SME Series IV

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海外のショップに発注していたSMEのSeries IVが一昨日、家に届いた。GW中に届けば良いなと思っていたのだが、ありがたいことに思ったよりもだいぶ早く到着した。

例に漏れず中古品なので、マグネシウムパイプにはアームレストに当たる部分に擦り傷があるし細かい部分で使用感もあるのだが、元箱入りで付属品もすべて揃っていた。ねじ類はなぜか開封した後もない。取付に必要な工具も袋に入ったままなだったので、他にもこの製品や工具を共用するSeries Vを持っている人が売りに出したのだろうか。

同じ英国のREGAが自社製プレーヤーに搭載するために開発した画期的な一体型アームが世界中のアーム市場を席捲したことを受け、SMEは86年に現在も同社の最高峰アームであるSeries Vを発売する。すでにSeries IIIでユニバーサルシェルは捨てていたが、Vではアーム交換もできなくなった。カートリッジはアームをプレーヤーに取り付ける前に装着することが必要だ。

今回手に入れたSeries IVはSeries V登場の翌年、Series Vのコストカットモデルとして登場した。最大の違いはバランスの取り方で、Vはダイナミックバランス方式、IVはスタティックバランス方式である。この違いから外観上、IVには針圧調整ダイヤルがない。マグネシウムパイプ等主要部品は共通だが、内部配線や付属のケーブルの素材も違う。(ただし、最新製品は輸入元のサイトによれば、これらも共通。)

見た目で言えば、Series Vは真っ黒で実に精悍な印象だ。できればVが欲しかったのだが、高いし中古も見つけられなかった。ちなみに国内定価(税込)はVが75万円、IVが54万円。本国ではそれぞれ40万円、27万円、アメリカでは36万円、25万円である。どこで買っても高いことに変わりないが、アメリカの2倍以上する日本の定価は異常だと思う。

Series Vについてはポジティブ・ネガティブ問わず、ウエブ上でけっこうたくさんの記事が読める。翻ってSeries IVについてのレビュー記事は非常に少ない。Vの影に隠れて地味な存在だし、この価格帯のアームを新品で買うくらいの人にとっては両者の価格差は積極的にIVを買うほどのものではないのかも知れない。今となってはどうやら人気がなさそうだ、というのはSeries IIIと一緒で、僕にとっては好材料である。おかげでVに比べてIVは中古も安い。

このアームを購入したのは、アームの名門の最新作(といっても30年近く前のデビューだが。)はどんな音がするのか聴いてみたいと思ったのが最大の理由だが、それに加え、ユニバーサルシェルを介することで、音は耳で聴いて確認できるほど劣化するのかを知りたかったということもある。

自重700g以上もあるSeries IVはTD321Mk2には重すぎるのでDDX-1000に設置した。その方がアーム装着もはるかに簡単である。手持ちのアームベースが本来ロングアーム用のAX-4Gしかないので、スライドベースを最も後ろに下げた位置でギリギリ針先が指定の場所に落ち着いた。

アーム本体はSeries IIIの後継機とは思えないほどガッシリしている。マグネシウムのパイプはほかのアームが栄養失調児に見えるほど太い。テーパーが付いているのは固有振動を排除するためとのことだが、同じ目的のためにパイプの厚みも変えているらしい。

このアームに装着するカートリッジは迷わずShelterのModel 7000とした。僕が持っているカートリッジの中で最も高性能だし癖がないのでアームの違いもわかりやすい。自重11gのModel 7000は5g~14gというSeries IVの対応カートリッジ重量にもピッタリ合う。

カートリッジ装着はSeries IIIよりも楽だった。トーンアームケーブルがそのままカートリッジリードになっているIIIの配線は本当に細く、ちょっとしたミスであっという間に切れてしまう。IVのリード線は予想に反して太くしっかりしているので安心して装着できた。

実は手持ちのアームはRigid Float以外みな中古なので、WE-308もFR-64sもAC-3000MCもSeries IIIもアームリフターの降下速度が早く、自分で調整しながらゆっくりリフターを下さなくてはならないのだが、このSeries IVのリフターは正常動作してくれた。リフターのありがたみを実感。

装着以来、いろいろな曲を聴いてみたのだが、この組み合わせは唖然とするほど音が良い。

音の立ち上がりが早く、解像感が素晴らしい。音に濁りがなく、ピアノは打鍵音が明確なだけでなく、響きが実に綺麗である。最近よく聴いているグールドのワーグナーアルバムではまるでピアノが高級なものに取り替えられて、ステージが前後左右とも拡大したかのようである。FR-64sに付けて聴いた時もこのカートリッジは良い音だったが、組み合わせでの評価では明らかにこちらの方がグレードが上である。

Series IV レビュー/tnt

Series IV レビュー/6moons

上記はいずれもSeries IVについてのレビュー記事だが、内容は正反対。tntは絶賛記事で記者はレビュー後、Series IVを自身購入したと書いている。6moonsの方は、酷評も良いところで称賛の言葉は一言もない。

音に関しては良し悪しと言うより好き嫌いになってしまうが、少なくとも僕はこのアームとカートリッジの組み合わせに大満足である。

とはいえ、ほかのアームがダメかというとそうでもない。グールドのアルバムを引き続きSPU-AE/WE-308/C-2080という組み合わせで聴いてみたが、こちらの組み合わせには違った良さがある。ピアノの響きはより余韻を増す。おそらくSeries IVよりも雑味が増えているのだが、酒と同じでそれもまた良しである。

このアームにほかのカートリッジを付けたらどんな音がするのか聴いてみたい気もするのだが、正直言ってカートリッジ交換はかなり面倒。利便性と絶対的性能の両立はなかなか難しいようである。
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この時代のアームについては

まったく何も知りませんので、たいへん興味深く読ませていただきました。Vの後でIVが出たのだということも、Vがダイナミック・バランス型だということも知りませんでした。それにシェルが固定だってことも…、とにかく何から何まで勝手に想像してたのとは違ってました…〔笑〕。
値段もさることながら、デザインもちょっと兵器みたいな雰囲気で、気の小さい私なんかには恐ろしくって触れそうにない!
6 moons の記事は酷評なんですか。英語がよく分からないもんですから、それも自分では分かりませんでした。この製品のレビューなのに、ほとんど具体的なことは何も書いてないような気がしましたが、それが酷評ということなんでしょうかね。

おはようございます。

のす爺ィさん、おはようございます。コメントありがとうございました。

私の場合、どの時代のアームのこともよく知らないのですが、手当たり次第、邁進しております(笑)。実は、私もこの記事を書くために少し勉強して、IVがVより後に出たこと知りました。このアームを使ってみて、やっぱり自分で(自分のシステムに組み込んで)聴いてみないと本当のところはわからないものだと再確認しました。組み合わせと好みで評価はいくらでも変わってくると思います。

"The IV in comparison to the Kondo’d V sounds dull, dead, boring, indifferent to what it’s playing, tone-deaf and lifeless.”

改造されたVとの比較ですが、この当たりの表現が一番わかりやすく、意訳ですが「地味で響きに乏しく退屈で、演奏の違いを表現できず、音色は平板で、生気がない。」と、音楽を再生する装置の評価としてこれ以下の評価はないだろうという感じです。これを読むとVはよっぽど良いのかな、とも思いますが、私はIVで十分、満足でした。

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