マーラー交響曲第5番 : インバル

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いまやわが国ではマーラーの大家となった感のあるインバルだが、フランクフルト響と全集を収録した頃は同時期に初稿によるブルックナー交響曲全集を録音していたこともあって、僕にとっては少し変わり者の指揮者という印象しかなかった。前にも書いたが、初めて聴いた彼の演奏が初稿による「ロマンティック」で、この不幸な体験以降、20年くらいはインバルを一切聞かなかった。最近になってようやく何枚かCDを聞き始めたが、特にショスタコーヴィチの演奏(ウィーン響)にはとても感銘を受けた。こうなると俄然、彼のマーラーに興味が沸き始め、見つけたのがこのCD。中古で発見したのは、マルチマイクの録音からメインのマイク2本のみの音を収録した「ワンポイント・エディション」だ。

もともと「デンオン」ブランドで最初に発売された頃からこのシリーズは録音が優秀であると知られているが、メインマイクのみの録音は各楽器のブレンド具合が自然でとてもいい感じである。強調したい部分で強調したい楽器がくっきりと浮き出てくるマルチマイク録音も決して嫌いではないが、プレイヤーからスピーカーまでだんだんと機材が揃ってくるに連れ、変なリマスタリングをしない録音の方が聴きやすくなってきた。このCDを聴いているとマイクは2本で十分だと思う。

演奏はどうかと言うと、簡単に言ってしまえば素晴らしく良い。いや、これは実に良い。何が良いか具体的に言えと言われると困る(笑)のだが、バーンスタインの演奏から胃もたれする灰汁を本当に適量だけ濾したような感じ。かな?エルサレム出身のこの人はもちろんバリバリのユダヤ人だが、その演奏はストレートに感情を露にするのではなく常に知的なコントロールが効いている。でも表情は濃い。マーラーへの共感はビンビン伝わってくる。透明な録音とオケの暗い音色が相まって得も言われぬ演奏を生み出している。これは名盤。
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