ストラヴィンスキー「ペトルーシュカ」 : マゼール

DSC_9601 (2)

前回記したとおり「ペトルーシュカ」を聴き始めた頃、僕は1911年版の方が優れていると勝手に思っていたのだが、その頃、1911年版と明記された録音はそれほどなかった。いや、実際はあったのかもしれないが、なにせインターネットなど登場するはるか前のことなので、中高生が入手できる情報なんてたかが知れていた。街のレコード屋にあるものがこの世のすべてなのである。

そんな中、僕は最初に購入した「ペトルーシュカ」がこのマゼール盤。もちろん1911年バージョンである。本当はブーレーズ盤がすごく欲しかったのだが、当時はまだレギュラー盤でたしか2,300円だったと思う。こちらは1,800円。たった500円の差だが、当時の僕にはものすごく大きな差だったのだ。

この演奏は1962年の録音なのでマゼールはまだ相当若い。この頃のマゼールはどの録音を聴いてもほとばしる才能をそのままオーケストラにぶつけたような勢いのある演奏だが、この「ペトルーシュカ」もその例に漏れない。とにかく、冒頭から全力疾走という感じでオーケストラに鞭を入れっぱなし。特に最初の方はオケがマゼールの棒について行けない感じが強い。スタジオ録音なのにまるでライブのようなエネルギーである。現在だったら、あるいは指揮者がマゼールじゃなかったら録音作品として認められただろうか?という感じの演奏だ。

そんな演奏だから粗探しをすればいろいろと文句も言えるのだが、だからと言って演奏に不満があるかと言うとこれが不思議なことに何度聴いても最後まで面白く聴けてしまうのである。もっと完成度の高い「ペトルーシュカ」はたくさんあるけれど、ここまで自己主張の強い演奏はなかなかない。それを32歳の若造が成し遂げてしまうところが凄いと思うのである。
関連記事
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ばけぺん

Author:ばけぺん

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
Since 3/28/2013
検索フォーム
リンク