ブルックナー交響曲第9番 : バーンスタイン

バーンスタイン

バーンスタイン/NYPのThe Symphony Editionは60枚組のCDボックスで、ベートーヴェン、ブラームス、マーラー、シューマン、シベリウス、チャイコフスキーについては交響曲全曲が収められているのだが、ブルックナーはぽつんと交響曲第9番があるのみ。こうなると、むしろ9番だけ録音が残ったのが不思議なくらいだが、晩年、DGでも9番を再録しているので、バーンスタインにとってこの曲はお気に入りの存在だったのだろう。

この曲に限らずブルックナーの場合、ヨッフムのアッチェレランドのような直線的な加速は例外として、基本的には曲の大きさに任せて大きくテンポを揺らしたりといった小手先の演出をしない演奏の方が成功している例が多いと思う。ヴァントしかり、朝比奈さんしかり、カラヤンだってオケは盛大に鳴らすが例えばチャイコフスキーを演奏する時のような演出は少ない。

比較してバーンスタインの演奏は相当主観的である。情緒的な部分は感情移入が凄い。一言で言えば「クセがすごい」(笑)。この曲の録音を全部聴いたわけではもちろんないが、ここまでテンポの揺れる第一楽章は記憶にない。マーラーみたいなブルックナーである。これはブルックナーの音楽に宇宙の鳴動や人智を超えた何かを感じる人にはまったく向かない演奏だと思う。徹底的に俗っぽい、人間の作る音楽である。

第二楽章は一転して頑固なまでにインテンポである。スケルツオの主部は遅めで重厚、トリオは急速に展開するが、それぞれのテンポはいじらず毅然と終わる。面白い。

第三楽章は曲想がマーラーの9番の終楽章みたいなので、そもそもバーンスタインの芸風に合うのかも。ここまでの楽章と比べて違和感もサプライズもなく美しくも哀しい音楽が奏でられる。

録音は抜けがイマイチでここぞという時の重さもないが、演奏を楽しむには十分なレベル。思った以上に楽しめる演奏だった。
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No title

バーンスタインのBOXをお持ちなんですね。
七味はWPh.との新盤を持ってます。主観的なブルックナーってものがあってもよいのではと思います。ここまで人間臭いブルックナーなんてバーンスタインにしかできません(笑)。

七味とうがらしさん、こんばんは。

こんばんは。コメントありがとうございました。

バーンスタインのBOX、けっこう重なりあったのですが、結局、買ってしまいました。DGのと迷ったのですが、若い頃の方がバーンスタインらしいかなと思ってCBSの方を買いました。

これを聴いて大いに興味が湧いたのでウィーンフィルとの再録もそのうち買おうと思います。仰るとおりこのブルックナーはバーンスタイン節全開ですね。面白い演奏です。

こんばんは
ただいま水道橋のホテルで収獲物を眺めながらマッタリしています。
今日は新宿と御茶ノ水のユニオンに行って来ました。明日は神保町へ行く予定。
ホテルから御茶ノ水まで歩きましたが途中の男坂がキツかったですね〜。

収穫物

お疲れさまです。水道橋のホテルと言うとドームでしょうか?
収穫物、楽しみですねぇ。大物は捕獲できましたか?
水道橋から御茶ノ水は距離はあまりありませんが、確かに坂が凄いですね。今日は暑かったし。
神保町のユニオン、引っ越し前は会社に近かったので良く行きましたが、最近はぱったりです。
せっかくだから「レコード社」にもお立ち寄りください。
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