ショスタコーヴィチ交響曲第12番 : ムラヴィンスキー

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ムラヴィンスキーは1961年10月にこの曲の世界初演を果たしているが、それからほどなくスタジオ録音されたのがこの演奏。この曲は翌年4月には早くも日本初演されている。このLPのライナーノーツによれば、それはソ連、チェコに次ぐ3番目の初演だったらしい。なにげに凄いことではなかろうか。日本初演が「本年4月」と記されているので、このLPは62年に製造されたようだ。

神保町にあった新世界レコードは10年前に閉店してしまったが、半世紀前にはこういう歴史的な名演をいち早く我が国に届けていたわけだ。どういう経緯でここがソ連・ロシア物専門店になったのか興味が沸くが今となっては事情はよくわからない。このLPには「1963.2.24」と日付が書き込まれていた。最初のオーナーが購入した日だろうか。62年発売で定価が1,800円。物価を調べるとだいたい今の10分の1である。とすればこのレコード一枚が今の価値で18,000円くらいしたわけだ。

ジャケットはかなりくたびれているし、盤面にもあちこちに擦り傷があって音はまったく期待していなかったが、聴いてみると存外に良い音である。ソ連ものは当たり外れが激しいが、この録音ははなまる級である。この時代の日本盤は品質が悪いと思っていたが、製造元のビクターも良い仕事をしている。

初演後、ショスタコーヴィチとムラヴィンスキーが抱き合う写真がジャケットに載っているが、実演が作曲者を感動させたと想像するに難くない凄い演奏がレコードに収められている。

いろいろ聴いた中でこの曲はカエターニのライブ録音が優秀な録音を含めなかなかの迫力と思っていたが、ムラヴィンスキーの演奏は第1楽章で早くも他の演奏をすべて軽く吹き飛ばす。とにかくとてつもなく速い。そしてその尋常でないスピードにオケが一糸乱れず対応する。緊張感半端なし。いやあ、凄いですね。

第2楽章のテンポは常識的なものだが、第1楽章から想像するにもの凄いテンポで進みそうな第3楽章は一転してグッとスピードを落とす。さすがムラヴィンスキー、ショーピースのような、子供じみた演奏はしないのである。

もともと長い曲ではないが、充実した演奏のおかげで終わりまであっという間である。文句なしに名盤。
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No title

七味は84年録音盤を持っています。
84年盤はド級の演奏ですが、この初演直後の61年盤も聴いてみたいですね。
日本初演について書かれてますが、音盤出てますね。上田仁/東京交響楽団(TBS Vintage Classics)。上田/東響は戦後、結構ショスタコの日本初演をやってますね。
こちらも気になるなー。

七味とうがらしさん、こんばんは。

こんばんは。コメントありがとうございました。

> 七味は84年録音盤を持っています。
> 84年盤はド級の演奏ですが、この初演直後の61年盤も聴いてみたいですね。
僕は84年盤が聴いてみたいです。やはりド級の演奏ですか。興味沸きますねえ。

> 日本初演について書かれてますが、音盤出てますね。
> こちらも気になるなー。
確かに気になります。上田さんという指揮者は知りませんでしたが、この演奏、ネットで見る限り評判良いですね。モノラル録音なのが残念ですが、こうした歴史的演奏の録音が残っているのは素晴らしい。
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