ブルックナー交響曲第5番 : シャイー

245.jpg

先日のインバル同様、シャイーもブルックナーとマーラーの交響曲全集を完成させた指揮者の一人だ。しかしながらこの二人のアプローチは全然違う。ものすごく割り切って言うとインバルの音楽は根っからの陰性、対するシャイーの音楽はいつも陽性である。ブルックナーの場合、そういう明るさが時として音楽を軽くしてしまいそうだが、だからといって厳格で重厚なブルックナーばかりではつまらない。たまには元気で陽気なブルックナーも良いではないか。

この交響曲全集は90年代の後半には完成していて何度か買ってみようかと思ったのだが、10枚組で1万円近い価格にちょっと足踏みしていた。それが今年に入って輸入盤が手に入るようになった。こちらは10枚組で3,700円。これなら買いである。

ボックスセットが届いてまず最初に聴いたのが5番。最近のシャイーはゲヴァントハウスに移ってから録音したベートーヴェンの印象が強くて、勝手に快速演奏を想像していたのだが、予想に反して冒頭の低弦によるピチカートはとてもゆっくりだし、その後の展開もオーソドックス。この人の演奏はなんと言うか実に自然体で良い意味で力が抜けている。オーケストラが強奏している時も威圧感はあまりない。音楽の流れが止まることなく、次々とフレーズが沸き出てくるような感じ。どうしてそう感じるのかと思ってよくよく聴いていると、シャイーはほとんどの場合、フレーズの始点にアクセントを置かない。普通の指揮者だったら「エイッ!」って感じに威勢よくタクトを振り下ろす様なところもシャイーの場合はさらっとしている感じ。結果として音から力みが取れて心地良い歌のようになるし、受け取り方によっては迫力不足になる。とても個性的な指揮だと思う。コンセルトヘボウの演奏は素晴らしいし、録音も良い。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

 いつも、興味深いCDの紹介、ありがとうございます。シャイーのブルックナーは聴いたことがないので、余計興味をそそります。「インバルの音楽は陰性、シャーの音楽は陽性」…なるほど、やはり少し国民性の違いが出ているんですかね~。
 シャイーは、ちょうど2年前の3月に、東京でゲヴァントハウスを指揮した公演を聴くことができました。五嶋みどりさんとのメンデルスゾーンのコンチェルトと、後半はショスタコーヴィチの第5番でした。そう言えば、ショスタコーヴィチなどは、あまり深刻ではなく、明るく元気よく「パッ」と終了というような印象だったような。

バルビさん、こんばんは。

こんばんは。コメントありがとうございました。

そんな陽気なシャイー(勝手ながら(笑))ですが、率いるオーケストラはベルリン放送響に始まってコンセルトヘボウとかゲヴァントハウスといったどちらかと言うと渋いところばかりなのが面白いです。来年からはスカラ座の音楽監督になるので、いよいよ本領発揮でしょうか。期待しちゃいます。

ゲヴァントハウスのコンサート、魅力的な曲目ですね。ショスタコと言えば、シャイーが録音したのが「ジャズ音楽集」だったのがなんだか象徴的です。実演では5番も指揮するんですね!
プロフィール

ばけぺん

Author:ばけぺん

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
Since 3/28/2013
検索フォーム
リンク