ブルックナー交響曲第4番 : ベーム

ベームロマンティック

ベーム/ウィーン・フィルの「ロマンティック」。1974年度のレコード・アカデミー受賞作品。僕がブルックナーを聴き始めた頃には燦然と輝くこの曲の代表的名盤だった。

あれから30年以上経過しているので「だった」と書いたが、久しぶりにCDを聴いてみると、この演奏はいまだにこの曲の決定盤ではないかと思った。最新の名曲名盤ではたしかヴァントが一位だったと記憶するが、個人的に「ロマンティック」ならばベーム/ウィーン・フィルを推す。

同じウィーン・フィルのブルックナーでも晩年のカラヤンの録音はやたらとノロマに感じるのだが、79歳の高齢で録音された割にはこの演奏にはまったく緩みが感じられない。冒頭の弦のトレモロから曖昧模糊としたところのない敢然とした演奏である。ベームらしい弦楽の張り詰めた表現が良いし、ここに聴くウィーン・フィルの管楽器は素晴らしい。録音も良い。
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R・シュトラウス アルプス交響曲 : ブロムシュテット

ブロムシュテットアルプス交響曲

ブロムシュテット/サンフランシスコ響の「アルプス交響曲」は「ドン・ファン」との組み合わせで89年の録音。CD50枚組の「The DECCA SOUND」の中に収められていた。ちなみにこのボックスセット、基本的には一人の指揮者(独奏者)当たり一枚のCDしか収められていないので、ブロムシュテットのDECCA録音代表として選ばれたのがこのCDと言うことになる。

CDをセットしたら最初に思いがけず「ドン・ファン」が始まった(ちなみに単売されているCDは逆の順番ぽい。)のだが、冒頭から実にブロムシュテットらしく、スッキリ爽やかで透明な音楽である。見通しの良いDECCAの録音とも相性抜群。ぐいぐいと音楽に引き込まれる。

「アルプス交響曲」はこうしたブロムシュテットの棒さばきとサンフランシスコ響の妙技、それに抜けの良い録音が相まって、まさに一大スペクトラルが展開する。粘らず引きずらないすっきりとした表現で、今まで聴いた中でも最高の天気をイメージするアルプス交響曲である。オケの音色も明るいので「アルプス」じゃなくて「ロッキー」かな。陽気だが品はとても良い。終盤のハーモニーも見事。名盤。

ショスタコーヴィチ交響曲第15番 : M.ショスタコーヴィチ(LSO)

Mショスタコ15番

今週は火曜日から出張続きだった。北関東に始まって仙台、大阪、札幌と移動したのだが、水曜日には天候不良で飛行機がかなり遅れてひどい目にあった。木曜日夜に着いた札幌は大阪と比べて10度以上気温が低く、身体を冷やしたせいか少々風邪気味である。昨日の夜遅く、帰宅した時にはふらふらだった。

帰りの空港のテレビで海老蔵さんの会見ビデオを見たのだが、なんとも切ない。病気発覚以来、マスコミがコンスタントに報道していたせいか、亡くなったという事実が他人事と思えずとても悲しい気持ちになった。幼い子供を残して若くして亡くなるなんて本当に無念だったろう。その中で最後まで笑顔を絶やさない強さには驚嘆する。合掌。

昨日は疲れて帰宅後、音楽を聴く気も起きず、すぐに寝た。おかげで目を覚ますと少し疲れは取れたようだ。またショスタコーヴィチかいなと自分でも思いつつ、M・ショスタコーヴィチのCDが手に入ったので聴いてみる。

僕が15番を初めて集中して聴いたのがM・ショスタコーヴィチ/モスクワ放送響の演奏だった。振り返れば今年の4月のことなのでまだ二か月しか経っていないが、この演奏のおかげで以来、ショスタコーヴィチを聴きまくっている状況。初演者でもあるM・ショスタコーヴィチのその後の録音にも興味を持っていた。今回購入したのはこのCDとプラハ響との全集。

LSOとの15番は90年の録音。"Collins Classics"というマイナーレーベルに残されたために中古以外、入手しづらい。組合せとして"Gadfly"(日本語では「馬あぶ」という締まらない名前(笑))の映画音楽が収録されている。録音データが粗末だがおそらくスタジオ録音。オケも良いので演奏は隙がない。

初演から20年近く経っているが、M・ショスタコーヴィチの解釈は大きく変わっていない。旧録音の方がより直截な表現に感じるが、これはオケと録音が違うことも影響していると思う。おそらく優秀なオーケストラと鮮明な録音を得て自分の思う通りのアルバムが残せたのではなかろうか。良い演奏である。

ブルッフ ヴァイオリン協奏曲第1番 : チョン・キョンファ

ブルッフチョンキョンファ

考えてみれば長い間、「普通の」クラシックを聴いてなかったような気がする(笑)。チョン・キョンファが24歳の時にケンペ/ロイヤル・フィルと共演したブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番とスコットランド幻想曲。

ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番は大好きな曲で、この演奏も何度か聴いたことがあるのだが、久しぶりに聴き直してみると発見も多い。チョン・キョンファのヴァイオリンが思いのほか優しい音色だと感じたり。それまであまり気に留めていなかったケンペの伴奏が実に包容力に富んだ良い演奏だと思えたり。

この辺り、その時々で聴いている機材の違いもあると思う。あまりきつい音が好きじゃないこともあって、自然にそういう風に躾けているのかもしれない。

24歳という年齢を考えるとチョン・キョンファの落ち着きとスケールの大きな表現力は凄い。じっくりとしたテンポで実に良い演奏だ。

エアコン不調

昨日の夜、帰宅した時、家の周りは日中の暑さが嘘みたいに肌寒かったのだが、西日がさんさんと当たるオーディオルームは一日の暑さが残っていて温度計を見ると30度超えだった。とりあえず部屋を冷やすためにエアコンをつけたのだが、うんともすんとも風が出てこない。ようやく出てきたと思うと生ぬる~い温風のみ。。窓を開けると隣家に音が丸聴こえのこの部屋ではエアコンなしでは音楽も聴けない。

ふだん当たり前のように動いているものが突然動かなくなると実に不便である。幸い、今朝、ダメもとでもう一度チェックすると何事もなかったように作動した。外が涼しく中が暖かいという、冷房を作動させるには通常と逆の環境で熱交換が上手く行かなかっただけかもしれないし、完全に壊れる一歩手前なのかもしれない。いずれにしてもすでに老体のエアコンなので、本格的に暑くなる前に対策が必要だ。

話は変わって一昨日の深夜と昨日の早朝、2回、小さな地震があった。地震情報を確認するとこの辺の震度は1か2だったのだが、寝ていて気づいたくらいだから体感的にはそれなりに揺れたと思う。久しぶりの地震そのものにちょっと驚いたのだが、実は一昨日の夜、ふと気になってスピーカーをスタンドから降ろして寝たところだったので、そのタイミングにむしろ驚いた。

ブックシェルフスピーカーをスタンドに載せて聴いているとなにかにつけて落下が心配である。地震もそうだが、壁からそこそこ離して置いてあるので、誤って身体をぶつけたりしても危ない。スタンドとスピーカーをボルトで接続するようなタイプなら良いのだが、ポン置きなので気になる。

長い間、気になりつつ何も対策を講じなかったのだが、一昨日の地震に加え昨夜のエアコン故障(?)で何かが起きてからでは遅いと再確認。まずはスピーカーとスタンドの一体化に取り組むことにしよう。

マーラー交響曲第7番 : インバル

inbalmahler.jpg

インバルのマーラー全集、1番から4番まで聴き進めたところで手持ちの5番、6番をスキップして「夜の歌」を聴いた。登場時から評判が良く、87年度のレコード・アカデミーを受賞している。

なるほど世評に高いのも納得の名演奏。冒頭部分から曖昧な部分のない明晰な演奏で、録音もすこぶる良い。すっきりと細身の演奏/録音と思いきやここぞというところでは重量も感じさせる。オーディオマニアのインバルも納得の録音だろう。

偶数楽章のセレナーデから「夜の歌」と呼ばれる7番だが、3番と並んでマーラーの交響曲の中ではもっとも明るい音楽だと思う。インバルもまたいつもより陰性が影を潜めて生気に溢れたネアカな演奏をしている。デリカシーに富んだ中間楽章も良いが、リズミカルで明朗な終楽章が特に良かった。

テクニクスSB-C700

SB-C700.jpg

テクニクスのオーディオ復帰で一番話題になったのはSL1200を彷彿とさせるターンテーブルの復活だが、個人的にはそれ以上に気になったのがSB-C700。テクニクス往年の平面同軸ユニットを踏襲したブックシェルフスピーカーである。

sb-rx70.jpg (オーディオの足跡さんより。)
これは80年代の終わりに登場したSB-RX70。僕は初めてオーディオに興味を持った頃から、ソニーやテクニクスから発売されていた平面振動板のスピーカーに憧れていた。技術的なことはともかく、見た目がクールである。当時は大きな振動板、たくさんのスピーカーユニットが偉いと思っていたので、同軸ユニットに興味はなかったが、今となっては一番欲しいのは平面同軸ユニット。最新の技術をまとって登場したSB-C700はストライクど真ん中である。

復活後のテクニクスは大型量販店以外相手にしていないのか、積極的にネット展開する専門店でこのスピーカーを取り上げた記事はほとんど見ない。目を海外に向けるといくつかレビューが存在するが、これがまた極端に評価が違って面白い。

辛口の代表がイギリスの「What Hi-Fi?」で5点満点の2点評価。「dissapointed」というわかりやすいコメントが付されている(笑)。
他方、アメリカの「Stereophile」の評価は正反対でレビューが好意的なだけでなく2016年のRecommended ComponentsでClass Aの評価である。KEFのLS50と並んで廉価なClass Aである。「C-NET」での評価も非常に良い。「Streophile」は機器の測定に力を入れているが、結果を見るとSB-C700は非常に良く躾けられたスピーカーである。

量販店には展示があるが、自宅で試聴できないのが残念である。買取価格が定価の3分の一くらいなので買って試すわけにもしかないし。。実機は継ぎ目の見えない手のかかった厚い塗装で結構重さもある。展示品はテクニクスのアンプに繋がれていて、一応、音は出ていたが雑音だらけのフロアで聴いてもさっぱり分からない。設計思想からして響かない、鳴らさないスピーカーなので上流機器との組み合わせが肝心だと思う。どこか自宅試聴させてくれるところはないだろうか。。

ショスタコーヴィチ交響曲第7番 : ケーゲル

レニングラードケーゲル

昨日は会社のゴルフコンペだった。梅雨前のタイミングで同じような考えの人が多いのか、僕たち以外にもコンペの組がたくさんあって、結果、めちゃくちゃ混んでいた。スタート時間も遅かったのでハーフが終わった時にはお昼過ぎ。18ホール終わったのは夕方である(笑)。昨日は自分でも驚くほどドライバーが絶好調だったのにアイアンが絶不調でスコアはまたまたイマイチ。ほんと悔しいなぁ。

あんまり悔しかったので今日は朝イチで打ちっぱなしに行った。100球、アイアンだけを打ち込んでみる。頭をなるべく動かさないで振り切る。う~ん、練習場ではうまく行くんだよなあ。同じような気持ちでプレイできれば良いのだが、ラウンド中はどうしても熱くなってしまう。次回こそ平常心でプレイできますように。

さて、ケーゲル/ライプチヒ放送響の「レニングラード」。ケーゲルのショスタコーヴィチは5番/9番を聴いたことがあるが、最近、ブルックナーの5番を聴いて感心したのでこの「レニングラード」も手に入れてみた。ジャケット写真を見てライプチヒには日本人奏者がいるのかと思ったらN響と共演時のものだった(笑)。

この演奏、著名な評論家が絶賛したので有名らしいが、聴いてみると「こんな演奏他には聴いたことがない!!」という類のものではなかった。と言って、ネガティブな感想ではない。ライブ録音らしく白熱した情感豊かな良い演奏である。推進力のある第一楽章、思い入れの籠もった第三楽章、フィナーレに向けて熱く盛り上がる終楽章、どこを切り取っても「レニングラード」と言う曲の素晴らしさを再確認させられる素敵な演奏だ。が、だからといってこの演奏でこの曲の良さが初めてわかったとも思わなかった。評論ってそういう仕事なのかもしれないが、表現が大袈裟だ。この曲ではバーンスタインやインバルの演奏を聴いて心底感動したし、ケーゲルの演奏もそれらに劣らず良かった。

ショスタコーヴィチ交響曲第8番 : ハイティンク

ショスタコハイティンク

美容室に行った帰りに隣にある本屋に寄って「Stereo Sound」を買ってきた。毎号紹介されている商品のほとんどに縁はないが、綺麗な写真がたくさん載っているし、なんと言うか雑誌の体裁が好きだ。それにしてもハイエンドの最新機器の価格を見るとすごいことになっていて、思わずツッコミを入れたくなる。今はまだ良いが、このままだとハイエンド製品のマーケットは日本から無くなるだろうなぁ。よく使う中古ショップに一時、JBLのエベレストが数台同時に並んでいたので出所を聞いたらすべて遺品だった。持ち主が亡くなったら行先がなくなるとわかって複雑な思いである。(余計なお世話だが。。)ま、それって車でも一緒か。

さて、目の前のラックが消えてすっきりしたついでに今日の午前中、いつもより真剣にスピーカーセッティングを詰めてみた。と言っても両方のスピーカー間とリスニングポジションまでの距離をきちんと測って置き直しただけである。特に左右のスピーカーとリスニングポジションまでの距離を正確に合わせるために紐を使って調整したところ、結果良好。やっぱりステレオ再生においてこの点は特に大事なようだ。

セッティング完了後、最初に聴いたのがハイティンク/コンセルトヘボウ管のショスタコーヴィチ交響曲第8番。このコンビの第8番は間違いなく良さそうと思いつつ聴いたが、期待以上の出来だった。旧ソ連組とは違う落ち着いたアプローチでありながら、この曲に相応しいピンと張り詰めた緊張感に満ちた演奏。弱音から最強音まで完璧なオーケストラコントロール、コンセルトヘボウ管の演奏も素晴らしいし、録音も良いので欠点がまったく見当たらない。これは名盤である。

Out to Lunch : エリック・ドルフィー

outtolunch.jpg

今週はゴルフの予定もなく休日出勤もなし。土日とものんびりできるのはGW以来である。せっかくなのでしばらくの間気になっていたオーディオルームの片付けに取り組んだ。何が気になっていたかというとスピーカーの間にあるオーディオラック。もともとソース機器はリスニングポジション右側の二段ラック二台に置いていたが、何か月か前、ターンテーブルの増殖に対応するため三台目のラックをスピーカー間に置いたのだ。

アナログプレーヤーのほかにCDプレーヤーとアンプを入れて便利に使ってはいたのだが、そこそこ大き目の三段ラックだったので気にしないようにしてもやはり目障り。音にも悪影響がありそう。と思いつつ、撤去するのはけっこう大作業なので放置していた。

3台を2台にするのだから当然のことながら使用機器を減らす必要がある。悩みに悩んでプレーヤー2台を仕舞った。空いたスペースに機器を移動し、ラックを解体。書くのは簡単だが重いし埃は溜まっているしでけっこうな重労働。一応、落ち着くところまで3時間くらいかかってしまった。

ようやく一段落して早速聴いたのがエリック・ドルフィーの「Out to Lunch」。CDでも持っているが風変わりなメロディーを一度聴いたきりになっていた。このLPはディアゴスティーニのジャズLPコレクションの一枚で5月に届いたのだが、以来、そこそこ頻繁に聴いている。アルバム開始早々のヴィブラフォンがこのところしょっちゅう聴いているショスタコーヴィチを彷彿とさせるせいか、今回は違和感なく聴くことができた(笑)。

内容は僕のような素人が論じられるものではないが、とにかく「普通の進行」からは大きく外れた音楽だと思う。でも「普通の進行」ってなんなのか、考えてみるとよくわからない。わからないまま身を任せているとだんだん気持ち良くなってくる。聴くたびにその繰り返し。で、今やこのアルバムのファンである。

ちなみにラック撤去の効果は抜群だった。音が変わったかどうかよりも視覚的効果が絶大。正面に機材の詰まったラックがあると気になって集中したいときは目を閉じていたが、もうその必要はなさそうだ。

マーラー交響曲第1番 : インバル

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インバル/フランクフルト放送響のマーラー交響曲全集をついに買った。90年代初頭に発売された頃からずっと欲しかったのだが、たしかオリジナルのボックスセットは3万円以上したと思う。今回買ったブリリアントレーベルのライセンス版は2003年の発売で実売1万円くらい。その後、2010年に国内盤はリマスタリングされて9,000円くらい。これなら買っても損はないかと思っていたところに今回3,000円の値札のついた中古ボックスセットを発見。ようやく買えてうれしい限り。

手元にあるインバルのマーラーは5番と9番。いずれもDENONレーベルの国内盤で両方とも好録音/名演奏である。巷にはブルックナーとマーラーの両方の大家はいないという説がある。その説が本当かどうかはともかくとして、両方全集を完成させたインバルは明らかにマーラーとの相性の方が良さそう。インバルのブルックナーがダメと言うより、マーラーの出来が凄く良い。

マーラーは僕がクラシックを聴き始めてからずーっと中心にいたが、どうも最近、あまり聴かなくなった。直近はショスタコーヴィチばかり聴いているが、それ以前、たぶんアナログを再開して以来、影が薄くなっている。飽きたのかと言うとそうでもないと思うのだが、出番が少ない。ここは一つ原点に立ち返ってもう一度マーラーを聴いてみよう。と言うことで、まずは「巨人」から10番まで聴き通してみようと思う。

ショスタコーヴィチ交響曲第8番 : インバル

ショスタコインバル8番

プレヴィンの演奏で聴き始めたショスタコーヴィチの交響曲第8番だが、この曲、自分にはなかなか取っつきにくく、聴いてて面白いと思えるまで結構時間がかかった。ムラヴィンスキー、ヤンソンス、キタエンコ、ショルティ、ロストロポーヴィチ、バルシャイ、カエターニと手元にあるCDをとっかえひっかえ聴いているうちにようやくこの薄暗い交響曲の良さがわかってきたような気がする。

5楽章構成の大曲のほぼ半分を占める劇的な第1楽章冒頭、ほとんどの演奏は低弦が非常にヒロイックに始まるが、インバル/ウィーン響の演奏はかなり抑えた表現で開始される。ほとんど抑鬱的と言っていい陰性の音楽が展開するが、短期間集中的に聴いた中ではむしろそれが極めて印象的だった。静かな始まりから音楽はどんどん大きく膨らんでいくが、頂点に達しても温度は上がらずひんやりしたままである。その後の木管の独奏の寂寥感がすごい。陰性のインバルの本領発揮である。

インバル/ウィーン響のショスタコーヴィチは個人的にどれもこれも名演だと思うが、同時にデノン/コロムビアの録音の優秀性も特筆すべきものだと思う。日本人のエンジニアが録音とマスタリングを担当しているが、直接音とホールトーンのバランスが素晴らしいし、大音量時にも耳に優しい非常に良い音で収録されている。旧ソ連時代の演奏がこの録音で残っていたら、印象もガラッと違うだろうなあ。名盤。

icon audio PS2

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icon audioはイギリスのオーディオブランド。いつ頃創立されたかわからないが、真空管アンプを中心にCDプレーヤーやスピーカーもラインナップしていて、かなりの数の製品がカタログに載っている。韓国とシンガポールにはディーラーがあるようだが、日本には代理店がないのでほぼ無名の存在だろう。

僕がここの製品を知ったのはよく使うイギリスのオーディオショップのサイト。クオードのQC24Pに興味があったのだが、そこに関連商品として出ていたのがicon AudioのPS2だった。QC24Pの本国価格は日本の3分の1以下であるが、PS2はその7掛けくらいの価格。ただし、QC24PはMM/MC対応であるのに対してPS2はMM専用なので、実質的な価格はほぼ同等である。

SPU-GTEを受けるフォノイコを探していたのでMC入力はとりあえず必要ない。が、パラヴィチーニが設計したというQC24Pはトランス受けのMC入力も出来が良いと聞くし、さて、どちらが良いかと思ってショップに問い合わせしてみると「どっちも良いよ。」とのこと(笑)。じゃ、安い方で。

発注してから1か月くらいで届いたブツは形こそ同じものの、本国のサイトや説明書では青色LEDとあるものが赤色LEDだし、真空管ガードも銀色ではなく黒。何かの手違いかと訝しんだのだが、アメリカのディーラーで見つけた写真(上の写真)を見ると我が家のものと同じ。マイナーチェンジなのかなんなのか。まあ、気にしないことにしよう。

200倍なので46㏈くらいの増幅率。GTEの出力が高めなので組み合わせるとかなりの音量になる。それもあるのか、出てくる音はかなり力強い。考えてみれば真空管フォノイコライザーを使うのは真空管アンプで鳴らしていた時以来、久しぶりだが、真空管をシステムに組み込むならフォノイコライザーにとどめを刺すかも。音が太くて生々しい。個人的にはジャズ向きの音である。比較して大編成のオーケストラものは解像感と抜けがもう一つ。時間が経てば音がほぐれてくるかもしれないが、カートリッジともどもクラシック以外専用としても良いかな。デジタルやハイレゾとは違う方向で色気のある音が良い。
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ばけぺん

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