ヘッドシェル

トーンアームとカートリッジの組み合わせで思いのほか音が変わることがわかったので、ダイナミックバランス型のIkedaとFRにはオルトフォンのSPUやDL-103のような針圧重めローコンプライアンスカートリッジを組み合わせ、スタティックバランスのRigid Floatにはそれ以外のカートリッジを装着することが多かったのだが、Rigid Floatもどちらかと重量級のカートリッジの方が合うことが多く、そうすると軽量カートリッジはSMEに合わせるしかないかと思っていた。

最近、ふと、重めのシェルと標準的な針圧/コンプライアンスのカートリッジを組み合わせてみたらどうなるかと思い、オーディオテクニカのAT-LH18/OCCというヘッドシェルにAT-50ANVを装着してIkedaのアームで鳴らしてみたら、何のことはない、あっけないほど簡単に良い音で鳴り出した。考えてみればDL-103proもFRのFR-S/3という64Sの標準シェルに付けてから見違えるほど良くなったのだが、その時は当時は少し変わったシェルの形状とか材質が効いているのかと勘違いしていた。(少しは効いているのかもしれないが。)

レコードを聞き始めてからヘッドシェルで音が変わったと思った初めての体験はフェーズテックのCS-1000というやたらに高いシェルを使った時なのだが、この時もきっとこの材質や形状がよく考え抜かれているから音が良いのだろうと勝手に思っていた。(それも少しは貢献しているかもしれないが。)他方、同様に高価なオヤイデのカーボンシェルは全然ダメだった。この時は、カーボン製ヘッドシェルの音質は自分に合わないなどと思っていたのだが、今考えれば重量バランスが合わなかったのが問題だったのではないかと思う。

FR-3/Sは自重が20g近い。FR-64sはユーザーがSPUを使うことも想定しているだろうから、カートリッジ込で30gくらいを念頭に置いて開発されているのではないだろうか。IkdeaのアームはSPUよりさらに重い同社のシェル一体型カートリッジを想定しているせいか、軽めのシェルとカートリッジの組み合わせではそもそもゼロバランスが取れない。同社の単体のヘッドシェルの自重も16g~18gと重めなので、やはりカートリッジ込々で28g~30gくらいの重さがないとこのアームには合わないのだと思う。

材質や構造を語る前にまずは重量合わせと考えて、3本のアームすべてにLH18/OCCを付けることにした。カートリッジが10gなら合計28gになる。想定よりは少し軽目かもしれないが、結果は非常に良好である。このシェルも素材にはテクニハードという合金が使われているがチタンやカーボンといった最近流行りの素材ではないし、アジマス調整のために可動部があるので構造上も不利かもしれないが、実際に耳で聴く限り欠点はまったく感知できない。このシェルでも実売価格で5,000円と安くはないので、重量バランスさえ合えば実売2,000円を切るアルミダイキャストのLT13aでも大丈夫だと思う。

ロングラン製品だけあってデザインは実に普通である。アナログは視覚的要素もかなり大切だと思うので、デザインコンシャスな人には言うまでもなく、僕自身もちょっとなあ、というのが率直な感想。とはいえ、出てくる音の良さはデザインで妥協できないレベルである。

久しぶりにAT-F7+LH18/OCCをRigid Floatに装着したのだが、これは本当に大当たりだった。F7は細身で軽量なデザインに反してかなり骨太なカートリッジである。解像感はそこそこで線は太く、中低音が逞しい。元気が良くて楽観的な音だ。多少ドンシャリ気味な気がしなくもないが、全然許せる。価格を考えれば圧倒的なパフォーマンスだと思う。
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