ブラームス交響曲第1番 : ミュンシュ

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久しぶりにミュンシュ/パリ管のブラームスを聴いたが、やっぱりこれは良い演奏である。同じコンビの「幻想交響曲」はたしかに名演だが、個人的には時としてやや強引に過ぎるかなと感じることがある。ブラームスの方がその点ぐっと重厚で安定している。

パリ管というオーケストラは当時のフランス政府が威信にかけて創設したオーケストラであって、当然のことながらここに聴くパリ管の音色や響きは良く言われる「フランス的」なものだと思うのだが、となると一体どこを捉えて「フランス的」なのか僕には正直言ってよくわからない(笑)。音色の違いを表現できないオーディオ装置を指して「ベルリン・フィルもウィーン・フィルも同じに聞こえる。」と評した文章を読んだことがあるが、目をつぶってこの演奏を聴いて音色で「パリ管」と当てるのは僕には不可能だ。それは装置の問題か、耳の問題か。ま、どっちもかな。

閑話休題。この演奏、まずは中低音が厚くて、耳に痛くない高音と相まって音のブレンドが非常によろしい。「幻想」と比較して安定していると書いたが、あくまで比較論であって、テンポは自由に伸び縮みするし、時々ティンパニは容赦なくぶっ叩くしと概して情熱的な演奏である。そういう激情型の指揮にオーケストラはとても良く追随している。きっとたくさん練習したのだろう。終楽章のフィナーレはたくさんあるこの曲の録音の中でも秀逸だと思う。名盤。

NEW YORK is NOW! : オーネット・コールマン

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この週末も休日出勤で福岡に出張だった。日差しは暖かくもう春の陽気である。昨日の晩は遅くまで会食だったのだが、今朝は早起きして早めの飛行機で羽田に戻った。帰ったその足で会社の先輩の告別式に出席してきた。まだ60台半ば、早すぎる死だった。今年に入ってこういう話は二度目である。二人とも会社は辞めていたが、一緒に仕事をしていた時のことは鮮明に覚えている。突然のことすぎてぴんと来ない。でも、事実、二人に会うことはもう二度とない。悲しいことだ。

出張の疲れも重なってふらふらしながら家に帰ってきたところ、ディアゴスティーニからレコードが届いていた。今回届いたのはビル・エヴァンスとコールマン。僕レベルにはいよいよ聴いたことのないアルバムが届き始めた。オーネット・コールマンという人はどうもわけのわからないフリー・ジャズをやるらしいというファンが聴いたら激怒しそうな印象しかない。

とにもかくにも聴き始めてみたのだが、なるほど聴き慣れた音楽に比べると調性感に欠けるとは思うものの、難解とか、聞くのが苦痛とかいうことはなかった。考えて聴くのではなく湧き出てくる音楽に身を任せているとなかなかイケる。しかし、リアルタイムでこの演奏を聴いた人たちは驚いただろうなあ。

Weather Report : ウェザーリポート

ウェザーリポート

今日は暖かくていい天気だった。久しぶりにゴルフに行ったが、朝一番は少し涼しかったものの、日中にかけてどんどん暖かくなって途中から上着を脱いだ。こういうことがあるのでいつも上着は重ね着していくのだが、今日は機能性下着とシャツだけで十分だった。薄着だとスイングしやすい。久しぶりで前半は手こずったが、後半は好調だった。梅が咲いて綺麗だった。

帰ってからウェザーリポートの同名アルバムを聴いた。1971年に発売されたデビュー作。僕はどこでどう知ったかまったく忘れてしまったが、ウェザーリポートというグループの名前は聞いたことがある。でも、彼らのアルバムを聴くのはこれが初めてだ。

ウェザーリポートという名前で最初の曲が音楽と言うより何か自然の音を模したような感じだったので、そういうグループなのかと思ったのだが、聴き進めていくとそうでもない。正直言って良く分からないなあと言う感想。なのだが、なんとなく気になってそのまま続けてもう一度聴いている。

不協和音が連続するのに聴いていると不思議な心地良さがある。こういう音楽を即興的に生み出すことができるって凄いなあ。

シューマン交響曲第2番 : クレンペラー

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クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管の演奏するシューマン交響曲第1番「春」と第2番を聴いた。「Angel Best 150」と銘打たれた国内盤。こうした「ベスト○○」と言うのは現代に至るまで無数の企画があるが、これはいつ頃発売されたレコードだろうか。ライナーノーツの記述からクレンペラーの死(1973)後であることは間違いない。

僕は割と最近までクレンペラーの演奏をなんとなく敬遠していたのだが、このところぽちぽちと聴くようになった。名曲名盤的な評論本を読んでこの人の演奏が極端に遅く極端にインテンポであると言う先入観を持ってしまったのが敬遠してきた理由なのだが、実際、聴いてみると確かに遅いか速いかと言えば遅いことが多いしテンポは揺れないが、だからと言って出来上がった音楽を聴いてみるとネガティブに感じることはない。落ち着いていて重厚で素晴らしいではないか。

タイトルを「春」にするか2番にするか迷ったのだが、自分的により気に入った2番にした。(併記すれば良いだけのことだが(笑)。)しかし、「春」も素晴らしい演奏である。いぶし銀の金管と暗めの弦とぜんぜん速度が上がらないテンポが他とは違う「春」を奏でる。これを聴いてすぐ3番と4番も聴きたいと思った。

2番はこういうクレンペラーの作法にもっと合ってると思って聴いたところ、結果はその通りだった。ただ予想に反してこれは「春」よりも明るい調べである。特に最終楽章はじっくりゆっくりと盛り上がってフィナーレを迎えるが、ゆっくりなのに前向きな響きがする(笑)。不思議な感じだが、これはとても良い演奏である。いつにもましてどこが良いか説明できなくてすいません。

ヴォーン=ウィリアムズ「田園交響曲」 : ボールト

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先日の「南極交響曲」に続いてヴォーン=ウィリアムズの「田園交響曲」のレコードを入手。こちらも指揮はボールト、オケはニュー・フィルハーモニア管。

「南極交響曲」は元が映画音楽であるゆえに交響詩的な音楽であるのかと思っていたが、「田園交響曲」も一般的な交響曲とは一風違った作風だ。主題と思われる旋律は繰り返し聞こえてくるが、展開部が判然としない。交響詩が連なったようなイメージである。しかし、形式論はともかくとしてこの曲が醸し出す独特な雰囲気は結構クセになりそう。穏やかで陰りを帯びたメロディが心に優しい。

最終楽章に出てくる歌詞のない女声ソロがまたいい味を出している。このレコードは録音も良かった。

ドビュッシー「海」 : スラットキン

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スラットキン/セントルイス響のドビュッシー管弦楽曲集。テラークによる82年の録音。北斎をジャケット写真にあしらったこのアルバムはクラシックを聴き始めたばかりの僕にはある意味「あこがれ」であった。デジタル録音をひっさげて台頭したテラーク盤はイコール優秀な録音というイメージで、必ずしも有名ではない指揮者による演奏であっても手に入れたい、聴いてみたいと言う気持ちが非常に強かったのである。しかしながら、帯に書かれているとおり新譜は一枚4,000円。中高生の僕には高嶺の花だった。

録音当時スラットキンはまだ38歳。直輸入盤なので帯の裏に記載された日本語解説には「将来を嘱望されているアメリカの若手指揮者」とある。そのとおり、79年から15年以上セントルイス響の音楽監督を務めた間、録音を含め大活躍だったのだが、それ以降、往年の勢いはなくなってしまったように感じる。今思えば、なぜセントルイスを離れてしまったのか。。

音楽監督以前にも付き合いのあったセントルイス響とのドビュッシーは優秀な録音も相まってすっきりと爽やかな好演。色彩鮮やかだが味付けはさっぱりしている。だからこそ飽きの来ない演奏と言えるかもしれない。たまにはドビュッシーを聴こうかと思った時に、なんとなく手を伸ばしてしまいそうな、そんな演奏である。

ショスタコーヴィチ交響曲第12番 : ムラヴィンスキー

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ムラヴィンスキーは1961年10月にこの曲の世界初演を果たしているが、それからほどなくスタジオ録音されたのがこの演奏。この曲は翌年4月には早くも日本初演されている。このLPのライナーノーツによれば、それはソ連、チェコに次ぐ3番目の初演だったらしい。なにげに凄いことではなかろうか。日本初演が「本年4月」と記されているので、このLPは62年に製造されたようだ。

神保町にあった新世界レコードは10年前に閉店してしまったが、半世紀前にはこういう歴史的な名演をいち早く我が国に届けていたわけだ。どういう経緯でここがソ連・ロシア物専門店になったのか興味が沸くが今となっては事情はよくわからない。このLPには「1963.2.24」と日付が書き込まれていた。最初のオーナーが購入した日だろうか。62年発売で定価が1,800円。物価を調べるとだいたい今の10分の1である。とすればこのレコード一枚が今の価値で18,000円くらいしたわけだ。

ジャケットはかなりくたびれているし、盤面にもあちこちに擦り傷があって音はまったく期待していなかったが、聴いてみると存外に良い音である。ソ連ものは当たり外れが激しいが、この録音ははなまる級である。この時代の日本盤は品質が悪いと思っていたが、製造元のビクターも良い仕事をしている。

初演後、ショスタコーヴィチとムラヴィンスキーが抱き合う写真がジャケットに載っているが、実演が作曲者を感動させたと想像するに難くない凄い演奏がレコードに収められている。

いろいろ聴いた中でこの曲はカエターニのライブ録音が優秀な録音を含めなかなかの迫力と思っていたが、ムラヴィンスキーの演奏は第1楽章で早くも他の演奏をすべて軽く吹き飛ばす。とにかくとてつもなく速い。そしてその尋常でないスピードにオケが一糸乱れず対応する。緊張感半端なし。いやあ、凄いですね。

第2楽章のテンポは常識的なものだが、第1楽章から想像するにもの凄いテンポで進みそうな第3楽章は一転してグッとスピードを落とす。さすがムラヴィンスキー、ショーピースのような、子供じみた演奏はしないのである。

もともと長い曲ではないが、充実した演奏のおかげで終わりまであっという間である。文句なしに名盤。

ブルックナー交響曲第8番 : ケンペ

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冨田勲さんの「ダフニスとクロエ」に続いて4チャンネル収録のブルックナー。どうやらこちらは「ダフニス」と違って本来はステレオ収録のものを後で4チャンネルに加工したものらしい。加工の行き過ぎでホールトーンが多すぎる感じ。ソ連ものの一部のように風呂場で聴いているようなひどさはないが、特に金管の立ち上がりがもたつく。そこまでするほど70年代には4チャンネルが流行っていたのであろうか?

そういう不利な面はあるものの、ケンペの指揮は冴えていて、当時の手兵であったトーンハレをぐいぐいとドライブしている。スタジオ録音だがライブ録音のような熱を感じる。録音の問題だけでなく、少々、演奏に瑕があるが、委細構わずグイッと一筆書きで仕上げたような、粗削りながら感動的な演奏だった。

全体的には抑え目のテンポでどっしりと構えているが、音楽の盛り上がりとともに徐々にスピードが上がる。これはR・シュトラウスでもベートーヴェンでも同じ。ケンペの常であるが、この人の良いのは決して節度を失わないところである。オケがついていけなくて破綻するようなことはなく、頂点以降はだいたいガクンとスピードを落としてたっぷりと情感豊かに演奏する。この緩急の変化がとても巧みだ。派手さはないが、素敵な演奏である。

ヴォーン=ウィリアムズ「南極交響曲」 : ボールト

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今日は先週末の休日出勤の代休をひょっこり取ることができた。このところ多忙だったのでとてもうれしい。

久しぶりにゆっくり起きてから部屋の掃除や片づけをするとあっという間に午前中が終了。軽くお昼を食べてから音楽を聴き始めた。最初に聴いたのは七味とうがらしさんのブログでたびたび紹介されているヴォーン=ウィリアムズ。RVW (レイフ・ヴォーン=ウィリアムズ)の交響曲をレコードで聴くのはこれが初めてである。

聴いたのはボールト/LPOによる「南極交響曲」。セラフィムの「エクセレントシリーズ」という廉価盤である。このジャケット写真、昔、レコード屋の棚で見たことあるなあ。詳しい記録はないが、80年代初めの頃の発売ではなかろうか。RVWの交響曲を全曲録音しているボールトの演奏から「南極交響曲」だけがこのシリーズの対象になっているのだから、RVWの交響曲の中でも一番の人気曲ということだろう。初めて聴く自分には入門編としてこの上ない。

この曲、もとは映画音楽として作曲されたものを再構成したものらしい。なるほど第1楽章から氷の魔女みたいな女声ソロが聞こえたりウィンドマシーンが使われていたり、キラキラ輝く氷を思わせる打楽器が聞こえたりと風景描写的な音楽である。おかげで聴く前に構えていたほど晦渋な音楽ではなかった。むしろ、とても親しみやすい音楽である。人気曲であるのもよくわかる。なるほどRVW、こういう曲を書くのか。

ボールトはイギリスの生んだ巨匠だから、この演奏は一つのスタンダードと言えるだろう。これを皮切りに他の演奏も聴いて行こうと思う。

プロコフィエフ交響曲第5番 : オーマンディ

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最近、「レコード社」で買う中古レコードはどうも前よりノイズが多いような気がする。盤面は以前より一見綺麗に見えるのだが、実際に針を落としてみるとぷちぷちぱちぱちちょっと耳障り。盤面の状態から察するに仕入れたレコードを磨いているようだが、もしかしたらスプレーを使い過ぎなのではなかろうか。とにかく、買ってきては家で洗浄が必須。二回洗浄するとだいぶ静かになる。

よくわからないと言いながらこのところあれこれ聴いてるプロコフィエフの5番。今日、手にしたのはオーマンディ/フィラデルフィア管の録音。タワーレコードの解説によればソ連に演奏旅行したこのコンビの演奏に感動したプロコフィエフ未亡人がこのLPにサインをもらったそうな。演奏会にわざわざLPを持って行ったのだろうか?そうだとすれば感動しようがしまいが最初からサインを貰おうと思っていたような気もする。

それはそれとして、これは未亡人がサインを貰いたくなったと言われても納得の立派な演奏であった。オーマンディ/フィラデルフィア管の演奏が軽いとか深みがないとか言いだしたのは一体誰だろうか?テンポ良しリズム良し技術良し構成力抜群、バランス最高、文句なしである。最強部でも破綻せず、低音は控えめなので荒々しさとは無縁。それが軽いと言うならそれは違う。格調高く圧倒的に上品なのだ。これがもしフランスのオケだったら「気品」とか「エスプリ」とか言われたであろう。もしここまで上手いオケがあるならの話であるが。

録音年代がジャケットに記載されていないので60年代後半くらいかと思ったが57年の録音らしい。とすれば録音も立派である。名盤。
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