ベートーヴェン交響曲第4番、第5番 : アーノンクール

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アーノンクールは生前、自身二度目のベートーヴェン交響曲全集を録音する予定で手兵のコンセント・ムジクスと演奏を重ね、第一弾としてこの演奏をライブ録音したのだが、直後に引退を表明したため結果的にこれが生涯最後の録音になってしまった。アーノンクールのインタビューがライナーノーツに掲載されているが、20年ぶりのベートーヴェンに対する意欲に溢れている。その中で引退を決意したというのはよほど体調が悪かったのだろうし、その後、あっという間に亡くなってしまった。

ベートーヴェンの交響曲全集を録音するのに最初が4番と5番というのは不思議な感じがしたのだが、実際、ライナーノーツを読むと1番から番号順に演奏を重ねていたようだ。1~3番を飛ばして4番と5番を録音したのは単純にオペレーショナルな事情によるのか、それともこれらの曲に対する自信の現れなのかはわからない。

4番から収録されているが、この曲の冒頭から演奏は大小驚きの連続である。アーノンクールが研究に研究を重ねてスコアを読み込んだ結果は聞き慣れた演奏とはかなり違う。3番と5番の間の小曲という扱いではなく、最初のテンポから堂々と大曲のように始まるし、その後も目から鱗の斬新な演奏である。この人が演奏効果を狙った小細工をするとは到底思えないので、これがベートーヴェンの指示に忠実なのだとすれば今まで聴いていた演奏は何であるのか。とにかく一度聞くべき演奏だと思う。

5番はさらに刺激的である。アーノンクール自体インタビューの中で「グロテスク」という言葉を使っているが、なるほどそう感じないこともない。1楽章から3楽章までも楽器や奏法の違いから聞き慣れない音があちこち聞こえるし、演奏解釈も大胆で面白いことこの上ないが、白眉は終楽章。アーノンクール曰く終楽章だけに追加されたトロンボーンとピッコロは野外音楽の楽器とのことだが、その二つの楽器の強調が尋常なレベルではない。下品一歩手前、というか確信犯的に下品な鳴らし方に聞こえる。今までたくさんの「運命」を聴いたが、これらがどこに使われているかこの演奏で初めてはっきりと認識した。そしてフィナーレ。好きか嫌いかは関係なく圧巻である。名盤。
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歴史的名盤になるかも

ばけぺんさん、おはようございます。
少し前にAppleMusicで聴きましたが、かなり違和感を覚えた記憶があります。
インパクトが強すぎて、非常にショキングな演奏でした。好きにはなれないです。
でも、また聴いてみたい演奏かな(^^)。

おはようございます。

akifuyu102さん、おはようございます。コメントありがとうございました。

もし、アーノンクールが健在だったらしばらくこのCDを聴くことはなかったと思います。前の全集もそうでしたが、癖が強いので今まで必ずしも好みではありませんでした。

> インパクトが強すぎて、非常にショキングな演奏でした。好きにはなれないです。
この演奏が嫌いな人は多いと思います。それくらいインパクトある衝撃的な演奏ですね。

> でも、また聴いてみたい演奏かな(^^)。
このコメントもよくわかります(笑)。ぜひもう一度聴いてみてください!
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