マーラー交響曲第9番 : アバド

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アバドのマーラー交響曲全集は新旧あり、交響曲第9番は最初がウィーンフィル、2度目がこのベルリンフィルとの演奏。1999年のライブ。ジャケット写真は分売のものだが、今回聴いたのは41枚組みの「アバド・シンフォニーエディション」に収録されているもの。

マーラーの交響曲の中でもとびきりの人気曲である第9番については、ネット上でも多くの人たちが自分なりのベストについて語っているが、この曲ほどベスト盤の顔ぶれが人によってさまざまな曲はないのではないかと思う。

個人的な印象ではバーンスタイン、カラヤンを挙げる人が比較的多いか。マゼールを挙げる人もいるし、古いところではワルター/ウィーンフィルに始まって、バルビローリ、クレンペラー、ジュリーニを挙げる人もいるし、いやテンシュテットだ、ノイマンだと枚挙に暇がない。そもそも一体、何枚のアルバムが世に出たのだろうか?大手の販売店経由で手に入るものに限っても相当の枚数だと思う。

僕も高校生の時に初めてこの曲を聴いてからずいぶんたくさんの演奏を聴いたが、以前にも書いたとおり、これこそという一枚を選ぶのは非常に難しい。なんというか曲の懐が深いので本当にいろいろな表現が可能で、同じ曲とはいえ同じ土俵で勝敗をつけられない感じなのだ。

このアバド/ベルリンフィルの演奏はその中でも(私的に)五指に入る本当に素晴らしい演奏だ。

第一楽章からライブならではの緊張感、高揚感がすごい。アバドの場合、そうした高揚感がオーケストラから自発的に立ち上ってくる感じが最高だ。ルツェルンのライブ映像を見るとアバドの指揮はドライブ感が凄い。(こう言葉で書いても意味不明かもしれない。)きっとこのベルリンのライブでも細かい指示より、オーケストラを音楽に乗せていくことに集中した指揮ぶりだったのではないか。第一楽章の終盤でホルンと低弦による掛け合いがあるが、この演奏ではまるでジャズのような即興性が感じられる。そうした中でもまったくミスをしないベルリンフィルのアンサンブルも見事だ。

第二楽章、第三楽章も実に生き生きとした演奏である。この中間楽章は両端に比べて鬼門に感じることが多いのだが、この演奏ではあっという間に時間が経つ。カラヤン盤はこの中間楽章が実に緻密に計算された完璧な演奏となっているが、アバドの演奏はずっと自然体。荒々しいところも魅力的だ。

終楽章も素晴らしい。言葉では形容しがたい。最後の一音が消えてからかなりの沈黙の後、ふとわれに返ったように会場ノイズが聞こえ始め、さらに少し遅れてようやく拍手が始まる。実際の演奏を聴いた感動はどれだけのものだったろうか。

それにしてもベルリンフィルの録音したこの曲の演奏はどれも素晴らしいものばかりだ。バルビローリ、カラヤン、バーンスタイン、アバド、ラトル。指揮者によって演奏スタイルはぜんぜん違うが、そのいずれもが名演というのも凄い。



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こんばんは

ばけぺんさん こんばんは。

このCD気にはなっていたけど、聴いたことがなかったんです。

アバドはライヴがいいですよね。
ルツェルン祝祭管との「復活」を聴いて以来そのような認識です。

『高揚感がオーケストラから自発的に立ち上ってくる』
なるほど、読んでいるだけで伝わってきます。

購入意欲がわいてきました。

Re: こんばんは

sankichi1689さん、こんばんは。コメントありがとうございます。

アバドのマーラーはどの曲も素晴らしいと思いますが、特にこの9番は凄いと思いました。

ただ、ネット上の評価は案外割れています。表現があっさりしているといった評価が多いので、バーンスタインのような濃厚な表現がお好きな方には合わないのかもしれません。

アバドの「復活」が御気に召したなら、この9番にもきっと満足いただけると思います。この曲の演奏の中で欠くことのできないものの一つだと思います。ぜひ、聴いてみてください。
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