ブラームス クラリネット五重奏曲 : 東京カルテット

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東京クァルテットにクラリネットのジョン・マナシーを加えたブラームスのクラリネット五重奏曲は2011年の録音。

以前、シューベルトの弦楽五重奏曲を聴いた時もそう感じたが、東京クァルテットの演奏はとても上品で、はかない旋律を慈しむように優しく奏でる。クラリネットのマナシーは写真ではまだ若い奏者に見えるが、四重奏に合わせてか、声高に主張することなく落ち着いた演奏を聴かせてくれる。

組み合わせのピアノ五重奏曲ともども静かにじっくりと聴くのにふさわしい素敵な演奏だ。一つ一つの楽器を強調しない自然な録音も好印象。

シューマン交響曲第4番 : サヴァリッシュ

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サヴァリッシュのシューマンと言えばドレスデン国立管弦楽団と録音した全集が有名だが、この第4番はバイエルン放送響とのライブ録音。2003年のミュンヘン・オペラ・フェスティバルでの演奏だが、ライナーノーツによれば、この録音はバイエルン国立歌劇場から80歳を祝ってサヴァリッシュに贈られたということだ。

サヴァリッシュの指揮は非常にみずみずしく、とても80歳の指揮者が振っているとは思えない。盤石の解釈で流れるように演奏が進むが、決して単調にならず表情は豊かで細かい。それに打楽器、特にティンパニのスパイスが効いていて実は熱い演奏である。ライブ録音で聴くサヴァリッシュはスタジオ録音とまた違った一面を見せてくれる。

第三楽章まで細かい変化はあるものの基本的にインテンポで進んでくるが、終楽章の導入部で一度ぐっとテンポを落とし、主題でまたテンポを上げる。この辺り、指揮者によってはあざとく感じてしまいそうなものだが、サヴァリッシュの演奏はあたかもそれが必然といった説得力がある。もっと単純に言うと、聴いてて実に気持ち良い。このまま快速に最後まで行くかと思うと最後でもう一度ぐっと溜めてからフィナーレを迎える。いや、これはなかなかの名演である。

併録されているのはバーバーの交響曲第1番。初めて聴く曲でハッキリ言ってよく分からなかった。もう少し聴いてみないと何とも言えない感じ。最新の優秀録音と比較すると抜けがもう一歩と言ったレベルの録音だが、十二分に演奏の素晴らしさを伝えてくれる。

シューベルト ピアノ五重奏曲「ます」 : 田部/カルミナ四重奏団

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akifuyu102さんの「音楽いろいろ鑑賞日記」で田部京子さんの演奏が紹介されていたのをきっかけに彼女がカルミナ四重奏団と共演したシューベルトの「ます」を購入した。田部京子さんにはずっと興味を持ちつつ、実際に演奏を聴くのはこれが初めてだ。

最初の全奏で音の良さにちょっと驚く。まさに現場の空気まで伝えるような良好な録音だ。次に感じたのはコントラバスの音の太さ。出しゃばる一歩手前でとても存在感がある。引きずらず弾むように聴こえるコントラバスが全曲を通じてしっかりと演奏を支え、良いスパイスになっている。

田部さんのピアノは芯がハッキリした清潔な澄んだ音を聴かせてくれる。ピアノは常に音楽の中心にいるが決して目立ちすぎず、絶妙な一体感をもって演奏が展開する。ヴィヴラートを抑えた弦楽も音色が綺麗で品が良い。全体に軽やかで若々しい演奏だ。

なるほど彼女の演奏の評価が高いのも良く分かるといった演奏だった。演奏良し、録音良しの素晴らしいアルバムだと思う。

マーラー交響曲第1番 : ゲルギエフ

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僕にとってゲルギエフはどうも得体の知れない指揮者だ。いつ頃からか彗星のように現れてあっという間にスターになったが、これまで「これは!」と思った演奏にあまり当たったことがない。まだそれほど注目される前に録音した「くるみ割り人形」はなかなか良かったような気がするのだが、評価が高かった「春の祭典」は個人的にはイマイチ。しかし、最近、飛行機の中で聴いたブラームスの2番はすごく良かった。ということで、この人の演奏は当たるも八卦当たらぬも八卦だ。

このマーラー交響曲全集は半年以上前に購入したのだが、ちょうどその頃からアナログばかり聞くようになったのでようやく昨日開封した。10枚組SACDが4,000円台という破格の値段。ネット上の評価も割れていてなかなか興味深い。ひとまず番号順に聞くことにした。

聴き始めてまずは録音レベルが低いことにびっくり。SACD層で聞いているのでレベルがそもそも多少低めになっているとはいえ、相当ヴォリュームを上げないと音が小さい。出力小さめのMCカートリッジで聞いている時と同じかそれ以上にヴォリュームを上げてようやく落ち着くくらいのレベルの低さだが、最後まで聞くとその理由もわかる。

第一楽章は一見、奇を衒ったところのないごくオーソドックスな演奏だが、クレッシェンドするときは必ず加速し、静かな部分はかなりじっくりとしたテンポを取る。上下左右に音を散らさない自然な録音だが、ホールのせいかエコーが少なく、切れが良いとも言えるし、ブツブツ切れ気味とも言える。ティンパニと大太鼓は容赦なくぶっ叩く感じ。

第二楽章、速いところは速く、ゆっくりなところはかなりゆっくりとメリハリがついた演奏。ホールの残響がやはり気になる。このホールでゆっくりたっぷり演奏するのはけっこう大変そうだ。

第三楽章の最初のコントラバスはたぶん独奏でないと思う。あえてたどたどしい感じの演奏がほとんどなのでずいぶん印象が違う。ここのテンポも速め。全体的にすっきりと洗練された感じだが、これはこれで悪くない。

ここまで、ずっとヴォリュームをもう少し上げようかどうかと思っていたのだが。終楽章が始まると最初のティンパニ・大太鼓ドカーンでびっくり、目が覚める。ヴォリュームを上げるどころか絞らないと聴いていられない。ここまで来て、大太鼓とティンパニが明確に聴き分けられる実に鮮明な録音であったことが判明。防音設備完備の方にはお薦めだが、ここに照準を合わせたような録音レベルは普通の家では厳しい。それにしても、ここまで打楽器優位の演奏は初めて聞く。楽章全体通じて表情豊かな良い演奏だが、一番印象に残るのはどうしても太鼓という感じだ。

結論。ゲルギエフという指揮者はやっぱりよく分からない。

ベートーヴェン交響曲第7番 : クライバー

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クライバーの7番にはレコードデビュー当初のウィーンフィル盤もあるが、こちらは82年5月に行われたバイエルン国立管弦楽団とのライブ録音。ベーム追悼コンサートとして4番とともに演奏・収録されたが、チャリティ目的で早々にレコード化された4番と違って、この演奏は長らくリリースされなかった。4番同様にオルフェオレーベルから発売されており、マルチチャンネルありのハイブリッドSACDになっている。企画物を除くとクライバーのSACDはほとんどないのでその点でも貴重だと思う。

SACDステレオレイヤーで聴いてみた。ライブの雰囲気そのままに拍手から始まる。会場からのノイズも結構聞こえる。演奏が始まると4番と同じように抜群のテンポとリズム感で冒頭からぐいぐいと引き込まれる。フルサイズのオーケストラにしては全体に軽やかな響きだが、クライバーの指揮との相性はすごく良い。木管の響きが特に美しい。

第2楽章は実にスピーディでかつ緊張感に溢れた演奏である。一瞬の淀みもない。ここでもオーケストラはクライバーの指揮にきっちり付いていく。部分部分ライブならではの危なさもあるが、それすらこの演奏の魅力と言える。最後の弦のピチカートが鮮やかで印象的。

第3楽章もすごい迫力。中間部の強奏時は全力だ。弦楽器が細かいパッセージを受け渡していく時の畳みかけ感がすごい。すごいすごいと思っているとほとんどアタッカで最終楽章に入る。その後はもう興奮のるつぼだ。これでもかこれでもかという感じでどんどん音楽は盛り上がり、そしてフィナーレ。

最後の拍手、遅れてのブラボー、足踏み。聴衆も大興奮の超名演。

輸入盤だからなのか、もしかしたらすでに廃盤なのか、この演奏はレコ芸の名曲名盤500では1点も得点していない。対照的にウィーンフィル盤は1位に選ばれているが、興奮と感動から言うと個人的にはこちらが上だと思う。

CDレイヤーで聞くとオーケストラの広がりが薄れ、楽器の分離が悪くなる。良くも悪くも音が荒っぽい。その分、ライブ演奏の危うさみたいなものは増して聴こえる。どっちにしても演奏の素晴らしさを伝えるには不足なし。名盤。

ブルックナー交響曲第5番 : アーノンクール

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今日最後の棚卸はアーノンクール/ウィーンフィルのブルックナー第5番。この組み合わせの第9番の演奏が録音を含めてかなり良かったので期待して購入したSACD。神保町のディスクユニオンで新品が捨て値で売られていた。ラッキーであった。

9番には付録としてアーノンクールの解説付きで4楽章の演奏が収められていたが、こちらは本番の演奏と同じくらいの長さでリハーサルが収められている。このシリーズ、ずいぶんサービスが良い。

9番でもそうだったがここでのアーノンクールの解釈は至極まっとうである。ハース版+ノヴァーク版+ノヴァーク改定版といういかにも理屈っぽい版の選択だが聴いててほとんど気にならない。(と思う。もしかしたら「ながら」聴きだったからかもしれない。)

終始安心して聴いていられる演奏だ。ヴァントの演奏に比べてもティンパニは効果的に使われており、合わせて低弦に弾力と力を感じるバランスである。全体の録音バランスはヴァント盤よりこちらの方が良い。とはいえ、オーケストラもホールも違うので録音そのものの問題ではないかもしれない。

終楽章、最後の盛り上がりは非常に良い。ティンパニが盛大に下支えする中、少しずつ減速しながら大きなフィナーレを作る。外連味があって個人的には好きな演奏である。大変満足の一枚だった。

ブルックナー交響曲第5番 : ヴァント

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ヴァント/ベルリンフィルによる交響曲選集の中で最初に録音された演奏。エソテリックが企画に参加して日本でSACD化されている。

実に良く考え抜かれたテンポ、構成だと思う。最初から最後までどの部分を切り取っても納得。ヴァントのブルックナーはもっと若い頃の録音も含めて外れはないと思うが、ここではやはりベルリンフィルを振っているのが大きな付加価値になっていると思う。化粧の少ないライブ録音らしく、細かいところで技術的に完璧ではないが、全体を通じて余裕を感じる演奏である。

この曲の演奏を一枚だけ選ぶとすれば、この演奏かな。不満を言うとすれば、BPOが余裕過ぎて最後の盛り上がりでもテンションがそれほど高くならないところだが、プロフェッショナルな演奏であることに変わりはない。繰り返し聴いても飽きることのない素晴らしい演奏だ。

録音は普通に良い。エソテリックのSACDシリーズはあまり印象が良くないが、この録音では特に不満は感じなかった。強奏時のここぞという時にパワーがもう少し感じられればなお良かった。

ブルックナー交響曲第5番 : ズヴェーデン

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ズヴェーデン/オランダ放送フィルのブルックナー交響曲全集第4弾。

先に出た4番、9番とも50才台前半の指揮者とは思えない落ち着いた演奏だった。5番の開始も非常にゆっくりとしたテンポで始まるのでその印象は途中まで変わらなかったのだが、中間部でけっこうなアッチェレランドがかかる。ちょうどフルトヴェングラーやドホナーニがテンポを上げるのと同じところだ。楽譜に指示があるのだろうか。ただ、この演奏の場合、そこよりも第一楽章の終結部に驚く。弦のピッチカート以降、聴いたことのないようなテンポで最後まで進む。ちょっと意外なほどのテンポの変化である。

第二楽章は弦楽器の扱いに長けたズヴェーデンの得意とするところだろう。終始美しいヴァイオリンに低弦部や木管、それに控えめな金管の音がブレンドされてとても素敵な演奏である。

第三楽章は若々しく爽やかな好演。オランダ放送フィルというのも上手なオーケストラだ。

第四楽章は途中、金管のコラールが厳かに登場するまではゆったりとしたテンポなのだが、それ以降は第一楽章同様、予想以上にテンポがあがる。いつも通り弦楽器群は頑張っているものの、これまで聴いたズヴェーデンの演奏と比較し、特に後半は金管とティンパニの活躍が目立つ。最後は大きなコーダを築くがここでもアッチェレランドがかかり駆け足で演奏を終わるイメージ。なかなか個性的な演奏である。

このシリーズの他の録音と同様、録音はすこぶる良い。

ルスランとリュドミラ序曲 : ムラヴィンスキー

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以前ショスタコーヴィチの交響曲第6番を取り上げたムラヴィンスキーのモスクワライブ。2枚組みのSACDの1枚目が71年、2枚目が65年のライブ録音であり、後者の1曲目を飾るのが「ルスランとリュドミュラ序曲」である。

コンサートのアンコール曲として、あるいは、オーケストラのショーピースとしてよく取り上げられる有名な小品だが、ムラヴィンスキー/レニングラードの演奏はもう凄いの一言。参りました。

猛烈に速いテンポだが、どの楽器もすべてのフレーズを完璧にきちんと最後の音まで演奏している。当たり前のようだが、特に速いパッセージではテンポについていけず楽譜の指示どおり弾けずにごまかしてしまうような演奏になりがち。同じロシアの演奏で同じようにテンポの速いゲルギエフ/マリインスキーの演奏がYouTubeで観れるが、どこかぎこちない瞬間がある。チェロの歌い方もムラヴィンスキー/レニングラードに比べるとずいぶん浅い。とにかく圧巻の演奏だ。

加えてこの録音、ムラヴィンスキーの演奏記録としては奇跡的に鮮明な録音である。「ソ連としては」というレベルではなく、この年代の録音ではかなり上質な録音だ。(たとえば同時代のCBS録音よりはるかに良い。)このクオリティでムラヴィンスキーのすべての演奏が残っていたらどんなに良かっただろうか。。。

ブルックナー交響曲第9番 : アーノンクール

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断片的に残された4楽章の演奏とアーノンクール自身による解説で進められたワークショップの録音と3楽章までの演奏がセットになった2枚組みのハイブリッドSACD。

ワークショップの方は、実はまだ聴いたことがない…。が、後に出たラトルの補筆版演奏を聴いた時にはかなりの違和感を感じた。ブルックナーが書いたものをベースにしているのにブルックナーのように聞こえない。

通常の3楽章までの演奏に関して言えば、アーノンクールのブルックナーの中では圧倒的に名演だと思う。アーノンクールの指揮と限定せず、9番の演奏としても名盤の一つではないだろうか。繊細な弱音で奏でられる弦楽器の美しい響きと強奏時でも下品にならない金管、ふくよかな木管がたっぷりめのホールトーンの中で溶け合って実に良い感じだ。テンポは時に思いがけないほど快速になるが、軽い印象を与えず演奏全体に適度な緊張感をもたらしている。

ちなみにこの演奏、以前、サラウンドシステムを揃えていた頃にSACDサラウンドで聴くた時には全身が音に囲まれる感じで非常に良かったのだが、現在の環境ではステレオでしか聴けないのが残念。(ステレオでも音が悪いわけではないが。)

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