VIV LABORATORY RIGID FLOAT

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機器の入れ替えで新しく仕入れた製品がもう一つ到着した。VIV LABORATORYという日本のメーカーが製造するRigid Floatという名前のトーンアームだ。

VIV LABORATORY サイト

私は最近、このメーカーのことを知ったのだが、まだ若い優秀な技術者の方が今までの常識に捉われず革新的なオーディオ機器を開発製造している。そうして生み出された製品は国内のみでなく海外でも非常に評判が良い。日本人としてなんとも誇りに思う。プレーヤーは国産のVictor、KENWOODを売却してThorensに走ってしまったが、アームはマイクロ精機に加え、このメーカーの製品を買って日本を盛り立てて行きたい!という大義名分を錦の御旗にして、プレーヤー到着後、満を持して注文した。正直に言えば、このアームをなんとしてでも購入したいという気持ちが機器入れ替えに迷う私の背中を押した理由の一つであった。

Rigid Floatは今までのどのトーンアームとも違って、アームの支点が液体の上に浮いている。しかもカートリッジを含め先端までひたすらストレートでどこにも角度がついていない。丸い円盤をどうスムーズにトレースするかという、何十年にもわたって世界中のメーカーが取り組んできた課題に対し、まったく新しい回答を示したアームである。さらに技術的なことに興味のある方はメーカーのサイトや次のリンクを参照にしていただくと良いと思う。

Rigid Float Review

こういうアームはおそらくアナログ道何十年という人が購入するのだろう。その点、私はこの道たった3か月なので技術的なことはわかったようなそうでもないようなといった感じだ。レビューを見てこれは良い製品に違いないとは思ったが、そもそもどうしてもこの製品が欲しかったのはもっと単純な話である。とにかく「長いアームが欲しい。」それだけである。。。ロングアームは何が良いのか?理論的には普通のアームよりトラッキングエラーが少ないとか言えるようだが、そんなことよりもずっと大切なことがある。それは何かといえば、ロングアームは格好良いという事実だ。人それぞれ好みがあるだろうが、私は絶対ロングアームの方が格好良いと思う。

市場に流通しているロングアームというとSME、オルトフォン、SAEC等々いろいろなメーカーのものがあるが、新品で手に入るものは少なく、金額的には相当張る。中古もオークション等でたくさん出ているのだが、程度の問題はもちろんのこと、アーム単体で考えるならともかくどのターンテーブルと組み合わせるのかが非常に悩ましいし、組み合わせによってアームの土台を考えなくてならない。古いものが多く、初心者は手を出さないせいか、それぞれのアームの取り付け方の解説みたいなものもあまり資料がない。どうにも参入障壁が高いのだ。特定のメーカーのターンテーブルとロングアームのセットで買えばこうした問題はないのだが、どのメーカーでもロングアームは上級者コースらしく、最低でも70~80万円コースである。

ということで、妄想しては現実的に挫折していたのだが、ネットで情報収集している時に運良く見つけたのがRigid Floatだった。このアームは長さが3種類あって、普通の長さの9インチモデルに加え、7インチと13インチモデルがある。ブログで拝見する導入事例はこのアーム以外例を見ない7インチのショートアームが多い。俊敏に反応する上、改造しなくてもターンテーブル上にぽんと置けるからかもしれない。

とにかく「長いアームが欲しい」私は脇目もふらずに13インチモデルに注目した。デザインは好き嫌いが分かれそうである。メカニカルビューティが好きな人はあまり気に入らないだろう。私はこのデザイン、嫌いではない。しかし、何より決定的だったのがその設置方法である。このアームは基本的に「そこに置くだけ」なのである。素晴らしいではないか!正確に長さを測ってねじ穴を開けたり、図面を描いてアームボードを注文したり、そもそもプレーヤーの中に手を突っ込んだりしなくても良いのだ。ケーブルも通常のRCAケーブルが使える。これなら将来、プレーヤーを交換してもほとんどあらゆるものに対応できる。高さと設置スペースだけ考えれば良いのだから。

在庫がありそうなのはヨドバシカメラだけだったのでヨドバシに注文した。ヨドバシならポイントもあるし、翌日には品物が届く。製造開始からマイナーチェンジを二回経て最新版はRigid Float Haと言うモデル名だが、ヨドバシの在庫はRigid Float Hである。aはアジマスの意味なので、それがないということは垂直方向のカートリッジの向き調整ができないことになるが、もうこうなると待っていられない。そもそも真っ直ぐ取り付ければ良いのだからと自分に言い聞かせてあるものを購入した。カラーは黒銀と黒金があるが、後から追加された黒銀には値引がなく、黒金は多少安かったのでそっちを選んだ。計算上、10cmくらいかさ上げの必要がある。Rigid Floatの底面は直径9㎝の円形なので10㎝角の木製ブロックも合わせて購入した。

金曜日に注文したので品物は昨日届いた。注文後、「お取り寄せ」になったので最後の一つだったようだ。東京の配送センター発ではなく仙台から発送になっている。仙台店にあった在庫ということだろうか?メーカー名の記載もない長細い白い段ボール箱に入っている。輸送箱の中にさらに内箱があり、それを開けるとまず黒い液体の入った注射器が二本。この液体をトーンアームの下にあたる部分に注入してアーム全体を浮かせる。あとは本体と錘と説明書が入っているだけ。

置き場所を決めるためのテンプレートはL字型の非常にシンプルなもの。これをプレーヤーのスピンドル軸にはめて、針の場所を示す小さな穴に針位置を合わせ、あとはそのテンプレートの向き通りにアームをセットする。こう書くと簡単なのだが、結構繊細な作業である。アームリフターの高さや位置も自分で決めないといけない。自由度が高いだけにある程度自分で考えなければならない。とはいえ私みたいな初心者にも難しい作業は一つもない。ただただ繊細なだけだ。

私の購入したプレーヤーはアクリルカバーがアフターマーケット製品で左右が開いている。カバーを閉めても左右からアームが入れられるので好都合と思ったのだが、実際に置いてみるとアームをアームレストに置いた時にどうしても干渉してしまうことがわかった。厳密には本当にぎりぎりのところで上手く置けそうなのだが、引き換えに自由度を損なう。しばし考えてアクリルカバーは外すことにした。カバーなしの方が音も良いだろう。

アームに付属するNelson Holdというプロレス技と同じ名前を持つシェルにカートリッジを付け、位置決めし、アーム本体とリフターの高さを調整する。だいたいいいかなと思って全体を眺めてみると目視でも明らかにカートリッジが垂直になっていない!アジマス調整できないのに全然ダメじゃないかと思ったのだが、改めてアームを観察してみるとパイプの下側にネジがついている。なんのことはない。届いたアームはHaだったのだ。ヨドバシの表記は間違いだが、あるいは気にしていないだけかもしれない。ネジを緩めてパイプを少し回転させてアジマスを合わせる。可動部分が多いのでフレキシビリティが高いのだが、これは同時に調整部分が多いということでもある。

とにもかくにも設置した形がこれ。

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木製ブロックの手前に写っている半透明の定規みたいなものが位置決め用テンプレートである。今の置き方だとすぐに位置が変えられる反面、何度もアームを上げ下げしているうちに微妙に位置がずれるのでテンプレートは仕舞わずに常備している。トーンアームからのケーブルはオヤイデのRCAタイプのフォノケーブル。これをトランス経由でLHH-P700のMM入力で受けている。カートリッジはAT-F7とMC30Wの両方を試したみたがMC30Wの方が合う。ロングアームでアームの質量もあるせいか、ある程度の重さがあり針圧も高めのカートリッジの方が合いそうだ。他方、マイクロのアームは軽量でハイコンプライアンスなのでAT-F7はとても合う。

ネット上のレビューを読むと聴き始めた直後から好印象という記事が多いのだが、正直言うと最初は??という感じだった。悪くないけど、MA-707Xとそんなに違わないような。振り返ってみれば最初に付けたカートリッジがAT-F7だったことが第一印象が良くなかった理由の一つだと思うが、その瞬間思ったのは「この程度のプレーヤーでは宝の持ち腐れだったか?」ということ。このアームのことを記事にしている皆さんのターンテーブルはかなり立派なものが多い。開発者の方はハードオフで8,000円で購入したプレーヤーを使用しているという記事に勇気づけられてはいたのだが、安くてもリジットなDDプレーヤーと違ってトーレンスのプレーヤーは組み合わせる機器の違いに良い意味で鈍感そうだ。

嬉しさ半分、懸念半分といった感じで昨日は寝たのだが、新しいオーディオ製品が所期の性能を発揮するにはやはり少し時間がかかるようである。朝からずっと雨降りの今日はのんびりと音楽を聴いて過ごしているのだが、嬉しいことに最初の印象からぐんぐん良くなってきている。とにかく響きが良い。一番好きなのは弦楽器。潤いがあり余韻が豊富でうっとりするような音を出してくれる。それでいて音にはしっかりとした芯があり、立ち上がり立ち下がりが早く、団子にならない。最強音時でも余裕を持って再生してくれる。外周部から内周部まで音の劣化が少ないのもこのアームの特徴だ。この点、マイクロと比較するとRigid Floatの圧勝である。今までの常識ではこの点が最大のネックのはずなのにすごい性能だ。インサイドフォースキャンセラーもないが、なんの問題もない。がっちりトレースしている。トーレンスのプレーヤーはモーターとアームが同一の基盤に乗るのを嫌って分割フレームになっているが、今の設置形態ではアームとモーターとターンテーブルはそれぞれが完全に分離している状態なので、これも良い影響を与えているに違いない。とにかくこのアームの良さはTD321Mk2でも十分にわかる。適当なサイズの木製ブロックを土台にしてぽんと置いているだけだが、それでもすこぶる音が良いのだ。

グールドの演奏するバッハの平均律クラヴィーアを聴くと、一音一音、粒立ちの揃ったピアノの音が実にきれいに響く。グールドの鼻歌もご機嫌に聞こえてくる。実に優れたアームだと思う。
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こんばんは

ばけぺんさん、こんばんは。
ロングアーム、かっこ良いですね、正確無比にトレースしてるって、見た目にも感じますね。ターンテーブルとトーンアームの位置調整が大変だったのではないですか。ガラステーブルにセッティングされたプレーヤシステムからは透明感のある音色が聴こえてきそうです。(^^)

断捨離のはずが。。。

akifuyu102さん、こんばんは。コメントありがとうございます。

先日、断捨離についてコメントいただいたばかりなのですが。。少なくとも「断」についてはほど遠い状況でお恥ずかしい限りです。

ロングアーム、お誉めいただきありがとうございます。手に入れて子供みたいにはしゃいでいます。実はいまだにセッティングあれこれ悩んでます。自由度が高いとかえって迷いますねえ。それにこのガラステーブル、東南アジア製なのですが、二台同じものを並べても高さが全然違いまして。さらに複雑さを増しております。

でも、文句を言いながらこうして弄っているのがとても楽しいです。
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