷え込んできた。予報では明日の午後はまた雪らしい。日曜日はゴルフの予定があるのだが、果たして大丈夫だろうか。天気は回復するようだが積雪次第だなあ。

今日は終日東京勤務だったので久しぶりに「レコード社」に立ち寄ってあれこれレコードを物色してきた。新入荷の棚で発見したのがブダペスト弦楽四重奏団の演奏によるドヴォルザークの「アメリカ」と弦楽五重奏曲のLP。先日、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を聴いて感動したところなので興味を惹かれて購入。帯には「ブダペスト最後の録音」とある。ブダペスト弦楽四重奏団が活動を終えたのが68年でこの演奏は65年の録音。ちなみに4チャンネル録音である。

ベートーヴェンの演奏に聴くブダペスト弦楽四重奏団の厳格な演奏からはあまりドヴォルザークの曲との親和性を感じなかったが、ジャケット裏の解説によれば録音当時のメンバーはみなスラブ系だしヨーロッパからアメリカに渡って活躍したことを考えれば「アメリカ」は彼らにぴったりの曲とも言える。

ところが、ジャケット写真を拝借しようと思ってこの演奏のことを検索してみたのだが、これがびっくりするほど情報がない。レーベルも奏者も曲もメジャーなのにここまで情報がないのはほとんど初体験である。もしかしたら演奏がイマイチなのかなあ。

早速「アメリカ」を聴いてみた。そして反省。また不届きなことを考えてしまった。ドヴォルザークでもブダペストはブダペストであった。とっても真面目で誠実な演奏である。ベートーヴェンほどではないが、きりりと引き締まった音でしっかりとした造形の音楽を奏でている。哀愁を帯びた旋律も過度の感情を排して演奏するので泣きの要素は少ない。でも気高くて良い演奏だと思った。

Suddenly the Blues : Leo Wright

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今週は月曜日から北に南に出張続き。しかも行く先々で雪。月曜日は東京でもかなりの雪だったので、結局、今日帰宅するまで毎日雪である。学生時代を雪国で過ごしたこともあって、雪は決して嫌いではないが、それにしても運が良いのか悪いのか。

今日、何度か買い物をしたことのあるショップにお目当てのCDトランスポートを発見。最近になってレッドブックCDのトランスポートがいくつか新たに発売されたが、SACD登場前の機械の造り込みと比べてしまうとあんまりときめく製品がない。結局、またそこそこ古い製品を導入することになりそうだ。僕はショップでほとんど試聴しないのだが、今回はちょっと慎重に現品を試聴してみようと思う。今度こそ買ってすぐに聴かなくなってしまったりしないように。

さて、先日はホルンのジャズに驚いて記事にしたが、今度のアルバムはフルート。と言っても前回と違って全編フルートという訳ではない。リーダーのレオ・ライトはこのアルバムでサックスとフルートを吹いている。レオ・ライトも知らないし、もちろんこのアルバムのことも知らなかったが、冒頭の曲は「ルパン三世」みたいに始まるし、次は有名な「グリーン・スリーブス」が入っていたり、レオ・ライトのオリジナル曲も含めてご機嫌なアルバムだった。タイトル曲は特に良い。

シベリウス交響曲第4番 : カラヤン

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我が家からCDプレーヤーが消えた途端、不思議なもので無性にCDが聴きたくなった。こういう現象も無いものねだりと言うのだろうか?仕方がないのでPCからUSB・DAC経由でCDを聴いている。比較すれば今までの大掛かりなシステムの方が音は良いが、だからといってPCからの音に特に不満もない。

このCDもカラヤンのオフィシャルリマスタリングシリーズの一組。EMIに残したシベリウスの録音が4枚組のCDにまとめられている。交響曲が1、2、4〜6番と管弦楽曲集。DGのシベリウスは確か4〜7番だったと思うが、レコード会社を分けたこの細切れな交響曲の録音は何を意味するのだろうか。結局、3番は一度の録音せずで全集も完成していない。この録音の仕方はマーラーやショスタコーヴィチと似ていなくもないが、あちらは録音しなかった曲の方が多い。シベリウスはあと少しだったのになあ。

カラヤンの膨大なレコーディング、特に交響曲の録音の中ではシベリウスは比較的評価が低い(と思う)。特に後に録音されたEMIのものは嫌いな人が多いみたいだ。どうしてだろうか、表情の濃さが演出がかって聞こえるからだろうか。

僕はシベリウスの交響曲がけっこう好きでいろいろ聴いたが、たくさんある演奏の中でもカラヤンの演奏がかなり好きである。2番を最初に聴いた時、カラヤンの演奏は別格だと思った。第4楽章で弦楽器の問いかけに対して金管が応えるところ、カラヤンだけは実にデリケートに金管を扱う。初めて聴いた時にはあっけにとられたが実に良く練られた表現だと思う。

シベリウスの4番は一聴地味だがよく聴くとじわじわと味わい深い交響曲である。曲のイメージとカラヤンのイメージが合わないかと思いきやBPOの機能をフルに活用してとても面白く聴ける演奏を展開している。それはシベリウスではない、と感じる人もいようが、そうであれば作曲者はカラヤンの解釈を評価しなかったであろう。良い演奏だと思う。

バルトーク 管弦楽のための協奏曲 : カラヤン

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TL-1Xで最後に聴いたCDはカラヤンの「Official Remastering Edition」。このシリーズはEMIに残した録音をリマスタリングしたもので全部で13ボックス!に分かれている。それにしてもEMIに残した録音だけでもすごい量である。モノラル時代から70年代ステレオ録音まで多岐に渡っているが、オケコンが収められたボックスはドヴォルザーク、チャイコフスキーの交響曲+雑多な曲(笑)で構成されていて、結構、面白い。

カラヤンのバルトーク録音はDG時代も含めて数曲しかない。「オケコン」はたぶん3回録音していてEMI盤が最新。カラヤンの演奏会や録音等について膨大なデータをまとめたすごいサイトがあるのだが、これによると「オケコン」は生涯40回演奏したそうだ。加えて3回録音していることからするとカラヤンはこの曲に思い入れがあったのだろう。ただし、バルトークはこの曲と弦チェレ以外スタジオ録音はない。

3回も録音しただけあって、演奏は曲を完全に掌中に収めていて説得力がある。録音の直前にライブを行って練習十分だったせいか録音は1日で終わっている。結果、珍しいことに良く聴くと些細なアンサンブルのミスがある。逆に言えば、それをそのまま残したことがカラヤンの自信を示しているのかもしれない。実際、カラヤンはこの録音の出来栄えに非常に満足していたらしい。

カラヤン/BPOの演奏は表情が濃く、オーケストラが非常にパワフルなのでゴージャスに響いてしまうが、演奏自体は余計なものがそぎ落とされた至極真っ当な解釈によるものだと思う。名盤。

CDトランスポート故障

最近、僕の聴く音楽のソースはデジタルとアナログの比率が20:80くらい。これまでも何度か触れたが、この比率は使用する機器が変わると影響を受けて変動する。アナログ再開後しばらくはほぼ100%レコードという時期もあったし、PitRacerを導入した直後はCDを聴く時間が半分くらいまで戻った。PitRacerが壊れてTL-1Xになってからはまた徐々にレコードが増えて今に至る感じ。

機器の違いによって音のどの部分がどう変わるのかを説明するのはとても難しい。実際、はっきり言えば僕が感じ取れる違いは非常に微妙なものである。微妙な、でも確実に違う音の差を多くの場合、僕には明確に説明できない。文章化が難しいというより、それ以前の問題として自分が何を違うと感じているのかがわからない。

SCD-DR1からPitRacerに代えて音は違った。どこが違うか具体的にはわからないが、結果としてCDを聴く時間が圧倒的に増えた。その後、TL-1Xに代えた時にはまた少し違うがこれも悪くないと思ったのだが最近はめっきりCDを聴かなくなった。結局何かが僕の好みと合わないのだと思う。そろそろかなと思っていたらトランスポートがそれを悟ったらしい。ある日突然まったく動かなくなってしまった。

僕のTL-1Xはショップが手を入れた改造品だったのでそこに引き取ってもらうことにした。症状を伝えたところ修理可能と言われたが、直しても結局聴かないのでは意味がない。そのショップはこのシリーズを得意にしているので新しいオーナーがすぐ見つかるだろう。

次のトランスポートを何にするかはもう決めているので程度の良い中古が出たら入手しよう。それまでの間、CDはしばらくお休みである。

ベートーヴェン交響曲第5番「運命」 : フルトヴェングラー

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今年のクラシック福袋に入っていたレコードのうち唯一手持ちのレコードと重なったのがフルトヴェングラー/BPOによる「運命」のアルバム。フルトヴェングラーの「運命」には戦前からかなりの種類の録音があるが、これは1947年の録音。晩年のウィーンフィルとのスタジオ録音と並んでメジャーな演奏である。

僕が初めて聴いたフルトヴェングラーの録音は有名なバイロイトの「合唱」だった。フルトヴェングラー特有の揺れ動くテンポに加え、買ったLPがモノラルではなく疑似ステレオの廉価盤だったせいもあって終始船酔いしそうなメロディラインにまず面食らったが、それよりなにより驚愕したのはやはりフィナーレ。それまで、音楽が壊れる寸前まで加速する演奏なんて聞いたことなかった。しかも一度聞いてしまったら、これ以外の終わり方はあり得ないくらいの説得力がある。素直にすごい指揮者だと思った。

他にもフルトヴェングラーのベートーヴェンを聴きたいと思って買ったのがこの「運命」。写真の左側のアルバムである。疑似ステレオにはこりごりだったので今度はモノラルを買った。

「合唱」ほどではなかったが、「運命」にもやはり驚かされた。まず驚いたのは音が揃っていないところ(笑)。いきなり出だしの「ジャジャジャジャーン」から「ダジャ、ジャ、ジャ、ジャーン」てな感じだから。(ただ、いろいろ聞くと冒頭の部分は確信犯らしい。) 高校生だった僕はBPOって意外と下手なんだと思ったのが事実である。とは言え、全体を通じてどんどん熱を帯びて加速していく音楽には本当に痺れた。この演奏を聞くとインテンポの演奏はみなつまらなく聞こえてしまう。かなり後になってトスカニーニの演奏を聴くまでその思いは変わらなかった。

久しぶりに同じ「運命」が手元にやってきた。CD時代に入ってからモノラル録音のクラシックはほとんど聞かなくなったのでフルトヴェングラーのベートーヴェンもご無沙汰である。懐かしみながら聞いてみた。すると印象が全然違うのである。はるか昔聴いた時は演奏に感動しつつ、音質に大きな不満を感じていたのだが、今、聞いてみるとあんまり気にならない。もちろんステレオの広がりはないが、問題はそれだけ。弦楽器の潤いも金管楽器の輝きも十分感じられる。機材が違うせいだろうか。

左右二種、ご覧の通りジャケット写真の色はずいぶん違うが、左側の運命は30年近く放置されていたので多分にその影響があると思う。一番の違いは生産国。左側は日本製、右側はシールが貼ってあるとおり(西)ドイツ製である。ジャケットから判断すると右側のプレスは77年。片や国内盤も購入時期を考えるとおそらく年代は大きく変わらないだろう。興味を持って左側の国内盤を聴いてみた。

案の定、音がだいぶ違う。ただし、国内盤も記憶ほどは悪くなかった。一点、明らかに違うのは音圧。日本製の方が音圧が低く、そのせいもあってか全体にくぐもって抜けが悪い。なあるほど、レコードというのはプレスの時期や場所で音が違うんだ。まあ、CDでもそれは一緒かもしれないが。中古レコード店によっては原産国を大きく表示しているのも納得である。常にドイツ盤が良いとは限らないだろうが、これからはもう少し関心を持っても良いかもしれない。

ところで47年の「運命」は数あるフルトヴェングラーのライブ録音の中でも時代を画す大きな意味を持っている。この録音は、ナチスとの関連でしばらく指揮台に立てなかったフルトヴェングラーが終戦後初めてBPOと演奏した記録だからである。であるにも関わらず、日本盤の裏に印刷された解説にはそのことが一言も触れられていない。ドイツ盤の裏側にある解説は英独仏三か国語表記なので分量は少ないが、何はさておきこの演奏の歴史的な意義が明記されている。一方、日本語解説は解説者のフルトヴェングラーに対する個人的な思いが綴られているだけ。結果、僕がこの演奏の位置づけを知ったのは何年も後のことだった。もう少し、読んで価値のある解説を載せてほしいなあ。

Julius Watkins Sextet

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今日も新たな無知をさらけ出すような話。僕はフレンチ・ホルンがリーダーのジャズグループがあったとは知らなかった。それ以前にジャズでフレンチホルンが活躍することをイメージすらできなかった。

アルバムのジャケット写真を見ればこの人、Julius Watkinsがホルンを吹いているのは明白である。にもかからわず帯に書かれたfrhを「フリューゲルホルン」と読んでしまった。先入観というのはかくも恐ろしいものだ。レコードをプレーヤーにセットして出てきた金管楽器はもちろんホルンである。「はあ、ホルンのジャズってあるんだ。。」とようやく納得。

最初こそ若干の違和感を感じながら聴き始めたが、ホルンの暖かい音色が実に心地良い。収録された曲がまた親しみやすくてノリの良い曲ばかり。何ともお洒落。そしてこの人のホルン、物凄く上手。ピアノトリオにホルン、テナーサックス、ギターを加えたセクステットだが、ハンデを感じることなくスピーディなパッセージも難なくこなす。って、だからブルーノートに録音残しているんでしょうけど。

54年のモノラル録音だけど音はすごく新鮮に感じる。モノ専用カートリッジで再生したらもっと迫力が出るかな。

ベートーヴェン・ヴァイオリン協奏曲 : カラヤン/ムター

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まだ10代のムターが独奏、当時全盛期のカラヤン/BPOが伴奏という実に豪華なベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。アナログ最終期に当たる79年の録音。アンネ・ゾフィ・ムターは63年生まれなのでまだ16歳。高校1年生だろうか。お爺ちゃん(だいぶダンディーだが。。)と孫といった感じでジャケット写真も微笑ましい。

ムターは僕がちょうどクラシック音楽を聴き始めた頃に若き大スターとして颯爽と登場した。が、若い頃から俗人そのものなので「カラヤンもいい歳して若い女の子が好きなんだから。」などと考え違いをしており、正直言うとあんまりきちんとその演奏を聴いたことがない。同じ女流ならチョンキョンファの演奏の方がはるかに馴染みがある。まあ、ショルティの演奏が好きだったのでロンドン/デッカレーベルにばっかり目が向いていたせいかもしれない。とは言っても、そこはカラヤン/BPO/グラモフォンのブランド力。ムターとカラヤンが微笑むジャケット写真はどれも記憶に残っている。

これまた福袋のおかげで手元に置くことになったアルバムだが、聴いてみるとやっぱり素晴らしい。って、取り上げるアルバムを端から「素晴らしい」と書くのもボキャブラリーが貧困でほとほと嫌になるのだが。。

具体的に言えば、まずはカラヤン/BPOの伴奏が実に良い。

どんな大家と共演してもカラヤン/BPOの伴奏は独奏者と対等で決して黒子になったりしない。それが人によっては評価しない点になるのだが、僕はそういうカラヤンの対応がもともと好きだ。このアルバムに聴く演奏はムターを圧倒するようなところは微塵もなく、しかしながら実に雄弁で表現力豊かである。結果としてムターのヴァイオリンを一層引き立てている。

そしてムターの演奏もすごく良い。ブラインドで聞いたらこれが16歳の子の演奏とは絶対思わないだろう。大指揮者、大オーケストラと向き合って怯むところがない。ヴァイオリン、指揮、オーケストラ三位一体の名演奏である。録音も良い。

ベートーヴェン弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」 : ブダペストSQ

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ベートーヴェンの弦楽四重奏曲と言えばやはり数ある弦楽四重奏曲の中でも最高傑作の一つだろうし、ロシアの駐ウィーン大使であった「ラズモフスキー」公が依頼主の3曲は以前も聞いたことがある。その時聞いたのはアルバン・ベルクだったかジュリアードだったか、どちらか忘れてしまった。

クラシックのレコード福袋にはどうやら必ず一つはボックスセットが含まれているようで、昨年はロジェストヴェンスキーのチャイコフスキー交響曲全集が入っていた。7枚組でお得感満載である。それに比べて今年の福袋には3枚組のベートーヴェン弦楽四重奏曲中期集がその代わり。枚数的にもジャンル的にもイマイチだなあと思いつつ、普段聴かないレコードが入っているのも福袋の醍醐味と気を取り直してまず一枚聴いてみたのが、「ラズモフスキー第1番」。

イマイチなんて思った自分はなんという不届きモノであろうか。ブダペストSQ、僕には活躍した時期が古すぎて現役時代にどれだけスターだったか承知しない。が、これほどの演奏を残すことができた弦楽四重奏団であるからして、きっと凄い人たちなんだろう。レコードの帯に「今世紀最高のカルテット」と書かれているのも大袈裟ではなさそうだ。それにしてもこの時点でまだ40年くらい「今世紀」は続くにも関わらず大胆な表現ではある。

ステレオ初期の録音であるが、複雑な処理が必要なオーケストラ録音と違って音は十二分に鮮明。ヴァイオリンの高音は少しきつめであるが、この演奏の場合、むしろ、そこがベートーヴェンらしい緊張感を高めている。ほぼ甘さのない演奏なのでコロンビアの乾いた録音も悪くない。この演奏のどこがどう良いと言うほど曲も他の演奏も知らないが、とにかく圧倒的。素晴らしい演奏でした。

テクニクスから待望のターンテーブル新製品

テクニクスがハイファイオーディオに復帰した時から最も待ち望まれていたであろうターンテーブルの新製品が発表された。海外のオーディオショーでもプロトタイプというかコンセプトモデルが発表されていたので何気に気になっていたのだが。

正式に発表されたのでネット上でも画像が確認できるが、どこからどう見てもSL1200のままである。まあ型番もSL1200Gなんだから文句を付けるのもおかしいかもしれないが、復帰後発売されたアンプもスピーカーもネットプレーヤーもオーソドックスな見た目とは言え新デザイン、中身はハイテクてんこ盛りだったのでプレーヤーも期待していたんだけどなあ。。

モーターは刷新されているし、アームも改良されているようだが、いくらなんでもこのデザインはないでしょう。しかも価格は4,000ドル。初代から綿々と製造してきたことでSL1200シリーズの価格は低く抑えられてきたことは理解するが。。こうなるとSL1200シリーズを支えていたDJは購買層から外れてしまう。価格帯から考えると、もしかして新製品はLuxmanのPD-171をライバルに想定しているのだろうか?ベルトドライブ+アーム交換可能というマニア心をくすぐるPD-171に対してダイレクトドライブ+見た目昔のアームで勝てるかなあ。Made in Japanを売りにするのだろうか?

ぶつぶつ言ってしまったが、テクニクスには頑張ってほしい。今や数少ない日本のオーディオブランドとして。

ピエール・ブーレーズ

5日、ピエール・ブーレーズが亡くなった。死因は不明だが、最近はコンサートからも遠ざかったいたようだし、病気だったのだろう。御年90歳。大往生だがこれでまた大指揮者が逝ってしまった。

僕にとってはラヴェルの「ダフニスとクロエ」全曲が初めて聴いたブーレーズのレコードだが、この演奏は今でも個人的に同曲のベスト盤。その後、「春の祭典」を皮切りとしてブーレーズのストラヴィンスキーに感銘を受け、ラヴェルやバルトークの管弦楽曲集も愛聴盤である。

ブーレーズの指揮は特にベートーヴェンやベルリオーズのような古典音楽において賛否両論あったが、ある意味マゼールの演奏と同様、「どんな解釈を聞かせてくれるか、一度、聴いてみたい。」と思わせてくれた。かなり巨匠化してしまった後に出たマーラーの交響曲全集ですら、その演奏には常に新たな発見があった。もう、これからはそういうワクワク感がないと思うと寂しい限りだ。

ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」 : クーベリック

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クーベリック/ウィーン・フィルによる「新世界より」はステレオ録音草創期の56年録音。福袋に入っていたLPだが、見慣れないジャケットで最初に見た時は「新世界」はわかったけど、誰の指揮??って感じだった。ウィーンフィルの「新世界」と言えばケルテスのものが有名で、クーベリックが指揮したものがあるとは知らなかった。

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クーベリックの「新世界」と言うと、僕の頭に入っているジャケット写真はこのBPO盤のもの。ずいぶん前に聴いたことがあるが、ヴィルトゥオーゾオーケストラを颯爽と指揮した演奏だったような。正直言って記憶が心許ない。

56年の録音だと言うことを差し引いても一聴すると古色蒼然とした雰囲気。と言っても録音が不鮮明というわけではない。かなりオンマイクでオーケストラの奥行きはあまり感じないが、DECCAの誇るFFrr録音だけあって各楽器の音はなかなか生々しい。むしろこの音の古さは少し前のウィーン・フィルの響きを克明に録音しているということかもしれない。

今までまったく評判も聞いたことがなかったので大きな期待はしないで聴いたのだが、演奏は相当素晴らしい。スタジオ録音だと思うがライブのように感情表現豊かな演奏である。全体的には筋肉質でスピーディなのだが、要所要所でテンポを大胆に落としたり大見得を切ったり、なかなか外連味があってよろしい。シカゴ、ロンドンと不興続きでバイエルンと出会う前のクーベリックだが、やっぱり実力者なんだなあと再認識の一枚。

Apogee Stage (2)

ApogeeのStageが我が家に来てから約8か月。振り返ると今の住まいに約3年前に引っ越してきて以来、メインスピーカーはこれが5台目になる。ソース機器と違って複数所有して使い分けしたいという欲求はまったくない。どうもしっくりこなかったり、ESLみたいにすごく気に入ったのに故障続きだったりということで結果として短期間で買い替える羽目になった。

Stageを導入以来、スピーカーを変えたいという気持ちは皆無。帰宅すれば、まず100%の確率で音楽を聴くので稼働率はけっこう高いが、幸い今のところ快調に活躍してくれている。

Stageが発売されたのは1990年。その2年前に発売されたDIVAがApogeeのスピーカーとして最も高価だったのと反対にStageはオールリボン構成のラインナップでは最小かつ最低価格のものである。加えておそらくStageが最後のオールリボンモデルになる。Apogeeのスピーカーは81年に発売された初代Full Rangeからオールリボン構成という特異なスピーカーとして世界中に知られているが、80年代と言えば日本はバブル経済真っ只中で購買力旺盛だったことから、歴代モデルの相当数が日本で販売されたようである。

Apogeeのスピーカーについては、音は良いものの鳴らすアンプを選ぶというのが定評だ。たしかに初代モデル以降その後も大型モデルは公称最低インピーダンスが1Ωとなっているのでこれを鳴らすには相当の駆動力を要する。1Ωを正式に保証しているアンプというとそれほど数はないだろう。

しかしStageを所有してみるとこの点さほど心配する必要はなさそうだ。そういう自分も最初は心配でPass Labのアンプを使用したが、公称4Ωまで対応のNmodeのX-PM7でも軽々と鳴らしていたし、6Ωのスピーカー端子しかないUnison ResearchのP40を短期間借用して使ってみたがこれですら何ら問題なかった。かなり大きな部屋で大音量といった聴き方をしなければ実用上は至極使いやすいスピーカーである。

Apogeeのスピーカーについてはネット上にもいろいろと感想が載っているとおり、振動板が軽く箱がないことから、とにかく音が軽々と出てくるところが最大の利点である。加えて前後に音が放射されているにもかかわらず不思議なほどの定位の良さ。メーカーは左右の間隔を広くとった上で積極的に並行配置を奨めているが、その通りにすると本当にスピーカーの存在が消えてくれる。(もちろん左右を極端に振り分けている録音ではダメだが。)

とにかく僕はこのスピーカーがとても気に入っているのだが、現実的にはApogeeのスピーカーはほとんど世の中から姿を消してしまっている。おそらく故障したらどうにもならないのだろう。なるべく長い間使えることを祈るばかりである。

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最初は床にべた置きしていたが、心地良い高さに持ち上げるためにアクセサリー総動員状態(笑)である。

レフト・アローン : マル・ウォルドロン

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レコード福袋の中からオーマンディ/フィラデルフィア管の「シェエラザード」に続いて聴いてみたのがマル・ウォルドロンの「レフト・アローン」。マル・ウォルドロンが伴奏ピアニストを務めていたビリー・ホリデイの死後、彼女に捧げられたアルバムというところまでは知っていた。

でも実は知らないことだらけ。てっきり死んでしまったビリー・ホリデイのために死後書いた曲かと思っていたら、生前からビリーが歌っていた曲だった。ビリーの代わりを務めるのがジャッキー・マクリーンでしかもアルバム中この一曲にしか参加していないとは。考えてみれば、このアルバム、最初の一曲しか聴いたことなかったかも。。

といった体たらくで、今回、初めて最初から最後まできちんと聴きました。もちろん、マクリーンが参加している表題曲は素晴らしいと思いましたが、個人的にはその後に続くピアノトリオの演奏が曲ともども大変気に入りました。A面の残り2曲も良いし、B面最初の「マイナー・パルセイション」という曲も良いなあ。

さて最後はどんな曲と思ったらなんとインタビューなのね。これは特別なアルバムなのでこういう特別なトラックが刻まれたのだろうが、ジャケット写真と演奏に加えて、ステレオ録音らしくきっちりレフトチャンネルから聞こえるマル・ウォルドロンのくぐもった英語を聞くことでなんとなく頭の中に彼のイメージが浮かび上がってくる。

福袋に入っていたアルバムの帯には「来日記念盤」「国内初のステレオ化実現!!」とある。ライナーノーツは68年に書かれているのでそのくらいの時期のプレスだろうか?これでも十分良い音なのできっとオリジナルはとっても良い音だろう。

レコード福袋2016

一昨年以来、僕のお正月のプチ楽しみといえばハイファイ堂のレコード福袋。アナログ機材ばかりどんどん増えているのが現状でソフトの補充はいささか遅れ気味。一枚一枚手に取って買うのも楽しいが、年に一度の福袋は自分の意志では買わないチョイスが含まれているところが大きな楽しみ。

ところが、今年は年末まで仕事に追われていて正直言うと年が明けるまで福袋のこと忘れてた。元旦にふと思い出して慌ててサイトを見たところ今年の福袋は昨年に比べても一層種類が増えたみたいで、出遅れたにも関わらずまだ何種類か残っている。その中で今年はクラシック福袋に加え初めてジャズ福袋も購入した。

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じゃーん。袋はいつもと変わらず。ちなみに今日、ようやく届いたところ。

こちらがクラシックの中身。
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あんまりマニアックな曲が届いてもあれなので今年は入門セットをオーダーした。うーむ、確かに知らない曲は入っていない。

左上からドラティ/フィルハーモニア・フンガリカのハイドン「驚愕」「軍隊」、クリュイタンス/パリ音楽院管のラヴェル、クレメンス・クラウス/ウィーンフィルの「ツァラトゥストラ」、カラヤン/BPOのワグナー、ルービンシュタインのショパン、フルトヴェングラー/BPOの「運命」、クーベリック/ウィーンフィルの「新世界」、ミュンヒンガーの「管弦楽組曲」、カラヤン/ムターのベートーヴェン・ヴァイオリン協奏曲、オーマンディ/フィラデルフィア管の「シェエラザード」、最後がブダペストSQのベートーヴェン弦楽四重奏曲集というラインナップ。選曲にも演奏者の選択にも結構満足である。今年は所有LPとの重複はフルヴェンの「運命」のみだった。

一方、ジャズの方はレギュラーセットをオーダー。クラシックの高音質盤セットとジャズのレギュラーセットの値段が一緒である。この上にはオリジナル盤も入った廃盤セットもあるが、5セットしかなくて僕がサイトを見た時にはすでに完売だった。

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こちらがジャズ福袋の中身。こちらは心配するまでもなく所有LPと重なるものはなし。僕でも知っているプレイヤーのアルバムが多いのでおそらく相当基本的なラインナップと思われるが、個人的にはほぼほぼ中身を知らないのでワクワクである。

まずはオーマンディの「シェエラザード」から聴くことにしよう。

TD124 + DS001

「もういくつ寝るとお正月」と歌っていた頃はむやみやたらに新年が待ち遠しかった。もちろん今でもお正月は特別な時間であることには変わりない。でも元旦にニューイヤー駅伝、今日明日は箱根駅伝という定番テレビを見ていても、お餅を焼いてお雑煮を食べてもどうもお正月という気分がしない。あまりにも天気が良くて暖かいせいだろうか?

ということで、お正月休みと言うより普通の三連休の雰囲気の中、せっかく時間があるので昨日の午後からオーディオルームの掃除をしつつ、アナログ機材のセッティングを見直すこととした。TD124を導入してみたら予想以上に音が良かったので、DS AudioのDS001、つまり光カートリッジを装着することにしたのだ。

僕のTD124はMark1なので、製造年代を考えると軽針圧のカートリッジは想定していないと思われる。3009S2もローマスハイコンプライアンスを追いかけて後にImprovedからシリーズ3に変わっていくわけだから、こちらもミドル級のカートリッジを想定しているはず。と思って、当初は殻から出したSPUを装着した。カートリッジ込みで20g台後半の重さである。出てくる音に何の文句もない、というか非常に良い音だったが、この重さでS2の錘は相当後ろに下げないとバランスしない。もう少し軽い方が良いかと思って次にシェルターを付けてみた。こちらは23gくらいだが、こちらも実に良い音で鳴る。アームの動きを見ているとかなり軽快なのでこれならDS001を付けても大丈夫そうと思った次第。ようやく時間ができたので実行に移すことにした。

DS001は自重6.5g、適正針圧1.3g〜1.7gなのでかなりの軽量級。コイルとマグネットを使わない発電方式で針先の動きは非常に軽い。それがこのカートリッジの音の良さに繋がっているのだろうが、当初予定していたTT-3との組み合わせではそこが仇となって使えなかった。TT-3は針先が溝をトレースする力のみに頼ってアームパイプが水平移動するのだが、左右の動きが超スムースなDS001の場合、アームパイプを前に進めるだけの力がないらしく、LPが少しでも偏芯していたり大振幅が刻まれているとそこでスタックしてしまう。出てくる音は重量級カートリッジよりはるかに分厚いのに取扱いはかなり神経質なのだ。DS001や上級機であるDS-W1を検索してもメーカーサイト以外、それほど多くの情報はない。他のユーザーの方々はどんなテーブル/アームと組み合わせているのだろうか。なんとなく最新の高感度なシステムを使っている方が多そうだ。

うまく行かなければ戻せば良いだけなのでTD124+SME3009S2にDS001を装着してみた。SMEのシェルがあれば良いのだが持っていないのでzyxのシェルで合わせてみる。カートリッジとシェルの重さはリード線、ねじ込みで17g弱。この重さだと錘の位置も良い感じ。結構軽い組合せだが、S2は本来、この程度の重さが前提なのだろうか?針圧は1.3gで始めてみる。

僕のTD124はアウタープラッターが歪んでいるので不要な低音をカットするために初めてサブソニックOutの方で結線した。早速聴いてみたらとっても良い音である。リズム感が良くて力があってオーケストラの音も団子にならず解像力も高い。このカートリッジ、これまでも聴いてて左右のステージ感はさほど広くないと感じていたのだが、僕はそれこそがアナログのアナログたる所以だと思っていてむしろ好み。

装着前はDS001の感度が良すぎてアイドラーのゴロを拾わないかと心配したが杞憂だった。考えてみればマグネットを使わないので鉄製インナープラッターの副作用も考えなくて良いし、TD124はこの組み合わせで決まりだな。
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見た目もなかなか良い感じだ。

あけましておめでとうございます。

2016年、あけましておめでとうございます。旧年中は拙ブログを訪ねていただきましてまことにありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願いします。

新年早々、昨年の話で恐縮だが、振り返れば一年中ばたばたと時間に追われて2015年は過ぎていった。しかも今年のお正月はカレンダーが厳しいなあ。きっちり3日間しかお休みがない。。なんて嘆きつつ、冬休みに入るや否や、30日、31日と両親とともに東北旅行してきた。両親と旅行するなんて何年ぶりだろうか。

30日早朝、まだ日の出前に実家を出発し、ひたすら東北道を北上。那須高原SAで最初の休憩。日頃の行いが良い(笑)せいか素晴らしい天気である。
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仙台の手前、菅生PAで2回目の休憩。
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青空がキレイでついついこんな写真を撮ってしまった。

目的地は青森ではるか先だったが、両親が中尊寺に行ったことがないというので一関で降りて平泉に立ち寄る。晦日の観光地は人出も少なくてゆっくりと中尊寺を回ることができた。
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ところどころ雪が残っていて参道は油断すると転びそうである。金色堂を観るのは自分も初めて。綺麗に保存されているのに感動。さすがは世界遺産だ。

ところで一関から国道で中尊寺に向かう途中、モノクロの看板のセブンイレブンがあった。世界遺産に指定されて広告規制でもあるのだろうか。
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モノクロは看板だけだが、空がだいぶ暗くなっていたので全体がモノクロームに見える。それにしてもモノクロの看板、個人的にはこっちの方が良いとさえ思う。

平泉から東北道に再度乗って北上すること約2時間。目的地である青森に到着。片道約700Km。こんなに車を運転したのも実に久しぶり。早速温泉に入ってほどなく食事。海の幸、山の幸たくさん揃って美味しかった。

翌日は朝食を済ませてすぐに三陸側に移動。九戸ICから久慈を目指し、そこからしばし南下。田野畑村にある鵜の巣断崖を目指す。三陸側の移動は基本的に下道しかない。風光明媚で車窓からの景色は素晴らしいが、あらためて高速道のありがたみを身に染みて感じる。海が見えるたびにちょこちょこ車を止めたこともあってなかなか目的地に着かない。鵜の巣断崖に到着した時にはすでに1時を過ぎていた。
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これぞ自分の中にある三陸海岸そのもののイメージである。天気に恵まれて波も静かだった。

鵜の巣断崖からさらに宮古まで南下する予定だったが、想像以上に時間がかかったのでここから盛岡に移動。約100Kmの雪道で3時間近く時間がかかる。盛岡から東北道に乗ったのが4時半頃。帰りは仙台から常磐道を回ることにした。福島第一原発の事故以来しばらく通行止めになっていた常磐道だが昨年全線開通。南相馬から浪江、富岡を南下する途中、東側に少しだけ第一原発が見える。すっかり夜になっていたとはいえ、高速の左右にはほとんど光が感じられない中、第一原発の周辺だけ明るい。道路に設置された放射線量の観測装置はそのあたりだけ1桁高い数値を示していた。絶対値としてどのくらいのレベルか知識がないが、今でもリアルタイムで放射線を放出していることは間違いないのだろう。どうにもならないが、やはり大変なことだ。

二日間で総距離1600Kmの温泉旅行。帰宅した時にはすでに2016年だった。ずっと運転して疲れたが両親は大喜びだったので何よりだった。
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