ブルックナー交響曲第5番

ブルックナーの交響曲をはじめて聞いたのは確か高校生の時だった。最初に聞いたのは何番だったか?やっぱりロマンティックだったかな。

当時はもちろんLPで音楽を聴いていた。音楽だけを真剣に聴くことは少なく、ほとんど勉強しているときのバックグラウンド。今も眦を決して音楽を聴いていることは少ない。本を読んでいたり、今みたいにPCをいじっていたり。そんな「ながら」聴きではあるが、それ以来、一貫して音楽鑑賞は大好きである。

当時、LPは新盤が2500円~2800円、旧盤でも1300円から1800円くらいした、中高生には大変な金額だった。中学生の僕にはお年玉か誕生日プレゼントくらいしかLPを買うチャンスはない。高校生の時だって入学時に祖父からお祝いでもらったマーラーとベートーベンの交響曲全集以外はお昼代としてもらったお金を切り詰めてようやく年に数枚買うくらいだった。

こう考えてみると最初のブルックナーであるロマンティックも一体どうやって買ったのだろうか。貴重な資金の使い道のプライオリティを考えれば、ブルックナーが購入対象になったのは大学入学後に中古CDを買うという選択肢が増えた後としか考えられない。もしかしたらエアチェックか。ただ、確実に記憶に残っているのはどこかのレコード屋でもらったソニーのベストクラシックのサンプル集に入っていたロマンティックを聴いたこと。サンプル集だから第一楽章冒頭のみだが。だとすればクーベリックの演奏が僕の最初のブルックナーということになる。

前置きがすごく長くなってしまった。こうしてロマンティックで始まった僕のブルックナー視聴歴だが、第5番に至ったのは実に最近のことだ。初体験から優に20年は経過している。

ロマンティックの後、すぐに7番、8番、9番が好きになった。最初に聴いたのは7番。確か朝比奈隆の有名な海外録音盤だ。二楽章と三楽章の間(だったと思う。)に偶然外の鐘が鳴り、その音が録音されている演奏だ。その後、初めて8番を聴いてからはしばらく8番ばかり聞いていたが、そのせいかちょっと飽きたので重点は9番に。リズムが壺に嵌る6番も大好きになったが、5番だけはエアポケットみたいに聞かないでいた。

高校生のころはLP一枚が貴重だったから、購入するのは一大事だった。間違いがないよう、名曲名盤を推薦する本を買って真剣に吟味していた。そのときに買った本に第5番は「晦渋」と書いてあった。おそらくこれが僕が20年間5番を聴かなかった理由だと思う。馬鹿な話だと思うが、たぶんそうに違いない。その時、その本が薦めていたのはケンペの演奏だったと思う。が、まだ聴いたことがない。

最近、CDは猛烈に安い。僕と同世代の人ならみんな同じ思いだろう。特に輸入盤のセット物はあまりにも安く、まさに大人買いしてしまう。その中にヴァントのブルックナー選集やヨッフムのブルックナー全集があった。いずれにも5番が含まれていて恐々聴いたのが数年前のことだ。

今、僕の中では第5番がブルックナーのファーストチョイスになっている。もちろん内容が素晴らしいからなのだが、もう一つ理由がある。それはこの曲には本当にたくさんの名演奏があることなのだ。

ロマンティック、7番に関して僕にはこれは!という演奏がない。8番はもっと悲惨で、全楽章を通じて聴きたいと思う演奏がほとんどない。9番は未完で短い上に厳しく美しい曲だし良い演奏もあるが5番ほどではないと思う。6番はヨッフムとショルティで十分。これらに比べると第5番の充実ぶりはうれしい限りだ。

20年間聴かないで良かった。おかげで今、この曲の名演奏発見が続けられている。せっかくだから、ケンペの演奏は20年後の楽しみに取っておこう。


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