ショスタコーヴィチ交響曲第4番 : ハイティンク

ハイティンクがシカゴ響の首席指揮者だった2008年に収録されたライブ録音。ショスタコーヴィチ交響曲全集での4番も見事だったが、それを上回る名演だ。

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まず、シカゴ響の演奏が凄い。ライブ録音とは思えない完全無欠な演奏だ。録音データを見ると延べ5日間の演奏が記録されているので、編集されていることは間違いないが、とはいえ、この難曲をいとも簡単に演奏している。

ハイティンクの指揮も堂々としたものだ。全体は全集時より遅いテンポで、じっくりと丁寧に進んでいく。すみずみまで見通しの良い演奏だ。

ハイティンクのアプローチに加え、オーケストラがべらぼうに巧く管弦楽のバランスが素晴らしい結果、ロシアの指揮者による演奏によくある狂気や強迫観念のようなものはほとんど感じられない。何かに追い立てられるような緊張感が好きな人には物足りなく聴こえるかもしれないが、演奏のクオリティそのものはこの演奏の方が遥かに上だ。録音のクオリティ、オケのクオリティを考えるともはや比較にならない。

最終楽章のコラールは優秀な録音も相まって凄い迫力だ。この部分も非常に緩やかなテンポで押し通されているが、金管群にほころびはまったくない。これだけ遅いテンポで最強音のまま吹ききるのは凄い技術だと思う。その後に続く弱音部も美しい。終結のチェレスタが答えのない質問を投げかけるように響いて演奏は終わる。

このディスクのジャケット写真はAlexander Rodchenkoというロシアの芸術家がスターリンによって粛清されたカザフスタンの政治家の顔をインクで消したことにインスパイアされたものとライナーノーツに記されている。ちょうどこの曲が作曲された年代の出来事のようだが、ちょっと空恐ろしい。



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