VIV LABORATORY TS-SUS1

昨年12月にQL-A7を購入した時、いくつかのアクセサリーを同時に導入した。その中にはレコードスタビライザーとターンテーブルシートもあった。

スタビライザーはオーディオテクニカのAT-618。
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これはずいぶん昔からある製品だと思う。とあるサイトで発売年1990年とあったが、だとすれば、似た製品をもっと昔から売っていたのではなかろうか。とにかく、類似の製品群の中では最も安く、十分な質量がある。基本的にはレコードを押さえ込むのがスタビライザーの機能だろうから、蘊蓄の詰まった素材で作られたものはおいおい試すこととして、これを購入した。効果のほどはと言うと、正直、これを乗せただけでは良くも悪くもない程度。

ターンテーブルシートによって音はすごく変わるといろんなサイトに書いてある。僕が最初に買ったシートは47研究所の豚皮(黒い方)のシート。
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レコードプレーヤーに付属するシートのデフォルトは多くがゴム製だが、比較して皮製品は癖がないと言われる。もともとのシートの上に乗せてみたり、ゴム製のシートを外してプラッターに直接乗せたりしてみたが、これも正直言って単独では効果はすごーく微妙である。アナログの音は入り口であるターンテーブル、アーム、カートリッジ、途中のイコライザーでもの凄く変わるので、こうした変化に比べるとシートによる変化は極小だ。まずはシステム全体の組み合わせを確立してから比較しないと違いがわからないと思う。

と言いながらも、巷には優れたマーケティングが溢れていて、天地がひっくり返るような変化が起きそうな広告を打っているスタビライザーやターンテーブルシートがたくさんある。その中で僕もとあるマグネシウム製品を購入したのだが、シートの方は純正よりも音にキレがあって良かったものの、スタビライザーはまったく役に立たなかった。

RIGID FLOAT(NELSON HOLD付)を購入して大満足のVIV LABORTORYからステンレス製のターンテーブルシートが発売されていることはトーンアームを買った時から知っていたのだが、結構な価格なので果たしてそれに見合うだけの効果があるのかよくわからず、ずっと買わずにいた。ウエブサイトを見てもこの製品のレビューはあんまり見つからない。最近になって自分のシステムもようやく落ち着いてきたので、意を決してヨドバシカメラで購入してみた。

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TS-SUS1

製品の内容は上記リンク先のメーカーサイトをご覧いただくとよくわかるが、この製品は制振材をステンレス板二枚でサンドイッチしたレコード径の板が通常のシートに当たる部分になっている。いろいろ工夫を凝らした金属製のシートは他にもいろいろあるが、この製品の大きな特徴は外周部にステンレスの細いリングが接着され、そこだけがレコードとの接点になっていること、裏面は真鍮製のボールが3つ埋め込まれておりプラッターとはそのボールが点接触するところである。横から見るとシートはプラッターから少し浮かんでいる。さらに外周部が高くなっているので、それまでのシートに比べるとだいぶレコード面の位置が高くなる。ほとんどの場合、アームの高さ設定が必要になると思う。

写真のとおりスタビライザーが付属しているので、レコードを外周部で支えながらスピンドル周辺で押さえ込むことになる。この当たりNELSON HOLDと考え方が似ている。なお、プラッターから少し浮いている上に周辺部が高くなっていることから、スピンドル軸が短いプレーヤーの場合、スピンドルの長さが足りない可能性がある。この点、TD321Mk2はギリギリだった。ちなみにフローティング構造のプレーヤーの場合、ここまで重いとターンテーブルが沈み込んでプリンスと干渉したり、フローティングそのものにダメージがある場合も考えられる。TD321Mk2もシートなしの時に比べて明らかに沈んでいる。プリンスとのクリアランスは十分あり回転に支障はないが、長期に渡って使用するうちにバネは劣化するかもしれない。

さて、実際の効果はどうかと言うと、このシートはこれまでのものと比べてはっきりとした効果がある。まず第一に、外周部のみでレコードを支え、レーベル部分をスタビライザーで押さえ込むというメカニカルな仕組みによって、レコードの反りが見事に解消される。レコード全面を吸着するようなシートは使用したことがないが、そうした大掛かりな仕組みを用いずにここまでレコードの反りがなくなるのはありがたい。目視で明らかにアームの上下が少なくなった。この結果、カートリッジは不要に登り坂や下り坂をトレースする必要がなくなるので、聞こえてくる音からはワウやフラッター(のような不規則な音の変化)が少なくなる。メーカーサイトにあるように、シートの素材に固有の鳴きが少ないことによる効果もあるのだろうが、それよりも盤面の平坦化は効果が大きいと感じた。

ところで、シートの構造上、レコードは外周部を除いて浮いた状態でトレースされていることになる。シート自体は重量があるが、プラッターの重量を増やしていることにはなる一方、レコード自体はプラッターと一体化しているわけではない。中空に浮いているのだから、カートリッジの針圧を支えているのはレコード自体の剛性だけになるが、これによる副作用は全く感じない。むしろ、音は澄み渡っているし、低音も十二分に出る。メーカーはプラッターの素材にもの凄く気を使って工夫しているが、レコードとプラッターが完全に密着していない限り、その効果は限定的だと思う。

結論として、このシートは本当にお薦めだ。ただし、上に書いたとおり、シートの重さ、高さの問題からすべてのターンテーブルにこのシートを使うことはできない。プラッターから一番高い外周部まで約1cmの厚みなので、そこにレコードを乗せても大丈夫か確認の上、購入される方が良い。

追記;
TD321Mk2で効果を確認した後、DDX-1000にも乗せてみた。DDX-1000のプラッターはレーベル部分が金属製で取り外しできず、デフォルトではその周りにゴムシートが乗せてある。ゴムシートの上にTS-SUS1を乗せるとスピンドル軸の長さが足りないので仕方なくゴムシートを外し、金属部分の上にTS-SUS1を乗せた。こうするとプラッターの金属部分とTS-SUS1は直接接触し、裏側のボールは接点を失って宙に浮く。この状態でレコードを乗せても外周部に支えられることで反りは解消する。デフォルト状態はもちろん、マグネシウム製のターンテーブルシートを置いている状態よりも音は良い。が、もう一度、TD-321Mk2に戻してみると圧倒的にこちらの方が良い音で鳴る。比較するとDDX-1000に乗せた状態は響きが抑制され、かなりデッドな音になる。上では素材の鳴きよりも反りがなくなる効果が大きいと書いたが、ボール3つで点接触していることに伴う音質改善効果も相当あるようだ。なお、どちらで使用しても不思議なくらいスクラッチノイズが減る。どうしてそうなるのかはわからないが、明らかに背景が静かになった。
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