スメタナ「わが祖国より」 : クーベリック

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クーベリックは「わが祖国」を6回も録音している。シカゴ響、ウィーンフィルに続く3回目の録音がこのボストン響との演奏で71年の録音。ちなみに次がバイエルン放送響、最後の2種類は民主化後のチェコフィルとのライブ録音である。チェコからイギリスに亡命したクーベリックはこの曲にことのほか強い思い入れがあったに違いない。

僕はクーベリックの「わが祖国」と言うとこの録音しか聴いたことがない。チェコフィルとの演奏はとても良いと聞くのでいつか聴いてみたいとも思うのだが、ボストン響との演奏は若い頃から何度聞いても不満を感じないので、聴き終わるといつもこれで良いやとなってしまうのだ。50代後半のクーベリックは颯爽としてダイナミックな指揮ぶり。素晴らしい演奏だ。

71年と言うとまだ小澤征爾さんが音楽監督になる前、スタインバーグ時代の録音だが、この演奏に聴くボストン響は小澤さんの初期の頃の録音と音色や響きがとても良く似ている。77年に録音されたブラームスとマーラーの2枚組をチェックすると同じDGではあるもののプロデューサーもエンジニアも違うので、オーケストラ固有の音なんだろう。非常に清潔で品の良い音である。名盤。
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レコードクリーニングマシーン

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一方はドイツ製、他方は中国製。49万円と、27万円。5.5㎏と13kg。
う~ん、似てるなあ。

Kind of Blue : マイルス・デイヴィス

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以前も記事にしたマイルス・デイヴィスの"Kind of Blue"であるが、今回のLPはディアゴスティーニから発売された「JAZZ LPレコードコレクション」シリーズの創刊号のもの。ディアゴスティーニからは以前、CDでジャズコレクションが発売されていたのだが、レコードブームに乗ってか今回はLPでの発売である。

前々から何度かTVコマーシャルで見かけた別のシリーズに心惹かれるものはあったのだが、実際に購入したのは初めて。このコレクション、創刊号は990円、第2号は1,990円なので新譜LPとしては安いが、第3号以降になると2,980円なので必ずしもお買い得とは言えない。とは言え、国内盤でその価格の新譜があるかというとそれもないので絶妙なマーケティングとは言えよう。とりあえずLPの出来が知りたかったので創刊号を買ってみたが、僕が持っているEUプレスの輸入盤より盤質は良く、結果として音も良い。楽曲解説等ちょっとした読み物がついているのも悪くはない。完成まで4年弱かかるシリーズだが、毎月2枚定期的に新譜のLPが届くのは悪くないなあ。難点は結局価格だが。。

ラヴェル「ダフニスとクロエ」全曲 : デュトワ

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現在、N響の名誉音楽監督として活躍するシャルル・デュトワも来月には80歳になる。N響の常任指揮者になったのも最近のような気がしていたが、すでに20年前のことである。いやはや時間の経つのはなんと速いことか。。もしかして若いクラシックファンの中にはデュトワと聞くと「ああ、N響の人ね。」とか言ってモントリオール時代を知らない人もいるのかなあと思うと隔世の感がある。

ちょっと値段が高いので久しく迷った末、シャルル・デュトワがモントリオール響とデッカに残した録音をまとめた35枚組のボックスセットを買った。僕にとってデュトワと言えば時計の針が止まったままモントリオール響なのだ。ウィキペディアを見るとデュトワはモントリオール時代以前も世界各地で活躍していたらしいが、全然知らない。モントリオール響との一連の録音がデッカから発売されるまで、当時妻であったアルゲリッチとのチャイコフスキーをはじめとするいくつかの協奏曲の伴奏者としてしか認識されていなかったと思う。

このボックスセットで一番古い録音が80年録音の「ダフニスとクロエ」全曲。デッカへの初録音であることは間違いないが、このコンビの初録音かというと定かではない。(同時期、グラモフォンにカナダ人作曲家であるフランソア・ドンピエールの作品をモントリオール響と録音している。)初録音から鮮明なデジタル録音だったこともいかにも新時代という印象だった。

「ダフニスとクロエ」の演奏は全体をがっちりと構成しながら、磨き上げられた各楽器の音色がとても美しい。特に木管楽器と弦楽器は出色だと思う。加えてコーラスも。デュトワ/モントリオール響の録音は教会で行われているので余韻が豊かで音がとても柔らかい。たっぷりとしたホールトーンを存分に活かしたデュトワの指揮が秀逸であることに加え、録音も優秀である。なるほどフランス人よりフランスらしいと称賛されるのも納得の演奏である。名盤。

ショスタコーヴィチ交響曲第12番 : ロストロポーヴィチ

ロストロショスタコ

以前、たしかエッシェンバッハのCDを取り上げた時に書いた記憶があるのだが、ソロ奏者として世界的名声を得たのちに転向した指揮者に対する評価は厳しいことが多い。日本における評価は特に厳しいかもしれない。アシュケナージしかり、バレンボイムしかり。ソリストとしては高く評価されていた人がひとたび指揮者になると手のひらを返したように叩かれたりするのは、いつまでたってもソリスト時代と比較されるからだろうか?それとも指揮者の道を追及してきた人と比べて修行が足りないとでも言うのだろうか?しかし、指揮者として確立している人は例外なく何かの楽器の名手である。ソリストとしてそこまでの名声を得ていないとしてもだ。

ロストロポーヴィチもそうした指揮者の一人である。チェリストとしてあまりにも偉大なせいか、この人の指揮に対する評価はなんとも煮え切らないものが多い。ショスタコーヴィチと親交があり、チェロ協奏曲を初演したスペシャリストが完成させた交響曲全集の評価もまた同じようなものである。ちょっと前のレコ芸では井上道義さんの「レニングラード」をリファレンスとして過去の名盤を紹介していたが、その中でとある評論家がロストロポーヴィチの録音を褒めつつ、ロストロポーヴィチの指揮を褒めるのはなんとなく気恥ずかしいとコメントしていた。不思議なコメントである。良いなら良いと自信を持って言え。誰に阿る必要があるのだ。

ついつい力んでしまった。というのも僕はけっこう指揮者ロストロポーヴィチが好きなのである。なので、88年~95年にかけて録音された(14番のみ70年代の録音)この全集もお気に入りである。昨日は4番、今日は6番と12番を聴いた。なんというか共通しているのは暖かくて丸みを帯びた響きである。どちらかと言うとテンポがよく動くので自由気ままに聴こえるが、演奏が破綻するようなことは全くない。実際はロストロポーヴィチの練習は厳しくて奏法一つとってもうるさかったらしいので、メロディラインを重視した結果そう聞こえるのかもしれない。12番は暴力的に演奏しようと思えばどこまでも行けそうな曲であるが、ロストロポーヴィチのアプローチはここでもあくまで温かく最強音もどこか優しい。音圧が高まっても全然うるさくないという、ちょっと不思議な演奏である。

Portrait in Jazz : ビル・エヴァンス

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ビル・エヴァンスのアルバムの中でも有名な一枚、いや、たぶんすべてのジャズアルバムの中でも有名な一枚なので僕みたいな素人が蘊蓄を語るのは非常に憚られる。なので当たり障りのない話をしようと思う(笑)。

このアルバムを最初に聴いたのは大学生の頃だがメディアはすでにCDだった。レコードを買うのは初めてである。有名なジャケット写真がそのまま使われているが、発売しているのはRiversideではなくてカリフォルニアにあるFantasy, Inc.という会社だ。50年代のアルバムはクラシックでもはっきりと得体のしれない会社がLPを再発しているケースが多いが、これって契約関係はどうなっているのだろうか?訴訟社会のアメリカでジャケットもまんまコピーということからして何らかのマージンを支払っているのは間違いないと思うが、著作権終了後の権利関係はよくわからない。ちなみにFantasy, Inc.で検索してみても得られる情報は少ない。まあ、HMVのような大手サイトで堂々と販売されているのだからいわゆる海賊版ではないだろう。ちなみに新品である。

オリジナル盤を聞いたことがないので確たることは言えないが、Fantasy, Inc.盤もざっくり言えば音は良い。新品レコードだけあって溝をなぞるときの針音も静かだ。ただし、ピアノの強音が少し歪む。これがWhitelabel由来か、レコードの製造上の問題かはこれから検証しないとわからないが、実はどっちでも良いかなと思っている。なんてったって50年代の録音である。すでに60年近く経っているわけで、一音一音に眉をひそめていても仕方ない。

聴き始めてふと思い返せば、このアルバムを前回聞いたのは相当昔であることに気付いた。A面1曲目の出だしをまったく覚えていないのである。2曲目の「枯葉」でようやく記憶が霧の向こうからよみがえってきた。「サムシン・エルス」を聴いたのも同じ頃だった。大学生時代にジャズを聴くのは何かブルーなことがあった時が多かったと思うが、今にして思えばせいぜい水色くらいの話である。その頃、ラストのBlue in Greenの良さはさっぱりわからなかった。Kind of Blueでもこのアルバムでもこの曲はとても素敵だと思う。

Shure Whitelabel

Shureのホームページによれば、今日現在、Shureから発売されているカートリッジは8種類。うち3種類がHiFi用途と分類されていて、残りの5種類はDJ用となっている。M97Xeは前者、M44GとM44-7は後者に分類されているが、実際にレコードを聴いてみると個人的には(議論はあるが)V15シリーズの末裔たるM97Xeより、M44シリーズの方が性格がはっきりしていて聴き応えがある。

先日、ウェブサイトを見ていたら今までその存在を知らなかったカートリッジがShureから販売されていることに気付いた。それがホワイトラベル(Whitelabel)である。

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(メーカーホームページより拝借)

見た目から判断するにオルトフォンのコンコルドの対抗馬なのだろうが、コンコルドの流線形に比してだいぶ武骨なデザインである。が、僕はこちらの形の方が気に入った。なんとなく電気機関車のような形である。あるいは銀河鉄道999に出てきた777号を彷彿とさせる。鉄分の多い僕としてはその点も気に入った。スペックをチェックすると適正針圧が1.5g~3g、出力が6mVとなっている。M44-7の針圧でM44Gの出力ということになる。シェル一体型でリード線は直付け、中央のねじでオーバーハングの調整も簡単にできる。便利なだけでなく、いかにも音に良さそうだ。ということで早速、試してみることにした。

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M97Xe同様、本体は立派なアルミケースに収納されている。オーバーハングはSL1200シリーズ用にあらかじめ設定されている。うちのSME3009S2には少し長かったので短く調整した。

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Whitelabelの自重は実測で18g程度。コンコルドもほぼ同じ重さなのでSL1200のトーンアームにはこのくらいの重さがストライクゾーンなのだろうか。装着してみると3009S2にも丁度良い感じである。真剣に音を追及しているTD124オーナーの皆さんには叱られそうな見た目だが、実際に聴いてみるとあなどれない音がする。

御多分に漏れず同じメキシコ製ながら、M44シリーズよりWhitelabelの方がトラッカビリティは良い。中低音は太いが高音はギラギラしたところが少し抑えられていて、ちょっとハイファイに振った感じである。気のせいかノイズの音が目立たない。全体に腰の据わった再現で好ましい。M44シリーズの音が好きならぜひお試しあれ。

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シューマン交響曲全集 : ハイティンク

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ハイティンクのThe Symphony Editionからシューマンの交響曲全集を聴いた。80年代に入ってからのデジタル録音である。60年代~70年代に若くしてブルックナーとマーラーの全集を完成した全集魔にしてはずいぶん遅い録音だが、これ以前にも別に録音があるのだろうか?今朝、ボックスセットの中から何気なく取り出して聴き始めたところ、結局、午前中をすべて費やして1番から4番まで聴き通してしまった。新譜としてリリースされた時には例によってあまり評価されなかったのではないかと思うが、このシューマンは相当良い出来だと思う。

全曲通じてシンフォニックで堂々とした演奏である。相変わらずテンポも中庸、大袈裟なところもなく、必要以上の思い入れも感じないのだが、どこをとっても管、弦、打楽器のバランスが実に見事で、見通しが良い。全体の構成力も素晴らしい。結果として良く言われるオーケストレーションの欠陥なんて全然感じない。楽譜に手を入れているか定かでないが、主旋律に対する合いの手や主旋律と副旋律の掛け合いが気持ちいい。適度なホールトーンとともに鮮明な録音も秀逸。名盤。

SEVEN STEPS to HEAVEN : マイルス・デイヴィス

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世の中的には3連休だが、昨日は運悪く休日出勤。と言っても午後からの仕事だったのでちょっと早めに出かけて東京駅の大丸から国際フォーラムのそばに引っ越したハイファイ堂の丸の内店を覗いてきた。お店は思ったよりもこじんまりとしていたが、相変わらず若い頃に憧れた国産中堅クラスのアンプやプレーヤーがたくさん並んでいて、見ているだけでも楽しい。個人的にはレバーとボタンが整然と並んだヤマハのプリメインアンプのデザインが昔から好きだ。

20分くらいしか時間がなかったのでその気はなかったのだが、店長?さんが近づいてきて「棚に並んでいるアンプも試聴できますよ。」と言ってくれたのでNECのA-10をセンモニで聴かせてもらった。プレーヤーもヤマハのYP-D10だったのでアンプも好きなヤマハにすればよかったと後で思ったのだが、なぜかその時はA-10が聴きたかったのである。

アンプを繋ぎ変えている間にレコード棚から見つけたのがこのLP。試聴とは別に買うつもりで選んだのだが、試聴はそれにしますか?と言う。じゃあ、せっかくだからと言うことで店内で聴いてみた。カートリッジはたぶんM97Xeだったと思うが、タオックのスピーカーベースで持ち上げただけのセンモニは抜けが悪く、正直音はイマイチであった。きちんとしたセッティングで聴いたらずいぶん印象は違うだろうが。。とにかく、A面一曲聴いたところで時間になってしまったので、予定通りLPだけ購入して店を出た。ちなみにレジに女の子がいたのにちょっとびっくり。今まで中古オーディオショップで女性店員を見たことはないかも。

さて、そうやって買ってきたLPを家で聴いているのだが、やっぱりマイルス・デイヴィスって良いなあ。それに自宅で聴くとやっぱりずいぶん印象が違う。まあ、これだけ時間とお金をつぎ込んでいるのだからセッティングより陳列第一のお店と同じ音では困るのだが。。

このレコードはロサンジェルスとニューヨークで録音されていて、サイドメンも異なる。ニューヨークでアップテンポの曲を全部やり直したということらしい。結果的にLPに収録された6曲はそれぞれの録音曲が交互に並んでいるのだが、僕は総じて偶数トラック、つまりニューヨークで録音されたアップテンポの曲の方が好みだ。トランペットとサックスの掛け合いが良いし、ハービーハンコックのピアノも当時まだ17歳だったトニー・ウィリアムスのドラムもノリが良い。

JJ Eloctronics E34L

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JJ Electronics製のKT88からSvetlana製のEL34(Sロゴ)に交換して約1か月。差し替えた直後の印象から変化はなく、どうやらKT88よりEL34の方が好みであることは間違いなさそうである。EL34は1950年代に開発された真空管だが、幸いなことに現在でも複数のメーカーから現行品が発売されている。いわゆるヴィンテージの真空管は高価だし、左右プッシュプルの4本を揃えるのも簡単ではない。新品が購入できるのはありがたいことである。

Svetlana製のEL34は真空管専門ショップから購入したもの。エージング済の選別品だったが、実際にアンプに挿した状態でバイアス電流をチェックしてみると1本だけ5%程度電流値が高い。このくらいであれば音を聴いてもまったく気づかないレベルの違いだが、言うほど揃ってなかったことに少しがっかりしたのが正直なところである。真空管アンプのメーカーが選別して装着したKT88のバイアス電流は4本とも誤差の範囲程度できっちり揃っていたのでなおさらだ。

丁寧な選別を売りにしたショップで買ってもこんなものということがわかったので、次は米アマゾンでJJ Electronics社製のE34Lのクアッドマッチングを購入してみた。EL34とE34Lは見た目も規格も異なるようだが、その差は微妙。調べてみても良く分からない。とにかく互換である。送料込みで4本8,000円くらいなので国内で買うより2割くらい安いだろうか。購入してから到着まで8日だった。

現物を見るとJJ社製の真空管の常で頭がまん丸である。そのせいもあると思うが、Svetlana製と比べて背も横幅も少々大きく感じる。まずは順不同に装着してバイアス電流を測ってみたのだが、4本ともほぼバラつきがない。アマゾンが一本一本検品しているとは思えないのでこの会社のQCはきっとしっかりしているのだろう。4本とも小数点以下の微妙な違いしかないのでそのまま挿していても問題なかったが、一応、きちんと順番に並ぶように左右を1本入れ替えた。

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KT88との比較でEL34は透明感が高くクリーンな音と感じたが、Svetlana製からJJ製に替えるとこの方向が一層徹底される。一般にEL34はKT88に比較して線が細く、低音の迫力はイマイチという評価であるが、これはアンプの性格や組み合わせる他の機器によっていくらでも変化するだろう。僕の部屋ではEL34(E34L)でも低音に十分な量感があるし、透明感が高いせいか音の切れ味が鋭く、迫力も感じる。(このあたりは個人差が大きいので他の人がそう感じるかどうかはわからないが。)他方、Svetlana製のEL34は少し暗めで落ち着いた音色がするのだが、これはこれで悪くない。しばらくの間は数か月単位で交換して使ってみようと思う。

ニールセン交響曲第4番「不滅」 : マルティノン

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マルティノン/シカゴ響のボックスセットを買った一番の理由はニールセンの「不滅」が聴きたかったから。マルティノンと言えばフランス物、そして演奏はなんとなくまったりとしたイメージだったので、いったいどんな「不滅」になるのか興味津々だったのである。もし、ボックスセットの中で一番最初にこの「不滅」を聞いていたら、こうした勝手なイメージと演奏のあまりの違いにさぞたまげたであろう。

この演奏の録音は66年と結構古い。スタジオ録音として残っているものでは最も古いのではないだろうか。おそらく当時、シカゴで有名ではなかったであろうニールセンの曲でアルバムを作るとは渋い。自らも作曲家であるがゆえ、知られざる曲の伝道師たるべく奮闘していたのであろうか。

「不滅」は冒頭からかなり快速なテンポで進む。導入部が落ち着いて主題が出てくるあたりは多少落ち着くのだが、その後の展開も押しなべて速い。全体に息つく間のない容赦ないテンポで進むので、この曲のデファクトスタンダードがバーンスタインの演奏である僕は最初、どことなく違和感を感じていたのだが、聴き進めるにつれ、ここまで徹底すればこれはこれで見事と思えてきた。

それにしてもマルティノン時代もシカゴ響の演奏は素晴らしい。他を圧倒する金管のパワーはてっきりショルティ時代に完成されたかと思っていたが、この演奏でも目を見張るものがある。バーンスタインの録音より5年ほど古いが、最強音時にも透明感をキープしているところなど、こちらの方が良い音である。おかげで最後の二組のティンパニも効果的に演奏を盛り上げてくれる。良い演奏である。

ベートーヴェン ピアノ協奏曲第1番 : ギレリス/セル

ギレリスボックス

今日は蒸し暑かった。もう秋がそこまで来ているとは到底思えない、うだるような暑さである。ゴルフに行ったのだが、芝の上は日差しに加えて地面からの熱気が真夏以上に強烈で、一緒に回った3人も含め後半はすっかりばてて口数も少なく、ひたすらプレイに集中していた。おかげで無駄なおしゃべりをしなかったせいか、スコアは全員、良かった。何が幸いするかわからないものだ。

家に帰って何気なくテレビを見ると野球中継が目に留まった。ここ数年、テレビはほとんど見ないし、そもそも地上波での日常的な野球中継がなくなって久しいので、セリーグの試合を見るのもずいぶん久しぶりだ。ベテランと若手がかみ合って広島が快進撃を続けているのは知っていたが、今日の試合を見てなるほどこれは強いと思った。とにかくしぶといし、機動力がある。しかも、主力選手が若い。25年振りの優勝ということだが、僕が小学生で友達と草野球をしていた頃がちょうど初優勝の頃で、その後しばらく「赤ヘル」軍団は強かった。なので、そんなに優勝していなかったにも関わらず、僕の中で広島は強いというイメージが強烈に残っている。今年の強さを見ているとあの頃の広島のようにしばらく勢いが続きそうな気がするのだが、さてどうだろう。

優勝の瞬間を見届けてオーディオルームに移動した。今日、聴いたのはギレリス/セル/クリーブランド管のベートーヴェン。この組合せから期待するに違わぬ素晴らしい演奏である。「鋼鉄のピアニスト」という有名な称号を与えられたギレリスだが、こうした典雅で可憐な曲も実に良い。セル/クリーブランド管の交響曲録音も大好きな僕としては、伴奏をこのコンビが受け持っているのが、また、たまらない。この録音、演奏は素晴らしいものの、従前発売されたレコードもCDも音が悪かったようだが、ボックスセットはリマスタリングされているようだ。ピアノ、オーケストラともども十分鮮明に記録されている。品の良い、大人の演奏が聴ける。名盤。

ショスタコーヴィチ交響曲第7番 : コンドラシン

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コンドラシン/モスクワ・フィルの「レニングラード」は先日、CDで聴いてとても感銘を受けた。今日、レコード社に立ち寄ったら国内盤のLPが入荷していた。ジャケットは黄ばんでいるが盤質は良さそうだったので購入。メロディア原版の日本ビクター盤というとロジェストヴェンスキーのチャイコフスキーやフェドセーノフのムソルグスキーを持っていて印象は悪くない。CDはダイナミックレンジが狭いところがやや残念だったが、LPはどうかと言う点も興味津々である。

このところまとめて「レニングラード」を聴いたが、全曲を貫く緊張感の高さで言えばこのコンドラシン盤は最右翼の一枚だった。コンドラシン指揮のものに限らずソ連/ロシアのオーケストラによる演奏は鋭利な刃物のような切れ味と推進力の強さが他の地域のオーケストラとは一線を画す。これで録音が例えばハイティンク盤くらい鮮明だったらどんなに素晴らしいだろうか。。

ひょっとしたらの思いを抱きつつLPを聴いたのだが、結果から言うとう~ん、残念。次点って感じだ。出だしの弦楽器なんて雰囲気抜群だし、音質そのものも悪くないのだが、先に進んでいくにつれダイナミックレンジが厳しくなっていく。最強音になると聴感上、冒頭とは録音レベルがかなり違う感じ。聴きながらだんだんボリュームを上げていかないと迫力が出ない。このあたり、CD化に際してリマスタリングしているせいかCDの方がずっとマシである。LPのせいか腕のせいか、いずれにしてもアナログで大オーケストラ作品を上手に再生するのは簡単ではない。

ハム解消

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我が家のTD124には購入時SME3009S2がセットされていて、本当はこれにShureのM44GかM44-7を装着したかったのだが、ハム音に見舞われたのであっさりあきらめたことは以前、記事にした。

この状態でMCカートリッジを付けてもハムは出なかったが、うちのTD124は色だけMkIIというなんちゃって仕様のためプラッターは鉄の塊である。磁力の強いMCカートリッジはプラッターに引き寄せられて針圧がまったく管理できない。ということで今年に入ってからTD124にはずっと光カートリッジを装着していたのだが、今日、ちょっと奮起してハム退治に乗り出すことにした。最近、オーテクの普及品を買ってみたりして個人的にMMカートリッジブームなのだ。

こういう時にもっと新しい軽針圧対応ユニバーサルアームがあればいいのだが、手持ちのアームで曲がりなりにも軽針圧に対応できるものと言うとS2しかない。ユニバーサルシェルとは言え、S2は調整が面倒なので頻繁にカートリッジ交換しようと思うモデルではないが、とは言え、シェル一体型のアームよりはマシだ。

S2のフォノケーブル端子はSME独特の5つの接点が横一線に並んだもの。対応する純正フォノケーブルは下流側にアンプに結線するアース線が出ているだけでなく、上流側にモーターに接地するアース線が出ている。購入時、このアース線はすでにモーターに繋がれていた。それでもハムが出ることから、今回はこのアース線に加えて、モーターからフォノイコの間を第3のアース線を用いて繋いでみることにした。

このやり方は買ってすぐに試したのだが、その時はノイズは小さくなったものの完全には消えなかった。それでも一応試してみたのはフォノイコが当時とは違うからである。プラッターを外してTD124を裏返し、フォノケーブルからのアース線と第3のアース線をアースポイントにねじ止めする。フォノイコにもそれぞれアース線を接続していざカートリッジを装着する。ボリュームを上げてみるとまったくハム音がしない。シーンとしている。あの時のハムはなんだったのかという感じ。完全に消えてしまった。

確かにフォノイコは別物だが、同じ結線なのになぜ結論がこうも違うのかよくわからない。が、とにかくこれで念願の組合せを試すことができる。万歳。

ショスタコーヴィチ交響曲第12番 : カエターニ

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今週は月曜日から金曜日までずっと出張。しかも連日、会議の連続で夜は飲み会。すっかり疲れ果ててしまった。僕はアルコールがほとんどダメなので夜遅くまでの飲み会は結構苦痛である。昔と違って無理やり飲まされるようなことはないが、だからと言ってまったく飲まないわけにもいかず、そうすると次の日に堪える。ほとんどバッテリー切れ寸前の状況で帰宅した。うちの会社の会計年度の関係で夏の終わりはいつも忙しい。とりあえずあと一週間を凌げば少しは楽になりそうなので何とか頑張ろうと思う。

こういうしんどい時、以前はマーラーばかり聴いていたのだが、このところはすっかりショスタコーヴィチである。マーラーにせよ、ショスタコにせよ、苦しい時は能天気に明るい曲より暗い音色の曲の方が良い(笑)。ショスタコの場合、マーラーより曲が短いのでうっかり夜更かししないで済むし。

12番は「1917年」というサブタイトルが付いていて、レーニンに捧げた曲らしい。共産党大会で演奏することを目指して作曲したせいか、ショスタコーヴィチの曲の中でも特に平易でわかりやすい盛り上がりを持つ曲である。体制的で大衆迎合的なせいか作品の評価は一般に低いみたいだが、僕はそこここに感じられる薄っぺらい感じや大袈裟なところも含めてこの曲が堪らなく好きである。

最初にこの曲を聴いた時から「オーロラ」(ロシア名は「アヴローラ」)と名付けられた第3楽章が大好きだったのだが、今日、カエターニ/ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団の演奏を聴いてますます好きになった。いやあ、この演奏に聴く「オーロラ」は凄い。途中のティンパニ大乱入の部分、ぜひ周りのいない時に爆音で聴いてほしい。打楽器炸裂のこの曲は一般的にライブの方が良い演奏になりそうである。この楽章に限らず、迫力と抒情性が両立した素晴らしい演奏である。録音も良い。それにしても長いフィナーレだ。40分弱の曲なのにマーラーの3番以上に長い(笑)。
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