ショスタコーヴィチ交響曲第4番 : オーマンディ

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ショスタコーヴィチの交響曲第4番は1936年頃に完成した後、長い間お蔵入りして61年末にようやくコンドラシンによって初演されている。62年に出版されたスコアを用いて63年2月にアメリカ初演を果たしたオーマンディ/フィラデルフィア管弦楽団によって初演2日後に収録されたのが、この演奏である。ジャケットにも「アメリカにおける最初の録音」と明記されている。

ショスタコーヴィチの交響曲の中でオーケストラに最大の編成を要し、演奏も難しいとされているこの曲をオーマンディ/フィラデルフィア管は出版後ほどなく演奏・録音したことになるが、実に堂に入った解釈であり、不慣れな曲を演奏しているように感じることは微塵もない。流石である。

僕が4番を初めて聴いたのはこの演奏のCDなので少々バイアスがあるかもしれないが、オーマンディ/フィラデルフィア管の演奏はこの曲のベスト盤の一つだと思う。技術的に優れているのは言を俟たないが、複雑な曲を実に分かりやすく、面白く聴かせてくれる。随所で弦楽器が美しいし、管楽器も輝かしい。最初に聴いたのがこの演奏でなければ4番を好きになるのにもっと時間がかかったかもしれない。

以前、すでにこの演奏は記事にしたのだが、思いがけずLPが手に入ったのでもう一度書くことにした。中古でお目当てのレコードを見つけるのはいつでも嬉しいが、今回は格別。62年の録音だからもちろん最初はレコードで販売されたのだが、なにせ4番が日本で初演されたのは80年代の終わりである。それまでこの曲の演奏を求める人がそれほどいると思わなかったし、ショスタコーヴィチと言えばやはり旧ソ連、ロシア系の指揮者の演奏の方が人気は高い。したがって日本ではあんまり流通していないと思っていた。ハイティンク/ロンドン・フィルの演奏も棚にあったのでショスタコーヴィチ・ファンの方が所有していたのだろう。

CDとレコードを聴き比べるとマスタリングが違うので、細部で多少印象が違う。最強音はダイナミックレンジを広めにとったCDの方が比較すれば優位だが、それほど大きく違うわけではない。どちらが良いかは多分に趣味の問題だと思う。
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No title

こんばんは。
アノ時代に、(意図してかどうかは別にしても)比較的ニュートラルな解釈でレコーディングされた4番は貴重ではないかと思います。私もCDで持っていますが結構好きです。
冷戦時代、アメリカのオケはソ連の作曲家の作品を比較的多く取り上げているのはなぜなんでしょうね。ソ連の演奏者によるアメリカ作品は皆無ではないかと思うのですが・・・。

七味とうがらしさん、こんばんは。

こんばんは。コメントありがとうございます。

おー!七味とうがらしさんもCD持ってますか!オーマンディのレコーディングは東側でも演奏が少ない時代のものだから、よけいなバイアスなしにスコアを正面から捉えた演奏なのではないかなと思います。何度聴いても非常に良い演奏です。

それにしても仰るとおり、冷戦時代もアメリカは東側の音楽に積極的ですね。アメリカにはロシアや東欧系のユダヤ人がたくさんいたのでニーズがあったのでしょうか?その逆は体制の問題で曲を取り上げようもなかったのではなと思います。

No title

こんばんは。
当時のことは分からないのですが、オーマンディのショスタコはそれほど話題にはならなかったのではないか、と推測します。それこそ本場ものであるムラヴィンスキーやコンドラシンなど説得力ある演奏がもてはやされたのではないかと。それは音友の名盤ナントカという本でもオーマンディのショスタコは取り上げられていないことでも明らかかと。
ただ、現在の共産主義や社会主義といった垢を落としたような演奏が主流となって、偶然にしても、オーマンディのアプローチは結果的にとても先駆的であったと思うこの頃です。
スイマセン、先のコメントをしたあとにつらつらとこんなことを考えてしまいました。

七味とうがらしさん、おはようございます。

おはようございます。コメントありがとうございました。

当時も今もオーマンディのショスタコーヴィチは正当な評価を受けていないかなあと思ってます。まあ、ショスタコーヴィチのみならず、オーマンディ/フィラデルフィア管の演奏する交響曲はシベリウスみないな例外を除いてほとんど話題にも上らないですし。華麗な音=軽薄短小みたいな偏見がまかり通っていると感じます。

> ただ、現在の共産主義や社会主義といった垢を落としたような演奏が主流となって、偶然にしても、オーマンディのアプローチは結果的にとても先駆的であったと思うこの頃です。
これは正しい洞察と思いました。わりと最近になってオーマンディ/フィラデルフィア管のベートーヴェン交響曲全集がCDで復活しましたが、こちらも古楽器演奏等、外連味のない演奏が一般化して再評価につながっているような気がします。

> スイマセン、先のコメントをしたあとにつらつらとこんなことを考えてしまいました。
どんどん、コメントお待ちしております。ありがとうございました。
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