SAEC WE308

今年の初めまで、SAECといえば中堅ケーブルメーカーという認識しかなかった。同社のSupraシリーズは確か以前に使用したことがある。もちろん今は、SAECといえば僕の中ではトーンアームの会社である。すっかり時代が逆転しているが。

WE308はSAEC, Sound of Audio Engineering、オーディオエンジニアリング株式会社が第一号として世に放ったトーンアームである。1971年発売、会社創立が1970年なので同社の初めての製品なのかもしれない。ちなみにこの後、改良型のWE308Nが登場しているが、この二つの製品の間の違いが調べてもわからなかった。僕が持っているアームが初代なのかNなのかも実はわからない。アームリフターにはWE308としか書いていないので初代だと思っているが、見分け方をご存知の方、教えてください。

WE308に限らずSAECのアームは型番にも反映されているとおり、ダブルナイフエッジで有名である。ナイフエッジと言えばSMEのアームだが、それを上下ダブルで組合せるという実に技術立国日本らしい凝った仕組みを採用している。ガタつきがない、スムーズな動きが売りだが、このアームを取り扱っていると、なるほど工作精度の高さを実感できる。古い製品なのに、他のアームと比べてもカートリッジの交換調整が実に楽なのだ。カートリッジとの嵌合だったり、ウェイトの調整だったり。ラテラルバランスもゼロバランスも本当に楽。結果、このアームと組み合わせるカートリッジは交換頻度が最も高い。

インターネットのおかげで古い製品でも説明書をはじめ一通りの情報が手に入るのだが、有名な割にはこの製品のスペックは良く分からないところが多い。まず、標準シェルが用意されていたにも関わらず実効質量のカタログデータがない。標準のウェイトはやたら軽量なのだが、当時のオプションとしてはかなり重いカートリッジまで対応する追加ウェイトも用意されているので、どのあたりのカートリッジを念頭に置いているか定かでない。オークションで補助ウェイトを作成販売している人がいるので一番小さいものを購入してある程度の重量のカートリッジを使ってもみたのだが、今はもっぱら標準ウェイトで対応可能な範囲のカートリッジとシェルを組み合わせている。結果として比較的軽針圧、ハイコンプライアンスカートリッジになる。したがって、MCカートリッジに興味津々だった間は出番が少なかった。

そんな不遇な時を過ごしていたWE308が最近では一番稼働時間が長くなった。このところ仕事が本当に忙しくなってきて、平日に音楽を聴ける時間がどんどん短くなっている。せめて寝る前のわずかな時間でも何か聴こうと思った時に、なぜかMMカートリッジで音楽を聴くことが多い。同じLPを聴き比べたら、MCカートリッジの解像力とか切れ味にMMカートリッジは及ばないと感じるのだが、疲れた身体にMMカートリッジの音は優しいような気がする。

数えてみたらいつの間にかMMカートリッジも8個も集めてしまった。そのうち現時点のエース2つはSeries III用にキャリングアームに装着している。残りの6個をその日の気分次第で取り換えながら聴くのにこのアームが大活躍なのだ。1g前後の軽針圧のものから2g近い針圧を要求するものまでいろいろだが、WE308は気難しいことを言わずに活躍してくれている。とっても使いやすいユーティリティプレイヤーだ。

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今日は2M Redを装着してビル・エバンスを聴いた。
休日前、束の間の至福の時間だ。
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