ブルックナー交響曲第9番 : ムラヴィンスキー

L1050047 (2)

ムラヴィンスキーによるブルックナーの録音は少ない。あってもモノラル録音ばかりでステレオ録音が残ったのはこの9番だけだったと思う。現役時代のほとんどをソ連時代に過ごしたムラヴィンスキーはしかし徹頭徹尾反ソビエト主義だったと言う。レニングラード・フィルの団員が海外公演中に亡命したように、ムラヴィンスキー自身、亡命するチャンスはあっただろうに最後までソ連に残りレニングラード・フィルとだけ演奏・録音した。練習の鬼で録音嫌いというところも含めてこの人の物事に対する姿勢は厳格で頑固である。そして残された音楽もまたその通りである気がする。

とにかく9番がステレオ録音で残ったのは幸甚であった。僕の手元にあるのは82年プレスのビクター盤。81年には来日公演が予定されていたのでそれに合わせて発売されるはずだったかもしれない。この演奏は最近になってデジタル・リマスタリングされCD化されている。比較してレコードの音は悪いという評価も目にしたが実際聴いてみるとまったく問題ない。強音時も濁ることがないしダイナミックレンジも合格点。片面に1楽章ずつというカッティングが功を奏しているかもしれない。聴衆のノイズは聞こえるが気になるほどではない。

演奏はムラヴィンスキーの凄味がひしひしと伝わるもの。他の指揮者と比べてどこかが特に違うということはないのだが、第一楽章の冒頭からフィナーレに至るまでの音楽の持って行き方やリズムの刻み方、それにオケ全体のバランス等々、すべてが緊張感を高めていて圧倒される。金管の咆哮がまた凄い。普通、ここまで鳴らすとめちゃめちゃになりそうなものだが、そうならない。素晴らしい演奏だと思う。
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 興味深い演奏の紹介、ありがとうございます。ムラビンスキーのような、凄みのある音楽の持っていき方をする人が今はほとんどいないのが残念ですね。このブルックナーは、懐かしいです。一度手に入れて処分し、再度手に入れたLPの一つなんです。
 ブルックナー演奏と言えば、昨日、92歳のスクロヴァチェフスキさん(読響)の8番を東京で聴いてきました。92歳の爺さんが立って最後まで指揮したこと、それも「あんな動きができるのか」と思えるくらいの若さで動作していたことにも感動しました。演奏も凄かったのですが、それ以上にカーテンコールが凄かったですね。

バルビさん、こんばんは。

こんばんは。コメントありがとうございました。

ムラヴィンスキーみたいな指揮者はもう出てこないでしょうね。ムラヴィンスキーみたいな厳しい指導を受け止めるレニングラード・フィルのようなオーケストラもないんじゃないかと思います。バルビさん、このLPお持ちなんですね。万人向けではないと思いますが、壮絶な演奏だと思いました。

仰っていたコンサート、無事に行かれたんですね。そうですね、考えてみれば8番みたいな大曲を92歳にして立って指揮するだけで驚きですね。それはそれは感動的なコンサートでしたでしょう。いつまでも頑張っていただきたいです。
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