マーラー交響曲第9番 : カラヤン

カラヤンのマーラー録音は数が多くないが、この交響曲第9番は二回録音している。1979年~1980年にかけてスタジオ録音された演奏と1982年のライブ録音の二種類は、間隔が2年しか空いていないし、カラヤンとBPOという究極のプロ集団の演奏なので、解釈にも演奏にも大きな違いはない。

ショルティの演奏のことを書いた時に「精神性」の話をしたが、「精神性」という点ではカラヤンもかなり酷評されている指揮者だ。特にこのマーラーやブルックナーについては、演奏スタイルに対する聴く側の思い入れが大きいのか、「うまいだけ」とか「感情がない」的な批判が多い。

しかし、この演奏(手元にあるのはアナログ録音の方)を聴いていると、実に研ぎ澄まされた、研究された良い演奏だと思う。この演奏においても滑らかなフレージング、ブツブツと音を切らずにレガートでつないでいく演奏スタイルは健在だが、それらの効果も相俟って見事に美しい演奏だと思う。

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2年しか置かずに再録したのはどうしてかと思うが、レコーディング技術に並々ならぬ関心を持っていたカラヤンだけに、デジタル録音で残したかったのか。スタジオ録音の出来栄えからは、気に入らない点があって再録したとは思えないのだが。いずれにしてもたった2年後にぜひもう一度残したいと思うほど、この曲に思い入れがあったとは言えると思う。

LP時代に自宅のシステムで聴いていた時は、最弱音と最強音のダイナミクスの大きさに再生装置側の能力が追いつかず、歪まない音量では弱音が聴き取れず、弱音を聴くと最強音の時にはボリュームを絞らざるを得ないという状態だったが、CDではそういう問題もなく、存分にカラヤンとBPOの芸術が楽しめる。

ドラマに満ちた第一楽章、感動的な第四楽章の間にあって、二つの中間楽章が邪魔とすら思える演奏がけっこうある中、この演奏は聴かせ上手な指揮者のおかげで全楽章通じて満足度が高い。

お薦め盤だ。
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