AC-3000MC

ラックスマンのPD-444を設置して最初はIkedaのIT-345とオーディオクラフトのAC-400cを付けてみた。IT-345はそこそこ重たいカートリッジ、AC-400cはMMカートリッジと軽めのMCカートリッジで使い分けしようという算段。手持ちのカートリッジで言えばIT-345の方はイケダの9c、オルトフォンのMC30WとデノンのDL-103、AC-400cにはzyxのR100とオーディオテクニカのカートリッジ、それにMMカートリッジ群というイメージだったのだが、実際、AC-400cを付けてみるとアクリルカバーが閉まらない。

といっても、これは別にAC-400cの問題ではなくて、PD-444は奥行がシングルアーム仕様のPD-441と同じなのでロングアーム装着可能な左側のアームの位置は通常のダブルアーム仕様のプレーヤーのそれに比べてかなり手前にある。アームをやや奥側に向けて設置しないと当然、適正なオーバーハングが得られない。AC-400cの場合、その状態ではアームレストがさらに左側を向くのでレスト位置でアームは奥に出っ張ることになりカバーが閉まらなくなるのである。この事態を回避するためにPD-444には専用のアームレストが用意されていたが僕はそれを持っていない。

最初はそっちの方が音も良いかと思いカバーを取ってしまったのだが、このプレーヤーは間違いなくカバー込みでデザインされていると思う。(一般的なプレーヤー以上に。)カバーなしだと魅力激減。カバー付きだと美術館の展示物のように優れたデザインだが、カバーなしだとスライドアームベースの穴やフォノケーブルがやたらと目に付くし、全体のプロポーションも締まらない。zyxのR100を付けたAC-400cはイケダのアームとまったく違う方向で余韻やや多めの芳醇な音を聴かせてくれたが、今回はデザインを優先して諦めることにした。

次の組み合わせに選んだのは同じオーディオクラフトのAC-3000MC。同じショートアームでも有効長が少しだけ長いイケダのアームを左側に移し、右側にAC-3000MCを設置した。オーディオクラフトのアームは何度か変遷を重ねているが、300/400 markII以降は根元からパイプが交換できる。手持ちの3000MCはS字アームに加えてストレートアームが2本付いているのでカートリッジであれこれ遊ぶにはとても都合が良い。

AC-400cも3000MCもワンポイントサポート・ビスコードダンプという型式で、要するに1点支持のオイルダンプ付きアームだ。針状の支点がパイプと錘を支えているので最初に前後左右のバランスを整える必要がある。前後は他のアーム同様だが、ラテラルバランスの調整はSMEに比べるとはるかに繊細。S字パイプはもちろんのこと、ストレートパイプであっても指かけや先端のオフセットのためにラテラルバランスを調整しないと盤面をトレースする時、カートリッジが傾いてしまう。昨年春に入手した当初はこの調整に手を焼き、結局、だんだん使用頻度が減ってしまった。アナログ回帰してまだ数か月の初心者には難易度が高すぎたかもしれない。

以来、2年くらいあれこれ機器を弄ってきたせいか、今回の調整は400cも3000MCもかなりスムーズにできた。そして調整がぴったり決まると両方ともとても良い音で鳴ってくれるアームである。AC-400cのパイプは一見華奢だし標準のウェイトでは20gぐらいまでのカートリッジしかバランスしないが、純正のオプションでSPU用の錘があったりするので相当に守備範囲の広いアームと言える。オイルカップの蓋を回すことでダンプ量を調整することでこの汎用性を可能としていたのだろうがたぶん十分とは言えなかったのだろう。markII以降はパイプ交換式になり、カートリッジに合わせて最適なパイプを選ぶ形式になった。

僕が持っているストレートパイプは標準モデルであるMC-S。AC-3000MCはその名の通りMCカートリッジを念頭に置いていてフォノケーブルも低抵抗のものが付属している。取説にはMC-Sに合う標準的なMCカートリッジとしてDL-103とMC20の名前が挙がっている。DL-103にはイケダがあるので今回はR100とAT-50anvを組み合わせた。二つのカートリッジは重さがほぼ倍違うが、試してみると両方とも同じ錘でバランスできる。とはいえ、3000MCの標準と重量級錘の二つとも合わず400cに付属の標準錘を流用している。オーディオクラフトは後々までモデルチェンジしても部品が汎用できる。とても便利だし親切だ。

取説の表紙に"TUNEABLE SYSTEM TONEARM"とある通り、4種類の錘、5種類のパイプ、2種類のラテラルバランス錘を組み合わせて性格の違うカートリッジを楽しむことができる。それぞれのカートリッジを追い込んでいくことで音も良くなるがそれ以上に弄る楽しみがありすぎて、肝心の音楽を聴く時間がなくなってしまうのが玉に瑕だ(笑)。

R0050012 (2)
S字パイプにMC30Wを組み合わせたところ。いつもコメントいただくのす爺ィさんの言葉にヒントを得てプリンスにいろいろ小物を置いてみた。僕の耳では音の変化は感知できない。
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おおっ、このアームも・・・

・・・お持ちでしたか! 私は持ってませんけど、もの凄くマニアックというか、オーディオ・マニアの人が「こんなことできたらなァ…」って思いそうなことをすべて実現したようなアームですよね、これって。 も~日本ならでは、このメーカーならでは、っていう最右翼! それにしても新旧あわせてずいぶん集めてらっしゃいますねェ!

こんにちは。

のす爺ィさま、こんにちは。コメントありがとうございました。

何もわからずハードオフで購入したらラテラルバランス用の錘が欠品の代物でした。どうりで安いはずです。運よく最近部品が入手できたのでめでたく使えるようになりました! 

おっしゃるとおりこれはマニアックなアームです。作られた方は相当なオーディオ好きと推察します。特にこのモデル以降、パイプ交換型になってからはパイプの種類もすごい。SPU-A専用とかEMT専用、さらにはSPU用のストレートアームまであります。

このアーム、Series IVとかTT-3みたいなカチッとした精度は感じないかわりに、オイルダンプの効果もあってか非常に良い塩梅でまろやかな音がします。最近、もっとも稼働率が高いアームになってます。
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