ブルックナー交響曲第9番 : カラヤン(66)

ネット上、嫌いな人の多いカラヤンのブルックナーだが、録音の多さをみるとカラヤン自身は相当ブルックナーが好きだったのだろう。今、聴いているのは66年録音の交響曲第9番。70年代にBPOと全集を作成しているが、この9番と71年にEMIに録音された4番と7番は単発の録音のようだ。カラヤンは(ニールセンやショスタコーヴィチのような例外を除き)同一の作曲家をある程度まとめて録音することが多いので、どういう経緯だったのかちょっと気になる。

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手持ちのCDはGALLERIAシリーズの輸入盤。デジタルリマスタリングと謳われているが、時期はクレジットがないのでよくわからない。66年の録音なのでベースのヒスノイズはあるものの支障はないレベル。イエス・キリスト協会での録音なので残響はかなり豊か。ただ、それをおそらくマルチマイクで録音しミキシングしているのでオーケストラの本来の配置とは違う場所から音が聞こえて来て違和感がある。トランペットが前方かなり低い位置で突然咆哮を上げたりするのでちょっとびっくりだ。ティンパニの音もドロドロとして歯切れが今ひとつ。この当たり「人工的」なイメージを増幅しているかもしれない。

演奏はしかしそんな欠点を超越して非常に充実している。特に弦の音が本当にきれいだ。あまりに美しくて冷たい感じを与えるのも良くわかる。美人過ぎて近寄りがたい感覚に近い。だからといってそれを批判するのは理不尽だと思う。第一楽章は最初の盛り上がりから金管とティンパニが全開だが、むしろ印象に残るのは圧倒的に弦楽である。多くの人が指摘するように楽章の最後は断ち切るように終わるが、これが意図的なものなのか何らかの理由で音が落ちたのかはよくわからない。カラヤン以上にレコード芸術にこだわった指揮者はいないだろうから、音が落ちたとも思えないのだが、初出の際のLPではどうだったのだろうか。

この曲の白眉である第三楽章の演奏は素晴らしい。磨きぬかれた美音が冷たいが、それゆえにこの楽章のそこはかとない哀しさが伝わってくる。

良い演奏である。
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