真空管アンプ探しのその2

X-PM100を試聴した時、Stageを駆動するのにクールで駆動力のあるデジタルアンプも悪くないなと思ったのだが、結局、どちらかと言えばその逆のウォームで少し音が厚めな真空管アンプを欲しいと思ったのは、考えてみれば以前所有していたESLの音を懐かしんでいたのかもしれない。クールとかウォームとか言う区別はあまりにも乱暴ではあるが、ESLにあってStageにないものと言うと僕の中では音の温かみなのだ。どちらも繊細で精緻な音を出す。非常に細かい筆致で描写するのは共通しているが、たとえて言えば、その筆先がStageは鋭利でESLは丸い。そこに出来の良い真空管アンプを組み合わせればきっと良い音で鳴る、そう思ったのである。

さて、期待して試聴した真空管アンプはトランスが盛大に鳴いて音楽どころではなく、すっかり出鼻をくじかれたのだが、正直、あのアンプはひどかった。誤解のないように付け加えれば、それが仕様であるとは思っていない。試聴した個体が外れだったに違いない。しかし、ショップ経由で代理店に確認したところ、答えは「仕様」と言うことだった。まあ、有名メーカーの真空管アンプを有名ショップで買ってもそういうことがあると言う勉強になった。

次に探したのは国内のガレージメーカーである。それなら製作者の顔が見えるし、自分のシステムを伝えた上で必要ならばカスタムメイドしてもらえる。先ほどの体験からトランス鳴きは絶対避けたいと思ったし、製作段階でスピーカーとの相性も確認できる。いくつか真空管アンプをカスタムメイドしてくれるメーカーのサイトを見た上で、とあるメーカーに問い合わせしてみた。まずはStageとの相性について尋ねたのだが、答えは明快だった。僕はStageのインピーダンスを心配していたのだが、アウトプットトランスを積んでいる真空管アンプはスピーカーのインピーダンスが低いのは問題ないという。むしろ、ネットワークの方が問題で回路次第では十分な電流が流れないことがあるらしい。ならばとネット上でStageのネットワーク回路図を探してメールで送ったところ、「シンプルで真空管向きである。」とのことだった。であれば、悩む必要はない。早速、メインアンプを製作してもらうことにした。

せっかくカスタムメイドに対応してくれるのでスリムなモノラルアンプをお願いしてみたのだが、今時クロストークの問題はないし筐体代がもったいないということで却下(笑)。ではと、このメーカーの定番であるEL34のステレオアンプをお願いしたところ駆動力のあるKT88の方がお薦めということだったので、もう仰せのとおりと思ってそれでお願いした。こちらのメーカーではオーナー自ら一人でアンプを製作しているようだが、定番アンプをお願いしたので納期は思いのほか短かった。正式に発注してからはだいたい2週間くらいだったろうか。

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ご覧のとおり、最新のアンプとは思えない質実剛健、頑固一徹といった感じのデザインである。比較してヨーロッパのアンプってお洒落だなあと思う。今、これがスピーカーの間、音楽を聴いている時には正面に鎮座しているのだが、後ろの壁に掛け軸でもかけようかという風情である。真空管にチューブラジエーターを巻き付けたせいか一層和の雰囲気が増している気がする。

さて肝心の音なのだが、これはもう素晴らしいの一言。そもそも今までプリアンプの交換に比べてメインアンプの交換による変化は凄く小さいと思っていたのだが、今回ばかりは違った。思惑どおり音は厚くウォームに変化したのだが、それと引き換えに音の抜けが悪くなったりぼやけたりといった弊害がない。スピーカーの駆動も制動も何ら問題なし。特筆すべきはアンプが静かなことで、無音時のSN比は相当良い。このアンプの場合、トランスはうんともすんとも言わない。ご覧のとおり電源を入れると正面に赤色のLEDが点灯するが明るさはほどほどで、昼間は特にはっきりしない。すると電源を入れたかどうかわからなくなることがしばしば。そのくらい静かである。メイド・イン・ジャパン万歳\(^o^)/と言いたくなるような造りの良さである。

あんまり良いので対になるプリアンプも借りてみることにした。
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真空管

ばけぺんさん こんばんは。

これが噂の真空管アンプですね。

なるほど製作者の音に対するこだわりが分かる外観です。そして私が今使っているQUAD405にも雰囲気が少し似ている感じがします(笑)

トランスは良い物を使っているのでしょうね。

自分は真空管は10年を境(来年)に始めようかと思っていました。
先日 待ちきれずに入門用の簡易的なものを買って使いましたが中々奥が深そうで面白そうです。

お借りするプリアンプの視聴記も楽しみにしております。

こんばんは。

キタサン、こんばんは。コメントありがとうございました。

はい、これがごく一部で噂の真空管アンプです(笑)。容姿はともかくとして中身は製作者の方のこだわりの塊みたいです。技術的なことはほぼわかりませんが、出てくる音はとても良いので、こだわりが結果に結びついていると思います。特にトランスはこだわっているみたいです。

同じシンプルでもQUADの405は普通後ろ側にある放熱フィンをデザインの要として前面に出すという固定概念を打ち破るすごいデザインだと思います。片やこちらは固定概念がそのまま形になったようなそれはそれですごいデザインです(笑)。とは言え、実は僕はこのデザイン、けっこう気に入ってます。

真空管アンプ、真空管そのものやコンデンサーとかに凝りだしたらキリがなさそうですねぇ。でも、こうして音楽を聴いていると、いまだに真空管アンプが廃れない理由もわかるような気がします。

おおっ、そんなことが・・・

・・・できるんですか! 知らなかった…。質実剛健というのはその通りですが、これはこれで十分におしゃれなように見えますがねェ、少なくとも写真では・・・。まッ、sol 様は写真がお上手だからなぁ・・・。

ですが、アンプが変わると音って変わりますよね。昔はスピーカーによる音の違いを100とすると、アンプによる変化は10、カートリッジによるそれは1 くらいに過ぎない、なんて言ってる評論家がいたように記憶してますが、あの当時から私は「そりゃ、無いわ」と思ってました。アンプによる音の変化は大きいですよね。昔使ってたダイナコはEL34のヤツでしたけど、それでも音の力強さは凄くあった。
なんか、私も管球アンプが欲しくなってきちゃうなァ~。

のす爺ィさん、こんばんは。

こんばんは。コメントありがとうございました。返信が遅れてすいません。

のす爺ィさんに「おしゃれ」と言っていただけると大変うれしいです。いつもデザインコンシャスでいらっしゃるのでなんだかそう言われて自信が出ました(笑)。

仰るとおりでアンプの差は確実にあると思います。その中でも僕は今までプリアンプの違いによる音の変化を10とすればメインアンプはそれこそ1くらいに感じていたのですが、このアンプに入れ替えてそれは大きな間違いだったなと思ってます。そうした違いを実感できるかはスピーカーとの相性もあると思いますので、今回は両者のマッチングが良かったみたいです。

> なんか、私も管球アンプが欲しくなってきちゃうなァ~。
ぜひぜひ!
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