マーラー交響曲第6番 : エッシェンバッハ

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エッシェンバッハが音楽監督時代、フィラデルフィア管との関係は必ずしも盤石ではなかったようだ。そもそも音楽監督に選任された年の前4年間一度も共演したことがない指揮者を音楽監督に任命するマネジメントもどうかと思うが、そうした中で就任したエッシェンバッハもそれを迎え入れる楽団員も複雑な思いであったに違いない。

結果的には2003年から2008年までという短期間の任期に終わった上にフィラデルフィア管が財政破綻するなど良いイメージがない。このCDは任期ちょうど半ばの2006年に録音されている。

そんな両者の演奏なのだが、CDに刻まれている音楽は実に立派なものだ。一流の芸術家同士の共同作業は単なる「好き嫌い」で左右されるようなものではないのか。はたまた不幸な始まりだったが数年間の付き合いでお互いを分かり合えたのだろうか。

この演奏、表面的にはスマートでモダンだが細部はかなりデフォルメされていて、けっこう灰汁が強い。バーンスタインのマーラーはこれよりずっと灰汁が強いが、それは指揮者自身のマーラーへの共感、思い入れがストレートに表出したものだと思う。

一方、エッシェンバッハのマーラーはかなりの曲者。聴かせどころはがくっとテンポを落としてこれでもかと歌ってくれるし、アンダンテは「どうだ悲しいだろう?」とばかりに聴き手に迫ってくる。どことなく作為的だ。

こういう演奏は嫌いな人もいるかも。しかし、僕はこういう演奏も好きだ。少なくとも、激しくも美しくもない演奏よりは遥かに良い。フィラデルフィア管の演奏はいつもながら完璧。ライブとは思えない無傷の演奏である。SACDハイブリッドのCD層で聴いたが、録音も特に不満ない。6番が好きな人なら必聴の一枚だと思う。
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