ブルックナー交響曲第9番 : シューリヒト

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評論家の宇野氏が絶賛しているのでつとに有名なシューリヒトのブルックナーだが、個人的には若い頃に貧相な機材で聴いたのが災いして、擦り切れたような痩せた音の演奏という印象だった。ちなみに同じような印象の指揮者としてモントゥーがいたのだが、最近になってLPを聞き直したところ、これが素晴らしい演奏だった。演奏に感動するために必ずしもハイエンドオーディオは必要ないが、とはいえ最低限の水準に達していない機材で聴くと名演奏も台無しになる。

今週もあちこち外出が多くて忙しかったのだが、火曜日にぽっかりとお昼の時間が空いた。その間隙を縫って「レコード社」に行ったところこのLPを発見。以前の印象から多少購入を迷ったが、今のシステムで聞いたらどう聞こえるか興味があったので結局、買った。

買ってきたは良いものの聴く時間が取れなかったのだが、今日の午後、ようやく聴くことができた。記憶と比べて冒頭部分の金管から迫力が違う。61年の録音だからステージの広さや抜けの良さは最新録音のようにはいかないが、ウィーン・フィルの美しい弦楽器や木管の音色は見事に刻まれているし、ホルンを筆頭として金管楽器の強靭な響きも良く捉えられている。

シューリヒトの指揮は一見早足で淡泊。フレーズとフレーズの間のためが短く、前のめりなところがあるので余計そう感じるのだが、第一楽章は音楽が進むにつれてどんどん重みを増していく。低弦の動きも良く見えるし、音楽の造り方がとても上手い。作為を感じないが、結果的には相当劇的だ。フィナーレは素晴らしい。第二楽章も良いが、終楽章はテンポの速さにまず驚く。何度か訪れる中間のピークはそのたびに聞いたことがないくらいのスピードで飛ばしていく。このあたりで、他の演奏は曲が終わってしまうのを惜しむがごとく毎回壮大なクライマックスを作るが、シューリヒトは違う。なんというか、未完の交響曲を正しく未完と感じる演奏である。面白い。
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