合研LAB フォノイコライザー

オーディオ機器の価格ほど当てにならないものはない。アンプ、スピーカーなどメインとなる機器からケーブル等のアクセサリーまで色々試してみても高額な機器が必ずしも良い音とは限らない。だからといってお手頃価格の製品がみな良いわけでもない。そもそも良い音とは何かの基準も人それぞれというのが実態なのでさらにたちが悪い。ネット上のレビューも雑誌のレビューも参考にはなっても決め手にならない。そもそも機器を設置している環境も千差万別なので、オーディオショップで試聴した結果すら自分の部屋に設置した際の音を保証してくれない。結局のところかなりの部分、賭けみたいなところがある。

アナログを始めて以来、再生の要の一つとなるフォノイコライザーに何を選ぶかがなかなか難しい。フォノイコライザーも価格的にピンからキリまで相当幅広い。基本的には同じ目的機能の製品なのに数千円から数100万円の製品まで並んでいる。一体どれを選んだら良いのかわからない。すでに手元にはLHH-P700とトーレンスのMM008があるのだが、現状、4本のアームが稼働しているのであと2つ分、フォノイコライザーが必要である。できればこの2つの入力を切り替えられるイコライザーならベストと思っていくつかの製品を借りてみた。その中ではAurorasoundのVIDAという製品が僕の好みにぴったりだった。

僕の場合、これは絶対ダメと思ったフォノイコライザーはなく、巷で言われるほど違いがないのかもと思い始めていたのだが、VIDAだけは繋いだ瞬間からはっきり音が違った。ということで、今のところ、エース候補はVIDAなのだが、今回はVIDAの話ではなく、タイトルどおり合研ラボのフォノイコライザーの話である。

VIDAは2つの入力に対応していて実売価格は20万円台の後半。高価である。しかし、これ以上の価格の製品も含めて試聴してみた経験から言うと、この製品の価格対性能比は高かった。一方、合研ラボのフォノイコは三種類あるが、いずれも税込送料込みで19,000円程度である。価格的には10分の1。最近の消費税引上げで少し価格が上がったが、それでも市販されるフォノイコライザーの中では最低価格ラインだ。

ネットの評価は上々、何よりメーカーのサイトからオーディオ製品を製作するのが大好きという気持ちが伝わってくるのが良い。加えて、良いところはフォノイコ製作に当たって音を評価するシステムがごく普通の製品であること。ハイエンドメーカーがハイエンド機器を使って普通の部屋とはかけ離れた音響ルームで極限的なテストを行っているのは決して間違いではないと思うが、そこで開発された製品が音響対策をまったく施していない普通の6畳間で最適化されるとは思えない。
比べると合研ラボさんの評価システムは親近感が湧くものばかり。我が家にはこちらの方が合いそうである。

一週間以内なら音が気に入らないと言う理由でも返品可ということだったので、ウエブサイトからMM専用型とMC専用型の2台を購入した。見た目はウエブサイトにあるとおり。小さく薄く軽い。縦横はCDジャケットよりも小さく、厚みが2.5cm程度。ACアダプターも貧弱で、正直、これで大丈夫かという仕上がり。音質上の配慮か部品の配置の問題かACアダプターの差込口が正面にあるので設置した時の見た目も今一つである。

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しかし、見た目の良さや所有欲をくすぐるデザインといったものは明らかにこの製品の訴求ポイントではないだろう。とにかく音を聴いてみなくては話にならない。まずはShelterのModel7000からMCトランス経由でMM専用機の音を聴いてみる。価格的にはフォノイコライザーだけが格段に安い。が、出てくる音は驚くほど良い。パイヤール室内管弦楽団の演奏する「四季」を聴いてみたが、ヴァイオリンの音はストレスなく伸びて倍音が綺麗。フォノイコライザー固有の色付けがなく、余計なことをしないでそのまま入力を増幅してくれる感じ。

MC専用機は入力インピーダンス切り替えで低インピーダンスのMCカートリッジにも対応しているが、200Ω側にDL-103proを繋いで聴いてみる。製作者の評価機にもDL-103Rがあるのでマッチングも問題なさそう。音の方向はMM専用機と同じでストレスのないすっきりとした音が出てくる。

どちらかと言えばModel 7000にトランスを組み合わせてMM専用機で聴いた音の方が透明感が高く、より自分の好みに合ったが、いずれにも共通して言えるのは疲れず飽きがこない音であること。艶やコクといったものはカートリッジに任せた、という音作りなので、VIDAで聴く時よりもカートリッジごとの癖が感じ取りやすい。お気に入りのカートリッジがあればイコライジングと増幅をこのイコライザーに委ねることで不要な味付けなしで存分に楽しめそうだ。とにかく価格対性能比は抜群である。
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面白そう (^^)

ばけぺんさん、こんばんは。

合研LABのWebページでフォノイコライザーを見ました(^^)
社長さん自らが手書きで設計した図面で造り上げたような温かみがあり面白い製品ですね。
シャーシ内部の配線もあえてプリントパターン化にまでせず、これは今後も改善する意欲のあらわれでしょうかね。

ばけぺんさんの感想から察するにカートリッジの個性が阻害されずに引き出せるピュアな性能を持っていそうですね。

良い製品です。

akifuyu102さん、こんばんは。コメントありがとうございました。

合研ラボさんのウエブサイトにはアナログ愛が溢れていますね。わたしは電気回路はまったくわかりませんが、安い製品にもかかわらず、部品にもこだわりを感じます。

今まで販売した全ロットが一覧になってるのも他のメーカーでは例を見ませんが、一つ一つの製品を大切にする気持ちが伝わってきて信頼感を高めていると思いました。とても素直な音なので買って損のない製品だと思います。価格的にこれだけではビジネスとして厳しいと思うのですが、末長く頑張ってほしいメーカーです。

これだけ安価ですと・・・

プレーヤー一台ずつ、って言うか、アーム一本ずつにフォノ・アンプを用意できますね。ほとんど切り替えスイッチ並みの値段じゃないですか! もちろん音に不満があればハナシは別ですが、性能が優秀となれば冗談じゃなくそういう使い方もできそう。しかも、サイズもコンパクトとなりますと・・・。

Aurorasound というメーカーも初めて知りました。アナログもかつての全盛期とは別の意味で盛り上がりを見せてるんですね。喜ばしい限りです。こうなるとレコードの方もいずれ色々復活してくるかもしれませんね。期待が持てます。

のす爺ィさん、こんばんは。

こんばんは。コメントありがとうございました。

仰るとおりでこのフォノイコライザーであれば、ラック1段で4つ収納できると思います。というか隙間に忍ばせることも、一工夫すればラックの裏側とか壁に取り付けることもできそうです。省スペース、省電力、良品廉売です。見た目を気にしなければ十分良い音と感じました。

Aurorasoundというメーカーの最初のヒット製品はUSB/RCA変換DDCとして有名なHIFACEという製品をチューンしたHIFACE PROという製品だったと思います。ここの社長さんはもともとDACチップで有名なTI社出身なのでデジタルのプロだと思うのですが、そういうメーカーがフォノイコライザーを開発してしかも音が素晴らしく良いので驚きました。細々とはいえ、アナログの裾野が広がっているのは本当にうれしいことです。
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