マーラー交響曲第9番 : バルビローリ

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バルビローリ/BPOによるマーラー交響曲第9番は僕がマーラーを聴き始めた頃、稀代の名演奏と言われていた。今でもCDが現役盤だし、この曲の演奏として忘れられることはないだろう。

僕はCDでこの演奏を初めて聴いたが、初期のCDだったせいかコンパクトシステムコンポで聴いたせいか、なんともピンとこない冴えない演奏にしか思えなかった。

バルビローリという指揮者の演奏はヒューマンな人柄とか血の通った温かい演奏といった表現で語られることが多く、少なくとも若い頃の僕はマーラーの演奏にそういった要素をあまり求めていなかったので、一部のバーンスタインとかテンシュテットのほとんどの演奏が苦手で、この演奏もそういう文脈の中で捉えてすっかり興味を失っていた。

それでもディスクユニオンに並んでいたLPを手にしたのは、レコードの左上にあるEMIのマークがなぜか黒いテープで隠されているのを見て何か秘密でもあるのかと気になった上に、2枚組でたった200円という価格に惹かれたからだ。

黒いテープはジャケットだけでなくアルバムのレーベルにも貼ってあった。傷でもあるのかと思ったのだが、そうではなくて意図的に丁寧に本来ならばいるはずの犬のマークが隠されている。見本盤なのか何なのか、真相は藪の中だ。それにこのアルバム、2枚組だが3面しかない。したがって2枚目のB面は溝がない。こういうレコードも初めてだ。

LPを聴いて記憶の中にあった冴えない演奏という印象はすっかり改められた。

最近の演奏に比べてさっぱりとしたスリムな演奏だが、少し暗めな音色がこの曲の曲想に合っていて、第一楽章などしみじみと沁みてくる。盛り上がる局面ではテンポが速くなるが、この曲にまだそれほど親しみがないせいか、そういう時に名手BPOにしては縦のラインが揃わないことがたびたびある。しかし、終始弦楽器は美しい。ゆらゆらと揺れながら弦楽器が掛け合いする様にハッとすることもしばしば。

総じて切なくはかない演奏である。聴いていて苦しくなる。録音が違うとか再生装置が違うから演奏の印象が変わったのではなく、こういう演奏が好きになったということは自分も歳を取ったということかもしれない。
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こんにちは

ばけぺんさん、こんにちは。

CDを持っていたのですが、20年ぐらい前、私も「冴えない演奏」に感じて売ってしまいました(笑)。タテ線もずれたり・・・。記事を拝見いたしまして、私も歳をとったので、もう一度聴いてみたい気分になりました。

こんばんは。

sankichi1689さん、こんばんは。コメントありがとうございました。

sankichi1689さんもやはり冴えないと思われましたか(笑)。ブログを拝見したりコメントを戴いて、かねがね私と好みの指揮者や演奏が似ていらっしゃるなあと思っていたのでわかるような気がいたします。

今回、久しぶりに聞いて、録音は古さを感じさせるものの、けっこうグッとくるものがありました。機会があればぜひ一度お試しください。

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