マーラー交響曲第5番 : 小澤

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バルトークに続いてマーラーの5番を聴いてみた。

小澤征爾のマーラーは若き日のボストン響との演奏が素晴らしく良く、そのイメージで全集のほかの曲も聴いたことがあるが、芳しい記憶はない。とはいえ、今までじっくり聴いたこともない。この5番は90年の録音。

冒頭から非常にデリケートな印象の演奏。70年代の演奏から比べると小澤征爾の指揮はずいぶんスローペースになっているが、大家が晩年に老いてテンポが遅くなるのとはかなり趣が違う。細部が実に丁寧に扱われていて一つ一つのフレーズにじっくり時間をかけている感じだ。特に弦楽器の表情が豊か。弱音部にその印象が強い。

対位法の処理と内声部の取扱いに非常にこだわっているせいか、ほかの演奏ではあまり気づかない楽器の音が良く聞こえる。録音がもっと鮮明だったらなお面白かっただろうが、これ以上ディテールが聞こえてくると全体の流れがよくわからなくなってしまいそうだ。

繊細の極みのアダージェットを終えると爽やかな終楽章を迎えるが、ここでもフーガの扱いがとても面白い。最後は盛大に終わるが終わるや否や大きな拍手が鳴り響く。ライブ録音だったことが驚きの正確な演奏である。

ユダヤ系の濃い表現とは明確に一線を画した名演奏だと思った。
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