ブルックナー交響曲第3番「ワグナー」 : インバル

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短い上海出張から帰ってきたところ、注文していたブルックナーの交響曲第3番のレコードが届いていた。インバル/フランクフルト放送響による初稿の世界初録音。このレコードは82年の録音だが、78年にこの稿による世界初演奏を行ったのもほかならぬインバルである。

第1楽章は普通に演奏されることの多い第3項と初稿がかなり異なる。最初の導入部から印象的には倍くらい長い。そもそも全休止の多いブルックナーの交響曲だが、ちょっと進んではすぐ休みといった感じだ。盛り上がり方もゆっくりじっくり倍の時間をかけている感じなので、ひときわ高い山に登っていくような印象である。改訂稿の方が無駄が整理されていることは間違いないが、ブルックナーの音楽が好きであれば、これはこれでなかなか魅力的。途中で副題のとおりワグナーの楽劇からの直接の引用があって最後の盛り上がりを迎える。この当たりも悪くない。

第2楽章は第3項でも十分に美しい楽章だが、解説によると初稿の形の方が完成されているようだ。主題が形を変えながら繰り返されるのを聴いているうちにまたワグナーからの引用が出てくる。この部分は改訂稿では完全に落ちているが、非常に劇的で素晴らしい音楽だ。

第3楽章は第3項とメロディはほとんど一緒なのだが、音の伸ばし方、刻み方が異なる。解説を読むと小節ごとのリズムの処理が異なるというなのだが、それだけでずいぶん違った印象になるものだ。面白い。

終楽章はSF映画みたい始まり方は同じだが、すぐに全休止が入り、再開後のリズムの刻み方も異なる。その後も要所要所で全休止が入る。全休止が入っては新しい展開で再開するという感じで、まるで場面が目まぐるしく変わる映画を観ているようだ。改訂稿の最終楽章は比較的スリムだが、初稿では巨大な最終楽章である。すべての楽章を少しずつ振り返った後にコーダとなるが、この幕切れが実にあっけない。この部分だけもっと膨らませてほしい。。。

初演者だけにインバルの指揮は丁寧、オケも万全の演奏である。録音も良い。

おまけに、今回の出張ではホテルに缶詰めで一歩も外に出れなかったのだが、そこから見た上海の景色を二つ。到着した6日に撮ったが、青空はこの日だけでその後はやはりスモッグで曇っていた。

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ばけぺんさん、こんばんは。

もしかすると初稿はブルックナーの意図が一番反映されたものかも知れませんね。完成度は改訂版に劣るものの深い味わいがあり面白いですね。

写真左、ホテルから見た上海の町並み、森のような緑が良いですねぇ。
写真右、高層群の手前に見える家々は高級住宅街でしょうか。
緑豊かな素敵な住まいですね。羨ましい。(^^)

akifuyu102さん、こんにちは。

こんにちは、コメントありがとうございました。

確かに3番の初稿は面白かったです。ブルックナーを聴き始めた時期に4番の初稿を聴いてすっかり苦手意識を持ってしまったのですが、久しぶりに聴きなおしてみようかと思いました。

今回、宿泊したホテルは上海のやや郊外にありまして、初めて泊まったのですが周りはどうやら高級住宅街のようです。おっしゃる通り、ここだけ見ていると緑豊かで素晴らしいのですが、街全体は必ずしも。。かもしれません。晴れたのはこの日だけで、その後二日はスモッグで曇ってましたし。日本と比べてはるかに貧富の格差が大きいので光と影ですね。
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