NAGRA BPS

01_Nagra_BPS-lg.jpg

ハイエンドメーカーの中でもNagraの製品はそのコンパクトなサイズとメカニカルな外観が特徴的だ。プリアンプやCDプレーヤーも実に小さい。アルミの外装は品があって安っぽいところが皆無。まあ、その価格を考えれば当たり前かもしれないが。基本的に100万円以上コースの製品しかない中でフォノイコライザーのBPSは定価が30万円弱。普通に考えればこれでも超高額製品であるが、新品でも何とか買えるかなと思える製品はこれしかない。

一度実機を聴いてみたいと思っていたところ、懇意にしているオーディオショップの好意で自宅試聴させてもらえることになった。経験上、自宅試聴は非常に危険なのだが、なかなかこういうチャンスもないので借りてみた。

この製品、特徴的なのが乾電池駆動である点。外部電源も接続可能だが、基本はスタンドアローンの9V乾電池駆動である。微弱な電力を扱うフォノイコライザーなのでAC電源から切り離されることにはメリットがあるのだろう。この製品以外にも例えばSutherlandのPhDやPh3Dは単一乾電池16本!で駆動するし、Trigonのようにバッテリー駆動用外部電源を用意するものは多い。

実機を手にすると本当にコンパクトだ。縦横ははがきとあまり変わらないサイズ。高さもないのでKP1100の真下に隠してしまうことすらできる。同じ価格帯のフォノイコライザーは典型的なオーディオコンポサイズのものが多いのでこんなに小さくて本当に大丈夫なのかと思ってしまう。逆に言えば、なぜ他のフォノイコはあんなに大きい必要があるのだろうか。

とにもかくにも音を聴いてみた。抵抗を入れ替えることで負荷インピーダンスが変更できるが、デフォルトの100Ω(これが最小負荷である。)で良いのでそのまま聴く。なお、MMにも対応しているが、蓋を開けてジャンパーピンを自分で差し替える必要があるので、頻繁に切り替えるのは非現実的。一度セッティングしたら基本的に設定変更しないことが前提の機械だ。

乾電池駆動なのでさぞSN比が高いだろうとおもったのだがMCポジションにするとそこそこノイズがある。もちろん修理中のLHH-P700とは比べるまでもなく小さなレベルであるが、どうやらフォノイコのMCポジションというのは多かれ少なかれノイジーなもののようだ。ちなみにこんな小さな筐体だがBPSはトランスを内臓していて、まずトランスで増幅した後さらに出力レベルを上げているということだ。

交響曲、室内楽曲、ジャズ、ロックと一通り聴いてみた。小型の精密機械みたいな外観だし電池駆動なのでどちらかというと繊細な線の細い音を想像していたのだが、予想は良い意味で裏切られた。意外と低音も豊かで元気が良い。元は業務用機器のメーカーだし、真空管アンプを得意とするだけあって、押し出しの良い音である。とはいえゴリゴリとした感じやねっとりした感じではなく、カラッとスッキリしている。音楽のジャンルを問わず楽しめる音だ。とても良い音だが、ネックはやっぱり価格か。これだけの金額となると選択肢はかなり広がるし、他にも聴いてみたい製品がたくさんあるので、今回の購入は思いとどまった。

メーカーによるとBPSの乾電池は100時間で交換が必要ということだ。毎日一時間レコードを聴いても9V乾電池一本で3ヶ月は持つ計算になるが、電池交換が面倒くさい場合、6-10VのAC/DC変換ケーブルさえあれば普通にコンセントからの電源でも駆動できる。入力端子もごく普通のものなのでPCオーディオ用途で販売されている強化電源が活用できる。実際、手元にあった9Vの強化電源を繋いだところ何の問題もなく使えた。

それにしても、この機械の佇まいはなんとも言えず魅力的だ。このくらいの性能、日本のメーカーがその気になれば技術的には容易いと思うので、こういう格好良い機械が日本からも出てきてほしい。

関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ばけぺん

Author:ばけぺん

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
Since 3/28/2013
検索フォーム
リンク