マーラー交響曲第2番 : ブロムシュテット

今年86歳のブロムシュテットだが、その演奏はいつまでも若々しい。指揮者が晩年になると必ずといっていいほどテンポが落ち、落ち着きが出る一方で切れが失われるものだが、ブロムシュテットの最近のCDを聴いてもそんなところは感じない。見た目もほとんど変わらないし、尊敬してしまう。宗教的理由で厳格な食生活を送っているらしいが、それだけではなくきっといろいろ努力されているのだろう。

僕が初めてブロムシュテットを聴いたのは当時DENONブランドでリリースされたブルックナーの「ロマンティック」だった。それもあるし、最近の活躍もあって、僕の中でブロムシュテットはきわめて自然体のおおらかなブルックナーを演奏する指揮者であり、また、ニールセンを筆頭とした北欧系のスペシャリストというイメージだ。

ニールセンの交響曲全集を録音したり、80年代後半から90年代はじめにかけてのサンフランシスコ交響楽団時代はブロムシュテットの一つの黄金時代だと思う。このコンビにより1992年に録音されたのがこの「復活」である。

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このCDは初出時以来再販がなく廃盤になっていたが、2012年にタワーレコードの企画で復活したものだ。ブロムシュテットのマーラーは少なくともCDでは馴染みがないし、彼のブルックナーからイメージすると端正ではあるが少しおとなしい演奏なのかな?と思いつつ、聴いてみた。

聴き始めてすぐ、第一楽章冒頭のコントラバスの斉奏の部分でそのイメージがまったく間違いであることがわかった。劇的、かつ、リズミカルな開始だ。世の中の評価が高い演奏の中にはこの部分がゆるい演奏がいくつかあり、そういう演奏だと最初の3分間くらいでその後を聴く気が失せてしまうのだが、ブロムシュテットの演奏にはこの部分だけで完全に引き込まれてしまった。その後の展開も素晴らしくドラマチックである。もちろんブロムシュテットのことだから、感情の赴くままにテンポが揺らいだり演奏が破綻したりすることは皆無。オーケストラのコントロールは万全である。きちんと考え抜かれたストーリーに則って劇的に演奏が展開する。

中間楽章もそれぞれに見事な演奏。第二楽章は弦が美しく、第三楽章は冒頭のティンパニから迫力十分。無意味にテンポが遅くないのが好ましい。思わせぶりなところ、大げさな演技は皆無だ。一方で必要な範囲の起伏は十分にある。インテンポでもないしダイナミクスも大きい。上品なのにカラフルだ。

最終楽章、開始は前楽章の寡黙を突き破る強烈なトゥッティで始まる。全体のテンポはかなり速いが、その中で結構テンポが動く。それでいて人工的な味付けは感じさせない。彼のブルックナーとは違う意味で自然な演奏だ。いったん大いに盛り上がった後、舞台裏のバンダが荒野を思わせる演奏を行うがこの部分の録音の処理は見事である。

その後、合唱が導入され、クライマックスを築いていく。この過程はオーソドックス、そして感動的である。最後の最後まで指揮者の統率が行き届いた名演だ。

ブロムシュテットとサンフランシスコ交響楽団のマーラーがこの一曲しかないのは残念なことだ。彼の5番や6番がどんなものになったか、聞いてみたかった。
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