ベートーヴェン交響曲第5番 : ブーレーズ

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カラヤン、バーンスタイン、ハイティンク、ショルティといった往年のレコードレーベルのスターはみな守備範囲広くいろんなジャンルの曲を録音している。そういう観点で言うとセルが亡くなり、バーンスタインが離れた後のCBSソニーはクラシックのスタンダートと言うべき曲を録音させる指揮者に悩んだのではなかろうか。すでにオーマンディは最盛期を過ぎていたし、バーンスタインの後を継いだブーレーズとマゼールはどちらかというと曲者である。ブーレーズ/ニューフィルハーモニア管のベートーヴェン第5のCDを見つけてなんとなくそう思った。もちろんバイロイトに出ているくらいだから、ブーレーズは近現代曲以外もその気になれば振れたに違いないが、ベートーヴェンはまったくイメージが沸かない。少なくとも僕はこの録音以外、彼のベートーヴェンを見たことがない。

どんなものかなと思って聴いてみた。第5の冒頭、「タタタターン」という感じかと思ったら見事な「ジャ、ジャ、ジャ、ジャ~ン」だった。それもものすごくゆっくりである。そこから始まって第一楽章は非常に遅め。オケが緊張感を失わず、内声部が良く聞こえる緻密な演奏なので飽きることなく聴けるが、これは「幻想」の第4楽章並みに確信犯的遅さだ。第2楽章は割と普通だが、第3楽章は再びかなりゆっくりなテンポの上反復部を省略しない。第4楽章も遅め。あちこちで通常聞こえない楽器が聞こえてくる。

聞き終えてウェブ検索してみるとこの演奏は結構有名なようだ。賛否両論ながら個性的演奏として記憶されている方が多いらしい。奇抜なテンポと繰り返しのおかげで全4楽章の演奏タイムがほぼ同じであり、結果として演奏時間はこの曲のものとして最長レベル。でも、売れなかったようだ。きっと、CBSソニーは困ったことだろう。
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