Bruckner Sym. No.5 : 朝比奈

一週間の出張を終えて帰国した。空港に着いて外の空気を吸ってホッとする。少し乾いているけど快適な気温だ。つくづく四季のある国に生まれて幸せである。

出張で疲れているが、一週間ぶりに何か聴きたいと思ってしばらく考え、朝比奈隆のブルックナーに落ち着いた。

朝比奈隆の演奏は何種類かCD化されているようだが、僕の手持ちは92年にサントリーホールでライブ録音された新日本フィルとのものだ。第一楽章冒頭のベースから力のこもった熱演である。そこここで指揮者の小さなうなり声も聞こえてくる。

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朝比奈隆という指揮者の名前は長い間承知していたが、クラシックを聴き始めたごく初期に聴いたブルックナーの7番を除くと好んで聴くようになったのはごく最近のことだ。宇野功芳氏のブルックナー論があまり好きでなかったために、その中で強く推されている朝比奈隆の演奏を敬遠してしまっていた。

二年前くらいに購入したエクストンというレコードレーベルの企画セットの中に朝比奈の指揮するベートーベンの英雄が入っており、それを聴いたのが考え方を改めたきっかけである。その何一つ特筆すべきことのない、しかし同時に、説得力のある抗いがたい名演奏に驚き、それ以来、少しずつ聴き始めた。

この交響曲第5番の演奏はマーラーの第9番の演奏と並び、僕の中で今のところ朝比奈隆のベスト盤である。後者がそれほど世評を聞かないことに比べるとこの演奏は評価も確立しているようだ。たまに日本のオーケストラのことをボロクソに言う人がいるが、理解に苦しむ。現にこの演奏に聞く新日本フィルの演奏は素晴らしいものだと思う。

ちょっとオンマイクなのと高音域が少し煌びやかなところ(これはもしかしたらDSDマスタリングの際の演出かもしれないが)を除けば録音も悪くない。しかし何より指揮である。英雄でそうであったようにここでも何か一つ特筆するようなことは何もない。最初から最後まで音楽は滔々と力を湛えて流れていく。途中で聴くのを止めるのが難しい演奏だ。

シカゴ響とこの曲を演奏する朝比奈の姿を収めたDVDがある。こちらは音があまりにデッドなので、録音込みの演奏レベルで言えば新日との演奏のほうがずっといいが、何しろDVDは指揮者の姿が見れるので、見たことない人はぜひ見て欲しい。感動すること請け合いである。演奏終了直後に満員の客席が一斉にスタンディングオベーションする光景を見れば日本人としてこの指揮者のことを必ずや誇りに思うだろう。

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一方、その指揮姿は申し訳ないが素人から見てもどうにもぎこちない。なんというか格好よくない。これでオーケストラに必要な情報が伝わるのだろうかという感じなのだが、出てくる音楽はすごい。

必聴の一枚である。


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