ミッチェルエンジニアリング ORBE SE

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先日も記事にしたが、一週間前に新しいレコードプレーヤーが到着した。自分でも呆れてしまうが、これが5台目のプレーヤーになる。Michell Engineeringというイギリスのメーカーが製造するORBEというプレーヤー。当初、電源で思わぬ問題が生じたため不安なスタートになってしまったが、それ以外はなんの不満もない。この一週間はTD321Mk2もDDX-1000もまったく聴かなかった。これは実に静かで音の良いプレーヤーである。回転が安定していてワウフラッターが少ないので余韻が自然に再現される。おかげでピアノの音も安心して聴ける。

ORBEについては日本語で検索しても販売店のサイトが出てくるばかりでレビューも写真も少なく、どういう仕組みになっているのかよくわからなかったのだが、自分で箱から出して組み立てたのでようやくその構造が理解できた。

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ORBEにはダストカバーや透明アクリル製のプリンスのついたモデルとそれらを省いたSEバージョンがある。僕のはSEバージョンなので、正面上方から見るとご覧のとおりターンテーブルにアームとモーターが付いただけのシンプルな外観である。アームの装着された右側の耳はプラッターを支えるフレーム(正確にはサブフレーム)と一体化してるが、左側の耳にあるモーターはラックに直接置かれていてサブフレームとは接触していない。緑色のスイッチがモーターのオンオフスイッチ、電源は別筐体でモーターとはケーブルで繋がれている。

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正面から見るとこんな感じ。てっぺんの鍋蓋みたいなクランプをスピンドルにねじ込んでレコードを押さえつける。ターンテーブル側はレーベル部分が少しだけドーム状(凸状)になっていてそれを上から押さえるのでレコード盤全体は中心から外縁部に向けて微妙に下り傾斜になる。(目視できるほどではない。)Viv Labのターンテーブルシートとは傾斜の向きが逆だが考え方は似ている。もっともいずれもレコードの反りを取り除く点では共通だが、ORBEがレコードとプラッターを一体化する考えの一方でViv Labはむしろレコードとプラッターの接点を排除する考え方なのでその点はまったく逆の発想だ。

比較的分厚いプラッターの重量は4kg。素材はレコード盤との親和性を考慮した複合素材らしい。プラッターを支えるサブフレームは金属製で裏側には制振のためか粘土みたいな感触のものが貼られている。

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これはサブフレームの裏側の一部(アームプレートの裏側辺り)だが、この写真で白い部分がその粘土みたいなもの。ご覧のとおり、その貼り方がいかにも職人が一枚一枚手で貼りましたという感じである。現物合わせで適量を適切なポジションに詰めているのかもしれない。

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正面少し下側から見る。サブフレームの下がベースフレームになる。二枚のアクリル製フレーム(スパイダーと呼んでいる。)とフットの組み合わせだが、これも単純ながら実に良く考えられている。

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ご覧のとおり、二枚のスパイダーの間は微妙に空いている。指示では1~2mm程度間隔を空けよとのこと。

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ここに写っているネジでスパイダーの間を調整する。このネジは高さ調整に加えて二枚のスパイダーを点接触させるためのスパイクの役割も果たしている。結果、ラックとはフットとスパイダーの二段階で点接触する構造になる。ここまでの土台の水平調整はフットで行う。

購入まで写真を見てもどこでフローティングされているのかわからなかったのだが、フローティング用のバネはこのサブフレームから立ち上がっているアルミ製の支柱の頂点から吊り下げられている。といっても外側からは全く見えない。

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なぜかといえば、この金色のカバーの中に収められているからである。言葉で説明するのが難しいのだが、スパイダーから立ち上がっているアルミ製の支柱に、バネをねじ込んだもう一本のアルミ製のパイプをかぶせ、そこにサブフレームを乗せる構造になっている。組立時にはこの部分の部品の組合せに悩んでしまったために写真も撮り損ねた。

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金色のカバーを外したところ。サブフレームの右側にはアームが乗っている一方、左側は何も支えていないのでそのままでは当然バランスが取れない。このバランスをバネの高さを変えることによって調整する。写真に見えるバネ上部のつまみを回すことでバネの支点の位置が変わって高さが調整できる。3か所のバネの高さを調整してアーム装着後のサブフレーム全体の水平を調整する。この調整がORBEの肝で、いい加減に調整すると静止時にはバランスが取れているように見えても回転することによって偏りが起こり、ワウフラッターが増える。土台の調整とサブフレームの調整は独立しているので、まず土台をきっちり調整した後でサブフレームを調整する必要がある。最初はここがよくわからず、最後にフットで全体を微調整したために回転が不安定になり、ひどい音が出てきた。しばらくして間違いに気づき、もう一度土台から組み立て直したところ素晴らしい音になった。

今までのプレーヤーと比較してORBEの音は非常に中低音が充実している。量が多いだけでなく諧調が豊かだ。これは回転が安定していることとクランプでレコード盤をがっちり押さえつけていることの相乗効果だろうか。フローティングのおかげでハウリングマージンが非常に高いのも安心感がある。回転が安定しているのでリズムの切れが良く、ジャズやロックを聴いても楽しい。今後はもっぱらこのプレーヤーを使うことになりそうだ。
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普通には見られない

・・・角度から写したものや、スプリング・タワーのカバーを外した状態など、貴重な写真を有り難うございます。

このメーカーは製品の写真はあちこちで見たことがありますが、実物には接したことがありませんが、いかにも手造りの精密機械然とした佇まいには、何か近づき難ささえ感じておりました。ご購入なさった現行モデルはかなりそういう “神々しさ” が薄められてはいるみたいですが、そうは言ってもやはりミッチェルならではの独特の雰囲気がアリアリと感じられますね。

ノスタルジーとは対極にあるバリバリの現代のアナログ機器に関する貴重な情報をいつも楽しみにいたしております。

こんにちは。

のす爺ィさん、こんにちは。コメントありがとうございました。

私もこの製品は宣材写真しか見たことがなかったのですが、スタイルと内外価格差に惹かれて並行輸入に踏み切っちゃいました。組み立てて見ると各パーツはたしかに精巧に加工されていますし回転も凄く滑らかですが、同時に手造り感も一杯です。

現行モデルとはいえこの製品のルーツはGyroDecなので基本設計は1981年以来変わっていないようです。そういう意味ではあんまりバリバリではないかもしれません(笑)。ちなみに登場した頃はOracleのDelphiより高かったらしいですが、今やDelphiはORBEよりも5倍くらい高いので比較的お買い得モデルだとは思います。
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