ブルックナー交響曲第3番「ワグネル」 : 西脇

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西脇義訓指揮デア・リング東京オーケストラによるブルックナー交響曲第3番の録音を初めて知ったのはたぶん「ステレオ・サウンド」の新譜紹介だったと思う。解説を読んで、このCDは絶対欲しいと思った。CDの批評を読んで、どんな音がするのかワクワクしたのは実に久しぶりのことだった。普通の演奏とこの演奏がどう違うのかはHMVのサイトでこのCDの紹介ページをご覧いただくとよくわかる。

その割には、その後アナログに夢中になったこともあり、実際に購入するまでに時間がかかったのだが、今日、ついに手に入れることができた。早速、開封してみる。ライナーノーツを読んでわかったのは、西脇さんという方がプロの指揮者ではなく、レコード会社に勤めていた音楽プロデューサーであり、今はN&Fというレコード会社を経営していること。デア・リング東京オーケストラも既存のオーケストラではなく、この録音のために集められたということだ。自分の理想とする演奏を実現するためには自前のオーケストラを自分で指揮するのが一番だったのだろうが、そういう夢を実際に叶えてしまったという点だけでもすごいことだと思った。

演奏を聴いてみると、その柔らかい響きにまず魅せられる。ホールの特性とオーケストラの配置の相乗効果だと思うが、オーケストラの各パートの音が綺麗にブレンドされている。ブルックナーの交響曲の演奏をいろいろ聴いてきたが、この演奏ほど「オルガン的」な響きを感じた演奏はなかった。ブレンドされているからと言って、個々の楽器の音色がぼんやりしていることはなく、奏者の数が少ないこともあって透き通るような響きの中から一つ一つの楽器の音は明瞭に聴き分けることができる。

オーケストラであっても室内楽のように各奏者がお互いの音を聴き合いながら演奏すべきという考え方からオーケストラは配置されているが、その効果は良い方向に表れていると思う。残響が豊かなホールでもあり、また、お互いが音を確認しながら演奏していることもあってか、全体にゆったりとしたテンポが貫かれており、それが急変するようなこともない。指揮者も演奏者の自発性に委ねているようで、切迫感を訴求したり、煽り立てるような表現は皆無なので、ドラマティックな演出を期待すると肩透かしに合うが、そこここでしみじみと実に良い音がする。何よりもこの曲の良さが伝わってくる。全曲通じて立派な演奏だが、特に第二楽章はとても良かった。

ホールエコーをふんだんに取り込んだ録音は音に丸みがあって透明感も高い。個人的な好みから言うとティンパニの音が一音一音もう少しはっきりと聴こえる方が良いが、あえてそうしないのだろう。少し高いがシングルレイヤーSACDもリリースされている。この演奏、録音の目指す方向にSACDは合いそうだ。
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これは面白そう!

こんばんは。
理想の響きを求めて今までにない斬新な取り組みをしていますね。
とても興味を持ちました。チャイコフスキーの5番が第2弾として
発売されていましたので早速、amazonに注文しちゃいました。(*^_^*)

こんばんは。

akifuyu102さん、こんばんは。

なんと、早速チャイコフスキーお買い求めになりましたか!私も惹かれたのですが、最近、オーマンディとアバドの全集にスヴェトラーノフの「冬の日」とチャイコフスキーだらけなので自制しております。

ブルックナーと違って華麗なオーケストレーションのチャイコフスキーがあのオーケストラで演奏するとどう響くのかとっても興味があります。ご感想をアップしていただけるのを楽しみにしております。
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