ストラヴィンスキー「春の祭典」 : ブーレーズ

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ブーレーズの「春の祭典」と言うとクリーブランド管と録音した新旧録音が有名だが、これはブーレーズのオーケストラ物初録音となるフランス国立管弦楽団との演奏。「春の祭典」の録音史においてはこれこそが画期的な演奏という評価を何度か目にしたので関心はあったのだが、CDを買ったのはこれが初めてだ。

以前、どこかでこの演奏をちらっと聞いたことがあるが、いかんせん録音が冴えない印象が強かった。「春の祭典」はオーディオ的要素がふんだんに含まれているところも魅力なので、正直、出来る限り良い音で聴きたい。そう思っていたところにTower RecordからSACDハイブリッドの限定盤が発売された。SACD層だけでなくCD層も新しくマスタリングされているから期待できそう。

発売前に予約したのでほぼ忘れかけていたところ思いがけず昨日CDが届いた。帰宅して早速聴いてみたのだが、はっきり言って音はやっぱり良くない(笑)。オリジナルのレコードやCDが手元にないのでどのくらい改善されているか比較はできないが、いずれにしてもリマスタリングによってマスターテープ以上の音になるわけではないし、仕方ないと言えば仕方ない。63年という録音年代から考えても残念ながら貧弱な音である。

録音の問題を除けば、演奏自体はとても興味深いものだった。僕の中でブーレーズの「春祭」と言えばクリーブランド管との最初の録音なのだが、比較してこちらの演奏はまずテンポが格段に速い。演奏全体はいかにもブーレーズらしい、客観的で冷めたアプローチに変わりないが、快速なテンポに加えて、クリーブランド管に比べるとフランス国立管の演奏が良い塩梅に荒れ気味なのでスタジオ録音にも関わらずライブ録音のような印象を受ける。録音も相まって高音域は少々刺々しく、これがまた演奏に攻撃的な表情を与えている。この演奏を聴くとクリーブランド管との再録が登場した時は衝撃的だっただろうなあと思った。グールドの新旧「ゴールドベルグ変奏曲」まではいかないが、この二つの演奏のコントラストも相当のものである。
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