ショスタコーヴィチ交響曲第12番 : ロストロポーヴィチ

ロストロショスタコ

以前、たしかエッシェンバッハのCDを取り上げた時に書いた記憶があるのだが、ソロ奏者として世界的名声を得たのちに転向した指揮者に対する評価は厳しいことが多い。日本における評価は特に厳しいかもしれない。アシュケナージしかり、バレンボイムしかり。ソリストとしては高く評価されていた人がひとたび指揮者になると手のひらを返したように叩かれたりするのは、いつまでたってもソリスト時代と比較されるからだろうか?それとも指揮者の道を追及してきた人と比べて修行が足りないとでも言うのだろうか?しかし、指揮者として確立している人は例外なく何かの楽器の名手である。ソリストとしてそこまでの名声を得ていないとしてもだ。

ロストロポーヴィチもそうした指揮者の一人である。チェリストとしてあまりにも偉大なせいか、この人の指揮に対する評価はなんとも煮え切らないものが多い。ショスタコーヴィチと親交があり、チェロ協奏曲を初演したスペシャリストが完成させた交響曲全集の評価もまた同じようなものである。ちょっと前のレコ芸では井上道義さんの「レニングラード」をリファレンスとして過去の名盤を紹介していたが、その中でとある評論家がロストロポーヴィチの録音を褒めつつ、ロストロポーヴィチの指揮を褒めるのはなんとなく気恥ずかしいとコメントしていた。不思議なコメントである。良いなら良いと自信を持って言え。誰に阿る必要があるのだ。

ついつい力んでしまった。というのも僕はけっこう指揮者ロストロポーヴィチが好きなのである。なので、88年~95年にかけて録音された(14番のみ70年代の録音)この全集もお気に入りである。昨日は4番、今日は6番と12番を聴いた。なんというか共通しているのは暖かくて丸みを帯びた響きである。どちらかと言うとテンポがよく動くので自由気ままに聴こえるが、演奏が破綻するようなことは全くない。実際はロストロポーヴィチの練習は厳しくて奏法一つとってもうるさかったらしいので、メロディラインを重視した結果そう聞こえるのかもしれない。12番は暴力的に演奏しようと思えばどこまでも行けそうな曲であるが、ロストロポーヴィチのアプローチはここでもあくまで温かく最強音もどこか優しい。音圧が高まっても全然うるさくないという、ちょっと不思議な演奏である。
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No title

こんにちは。
こちらはすっかり季節の変わり目で体調を崩してしまいました。
>良いなら良いと自信を持って言え。
おっしゃる通り!宇野功芳ならここはズバッと言い切っているところですよね。
ソロ器楽奏者から転向した指揮者については、正直に申せばそこまで手が回らない、というのが実情です。よって、よく聴いていないのでおいそれとは評価を下せない。ダメですね・・・。

七味とうがらしさん、こんばんは。

こんばんは。コメントありがとうございました。

こちらもここのところ雨ばかりで急に涼しくなりました。週末からはまた暑さがぶり返すようですが、気候の急変で体調崩しがちですね。ご自愛ください。

評論家同士の鼎談だったので他の人の顔色を窺っていたのでしょうか。いずれにしてもイマイチだと感じました。

いやいや、僕も決して評価を下せるほどきちんと聴いているわけではありませんので。。適当に好き嫌いで感想を記しているだけです(恥)。。
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