ブルックナー交響曲第8番 : カラヤン

ブルックナー8番カラヤンBPO

カラヤンの指揮するブルックナーの8番には80年代の後半にウィーン・フィルを指揮したものがあって、それが僕にとって最初のカラヤンのブルックナーだった。この演奏、雄大で壮麗とも言えようが、どこか緩い感じがあって僕はあまり好きになれなかった。

それ以来、カラヤンのブルックナーをあまり積極的に聴いてこなかったが、BPOと組んだ「ロマンティック」や9番はとても良い演奏だったし、割と最近聴いた3番にはとても感心した。あとは5番と8番を聴いてみたいなと思ってLPを探していたところ、この8番を発見。昔、何度も目にした羽のジャケット写真。シンプルだがとても印象的である。

手に入れたLPは国内盤で、例によって帯にはキャッチコピーが記載されている。曰く「威圧するのではなく、共感させてくれます。」。なるほど。共感させてもらおう。

第1楽章からオーケストラの隅々まで鳴り切った非常に充実した演奏だ。演奏時間だけ比較したらウィーン・フィル盤と大差ないのだが、緊張感の違いか感覚的にはBPO盤の方がずっと短く感じる。第2楽章も良いが、それにも増してアダージョは良い。ちょっとひんやりと冷たい肌触りの弦楽器が特に良い。終楽章も充実している。ここでもVPO盤と演奏時間の差は少ないものの受け取る印象はだいぶ違う。BPO盤の方が終始推進力に満ちていて好ましい。フィナーレも立派。良い演奏だ。

ところで、どうも日本におけるカラヤンのブルックナーの評価は毀誉褒貶入り交じっていて、この人のブルックナーは特に熱烈なブルックナーファンにはあまり高く評価されていないようだ。しかし、カラヤンは戦前からブルックナーに取り組んでいるし、長いキャリアの間ずっとブルックナーは彼の音楽の中核にあった。そうした中で機能的なオーケストラをフルに活用して完璧な演奏の録音を目指したカラヤンのアプローチはこのアルバムにしっかり結果を残していると思う。研ぎ澄まされた演奏を聴いて外面的と言うのは、美人を見て冷たそうと決めつけるのと大差ないと思う。
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No title

 私は、ジャズでは、デイブ・ブルーベックやキース・ジャレット、オスカー・ピーターソンなどの演奏を、最近になって楽しめるようになりました。ジャズは喰わず(聴かず)嫌いだったのです。でも、マイルス・デイビスはまだ楽しめません。本気で聴いていないのかもしれません。
 このカラヤンの第8番、私もLPを所有しています。これは本当に充実した演奏ですね。ベルリンフィルの分厚いアンサンブルは、こらえられません。
 今日も、興味深い記事をありがとうございます。 

こんばんは

「美人を見て・・・」の部分は共感しました(笑)。
長年のキャリアを軽視すべきでないですね。BPOとの全集の羽ジャケットは印象的で統一感があり秀逸だと思います。商品としての魅力を高めようという丁寧さがありますねっ。
ちなみに私はVPO盤で慣れ親しんだ方でした。

バルビさん、おはようございます。

おはようございます。コメントありがとうございました。

僕もジャズはほんの少し聴いたことがある程度です(笑)。手当たり次第入手しては感想を載せているだけですので、軽い気持ちでお読みください。マイルス・デイヴィスのことも良く分かっていませんので。でも「On the Corner」はもしかしたらフュージョンやロックと思って聴いた方がしっくり来るかもしれません。

バルビさん、このLPもお持ちでしたか。名演奏のレコード、たくさん持っていらっしゃいますね!おっしゃる通り分厚いBPOサウンド満喫いたしました。

sankichi1689さん、おはようございます。

おはようございます。コメントありがとうございました。

共感していただきましてありがとうございます(笑)!

あれだけのキャリアの中で作り上げた作品を「外面的」とか「化粧」とか言ってしまうのはどうかなあと思います。聴いてみて、やっぱり完成度の高い凄い演奏だと思いました。

「商品としての魅力を高めようという丁寧さがありますねっ」 
仰るとおりです。それにしてもレコードというパッケージメディアは魅力的だったなあと思います。

> ちなみに私はVPO盤で慣れ親しんだ方でした。
なんだかVPO盤を批判してしまったような文章で申し訳ございません。実際、私が最初に慣れ親しんだのもVPO盤でした。
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